ダイニングテーブルへの道(2)イタリアモダン前編 3大ブランドABC

いよいよ春、本日は東京で桜の開花発表もあり新生活に向け暖かさとともに気分の盛り上がりを感じますね。(花粉症の皆様ごめんなさい、私は小学生のころからの慢性鼻炎なぶん、一生発症しないと勝手に思い込んでいます)

前回エントリ、ダイニングテーブルへの道(1)無垢編が想像以上の反響だったので、インテリア好きの方は多いと感じ、さっそく続編です。

もともと、探しはじめた意図は無垢からの買い替えなので、雰囲気を変えるためにも無垢以外を見ていたらあらためて無垢の進化を感じたのが前回でした。ワインやマンション、なんならサピックスのαクラスと同じで、まずよいものを知るのが大事ということで、イタリアモダンの3大ブランドABC(Alfrex,B&B Italia,Cassina)編です。

イタリアモダンとは

スムログなのでスーモ君に聞いてみましょう。
住宅用語大辞典 > インテリア・家具に関する用語一覧 > イタリアモダンより引用:

イタリアモダンとは、1970年頃にイタリアで生み出されたデザイン傾向で、それを取り入れた家具や照明、絵画などを総称する言葉です。実用性に優れ、洗練されたイメージをもつイタリアモダンは、世界のデザイン傾向に特に強い影響を与えたとされています。
イタリアモダンの特徴は、モノトーンや赤・黄色・青などの非常に強い色を使い、シンプルで無駄がなく、機能的であるフォルムを有する点です。また、当時新しい素材だったプラスチックやポリカーボネイトなどを用いて、家具や雑貨を製作した点も特徴といえます。
イタリアモダンを代表するデザイナーは、ジオ・ポンティ、ヴィコ・マジストレッティ、トビア・スカルパ、マリオ・ベリーニなどです。家具のブランドは、カッシーナ、B&B、アルフレックスなどが代表的です。

早慶ナントカや、中学受験で頻出の日本三大XXのたとえで3番目はなに?というネタは皆さん大好きですが、suumoもこの3ブランドなので自信をもっていきます! この3ブランドはソファへの旅でも出てきたとおり、単に私が好きという話もありますが、立地でかなりの割合が決まってしまうマンションと異なりワインもインテリアも最終的には嗜好品なので主観は大事です。

あらためてなぜイタリアモダンかというと、冒頭で書いたとおり無垢のテーブルからの買い替えのため、無垢の暖かみや手触り感から一気に雰囲気を変え、硬質/ソリッドなイメージにしたいためです。もちろんIKEA/ニトリも見ましたが、あらためて素材感は材質のグレードがモロに出ると感じてしまいます。高級ワインに対し旨安ワインが南仏系のパンチのあるブドウを使ったものが多いのと同じで、IKEAなどは素材の差をデザインの力で目立たなくしている印象です(個人の感想ですが、どちらが良い悪いでないという意図)。

こちらの記事の”コンテンポラリー”の解説がよりイメージしやすそうです。

【モダンスタイル】 実例で教える、モダンスタイルってこういうことでしょ? 1-3. そもそもコンテンポラリーなデザインって何?

アントニオ・チッテリオが1979年にデザインしたローテーブル「DIESIS」
テーブルトップの部分が大理石になっていて、脚のフレームがアルミニウムとスチールです。
テーブルトップがガラスのバージョンもありますが、その場合はテーブル下にウッドの台がつきレザーカバーがされます。
こちらも素材使いがとてもおもしろいですが、それぞれが主張しすぎずにまとまりがあり、美しい仕上がりとなっています。

もちろん、イタリアモダンにも無垢を使ったものはありますが、今回の記事ではあえてソリッドな印象を醸し出すガラスなどの素材を組み組み合わせたダイニングテーブルに注目しています。

硬質系素材の特徴

前回の無垢テーブルで説明した木質系に続き、硬質感のある代表的な素材をざっと説明します。概要はこちらの記事などが参考になると思います。(家具・インテリア通販のクラスティーナ【モダンマーケット】さん)

