タワマン文学の新形態「令和元年の人生ゲーム」刊行記念!麻布競馬場さんトークイベント&サイン会潜入レポート

今年初記事です。こちらを記事化しようと途中まで書いて温めているうちにまたブログの書き方忘れました。


リハビリを兼ね、軽めのネタから。2/17に電車を待っていたら麻布競馬場(アザケイ)さん新刊「令和元年の人生ゲーム」の刊行記念イベントのポストを見てダメ元で申し込んだところ35人の枠に当選!  せっかくいただいた機会なので、スムログ初期の『都心に住む』トークライブ「TOKYO未来予想五輪後も価値ある街とは?」以来の潜入レポートします。
(念のため、麻布競馬場さんは覆面作家なので、撮影・録画禁止で、とくにメモも取っていないので記憶で書いており、多少の間違いはご容赦ください)


そして、タワマン文学ながらマンションの話は最後の方に少ししか出てこないので、ご興味のない方は購読ご遠慮ください。

会場:大盛堂書店3F

会場は、渋谷センター街入り口にある大盛堂書店さん。

大盛堂書店

大盛堂書店


ギャル文化の流れでファッション雑誌が充実していますが、タワマン文学も積極的に扱っており、購入時は部数限定ながらアザケイさんだけでなく外山薫氏のサイン本も置かれていました。また、知らなかったのですが創業者の舩坂弘氏は伝説的な人物でした。

渋谷スクランブル交差点の書店が潰れない理由…不死身の「リアルサイボーグ日本兵」都市伝説:やりすぎ都市伝説 | テレビ東京・BSテレ東の読んで見て感じるメディア テレ東プラス (tv-tokyo.co.jp)

話題のゴールデンカムイの主人公「不死身の杉元」のモデルでは?という話もあります。

「不死身の杉元」ゴールデンカムイの主人公の参考になった日本兵とは | 毎日新聞 (mainichi.jp)

とか書いていると終わらないので興味ある方はリンクを見ていただくとして、イベント潜入でした。

開場の18時10分を少し過ぎ3Fのイベントスペースに入ると、すでに10人ほどの方が。日本人にありがちな真正面の席が空いていたので陣取ります。

会場写真

会場写真


マスクの着用は任意ですが、アクリル板はありました。テーブル上に見えるザルに、事前質問を書いて入れるとトークの題材になるとのことでさっそく記入。今回は小説紹介クリエイターけんごさんとのトークショー。

定刻になり、アザケイさんとけんごさん入場。顔出しされているけんごさんが向かって左に座り、必然的に右側がアザケイさん。予想通りというか慶應らしいというか、マスクをしていてもわかるシュッとしたイケメン。

フリートークパート

フック

話のとりかかりは、アザケイさんから「けんごさん、新刊読まれました?」という振りから。「はい、読みました。まず1話は…」とさすが小説紹介クリエイターらしい流れ。

読まれていない方のネタバレにならないよう詳細は省きますが、本書は時代順の4話構成になっており、第1話は「慶應の意識高いビジコンサークル」が舞台です。

書籍紹介より引用:

「まだ人生に、本気になってるんですか?」
この新人、平成の落ちこぼれか、令和の革命家か――。

「クビにならない最低限の仕事をして、毎日定時で上がって、そうですね、皇居ランでもしたいと思ってます」

慶應の意識高いビジコンサークルで、
働き方改革中のキラキラメガベンチャーで、
「正義」に満ちたZ世代シェアハウスで、
クラフトビールが売りのコミュニティ型銭湯で……

「慶應の意識高いビジコンサークル」が少しマルチ(商法)っぽいのがポイントで、それに合わせたけんごさんの「このカード、ご存じですか?」というフックが秀逸でした。

2話以降のストーリーも、アザケイさんらしいザラリとした表現をまといつつ、異常なまでの解像度で物語が進みます。その秘密をアザケイさん自ら紹介。各話ともに、コアとなる方を押さえてがっちり取材されているとのこと(第2話であれば、「渋谷の緑のメガベンチャー」など)。

以降、お二人の豊富な知見であちこちに話が進むことと、メモを取っていないので印象的な話のみ。

漱石はすごい

けんごさんがTikTokもやられていることもあり、話題は猫ミームに(猫ミームって要するになめ猫みたいなもの?と思ってしまうおじいちゃんムーブ)。

「猫に語らせる」って要するに「吾輩は猫である」みたいなもの?となり、まわりまわって漱石はすごい。というトークに。

曰く、受験の申し子だったアザケイさんは、受験の読解に特化して能力を磨いたため、「筆者の考えとして適切なものを選べ」の解き方に慣れすぎてしまったとのこと。すなわち、傍線部の前後を素早く読み取り、選択肢を瞬時に〇✕△に峻別し正解を特定するという中受からあるあるのテクニック。それに対し、コロナで暇な期間に自分に漱石を読破する課題を課したところ、漱石の難しさを痛感したと。

amazonの一つ星レビュー

作家としてどうしても気になってしまうのがamazonのレビュー。とくに一つ星はそうめったにつくことがないので、お二人ともつい読んでしまうとのこと。(けんごさんの奥様も作家さん) 書籍に1をつけている人の履歴を見ると、子供のおもちゃを買っていたりして、「子供の頭を撫でた右手で1をつけてるのか!」と悲しくなると。

