皆さん、ツール・ド・フランスはご覧になられていたでしょうか? はい、すっかりスムログがおろそかになってしまいスミマセンでした。前篇からの続きで、「都心に住む」バックナンバーから読み解きます。
2005 vol.24 2030年、そのマンションはヴィンテージになるか?
当時から25年先を見据えているのはさすがです。目次のマップは変化がないので、「撮り下ろしヴィンテージ・マンション5」を見てみましょう。(ホーマットキャピタルは、この号の表紙でもあります)・ホーマットキャピタル
・代官山ヒルサイドテラス
・広尾ガーデンヒルズ
・コープオリンピア
・ペアシティルネッサンス高輪 ’80
鉄板のラインナップですが、本来賃貸なので「都心に住む」の定義(その時点の坪単価が300万円以上の分譲物件で、築年数10年以上)では出ないはずのコープオリンピアが挙がっているのがポイントです。
本記事で注目するのは、p.35の「現在の大規模・タワー物件もヴィンテージの可能性はある」です。
(略)では、同じく供給が増えている超高層マンションはどうか。
「湾岸のタワーマンションは超高層階の眺望やホテルライクなフロントサービスという、ヴィンテージになり得る条件を備えています。ただ、環境面も含めて結論を出すにはもう少し時間が必要でしょう」(東京カンテイ 井手氏)
長い年月を経て、すでにヴィンテージの称号を得たマンションを選ぶのもいいが、将来のおヴィンテージ候補を手に入れ、自ら”本物”のヴィンテージ・マンションに育て上げるのも面白そうだ。いずれにしろ、マンションの価値を維持するには居住者の努力も欠かせないだろう。
続く「2030年のヴィンテージ候補を撮る」は次の5物件で、2030年を待たずしても現時点ですべて基準に達していますね。
・東京ツインパークス
・青山・ザ・タワー
・代官山アドレス ザ・レジデンス
・パークハウス西麻布
・六本木ヒルズレジデンス
そして特集は「未来のヴィンテージ・マンション、ただいま普請中」でエンディングへ。
「やはり、まずは立地。(略)あとは物件自体の希少性。それで言えば、タワーの中では、青山パークタワーなどが近年のヴィンテージ候補物件でしょう。お客様はやはり『オンリーワン』な物件を希望しますから。汐留の東京ツインパークスもそうですが、周囲にライバル物件がない、というのは、人気が落ちないタワーマンションの条件のひとつと言えます。…」(東急リバブル 春原氏)
なるほど、ここまでは納得ですね。
…ランドプランや付帯施設も含めたスケールメリットという点で注目したいのがベイエリアを中心とした大規模物件だ。たとえば住宅総数約4000戸という一大プロジェクトである芝浦アイランド。
ん?
…これまでの芝浦は利便性には優れていたものの、住環境としての印象は薄かった。しかし、このブロックリノベーションによってエリアそのものの魅力が引きあがる可能性もある。
なるほど(笑)。続いて小規模物件のケースと、最後は人であることを提示し特集は終わります。この号の港区の物件情報は、湾岸エリアの中心が前篇最後でメインだった品川港南から芝浦に移る最中で、芝浦アイランド グローヴタワー、キャピタルマークタワー、パークタワー芝浦ベイワードオーシャンウイング などが載っています。
2006年4月号 働くオトナよ、湾岸に住もう。
月刊になりました(発行は2月)。表紙は港南・ベイクレストタワーですが、時期的には港南・芝浦エリアがフィナーレに向かう頃ですね。第一特集がひさびさに湾岸で、タイトルからして攻めています。本記事のキーワードも並んでいるので、元記事と同様センタリングで引用します。
海でチャージする毎日が待っている
働くオトナよ、湾岸に住もう。
湾岸×都心
都心の利便性を最大限に得ながら、水辺の潤いも感じられる場所、東京・湾岸。
働く大人たちにとって、「湾岸に住む」ということは都心のアクティビティを享受し、
なおかつ、海辺の持つエネルギーを日々充電(チャージ)できるということ。
人々が住まう場所として、理想的な街へと
生まれ変わりつつある都心湾岸エリアの現在と未来をご紹介します。
「湾岸×都心」が出ました。が、2005年までとは明らかにテイストが変わっていますね。特集に載っているマンション(物件ページとほぼ同じ)を見てお察しください。
湾岸×都心 都心湾岸に住みたい人、必見!