素材別ダイニングテーブル特集

天然大理石:天然系硬質素材の代表(花崗岩は硬く重すぎるので一般にテーブルには用いない)
○触り心地がよく高級感は最高レベル、世界に一つしかない特別感、表面がひんやり(冬はデメリット?)
×熱・水分・酸のいずれにも弱く、とくに水分は容易に輪ジミができる(テーブル以外で経験済)

ガラス:人造系硬質素材の代表、バリエーションとしてミラーガラスあり
○水には強くスタイリッシュ、通常透明なので視界が抜け部屋を広く見せることも可能
×傷に弱く指紋・汚れが目立ちやすい、食器を直接置くと音が大きい

セラミック:鉱物を高温で焼成したもの、最近急激にテーブルでの採用が増えている
○表面が硬く水だけでなく熱にも強い、製造プロセスによりさまざまな模様をつけることも可能
×表面加工しだいだがザラザラだったりガラス同様音が大きいケースあり、一般に重い

arflex

arflexは、イタリア ミラノで1951年に誕生しました(イタリアモダンブランドの歴史は基本的に浅いです)。

about arflex より:


〈arflex〉の名の由来は「arredamenti(イタリア語=家具)」と「flexibility(英語=柔軟性、適用性)」の頭文字から。
いつの時代にもどのような環境にも適応する家具でありたいという願いがこの名に託されています。

社名からしてですが、最初の製品はさらにイタリアらしく、かつ上述の”コンテンポラリー”を体現しています。brand story より:

イタリアの世界的タイヤメーカー ピレリー社の有志と当時無名のデザイナーマルコ・ザヌーゾにより、誕生したチェア「LADY」が、美術工芸展「トリエンナーレ」で金賞を受賞。当時一般的な家具が木を中心に藁やパンヤ、馬毛などで作られていた中、人工素材である成型ゴムとエラスティック(伸縮性のある)ゴムベルトの家具への転用を試みたこの革新的な出来事が、アルフレックスの第一歩となりました。

素材の組み合わせを生かしつつ、人間の座り心地をもっとも重視した製品からスタートしており、現在もソファとともにラウンジチェア(=パーソナルソファ)が主要な製品となっています。はるぶーさんもお気に入り。


先日の記事で触れたとおり、ブランズタワー芝浦共用部のインテリアはarflexが入っており、記事中でもGIURIOPERCHそれぞれのラウンジチェアに触れています。タワマンラウンジといえばはるぶーさんのツィートよろしく長ーいソファがどーんと並ぶイメージもありますが、あえてラウンジチェアを多用しているのがarflexらしいと感じます。

タワーマンションゲストルーム訪問(3) ブランズタワー芝浦 “ゲスト・スーペリア”

これまたイタリアを体現するアルファロメオのコラムに、Arflexのもうひとつの特徴として挙げられる「イタリア生まれの日本育ち」が。

イタリア生まれの日本育ち。一生つきあえるアルフレックスのファニチャーより引用:

保科正氏は帰国して早々に『アルフレックス ジャパン』を設立。日本での『アルフレックス』製品の販売と日本オリジナルデザインの製造権を得て、当初はイタリアの製品の輸入販売とライセンス生産からスタート。ほぼ時を同じくして日本の住環境にマッチする大きさや形状を持つ日本オリジナルの製品も開発し、発展させていく。さらにはソファを応接間ではなく居間、つまり家族のためのリビングルームに置き、気持ちよく合理的で家族の幸福につながるモダンなライフスタイルを提唱した。『アルフレックス ジャパン』の存在が住環境にまつわる日本人のライフスタイルの変化を促したことは、その道の専門家達の間ではよく知られるところだ。

現在のマンションライフにおけるリビングスタイルの先鞭をつけたのがアルフレックスジャパン 保科氏ということになりますね。さらに、現在はほぼ日本オリジナルで開発・製造しているとのことで、セブンイレブンジャパンのように日本の生活を変えつつ、日本独自の発達をしている会社ですね。したがって、この3社のなかでは日本向けサイズのラインナップがもっとも多いことになります。このことがなぜ重要かというと、イタリアモダン家具はとかく大きく日本の住宅事情を気にしていないためです。(以下で具体的に書きます)

