居住地域と中学受験:サピックス考(5) 江東区編:豊洲校にみるサービスの特性

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また半年あいてしまいまい、中受一番のピークとなる時期の前後にサピックスねたまったく書けずごめんなさい。実は当事者として中学受験にかかりきりでした。

やけに中学受験ネタに詳しいタビーさん。


そう、実は子どもが2021年受験組でサピックスにお世話になっておりました(201x年にも)。男女二人合わせて通常クラスA~アルファ、SS特訓はジェネリック~御三家とひととおり経験させていただきました。ようやくサピックスロス(燃え尽き症候群?)から立ち直ってきたところです。

サピックス豊洲校

今年は、サピックスのなかでも豊洲校の目覚ましい成果(と白金高輪校の凋落)が話題になっていましたね。


SAPIXERによれば、わかりやすいところで男子御三家率がSAPIX全体平均8.69%に対し、豊洲校は14.46%と規模100人以上の校舎で最高、白金高輪校は6.90%と少々物足りない結果になっています。白金高輪校は正直おっとりしている感がありますが、今回の成績と低学年からしか入れない現状は無関係です。


その豊洲校ですが、以前の校舎(現在は豊洲校2号館として存続)は駅そばにあるぶん場所が狭くクラス数も少ないため、現在の都心部校舎を先取りし年長さんからでないと入れず、主要層は東京校に流れてしまい実績もパッとしませんでした。満を持して2017年8月に現在の広い校舎に移転したあとに新4年生として入った学年が2021の実績をつくったことになります。

SAPIX旧豊洲校(現2号館)

SAPIX旧豊洲校(現2号館)




小規模校だった頃は、6年生アルファクラスがなかったり、サピックスの真骨頂と思える難関校SS特訓(サンデー・サピックス)がなかったりしたようですね。豊洲方面の方に取材したところ、今年の5年生は16クラス(うちアルファ4クラス)、さらに4年生はアルファだけで6クラスとさらに増加中のようです(新1年生で入れなくなるのも時間の問題?)。

 

ちょうど話題の「早稲アカ 湾岸エリアに3校同時開校」により、豊洲には中受大手四大塾がすべて揃うことになります。

有明・東雲には四大塾はないので、江東区湾岸タワーエリアの塾需要を豊洲が一気に引き受ける形ですね。

中受塾がなぜこのような状態になるのか、塾、およびマンション販売が提供する価値を「サービス」ととらえ、その特性(=固有の性質)から考察してみます。サービスの性質についてはこちらのページがシンプルにまとまっているので適宜参照します。

サービスマーケティングの基礎|サービスの性質1(無形性、非均一性)

無形性(非有形性)

無形財というように、サービスには形が無いという性質があります。

これがサービスの最大の特徴でしょうか。

第二次産業的な製品、具体的にはオトコノコが萌える旧来の自動車やカメラなどマニア心をくすぐるハードウェア製品はおしなべて性能を数値で表すことができます(例:最高出力280馬力、毎秒10枚連写など;発想が昭和)。

サービスはそのような、通常は過去の提供価値を(サービス提供側に都合のよい形で)提示することで有形化(可視化)し価値訴求します。

塾の場合、シンプルな形として合格実績に尽きます。豊洲校は、この実績を出したことでさらに人気が高まりそうです。

サピックス:「驚異の合格実績! 開成269人、麻布207人…」(チラシではこのように煽っていますが公式ページは淡々としているのが特徴)

フォトン算数クラブ:「御三家・早慶以上に塾生の83.1%が合格しました!」(公式ページからしてこのノリなのが特徴)

すなわち、自分の子どもが入塾すると、その価値を享受できるとイメージさせるということです。これがサピックスの一人勝ちの源泉であり、それが行き過ぎた結果が1年生ですでに入塾できない状態です。

この点において他塾に負けてしまった塾は、「面倒見の良さ」など数値化できない側面を強調することになります(例は省略)。

なお、塾においては実ユーザと支払者が異なり、さらには意思決定者が異なるケースが多いという特徴があると考えています。

(マンションでも、意思決定の主体者は奥様であることは多いですね)

このため、入室前に体験授業などの手段をとりますが、本人が「よかった」ということでしかわかりません。

晴れて入室し、実際の授業がはじまっても、少なくともサピックスでは実際の授業を見るどころか、教室に入ることができるのは子供がいない保護者会のときのみ。通常はエントランスに入り、防犯カメラ品質の画像を無音声で見ることしかできません。

