今回の相談者は、夫婦と子ども2人。長男は小学3年生、次男は年長である。資金面の制約はなく、住み替え先も現在の住まいの近隣を想定している。
「戸建てに住み替えるなら、子どもが何歳くらいの時期がよいのか」という相談である。
公的統計を追ってみると、子どもの成長・進学が住み替えのきっかけになっていることが見えてくる。子どもの成長と居住ニーズの変化をデータで追いながら、住み替えのタイミングを考えてみる。
読者からの相談内容
誰に答えて欲しいですか?
・全員
現在、夫婦と息子2人(小3・年長)の4人家族で、西側山手線駅の80㎡・3LDKマンションに住んでいます。
将来的には、いまのもう少し広い戸建てへの住み替えを考えていますが、今すぐ広さに困っているわけではありません。
そこで伺いたいのが、子どもの年齢や家族構成から見た戸建てへの「住み替えの適齢期」です。
今から1~2年以内に住み替えるのか、それとも中学進学前後まで今のマンションに住むのか。
子ども部屋が必要になる時期、転校や友人関係、親と一緒に過ごす時間、戸建てを家族で楽しめる期間などを考えると、いつ頃の住み替えが最も満足度が高いでしょうか。
場所は今のところ近所で考えていて、金銭面は問題なくて考えないで良い前提だと、どのように考えるべきかアイディアいただけるとうれしいです!
子どもの成長・進学は、実際の住み替え理由になっている
国土交通省「令和5年住生活総合調査」によると、直近5年間に住み替えた「親と子供から成る世帯(長子17歳以下)」のうち、持ち家世帯で最も多かった住み替え理由は「自宅を所有するため」の24%。これに続くのが「子どもの誕生・成長・進学」で22%だった。
子どもの誕生だけではない。成長や進学も、実際の住み替えのきっかけになっている。
今回の相談のように、「今は困っていないが、この先どうするか」を考える場合にも、この視点は重要である。
子育て世帯が住宅に求めるもの、1位は「広さや間取り」
同じ「令和5年住生活総合調査」で、子育て世帯が住宅・居住環境について「子育てのために重要と思う項目」を見ると、「広さや間取り」が20.1%で最も高かった。「治安」が12.0%、「通勤・通学の利便」が11.1%と続く。
全世帯では「広さや間取り」は11.8%なので、子育て世帯では住宅の広さ・間取りが特に重要と考えられている。
今の住まいに不満がなくても、子どもの成長とともに「もう少し広い家がほしい」という需要が生まれる可能性はある。
では、実際に子ども部屋はどう変わっていくのか。
7歳から11歳、子ども部屋はどう変わった?
ここでは、厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)」を見る。同じ平成22年出生児を追跡した調査で、7歳頃と11歳頃の「子ども部屋の状況」を比較すると、変化がはっきり表れる。
7歳頃は「子ども部屋なし」が46.6%で最も多く、「専用室」は24.3%だった。
これが11歳頃になると、「子ども部屋なし」は30.0%まで低下する一方、「専用室」は41.0%まで上昇している。「きょうだいと共用」は29%前後でほぼ変わらない。
7歳頃から11歳頃にかけて、子どもの成長とともに「専用の部屋」を持つ割合が増えている。
今回の家族でいえば、長男は現在小学3年生。今すぐ個室が必要という段階ではなくても、数年後には住宅に求める条件が変わってくる可能性がある。
なお、今回の相談は「住み替え先は今の住まいの近所」という前提である。転校や通学環境の変化を考慮する必要が比較的小さいケースであり、住み替え先によっては判断材料が増える点には注意したい。
戸建てへの住み替え、3つのタイミング
そこで、今回の家族について、住み替えの時期を3つに分けて考えてみた。| タイミング | 子どもの年齢 | 考え方 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| A:今から1~2年以内 | 長男:小4~小5 次男:小1~小2 |
先回りして住み替える | 広い家を長く使える | 今はまだ狭さが顕在化していない可能性がある |
| B:小学校卒業前後 | 長男:小6 次男:小3 |
成長に合わせて住み替える | 住宅ニーズの変化に対応しやすい | 卒業時期と住み替え時期が重なる |
| C :中学校進学前後 | 長男:中1 次男:小4 |
必要になってから住み替える | 個室・学習環境の需要に対応しやすい | 中学進学と住み替えが重なる |
つまり、今すぐ住み替える必要はなくても、小4~小5頃から物件探しを始めておく、という進め方である。
今回の家族なら、小学校高学年から動く
公的統計から「小4が最適」「小6が正解」といったところまで決めることはできない。ただ、今回のデータを見る限り、長男が小学校高学年になる頃から住み替えを検討し始めるのは合理的である。
子どもの成長・進学は実際の住み替え理由になっている。
子育て世帯では「広さや間取り」が、子育てのために重要と思う項目の1位となっている。
そして、7歳頃から11歳頃にかけて、専用室を持つ子どもの割合は24.3%から41.0%へ上昇している。
こうした変化を考えると、今回の家族なら、小4~小5頃から探し始め、実際の住み替えは小学校卒業前後までを一つの目安にする、という考え方がよさそうだ。
「狭くなってから探す」のではなく、「狭くなりそうな時期」を見越して動く。
今回の相談について、公的データから見えてきたのは、そんな住み替え方である。
「戸建て検討中」さんの参考になれば幸いである。
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