えんえんチェアについて語ってしまいましたが、そういえばダイニングテーブルの記事でした。今回恵比寿プライムスクエアのアルフレックス東京も久しぶりに訪問。

alfrex tokyo

alfrex tokyo


実際には青山界隈をさんざんウロウロしてから最後に訪問したので店内はあまりじっくり見ていませんが、注目したのは2020年発表と比較的新しいIENAです。

IENA

質実剛健にしてエレガントなダイニングテーブル。脚部は幅3mの天板も支える堅牢さがありながら、硬質な素材を感じさせない優美なラインを描きます。用途やイメージに応じて、天板の素材は木質とセラミックの2種を用意。(上記ページより引用)

ネタバレしてしまうと、次回まわし(あるんかい)のブランド含め高級イタリアモダンでセラミック天板を採用したダイニングテーブルは、見る限りarflexのみでした。これも、創業時から新素材の利用にこだわりつつ日本で設計・製造しているarflexらしさと思います。

そもそもダイニングテーブル自体、単体で選ぶものでもなくリビングダイニングのイメージがあり、そこにソファとダイニングテーブルをあわせていき、最後に照明を選ぶ、というのが一般的な流れかと思います。(ダイニングテーブル、ソファ、照明の三位一体説;という意味では最初にダイニングセットを軸にリノベーションした私がかなり異端)


このままだとarflexだけで5000文字(誰も読まない領域)越えてしまうのでこのへんで。

Cassina

カッシーナの誕生もイタリア ミラノで、1927とイタリアモダンとしては歴史が長いです(それでも執筆時点でまだ95年)。

BRANDS→Cassinaより:

17世紀、イタリアで誕生したカッシーナは、教会の木製チェアの製造に始まり、その後豪華客船の内装などを手掛け、技術力を確かなものとしました。1927年にチェーザレ・カッシーナとウンベルト・カッシーナによってカッシーナ社が設立されると、50年代にはモダンファーニチャーの分野へと転身、その後多くの製品が世界中の最も重要な美術館にコレクションされるなど、その完成度とデザイン性は高い評価を得ています。(以下略)

MASTERWALが婚礼箪笥由来なのを思い出しますね。チェア由来なことから、カッシーナの象徴である I MAESTRI COLLECTION は名作チェアであふれています。

I MAESTRI COLLECTIONより:


カッシーナ社では、ル・コルビュジエが存命中であった1964年、彼がデザインした一連の家具の製造を正式に認可されたことから、イ・マエストリ・コレクションをスタート。その後ヘーリット・トーマス・リートフェルト(1971年)、チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1972年)、エリック・グンナール・アスプルンド(1981年)、フランク・ロイド・ライト(1985年)、シャルロット・ペリアン(2004年)、そしてフランコ・アルビニ(2008年)がシリーズに加わりました。

もちろんソファも名作を擁しており、ソファ編では最初にマラルンガについて触れましたし、シティタワーズ東京ベイに限らず非常に多くのマンションのロビーで採用されています。「ザ・タワマン’s ソファ」のイメージでしょうか。



ソファに限らず納品事例をご覧いただくとイメージしやすそうなので、マンション系のみ以下に列挙。

ザ・パークハウス市谷加賀町レジデンス、ザ・パークハウス高輪タワー共用部、ブランズシティあざみ野、ウエリス市谷加賀町モデルルーム、シティタワー武蔵小山、アネシア栄 THE CITYモデルルーム、プレミスト東銀座築地 Arc Court、プレイズ覚王山法王町、THE HOUSE TOYOHASHI モデルルーム、Brillia Tower 有明 MID CROSS モデルルーム、シティタワーズ東京ベイ、プラウド渋谷本町モデルルーム、センターマークスタワー エントランス、ブリリア美しが丘モデルルーム、蘆花公園 ザ・レジデンス、CLUB THE.薬院ステーションタワーMR、ブランズタワー御堂筋本町、サンリヤン春日原ヴェール、ザ・ウエストミンスター南平台 モデルルーム、オパス有栖川テラス&レジデンス モデルルーム、プラウドシティ仙台長町南、DEUX TOURS EAST CANAL&SPA、プレミスト茨木 西中条マンションサロン、ワコーレ ザ・神戸トアロードマンションギャラリー、THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE、アークヒルズ仙石山レジデンス K邸、Brillia Tower神戸元町、グランドヒルズ三軒茶屋ヒルトップガーデン
 

