湾岸考古学シリーズ:都心×湾岸の推移 前篇

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きっかけは、これまで誰しも聞けなかった素朴な疑問でした。


湾岸都心丸さんウォッチャーは超期待。


すわ、議論百出?!と思ったらご本人のコメントであっさり鎮静。



同じ刺激を受けた方は多かったようで、復活されたwanganista tokyoさんがコラムを。


前置きが長くなりすぎましたが、私も別視点で、てもとのリクルート「都心に住む」バックナンバーに基づき都心×湾岸の推移を発掘してみます。

「都心に住む」最新号紹介より:

ブレミアム住宅情報誌「都心に住む by SUUMO」

「都心に住む by SUUMO」は港区、渋谷区、千代田区、新宿区といった東京都心ならではのライフスタイルやプレミアムな住まいの情報を紹介する住宅情報誌です。毎号最旬のマンション情報や住まい選びに役立つ編集コンテンツをお届けしています。
【人気連載】「坂の記憶」、「外国人に聞く I LOVE TOKYO論」ほか

雑誌名からして、都心に言及しているのは間違いない(笑)ので、その扱う範囲と湾岸の関係性を見てみましょう。時計の針を21世紀初頭の13年前に戻します。

2003 vol.12 東京湾岸×集合住宅

しょっぱなからきました。まだ月刊化前のムック(7月発売)ですが、サブタイトルも「21世紀の都市居住のヒントは、湾岸にありました」で、表紙はイタリア公園オープン前の東京ツインパークス(2002年9月竣工)と、はやくも泣けてきそうです。

巻頭特集はこれまたすごく「至高のマンションカタログ<THE LIFE>」としてパークマンション千鳥ヶ淵と、ザ・ハウス南麻布ですが、引っ越しで見つかった雑誌と同じく見だすとキリがないので大特集「東京湾岸×集合住宅」の冒頭より引用:

20世紀の湾岸は、ゴミ集積所や火力発電所など、都市機能のインフラを支える大規模施設が建設されました。
21世紀、より高度化した東京は、内側に大きなストレスを抱えその出口を海に求めはじめています。
都市居住者たちの「楽しみ」と「安らぎ」への期待が、湾岸でのエンターテインメント施設と集合住宅の建設ラッシュにつながってきたといっても過言ではありません。
今回の特集では、東京という都市の未来を担う、湾岸エリアのポテンシャルについて考えていきます。

なるほど、いきなり嫌悪施設を20世紀の文脈から語る、なかなか本質をついた特集になっています。

さらに、『「東雲」「汐留」「品川・港南」は新しい湾岸を作り得るのか?』と隈健吾氏(念のため、プラウドタワー東雲キャナルコートCODANのプロジェクトメンバーです)らにエリア単位でインタビューするなど、相当力がはいっています。
この時点では有明オリゾンマーレ、東雲Wコンフォートタワーズとも建設中で、品川・港南物件のMRがようやくオープンした状態です。

編集後記が、当時の湾岸の印象をリアルに物語っています。

TOKYOの住みやすさとは?というお題のもとに、あれこれ資料を漁っていたら、「湾岸」というキーワードに行き着いた。湾岸のイメージは世代によってずいぶん異なるようで、特に40代~50代は「工業地帯」の意識が強く、住むエリアだと思っていない人が多いとか。逆に20台は湾岸のインダストリアルな風景を肯定的にとらえ、居住に前向き。60代以上は古き良き東京の海を想起し、湾岸居住を憧れるらしい。そのうち「東京湾岸に住む」を当然ととらえる世代が生まれるはずだ。それは東京にとって価値あることだと思う。(編集F)

肝心のエリア定義は、目次に明示されています。都心6区(千代田・中央・港・文京・新宿・渋谷)+世田谷区・目黒区+品川区の一部、ですね。世田谷区全域が含まれるのが印象的。

2003年8月時点の「都心に住む」マップ

2003年7月時点の「都心に住む」マップ


江東区がない?と思ったら上述のように湾岸系はマーレ、Wコンが完売後は物件がないようで、千代田区・中央区のマップにパークハウス清澄白河が載っているのみでした。

1878年 東京市15区

なぜ清澄白河がOKかというと、おそらく江戸御府内とほぼエリアを同一とする旧東京市・東京15区に含まれているからですね。

Wikipedia "東京15区"より

Wikipedia “東京15区”より


江戸時代からすでに埋め立て済みであった佃島も、純粋な都心に含まれると思われます。赤坂区・麻布区・芝区はほぼ現在の港区なので、西に延びた「都心に住む」のマップと見比べると、20世紀にはいってからの山の手の興隆を感じます。

2004 vol.19 広尾ガーデンヒルズはなぜ「別格」なのか?

まだムックで、7月発売。都心に住むのもうひとつの軸であるヴィンテージマンションの大特集ですが、第2特集は「港南は’03年公示価格7%上昇! 東京・海の手 湾岸へ移住せよ。」 と命令調できました。さすがに「海の手」はその後聞かないですが、湾岸シフトの意思を感じますね。特別付録は「ベイエリア新築マンション&周辺スポットMAP」で、湾岸エリアのスポットと、当時オープンしていたMRが巡れる地図になっています。載っているMAPに詳細が紹介されているMRは次のとおり。

・<THE TOWERS DAIBA>マンションギャラリー
・WANGAN LIFE MUSEUM(パークタワー品川ベイワード/パークタワー芝浦ベイワード オーシャンウィング)
・お台場マンションパビリオン(WORLD CITY TOWERS)

港区物件が充実しているものの、千代田・中央はマップを見てみると、ガレリアグランデのみ(苦笑)。

目次のマップにも見た目の変化があり、「取り上げているエリア」に注釈がつきました。

2003年9月時点の「都心に住む」マップ

2003年7月時点の「都心に住む」マップ

「都心に住む」では、港区:渋谷区・新宿区・千代田区・中央区・文京区・品川区の都心7区と目黒区・)世田谷区の一部、および各区の近接エリアの一部を掲載しています。くわしくは新築マンションページの各区エリアに掲載している詳細マップをご覧ください。

さらに目黒区・世田谷区、文京区、千代田区・中央区エリアにも注釈が。

・目黒区・世田谷区は環状7号線の内側を対象エリアとしています。
・豊島区の山手線内側を文京区エリアに含みます。
・千代田区・中央区エリアには、江東区(三ツ目通り内側)、墨田区(言問通り・三ツ目通り内側)、台東区(国際通り・言問通り内側)を含みます。

西は、目黒区の一部と、世田谷区の一部というより大半が消失してしまいました。北は、山手線内、東は東京15区を基本にしつつ、湾岸の主体である埋立地もOKとお墨付きが与えられました。都心の湾岸シフトが確認できた1年だったようです。

書きはじめたら想像よりはるかに長くなったので、前半はここまで。

あわせて読みたい

湾岸考古学シリーズ(1作のみ):

高浜橋北詰に見るタワー文明の勃興(1)序章~北東サイド編

 

ABOUTこの記事をかいた人

港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

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