他の性質にも関連しますが、これを徹底すべきであることを塾側は熟知しており、コロナ禍のオンライン授業でも本人以外は見ないよう通知されていました。

また、録画授業はそうそうに終了されました(特定科目除く)。これを続けると、高い授業料をとりつづける説明がつかなくなります。

マンションでも、見えない部分については数字が必ずしも有用ではありませんが、一般には数値が重視されます(例:ボイドスラブ厚など)。また、数千万(いまや億が標準?)するのに入居まで実際の住み心地は体感できません。

塾と異なり、最終的にはもちろん現物が存在しますが一般には青田売りで、竣工後にまだ売っていると住友以外は不人気物件扱いされます。そう、塾の合格実績と同じく「第1期即日完売!」という表現自体がマンション販売の無形性を表しています。

無形ゆえ、モデルルームにより有形化し、実際に体感できるようにしています。人間、基準からの相対でしかものごとをとらえることが難しいため、とかくモデルルームとの比較で考えようとします。ただし、モデルルームの種類は限られるため、モデルルームと同じ間取りの人気が高くなったりします。

有形化できる数値として最たるものは価格と広さで、これをミックスした代表特性が坪単価ですね。これを最大限にアピールするため、期ごとのパンダ部屋が出現し、瞬間蒸発することになります。

 

非均一性

サービスは、誰が提供するか、いつ提供するかによって品質が異なります。

塾では教えるのが人間ゆえ講師の差がもっとも大きく、下位クラスはアルバイト講師だと揶揄されます。が実際には、ABCなど下位クラスは、上位に準じる講師が担当することが多いようです。理由はおそらくご想像のとおりで、中位の生徒よりは下位の生徒に手厚くした方が継続性につながりそうです。

サピックスが成功した理由は、カリスマ講師に頼ったりせず、優れたテキストによりあるレベル以上の講師であれば一定の授業が担保できるためでしょう。

逆に、あるレベル以上の講師を一気には確保できないため拡大は難しく、現在の席取りのための低学年からの通塾が発生していると考えられます。

最近話題になったこちらの記事によれば、むしろ講師の裁量を増やすことで魅力につなげる面もあるようです。

SAPIX小学部、御三家合格者の5割占有 中学受験常勝の法則

豊洲校は、講師の裁量の範囲による工夫と、生徒の頑張りがうまくマッチして成果をあげたと考えられます。(もはや難関校はサピックスの寡占が進みすぎて、校舎間で奪い合いの様相を呈しているので)

マンションの場合はどうでしょう。高度な建築技術で設計・施工される現代のマンションは、完成した状態では一定の質が担保されています。

それに対し、販売の現場では営業の質の差が大きいと考えられ、「この営業さんだから買いました」のような事態が発生しています。いっぽう、買う気で訪問しても塩対応されることにより二度と行かないケースも起きます。私も北仲はあまりの塩対応に二度目をやめましたが、実ははるぶー枠だと思われただけ?!

サービスの特性すべて書いていると誰も読まなそうなのでいったんこのへんで(後篇に続く)。

周辺マンション事情

前述のとおり有明・新豊洲・東雲まで含めた湾岸タワーの主戦場が対象地域のため、通塾だけを考えるわけでなければよりどりみどりです。

きりがないので、東京校のときと同じく徒歩で近いエリアからホームズさんで拾っておきます。

パークホームズ豊洲ザレジデンス

グランアルト豊洲
オークプレイス豊洲
ベイズ タワー&ガーデン
スカイズ タワー&ガーデン
東京フロントコート
と近い物件を列挙しましたが…

無限に今の日々が続くわけではないのです・・・!!

二月の勝者 5巻で黒木校長が保護者会にて「あと6か月」であることを伝えるセリフです。このあと、子どもたちは夏合宿を経て「受験生」になっていきます。(ちなみにサピックスには合宿はありません)



マンションライフもしかりで、小学校入学前に購入する方が多いからこそ小学校の評判やサピックスの入りやすさについては皆さん熟考しますが、どちらも最大6年間です。東京校編で書いたようなサピックス&小学校最優先!というスタイルは実際にはなかなか難しいのではないでしょうか。その点、豊洲周辺はむしろ塾環境が後から充実してきたパターンなので、皆さんご家庭のライフスタイルに応じた選択をなさってください。

「居住地域と中学受験」については、マンションコミュニティ総合研究所でもとりあげていきたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

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