ため息が出ますが、怯まずダイニングテーブルを挙げてみます。

LC6

美しいLC6の脚部には、当時飛行機に使われていた楕円断面の金属パイプが使用されています。新しい素材を取り入れて家具をデザインするという革新的なル・コルビュジエの好奇心、進取の精神が窺い知れます。このテーブルは4本の細い支柱部分で高さを調節することが出来ます。またテーブルの天板の色と素材の選択によって表情を変える為、様々なチェアとの組み合せを楽しむことが出来ます。(上記ページより引用)

しょっぱなからベタすぎてスミマセン。ガラス、そしてコルビュジェLCシリーズというわかりやすさ。そして数々のリプロダクト品があるところ、高い精度と正規品のみに許される刻印がある安心感。が、もとの選択意図で通常は4人でよいのですがゲストを呼んだ際に余裕を持って6人座りたかったので、お誕生日席を使わない限り6人掛けが難しいLC6はNGとなりました。あと、あらためて座ってみるとガラス天板は遮るものがないので(当たり前)足が丸見えなのは実際の使用時に気になるケースがありそうです。日常使用では結局ランチョンマットを使うのか?などいろいろイメージできました。(インテリアショップを探しはじめると痛感しますが、素材感で勝負となるシンプルなガラスのテーブルは非常に少ないです) また、これにあわあせるチェアはなかなか難しそう。価格は、イタリアモダンを見ているとむしろお得なレンジに感じてしまうのが恐ろしい。

AGO

このテーブルは、天板、フレーム、脚という最小限の部材で構成されています。特徴的な背骨のようなフレームと円鐘形の角度で取り付けられた脚は、安定性と軽快感というデザインを特徴付けています。オフィスでもホームでもシーンを選ばずにご使用頂ける汎用性を持ったテーブルです。(上記ページより引用)

新築時のリノベーションをお願いした建築士さんからあくまで案として提示があったもの。確かに中学受験的に言うと同じ外周で面積が最大な図形は円なのでラウンドテーブルは合理的! また、LC6と異なりスケスケでないのはよいですね。が、今回の目的だと小さいのと、ラウンドテーブル全般の課題として足の位置の制約が大きいのが難点(中央のみだとがたつき、支える範囲を広くすると邪魔になりがち)。このあたり、もはやテーブルについて無限に語れてしまうRHさん。

あと、AGOはカッシーナでなくixc. SELECTION Aliasですね。カッシーナの日本総代理店がカッシーナ・イクスシー ですが、ixc.ブランドはカッシーナではなく、ざっくり言うとセレクトショップです。他のイタリアモダンブランドと異なりカッシーナ以外の製品も扱っているので、ユーザは幅広く選ぶことことができ、会社としても間口が広がり売り上げが確保しやすいといえます。紹介が遅れましたがカッシーナ・イクスシー青山本店は青山通り沿い、神宮外苑のイチョウ並木からほど近いユニマット青山ビルにあります。1F~3Fで縦長の構成。

Cassina ixc. Aoyama shop

Cassina ixc. Aoyama shop


同じくixc. SELECTION の DESALTOシリーズからの一品を。

SKIN

素材感のあるセラミック天板に、特徴的な形状のアルミダイキャストの脚部。スリムでエレガントなシェイプによる色褪せない美しさは、洗練された印象とともに快適性ももたらします。通常のフィックスタイプと、エクステンションタイプの2種類があり、エクステンションタイプは延長する側の脚部2本にキャスターが付いています。天板を広げる際の動作も容易で、一人でもスムーズに展開することができます。(上記ページより引用)

