居住地域と中学受験:サピックス考(9) 特別編:シン・中学受験率

年末年始に体調を崩し、今年の初記事です。健康大事ですね。

suumoにみる4年間の変化

中学受験時期を意識してか、suumo新築マンションの特集は恒例の教育系データ特集でした(今回は「進学力」の視点)。

 

suumo表紙

suumo新築マンション2023.1.17 (fujisan.jpより)


気になる「中学受験校への進学率」トップ5は次のとおり。

令和3年度卒業生:
1位 文京区(48.4%)
2位 中央区(41.3%)
3位 港区(40.2%)
4位 目黒区(39.2%)
5位 千代田区(36.7%)

総論(1)で扱った4年前のデータは次のとおり。

平成29年度卒業生:
1位 文京区(42.3%)
2位 千代田区(39. 5%)
3位 中央区(38.7%)
4位 港区(37.5%)
5位 目黒区(35.1%)

上位5区の顔ぶれは変わらず、千代田区以外はすべての区で向上していますね。ただしこのデータは「都内中学校への国立・私立進学者」の比率のため、千代田区区民枠がある九段中学(千代田区立一貫校)をはじめとする公立中高一貫校や、渋幕(渋谷学園幕張)など都外の難関校を無視しています。

suumoの記事全般にあることなのですが、機械的に数値を拾うだけでビジネス的な都合の良いコメントを入れている特集が目立つので、実態を表していないことも多いですね。総論(1)では次の式で補正し、千代田区→文京区→中央区→港区→目黒区の順であることを確認していました。

(都内私立+都外+義務教育学校後期課程進学者(≒国公立中高一貫校))/卒業生

今回も同じ算出法だと順位は変わらないところまでは確認したのですが、まだ実態を反映していない感があります。端的に言うと他区に負けず劣らず教育熱量が高いと思われる港区がどちらも4位になっています。実はこのデータは区内小学校の卒業生の進路のみであり、私立小学校やインターナショナルスクールに進学したお子さんは含まれていません。そこで、suumoの元データをベースに、さらにこの5区を対象に区のホームページで個別に調べた昨年4月1日時点の12歳のお子さんの数を母数にし計算しなおしてみました。

元データ:
令和4年度 公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和3年度)の進路状況調査編】|東京都教育委員会ホームページ (tokyo.lg.jp)

結果はこちら。
小学校受験 中学受験 公立中(受験なし)
千代田区 9% 54% 37%
港区 23% 38% 39%
文京区 14% 46% 40%
目黒区 19% 35% 46%
中央区 9% 44% 46%
港区は推定小学校受験率23%というおそろしい結果が出ました。ウチも上の子と下の子では小学校受験する率の向上を感じてはいましたが、いかんせん保育園では実際に受かるお子さんは少なく、ここまでとは思いませんでした。さらに、港南・芝浦地区に限定すると、ここ数年は芝浦小があまりにマンモス校化して評判が悪くなり、さらに小学校受験率は増えていると思われます(今回未計算)。上位3区は小受+中受で約6割を占める状況で、5区とも公立中の比率は半分未満と判明。

グラフにすると次のとおり。

小受・中受率

港区小学校・サピックス事情

多いのは確認できたものの、小学校受験は正直よく知らないので公立小学校の話題。総戸数1,247戸のSHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)の入居開始を控え、小学校も大変なことになっているようです。


白金高輪周辺では、先行してプレミストタワー白金高輪が1月入居開始、アトラスタワー白金レジデンシャルが10月入居開始予定ですね。

1学年2クラスしかなかった芝浦小が、芝浦アイランド&キャピタルマークタワーで一気に増え、グローバルフロントタワーでとどめを刺されたのを思い出します。

その芝浦エリアの周辺だと、芝小学校(制服あり)は例年抽選でしたが去年から全入になったようです。小受が増えたのと、芝浜小が開校した影響が大きいのでしょうか。

これだけ小学生が増えるとやはり気になるのはサピックスの動向です(笑)。

昨年はほとんどの校舎で新一年生が席取りと思われる殺到ぶりを見せお隣の大井町校まで瞬時に募集停止となっていましたが、今年は落ち着いたようで新一年生が募集停止になっているのは現時点で白金高輪校および白金台校のみです。

募集停止の校舎一覧

湾岸エリアでサピックスを猛追する早稲アカが、品川校2号館および田町校を相次いでオープンし、周囲はますます中受激戦区となっていくようです。



こんなアンケートをとってみました。


一般に中学受験では新6年生(5年生の2月)までには社会を除きひととおりのカリキュラムをまわし、最後の1年間は実践問題をやりこむことになります。すると悩ましいのが、必然的に先取りすることになるので、小学校の授業がつまらなくなってしまうことが多いようです。

ウチの子も「小学校には友達と会うために行っている」と言っていたので「知的虐待」は言い得て妙と感じました。


私自身は地方出身で中学・高校とも公立のため中受には縁がなかったのですが、子どもの話を聞いてあらためて思い出すと授業でよほど暇そうにしていたようで、先生と面談したことがフラッシュバックしました。

東京都港区では小学校から算数では習熟度別授業が行われているのですが、真ん中より上くらいなら希望すれば三段階の最上位に入れてしまう感じだったようです。どちらかというと、小3以降でも九九をやったり、算数が苦手なお子さんに手厚い施策という印象を持ちました。

公立中の状況は?

ウチは子ども二人とも中受したので、公立中の状況はママ友経由で聞く程度ですが、公立中を圧倒的に推される方も。


そこでこちらもアンケートとってみました。



ご本人に確認したのですがご本人からはポジトーク以外の反応がないので自分で調べてみました。

実際の授業についてはよくわかりませんが、やはり基本的には学習指導要領に準拠していると考えます。

もしかしたら学校によっては違うのかもしれませんが、公教育で税金を使って極端に差をつけた授業をしているとしたら疑問です。それよりは、公教育に絶望しないよう小学校の授業を充実するほうに税金を使ってほしいものです。

なお、港南・芝浦地区固有の事情として、学区内だと公立中は港南中になります。とくに、芝浦からはいかんせん遠く、極端な例としてグローバルフロントタワーからは2km以上あります。しかしながら、中学校は区内いずれも希望でき、実際には中受で抜けるお子さんが多いため(過去3年間の平均入学率(入学者数/入学希望者数)は約38%とのこと)と小学校と異なり抽選はないとのこと。

港区ホームページ/令和5年4月新入学学校選択希望制集計結果 (city.minato.tokyo.jp)

「どんな手を使ってでも手にしたい」

二月の勝者9巻 季節は7巻後半からずーっと10月、島津家の決断と、黒木校長の過去が描かれます。「晶」の一家が合格を機にタワマン高層階へ引っ越すものの…。


「私はただ、どんな手を使ってでも手にしたい。桜花の6年生Ω・A・Rクラス32名。全ての生徒の「合格」を…!」。
折しも2/1から東京・神奈川の中学受験本番を迎えます。去年もこの時期になると胸が苦しくなったのを思い出しますが、あらためて2023年組の皆さんの合格を心からお祈りしております。

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港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

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