タワマン文学のマーケティング

タワマン文学自体が未開の領域だっただけに、マーケティングも難しかったというお話。ネット経由で盛り上がった経緯からKindle版が売れると見込んだものの、実際には紙の方が圧倒的に売れているなど。どうしようもないオチとしては、一般の商品でもそうですが「打ってみないとわからない」とのことながら、想像以上に紙の書籍なのに若い方が手に取っているそう。

質問への回答タイム

フリートークでも無限に続きそうでしたが担当編集さんがブレークし、質問への回答タイムへ。そのまま読み上げるのでなく、編集さんが包括的な質問にするスタイル。

一作目と二作目のコンセプトの違い

ファンの方が集まっているので、この質問は多かったようです。

一作目(この部屋から東京タワーは永遠に見えない:集英社)はタワマン文学自体まだ書籍としては未開だったこともあり手探りで、すでにTwitterなどで書き溜めていた10程度のストーリーをベースに定め、そこに諸事情で3カ月の納期を切り20になるまでストーリーを加えていくスタイル。ただし、単にRTやいいねの数の順ではなく編集さんの意志も入れたとのこと。結果、ネットではバズっていなくても人気上位になったストーリーもあったとのこと。

これに対し二作目の本作は、もともとWEB別冊文芸春秋に連載というスタイルなので成り立ちが異なります。1話は原稿用紙100枚程度(3万~4万文字)ながら、締め切りが近づいても1文字も筆が進まず「延ばせません?」「延ばせません!」というやりとりを経てもはやヴァイブスで書かれたとのこと。タイトルも途中で決めざるを得ず、途中で元号が切り替わるので「令和元年の人生ゲーム」にしたところ、全体のコンセプトも焦点が絞れてきて筆が進むようになったそうです。

沼田にモデルはいるのか?

「沼田」は唯一4話すべてに登場するトリックスターのようなキャラクターです。トークイベント中のお話も含め、アザケイさんは「モデルになる友達が読んだら嫌な顔をする」ことをポイントにしているとのこと(ブロックされたときは本望に感じたと)。アザケイさんが慶應に入学した頃は、日吉キャンパスにAOが適用された最初期とのことで、起業話をキラキラした目でする人が多かったため、冒頭のマルチの話とも関係しますが、沼田はそのような意識高い系の登場人物をかき回す役割を帯びています。

ニッチな質問

編集者の方が「ニッチな質問です」とあえて断ったのが私が入れたタワマンに結び付けた質問でした(タワマン文学なのに 笑)。もっと長く書いたのですが「第1作には芝浦、本作には豊洲のタワマンが出てきますが、違いは感じますか?」のように要約されていました。

アザケイさんの答えは、読んでいなくても私の意図を組んでいただいて次のようでした。
・慶應入学時は新丸子から日吉に通っていたので、武蔵小杉のタマワン棟頂部がちょこんと見えていた。松本人志が、親の分も含め複数のタワマン部屋を持っているなんて噂が流れていた。
・三田キャンパスに移り、やたらボウリングがうまい人と田町ハイレーン(もうない)によく行っていた。そのとき、芝浦のタワマン群を仰ぎ、おーと思っていた。
・就職し、豊洲を初めて認識した。仲の良かった電通の子が当時平米80万円で購入し、「あなたたち豊洲をバカにしてるけど上がるよ」と言っていたが本当に倍に上がっていてヤバい。
田町ハイレーンがなくなったのはもう9年前ですね(ジュリアナ東京が1Fに入居していた田町ポートボウルはまだあります)。

田町ハイレーンはオフィスビルになりましたが、周囲はタワマン銀座になっています(あえてリンクせず)。

最近、面白かったこと

慶應でキラキラしていた方々がマルチにはまって目がヤバいというお話で、マルチに始まりマルチに終わるのでした。

サイン会

質問タイムが終わり、サイン会となりました。前列右の方から順番となり私は5番目くらいでしたが、熱心なファンの方が多いようで「以前も来ていただきましたね」などの会話あり。

私の番になり、「タビー」と書いた紙をお渡しすると認識いただいており、担当さんに「本職の方きました」とネタにしていただきありがたい限りです。

サイン本

サイン本


 

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港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

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