カッシーナの刻印にこだわらなければ、セラミック天板&アルミの組み合わせと、約1.5倍に容易に伸ばせるエクステンションは魅力的。

カッシーナ製品に戻すと、ほかにガラスはDOGE056 CAPITOL COMPLEX TABLEがありますが、巨大な割に脚の位置が厳しいか。ソファといい、イタリア人どれだけ広い部屋なんだと思います。

195 NAAN

繊細な表情と堅固なフレームをあわせもつナーンは、2つのエッセンスを持ったエクステンション型テーブル。極限まで薄く仕上げた厚さはわずか10mmの天板は、カッシーナ社がこれまでに培った豊富な木工技術と、モダンインダストリアルのデザインを融合して実現しました。天板はオーク材とアメリカンウォールナット材を使用。化学変化により着色するという画期的な手法を取り入れることで、一般的なニス塗装に見られる人工的な見た目とは違い、自然な木目がそのまま活かされています。(上記ページより引用)

説明のまんまですが、画期的な薄さとエクステンションメカを両立したNAANはカッシーナらしさがありインパクトありました。また、表面的には木質ですが天板フレームと脚部内部構造はアルミで、コンテンポラリーの要件も満足しています。が、展示品の天板に少し傷がついており妻が難色。突板なので前回記事で確認したとおりそれは多少傷くらいつくでしょうという話ですが、いっぽう言ってしまえばただの突板にこの金額払うかというのはなかなか悩ましい問題です。

B&B Italia

あえてアルファベット順を変えたのはその由来ゆえです。まさにそのままのタイトルの記事がありました。

カッシーナに育てられ、カッシーナを超える。B&B Italiaの「B」にまつわる秘密より:


…彼(注:ピエロ・ブスネリ)は試行錯誤の末に「モールドポリウレタン製法」という製造技術を家具に取り入れる。これによって、家具製作の生産性を飛躍的に向上させることが可能になったのだ。

しかし、この製造方法には多くの設備投資が必要になる。そこで、彼は友人のコネクションを使ってカッシーナの創業者チェザーレ・カッシーナに話をもちかけた。(中略)彼がピエロ・ブスネリのビジョンに賛同したことで、1966年にブスネリは全所持金を、カッシーナは同じ金額を出資し、二人の名前の頭文字を取って「C&B Italia」を設立。B&B Italiaの前身となる会社が誕生した。

そう、B&B Italiaはカッシーナ氏との合弁会社だったのです。そしてC&B Italiaは大成功をおさめますが、記事にある通りカッシーナの業績を超えるという想定外の事態になり、事業から手を引くよう迫られます。そして…

…彼は、逆にカッシーナを買収するという驚くべき決断を下す。あらゆる銀行を駆け回って資金を調達し、実際にカッシーナの半数以上の株を買い取ることに成功。新しい社名「B&B Italia」に刻まれた「B」は、このとき資金援助をしてくれた銀行(Bank)に敬意を込めたものだという逸話も生まれた。

Arflex、Cassinaと起源が家具のコンセプトに影響することを見てきましたが、B&B Italiaは技術の革新性をベースに挑戦し続ける姿勢が特徴といえそうです。自社の会社概要にさすがに上記の社名の由来は書けないでしょうから別の記事から引用しました。

さらに、実はarflexとも関係性が。以前のB&B Italiaは、独占販売権をアルフレックスジャパンが持っており、当時はインテリアショップのメッカ、南青山にショウルームがありました。その後、TSUTAYAでおなじみカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)参加の合弁会社がB&B ITALIA Japanを運営するように。CCCの事業がかつてレンタルビデオ主体だったのをすでに若い方は知らないかもしれませんが、その時代から彼らは新しいライフスタイルの提案をビジョンとしています。

CCC・増田社長が語る TSUTAYAの戦略と図書館、生活提案の行方 より:


