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最近のマンション市況を見ていると、『売り出し価格が落ちてきたらしい』『今は待つべきでは』といった空気を感じる方は多いと思います。
特に実需で購入を考えている人ほど、『せっかくなら底で買いたい』と思うのは自然な感情です。
高値掴みは避けたいですし、下がりそうな相場でわざわざ先に飛び込むのは怖い。
ただ、こういう局面でいちばん危ないのは、『下がっているらしい』を雑に受け取って、全部待ちに振ってしまうことです。
マンション市場は、株のように一律に同じテンポで上下するわけではありません。
都心と近郊、投資需要の強いエリアと実需主体のエリア、タワマンと板状マンションなど、起きていることは微妙に違います。
いま起きているのは下落ではなく需給の再調整
まず押さえておきたいのは、足元で起きていることを、単純に『マンション価格が崩れてきた』と一概には言えない、という点です。
現在の価格下落要因は、概ね次の5つに整理できます。
①審査金利の上昇
住宅ローンの事前審査で見られる金利が上がり、同じ年収でも借りられる額が小さくなっている。
結果として買える人が減る。
②不動産会社向け融資の引き締め
金融庁の通達により受けて、地銀、信金の不動産会社向けの融資が絞られ、相場で買って高く売る不動産会社がいなくなる。
上値を押し上げる要素の一つが消える。
③募集物件の増加
晴海フラッグ、三田ガーデンヒルズを中心に在庫が増えることで、一時的に需要<供給の逆転現象がおき、売出価格を下げざるを得ない。
この現象が、湾岸や都心に広がっている。
④中国を中心とした海外購入者の減少
高市早苗首相の台湾有事を巡る発言などを発端とする日中関係の冷え込みによる中国当局による日本への渡航自粛要請の影響で、訪日中国人が急減し購入者も減少。
⑤様々な転売抑制
新築の購入戸数制限や、短期売買の場合住宅ローンが出にくくなるなど転売の抑制がかかり、上値を押し上げる要素の一つが消える。
こうして見ると、いまの市況変化は『価値が急に消えた』というより、資金調達環境の変化によって、買える人、買う人の構成が変わり、需給バランスが調整されていると見る方が自然です。
現に、下がっているのは『売出し価格』であって『成約価格』ではありません。
成約価格はほとんど変わっておらず、募集件数が増え、売り出し価格を下げなければ売れない状況です。
つまり、チャレンジ価格での売却がほぼほぼ成立しない状況下にあるということです。
この違いは、実需で買う人には非常に大きいです。
ポータルを見ていると、『値下げしました』『価格改定』といった表示が増えるので、つい『もう下落相場に入った』と感じやすいのですが、実際には売主側の希望価格が修正されているだけで、マーケットの本当の落としどころはまだ大きく変わっておりません。
つまり、表面上は下落基調ですが、実態は価格据え置きとなっております。
『底値で買いたい』は正しいようで実は危ない
下落基調の局面で、誰もが一度は考えるのが『どうせなら底値で買いたい』という発想です。
これは感情としてはとても自然ですし、間違っているわけではありません。
ただ、不動産においてはこの考え方がしばしば危険です。
なぜなら、底はその場では分からないからです。
底だったと分かるのは、だいたい反転した後です。
つまり、『もうこれ以上下がらなさそうだ』と皆が認識した頃には、すでに条件の良い物件から動き始め、価格も戻り始めていることが多いです。
待っている間に需給が落ち着き、買い手が戻り、価格が再び上向けば、底値を狙ったつもりが、結果的には今より高い価格で買うことになりかねません。
これが、下落局面で実需の人が一番気をつけるべきポイントだと思います。
狙うべきは『中期で上昇するエリア』かどうか
では、どう考えればいいのか。
結論から言えば、判断軸は「今が底かどうか」ではなく、そのエリア、その物件が中期で上昇する可能性を持っているかどうかです。
都心の人気エリアだけでなく、中心地に引っ張られつつも、まだ相場の歪みが残っている周辺エリアや再開発などが期待できるエリアはねらい目です。
こうした場所は、投資マネーが過熱して一気に吹き上がった中心地とは違い、上がり方が比較的穏やかな分落ち着いて購入しやすいです。
そして、中心地が高くなりすぎると、実需は必ず少し外側へ派生します。
つまり、「今は弱いから待つ」ではなく、「この弱い局面のあとに評価される場所か」を見極めることが大切です。
実需はグロス価格を重視する
また、こういう局面ほど坪単価の議論だけで判断しない方がいいです。
3LDKなど広めの間取りが現実的な総額で買えること、グロス価格の収まり方が実需には大きい、ということが言えます。
投資需要だけで押し上がっていた物件よりも、『その価格なら住みたい』と思う人がちゃんといる物件の方が、価格は粘り強いです。
ファミリー向けの3LDK、駅距離と生活利便のバランスが良い、ブランド力や管理状態が良好な物件はねらい目です。
ブランドマンションが多く南砂町や勝島(品川シーサイドの南側)、辰巳など1億円以内で3LDKが購入できるエリアはまだまだ存在します。
是非、知らないエリアだからと言って敬遠せず、見に行ってみて下さい。
まとめ
下落基調の市況で必要なのは、最安値を当てる能力ではありません。
必要なのは、今の市場が一時的な需給調整なのか、それとも中期の価値低下なのかを見分ける視点です。
もし買おうとしている物件やエリアが、中期で上がる可能性を十分に持っているなら、底値待ちは必ずしも正解ではありません。
なので結論はシンプルです。
下落基調だから待つ、ではなく、中期で上がる場所かどうかで判断する。
そして、中期で上がると考えるなら、底値待ちにこだわりすぎない。
待った結果、相場が戻って今より高く買うくらいなら、今の市況で納得感のある条件を取りにいく方が合理的です。
底で買うことを目指すより、中期的に相場上昇が見込めるエリアを、無理のないグロスで、納得して買う。
下落基調の市況でのマンション購入は、この発想に立てるかどうかでかなり差がつくと思います。

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