押上の遠藤利三郎商店から考えたワインとマンションの関係性

先日、コロナ禍以降はじめてワインバーを訪問しました。

押上駅からスカイツリーを見上げながら歩くと…

スカイツリー

スカイツリー


 

唐突に現れるオシャレな名店、遠藤利三郎商店です。

遠藤利三郎商店 外観

遠藤利三郎商店 外観


探訪系マンクラの方々と飲みながら、ワインとマンションの関係性を思い至ったので記事化して記録します。

土地に関する類似性

「マンションは立地が9割」はよく言われるお話でもあり、いまさら説明不要と思います。それに対し、ワインも土地で多くが決まります。

エノテカ ワインの味を決める重要な要素「テロワール」とは?より:

ワインの世界では「テロワールTerroir」というフランス語がよく聞かれます。この言葉を辞書でひくと「風土の、土地の個性の」と記されていますが、もっと身近な言葉でいえば「ブドウ樹をとりまく環境すべて」ということができるでしょう。
(中略)
究極のテロワールワインの代表選手といえば、フランスのブルゴーニュではないでしょうか。
ブルゴーニュはパリから南東方向に行った全長300㎞の縦長の地方で、全体としては大陸性気候と呼ばれ夏と冬のアップダウンのはっきりとした気候タイプで、主に栽培されている黒ブドウ品種はピノ・ノワールです。このブルゴーニュでは気候も品種も全く同じなのに、隣り合う畑同士で全く異なるワインになるという現象をよく見かけます。

興味がある方はリンク先の詳細を読んでいただくとして、マンションでも通りやブロック一つ変わると雰囲気や価格が大きく変わることはありますね。とくに、都内でも江戸時代から続くお屋敷街などで顕著なようです(おしなべて、こうしたエリアは文教地区でもあり教育熱心な方も多いようです)。

いっぽう、湾岸を代表とする再開発による新興マンションエリアは、伝統に縛られないぶん、利便性の高さと目に優しい価格が両立できていたのですが、昨今はこれが成り立ちにくくなっているのはマンクラの皆さんが痛感されているところです。

翻ってワインで見ると、ニューワールド(NW)ワインが以前はお得でした。フランスを代表とする伝統的銘醸地の縛りがないいっぽう、実力を兼ね備えた造り手が高コスパワインを生み出すようになり、「パリスの審判」などを機に名声を得るようになりました。

タワーマンションワイン会(1) パークコート渋谷ザ・タワー パーティールーム パリスの審判

結果、こちらも湾岸エリア同様、カルトワインなどと称して高騰している点もマンションに近しい状態です。

タワマン高層階ラウンジの高級ワイン会にパワーカップルが参加〜価格爆騰でもはやバブル? ゴヤから考えるカルトワイン編


マンションは、グロスで払える額に限界があるので、結果として東京23区内でいうと十条(北区) ザ・タワー十条が基本億越えとなり、億未満だと平井(江戸川区) プラウドタワー平井、綾瀬(足立区)シティタワー綾瀬、小竹向原(板橋区)プラウドシティ小竹向原などこれまでと異なるトレンドのエリアが注目されていますね。
このトレンドから遡ること20年、墨田区は旧来の繁華街のイメージ(そもそも若手マンクラは知らない?)だった錦糸町を筆頭に、あまりお高いマンションのイメージはありませんでしたが。が、それを打破するタワー物件が2003年(平成15年)に発表されました。そう、Brilliaタワー東京 (2006年竣工)です。
竣工はスカイツリーの建設が決定した2006年(2008年着工、2012年竣工・開業)ですから、当時の墨田区としてはかなり画期的な物件でした。プレスリリースにあるとおり、ジャン・レノを起用しています。

不動産業界初!ハリウッドスター、ジャン・レノ氏をイメージキャラクターに採用。海外ロケを敢行しました。平成16年1月上旬に新聞広告を開始、3月下旬よりTVCMが放映される予定です。

こちらで動画が見られます。

ほかのCMの出演者が時代を感じさせます。ちなみに本上まなみさんは同じ頃キャピタルマークタワーのMRで声のみ出演されていましたね。

なお、墨田区のマンションはBrilliaタワー東京以外正直見学したことすらないので、本記事で他物件については述べません。スムログ城東5区のプロすまいよみさんのブログを参照ください。


価格に関する類似性

そのBrilliaタワー東京ですが、価格が大変なことになっています。


築17年にして、新築時の倍! 大規模タワーとはいえ、非都心エリアでは画期的ではないでしょうか。新築マンションが21世紀初頭から2倍になっているのはまぁしょうがない(?)ですが、17年住んで仮に売却すれば住宅費無料のままお金が2倍になって返ってくると考えると湾岸や港区物件も真っ青です。「マンションだけあがっている」でいつも参照される国交省の不動産価格指数最新版(令和4年10月・第3四半期分)はこちら。リーマンショック後の2009年から確かにほぼ2倍になっています。