増田氏が「ライフスタイルの提案」に注目した背景には、マズローの欲求5段階説があるという。

「マズローによると、生存欲求や安全欲求などが満たされた後、最後に出てくる5段階目の欲求は『自分は何がしたいのか、どのように生きるべきなのか』といった自己実現の欲求です。しかし、80年代の当時、ファッションやモノを選べる場所はあっても、ライフスタイルや自分らしさを選べる場所はありませんでした。自分らしさを探せる場所、それがTSUTAYAです。TSUTAYAに来たら生き方を発見できる。

こちらはパナソニックと共創した蔦屋家電の記事ですが、その家具・生活空間版がB&B Italiaの運営といえます。私が中受塾およびマンション販売をサービスの特性ととらえ、2回にわたって考察したのと同じ考え方ですね。

居住地域と中学受験:サピックス考(5) 江東区編:豊洲校にみるサービスの特性

居住地域と中学受験:サピックス考(6) 品川区編:大井町校にみる白金高輪校の影響

最近、マンションインテリアクラスタが盛り上がっていますが、中受・ワインと同程度以上にインテリアはタワマンネタと相性がいい理由はここにあると考えています。今朝など、がりべん先生がなにげない写真を載せるだけでインテリアクラスタが深読みの考察をはじめる始末。


大阪にショールーム開設準備中のようですが、現在の直営店は外苑前の東京ショールームのみで、場所は因縁のライバルCassina ixc. Aoyama shopの斜め向かい。

B&B Italia(1F)


外苑前駅直結の青山OM-SQUAREにありますが、路面店ではなく1Fに控えめな展示があり、メインは普通のオフィスビルエリアの3Fにあります。正直、日本ではixc.も扱っているカッシーナにビジネス上は水をあけられていると思いますが、わかっている人だけきてくれればいいという感じなのでしょうか。(現在CCC(非上場)の完全子会社なので事業の売り上げは不明)

B&B Italiaも、その成り立ちから白眉はソファで、これがまた大概デカい。それにあわせていくダイニングテーブルはなかなかに難しいです。ソファの記事で書いたとおり、私が行きついたソファは本ブランドのANDY(現行とサイズが異なる248)なので、あわせられればと見ていきます。なお、木製家具のモダン・クラシックなラインMAXALTOも展開していますが今回の目的から除外します。

Oscar

ヴィンセント・ヴァン・デュイセンは建築学的なアプローチを家具のデザインに取り込みました。熟練した経験と周囲と調和する特徴的な部材がそれを可能としました。天板から脚部までの特徴的な距離、脚部を支えるフレーム、天板の四隅の丸み、先細りの縁、そして滑らかな脚、これら全てが複雑なデザインの一部となっています。しかし同時にデザインの強さに負けない清廉さも兼ね備えています。(中略)最も象徴的なバージョンでは、薄緑色のカセドラルグラスの天板と光沢のあるエメラルドグリーン色にラッカー塗装した脚部が完璧に調和しています。(上記ページより引用)

ガラス天板にエメラルドグリーンの脚という、コンテンポラリーを体現したテーブルですね。(突板&無垢もあり) John Kellyも建築の影響を語っていました。 長手方向サイズは最小が200から245、300という巨大さ。展示はオーク天板でした。

Miro Indoor

Mirtoのインドアシリーズは、ローテーブル、サービステーブル、オットマン、コンソールなどの新しい要素を追加し、脚部には新たにピューター塗装を採用しました。中でもローテーブルには、布張りの天板のエッジに同色または対照的なパイピングを施した独創的なソリューションを提案しています。(上記ページより引用)

B&BはOutdoor Collectionも手掛けているのでIndoorが附記されていますが、日本にはあまりない考えですね。天板は複数色のオークなど多くのバリエーションから選べますが、気になったなのはミラーガラス天板。そこにピューター塗装の脚というこれまたコンテンポラリーさ。残念ながら展示なし。