空を感じる、水を楽しむ 最新マンション紹介
湾岸に踏む魅力は、便利な立地にありながらも日頃から水に親しめることにあります。
通勤やショッピングに便利で、自然も感じられる湾岸エリアの最新マンションをご紹介します。
・芝浦:芝浦アイランドケープタワー
・勝どき:THE TOKYO TOWERS
・品川:ベイクレストタワー
・豊洲:パークシティ豊洲
・豊洲:豊洲レジデンス
・東雲:キャナルファーストタワー
・品川:コスモポリス品川
マップ自体の変化はなく、「中野区の一部を新宿エリアに含みます」の一文が追加されました。湾岸エリアについては、これで確定したようです。
2006年9月号 30代 ビジネスパーソンの住宅購入学<その1>
7月発売、読み解きはじめてから丸3年でようやく10年前までたどりつきました。サブタイトルが「年来と市場から考える買い時のP/L」といかにもすぎるのは、いわゆる2006年~2007年のプチバブル期に突入したからです。ページをめくると…現在は10年に一度の経済転換期。景気や金利の動きから一時も目を離せない。そんな今、住宅購入は急ぐべきか、あるいはじっと待つべきか。果たして投資価値はあるのか。二人の専門家の意見を聞いた。
太り始め頃?(笑)の森永卓郎さんはあえて「都心に住むなら今年秋までには買ったほうがいい」と理由を3つ挙げています。
・地価上昇
・都心の好立地に土地があまり残っていないこと
・上がりつつあるとはいえ、住宅ローン金利がそこそこ低いこと
対照的に「資産運用としては、住宅は気の利いた投資先ではない」と辛口ながら「価格がこなれた中古を買う手はある」とコメントするのは山崎元さん。お二人とも10年経っても生き残っているのがさすが。
実はこの号を特定して選んだのは、ちょうど10年前というだけでなく、掲載エリアに大きな変化があったからです。
「住宅情報 都心に住む」では、右で紹介している都心13区の物件情報を掲載しています。千代田区・中央区エリアには、江東区(三ツ目通り内側)、墨田区(言問通り・三ツ目通り内側)、台東区(国際通り・言問通り内側)を含みます。
詳細は都心エリアMAPをご覧ください。
プチバブルで物件が減りすぎたため、7区+αだった13区+αに拡張してしまいました。旧エリア地図になかったのは豊島区、中野区、杉並区、大田区の4区。世田谷区、目黒区の2区は全エリアに復活。さらにもともと地図にない+αが3区あるため実際には16区となり、載っていない7区がむしろ希少?!
実は、周辺の増減はあれど、以降10年間マップ上の「都心13区」は変わっていません。数年間の試行錯誤の結論として導かれたのがこの13区と言えるようです。しかも何度も「湾岸×都心」として特集し、物件も多く掲載しておきながら、江東区は注釈のみで地図に入れないことに強い意志を感じます。
最後に、この号に載っている全物件を掲載順に挙げることで、少しでもプチバブルのイメージが伝わればと思います。
・シェルゼ木場公園[江東区]
・ベイクレストタワー[港区]
・WORLD CITY TOWERS[港区]
・赤坂タワーレジデンス[港区]
・ザ・センター東京[新宿区]
・THE TOKYO TOWERS[中央区]
・音羽パークハウス[文京区]
・用賀レジデンス[世田谷区]
・パークホームズ世田谷梅丘[世田谷区]
・シティハウス成城[世田谷区]
・藤和武蔵野大久保ホームズ[武蔵野市]
・フォルム三鷹[三鷹市]
いかがだったでしょうか?「都心×湾岸」をどう定義するかは皆さんの心のなかのイメージしだいですが、前篇に対しよーま/富樫賢一さんからてもとにない範囲についてコメントいただいたので引用します。
1990年代後半からの都心回帰、億ション復活に合わせて刊行された『都心に住む』ですが、2001年02年は千代田区・港区の供給が伸び悩み。営業的な問題なのか、最初はエリア外ながら湾岸物件を扱うよーになり、なし崩し的に正式エリアなったよーに当時は見えました。@tubby_TW
— よーま 3時間ごとに手洗い、毎朝の検温 (@yoma_kenichi) July 17, 2016
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