不動産価格指数

不動産価格指数(令和4年10月・第3四半期分)[国交省]

いっぽう消費者物価は、バブル前からこの35年間で日本が2割しかあがらないうち世界的には2~2.5倍になっています。

消費者物価推移

消費者物価推移[IMF]

そして、ワイン価格は世界市場で動いています。Liv-ex(英国の高級ワインプラットフォーム)の投資指標を見ると、中国の方がワインに目覚めたことなどにより、Liv-ex 100(投資向きのワイン100銘柄)が15年で約3倍、さらにBurgundy 150(ロマネ・コンティを含むブルゴーニューワインの指標)は15年間で5~6倍と実需で考えると異常な状態になっています。あたかも、中国の方を中心にタワマンが投資対象になっているのに近しいですね。

ワイン価格指数

ワイン価格指数[Liv-ex]

 

昔は、ワインを勉強するにはまずフランスワインで基礎をしっかり押さえるのが大事(これもマンションと同じ 笑)と考えていました。が、これだけ値上がりすると初心者の方がフランスからというのはハードルが高い、というかほぼ無理ですね。

とっつきにくさ

マンクラの皆さんも経験されていると思いますが、マンションを購入するということ自体、金額もありハードルが高いので、最初はわからないことだらけですよね。モデルルームに行ったが最後、買うというまで帰してくれないのでは、とか。ワインも同じなことは以前も触れました。

スムログ2021忘年ワイン会潜入レポート 無惨様 年末の審判 1本目:ピノ・ノワール 100% より引用:

(略)ピノ・ノワール100%です(当日はすべて単一品種100%)。ピノ・ノワールの特徴としては花のような香りと果実味で渋みは少なく、このように透かして見ると色が薄い…
あたりまでお話ししたところで、ゲストのスムラボ若手メンバーから「ちょーっとなにを言ってるか意味がよくわからないんですが外国語ですか?」とのご指摘。

今回の参加者のうちお2人はここ1年ほどでワインに興味が増してきた方ということで、難しいことは考えず実践あるのみですね(要は飲む)。いくらお高くなったとはいえマンションに比べるとフランスワインでも価格は1万分の1くらいなので、複数人いれば同時に複数比べられます。いうわけで遠藤利三郎商店で実践!

遠藤利三郎商店で実践

今回、メンバーは4人。ワインバーで悩ましいのは人数です。ボトルで飲む前提だと1本は7杯がちょうどよく、2人では種類が飲めず5人以上だと一人2杯飲めないことと、話が発散しがち。じっくり(マンションの 笑)話をするなら3~4人がちょうどよいでしょうか。4人はあっという間に集まったので場所選び。最初から遠藤利三郎商店までは決まっていたので、今回はひさびさに押上本店を訪問。オープンは2009年で、まさに上で考察したマンションがいまより安かった頃。実はわたしがはるぶーさんとはじめてお会いした場所でもあります。

乾杯:ブルゴーニュ白

ヴィレ・クレッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ [2020] アンドレ・ボノーム

VireCresse

VireCresse


お一人遅れてくるとの話もあり、「本日のグラスワイン 白」をうかがったところヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)ということもありよさげだったので最初はグラスでオーダー。実は、最初から今回はフランス縛り、さらに私のアバターからわかる通りブルゴーニュ主体にする気満々でした。フランスワイン高騰のなか、普通の飲食店はボトル単価の2~3倍程度のプライスが一般的と思いますが、遠藤利三郎商店のワインは定額が乗っているイメージなので高いワインほどお得に感じる(原価率だけなら確かにお得)危険なシステムです。

ヴィレ・クレッセは1999年にAOC認定されたブルゴーニュでもマコネ地区の新興といえる村名ワインで、マンションでいうと上述の平井・綾瀬・小竹向原のようなイメージでしょうか(無理やり)。マンションと同じくいくら広域で探すとはいえ、「ACブルゴーニュ」だと「ブルゴーニュのどこかでつくられた」の意味なので特徴が薄くなり、新大陸ワインにコスパでは絶対敵わなくなります(そもそもワインもマンションもコスパコスパ言うのもどうかとは思いますが)。

マンションでいうと、よくこんな図を見ますね(物件名に他意はありません)。


ワインのヒエラルキーも同じイメージです(ブルゴーニュ格付けの例)。


マンションヒエラルキーは無理やり感があるものが多いですが、せっかくブルゴーニュワインを楽まれるのであれば、たまには村名以上を試すことをお勧めします。ちなみにブルゴーニュは赤がピノ・ノワール、白はシャルドネとブドウも単一種なのでその点は覚える必要がなく、作り手の違いが楽しめます(他地域、たとえばボルドーはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローをアッサンブラージュ(ブレンド)しているので覚えることが増えます)。