Parallel Structure

マイケル・アナスタシアデスが、B&B Italia のために初めてデザインしたテーブルのコンセプトは、2本の印象的なアルミニウムの梁材が両側で結合され支えられているというものです。基本の構造は、極めてミニマルで本質的な考え方に基づいていて、コンセプトがそのまま実体化したようなものです。究極のシンプリシティを追い求めていくと、時に最先端の技術的な解決法を見つけ出さなければならず、Parallel Structureは、まさにその完璧な例となっています。(大幅に略)このテーブルは、明快な単純さで余分な要素を全て消し去ることで、純粋でモノリシックな存在を創り出しているのです。名前の由来であるParallel Structureは、デザインの世界に建築的なアプローチを自然な形で持ち込んだものなのです。

FLOS IC LIGHTSなど照明の世界で著名なマイケル・アナスタシアデスがミラノサローネ2019で発表。執筆時点ではショールームに残念ながら展示がありませんが、Oscar以上に建築の考えを適用したこの構造は惹かれます。天板は木質も選べますが、木質脚、原色系に塗装されたアルミニウムとの組み合わせでザ・コンテンポラリーとなるガラス天板にチャレンジしたいところ。興味をもたれた方は、上記の大幅に削った説明でも語り切れなかったようで、ご本人解説の動画も是非。日本語字幕版は55″ですが、英語版ではソファに座った状態での鑑賞すべきポイント(笑)やシステム書棚Jackとの関係性も含め3’42″にわたり語っています。

日本語版: Michael Anastassiades – Parallel Structure – Salone del Mobile 2019

英語版: Salone del Mobile 2019 | B&B ITALIA – Michael Anastassiades presents Parallel Structure and Jack

惜しむらくは長手方向サイズが2300mmと2800mmのみと例によって巨大なこと。また、国内工場を持つarflexは例外でイタリアモダン全般にいえますが、展示がないのはまだしも、そもそも国内在庫がないと発注後の納期が5ヵ月程度かかるのが一般的です(カッシーナでも実際にうかがいました)。タワマンの引き渡しまでの期間が長いとはいえ、新居でイタリアモダンの新たなテーブルをお考えの方は半年以上前に動かないと間に合わないのでご注意を。

DOPA

記事中ではあえてプライスにはいっさい触れていませんが、イタリアモダンテーブルが国内無垢テーブルよりさらに…なのは推して知るべしですね。新居で家具をお考えの方は、インテリア相談会などが入居までのスケジュールに組み込まれ、提携家具ブランドは一定の割引があるのが一般的と思います。が、インテリア相談会はデベおよび関連会社の重要な収入源なので、割引は10%程度が一般的ではないでしょうか。リプロダクト品は別として、価格にこだわるならDOPAの利用も候補になるかもしれないの最後にご紹介します。

DOPA 世界のトップインテリアを、もっと身近に。

気になるサポートは、独自の保証があるとのこと。

DOPA カスタマーサポート

キワモノかと思いきや、三越伊勢丹プロパティ・デザインと組んだりもしています。個人的には本社アドレスがカッシーナ、B&B Italiaのすぐそばなのが興味深いです。

引用多めとはいえ、3ブランドしか紹介していないのに1万文字を軽く超えてしまい、果たして最後までおつきあいいただいた方がどの程度いるか気になりつつ(3)イタリアモダン後編へ続きます。

あわせて読みたい

お便り返しへの返し【タビー】 ソファへの道
ダイニングテーブルへの道(1)無垢編
タワーマンションゲストルーム訪問(3) ブランズタワー芝浦 “ゲスト・スーペリア”
居住地域と中学受験:サピックス考(5) 江東区編:豊洲校にみるサービスの特性
居住地域と中学受験:サピックス考(6) 品川区編:大井町校にみる白金高輪校の影響

新築マンションの資料請求(無料)

記事に出てくる新築マンション

スムログ記事

この記事を見ている人はこちらも見ています

記事に出てきた物件の掲示板

ABOUTこの記事をかいた人

港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

コメントを残す

「コメント」と「名前」は必須項目となります。


※個別物件への質問コメントは他の読者様の参考のためマンションコミュニティの「スムログ出張所」に転載させて頂く場合があります。
※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)