二本目:ブルゴーニュ白(ムルソー)

ドメーヌ・フィリップ・ブズロー ムルソー レ・グラン・シャロン [2017]

MEURSAULT

MEURSAULT


二本目は村名でもさらに格上なムルソーにスイッチ。カリフォルニア白がお手本とする濃厚さとミネラルの繊細さをもつムルソーは、おいしいのはもちろん村名の入門には最適かと思います。ブドウはもちろんシャルドネですが、こちらはモノポール(説明すると長くなるので興味のある方はリンク参照、一つの畑を一つの生産者のみが所有)なので特徴も出やすいかと。

三本目:ブルゴーニュ赤一級(モレ・サンドニ)

モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ オー・シェゾー 2014 リニエ・ミシェロ

(同一ヴィンテージが見当たらないためリンク先は2014年ヴィンテージ)

MoreySaintDenis1er

MoreySaintDenis1er


せっかくなので赤の濃いめの、と思いソムリエお勧めの1万5千円クラスから選ぼうとしていたところ、ワイン勉強中の方からもっといいものはないのかとのリクエスト。どうやら私が予算感探りがてら「ボルドー5大シャトーも10万くらいで飲めます」とネタ的に言っていたのをガッツリ受けていただいていた模様。予算を2万弱までアップし、想定外に1級をいただくことに。

ブルゴーニュの白は南のほう(コート・ド・ボーヌ)、赤は北のほう(コート・ド・ニュイ)が主体で、上記のムルソーはボーヌ、ロマネ・コンティやジュヴレ・シャンベルタンはニュイに位置します。こちらもニュイでジュヴレ・シャンベルタン村に隣接し、味の印象も近しく大変おいしゅうございました。

四本目:プロヴァンス赤

コート ド プロヴァンス キュヴェ テ エル エム デュペレ バッレラ

CotesDeProvence

CotesDeProvence


味覚もかなり鈍ってきたのを自覚したので、最後は南仏プロヴァンスの赤で。ブドウはリンクを見たところムール ヴェードル、シラーで、南仏らしくパワフルでした。

料理もしっかり

フードもメインでいただいた豪州仔羊を見ていただければわかるとおりしっかりした食事がいただけます。少々ポーションは小さめなことと、人手不足でサーブに時間がかかる点はご注意ください。

フードの例:豪州仔羊

フードの例:豪州仔羊

お会計そして次回へ

ワインの満足度は上記のとおりで料理もしっかりいただいて、さてお会計。ちょうど墨田区が3千円/1会計のPayPay還元をやっていたのですが、ものは試しに「割り勘でも使えます?」と聞いたところ「大丈夫ですよ~」とのこと(^^) コミコミ14600円から3千円還元予定となり、ムルソーまるまる1本分くらい無料にしてくれた墨田区さんありがとう! 閉店間際までお邪魔してもマンション話は尽きることなかったので、次の還元を待つことなくまたやりましょう。またフランス縛り城東もとい上等。

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ABOUTこの記事をかいた人

港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

4 件のコメント

  • 匿名さん より:

    マンションに関係ありそうな体を装ってますが、自己満足のための趣味のブログのようにしか見えません。多少寄り道をしたとしても、本題はマンションであるべきです。

    • タビー より:

      わざわざコメントいただきお手数をおかけしました。
      プロではないので趣味につながるかたちでマンションにかかわる内容を執筆させていただいております。
      ご興味の範囲外でしたら、スムログではブロガー名が明示されているのでスキップいただければ。

  • タビーさんへ より:

    マンション購入をサーフィンして利鞘をかせぐ投機的な方もいれば家族の棲家として一生に一度の大きな出来事な方もいて。
    そんな中で、マンション購入層のバックグラウンドを知ることもでき、拝見するのを楽しんでおります。
    マンションを買って家族と住んで子供が大きくなり受験をしたり
    その時々にどういう選択肢があり考え選択したのかということこそが、マンション購入の判断にとても参考になります。

    なのでいつも参考にさせていただいています。

    マンションを通しての歴史を見せていただくことは、大きな買い物をする時の知恵となります。

    • タビー より:

      コメントありがとうございます!
      別の方へのメッセージ起点で新たな視点のご意見いただけて嬉しいです。
      まさに、マンション自体はQoL向上の一つのパーツでと考えており、関連する情報としてリノベ、中受、ワインなども考察しています。
      現在の市況だと、投機的な方、コスパ重視の方いろいろですね。
      昔を知る世代として昔を振り返ることもご参考になっているならよかったです。(昔はヨカッタ、にはならないよう気をつけます)

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