2026年7月、東京23区の新築分譲マンション平均価格が2億6520万円となった。
「23区で新築マンションを買うには、もう2億円以上必要なのか」。
そう受け止めても不思議ではない数字である。「23区は2億6520万円」という数字が大きく報じられた。
不動産経済研究所が8月20日に発表した7月度の調査では、23区の平均価格は前年同月比96.0%上昇し、過去最高を更新した。背景について同研究所は、発売戸数が限られるなか、港区で平均価格5億円前後の高額物件が発売されたことが主な要因と説明している。
だが、この2億6520万円は、本当に東京23区の新築マンションの「普通の価格」を表しているのだろうか。
7月に発売された物件の中身を調べてみた。
7月に発売されたのは53件、合計1028戸
不動産経済研究所の「東京23区新築分譲マンション月次データ(2026年7月)」を集計すると、7月に発売があったのは53件、合計1028戸だった。各発売期を「発売戸数」と「平均価格」で配置したのが次図だ。円の大きさは総販売額を表す。
なかでも目を引くのが、パークコート麻布十番東京 ザ タワーである。
「平均5億円前後」の高額物件は何だったのか
不動産経済研究所の公表資料では、具体的な物件名は明らかにされていない。だが、7月の発売データを照らし合わせると、この「平均5億円前後の高額物件」に該当するとみられるのが、パークコート麻布十番東京 ザ タワーである。
ノース297戸、サウス58戸。7月の発売は計355戸だった。
平均価格はノースが4億8977万円、サウスが5億3121万円。2棟の総販売額を355戸で割ると、平均価格は4億9654万円となる。
不動産経済研究所が説明する「平均価格5億円前後」という水準に近い。
なお、7月の平均価格ではBrillia Tower乃木坂が6億5750万円で最も高い。ただし、発売は4戸にとどまる。一方、パークコート麻布十番東京は平均約5億円でありながら、355戸が発売されている。
この「価格水準」と「発売戸数」の違いが、7月の23区平均価格を見るうえで重要になる。
パークコート麻布十番東京、7月合計発売戸数の34.5%
7月に23区で発売されたのは合計1028戸。そのうちパークコート麻布十番東京は355戸だから、34.5%を占める。つまり、7月に23区で発売された新築住戸の3戸に1戸以上が、この2棟だった計算になる。
販売額でみると、パークコート麻布十番東京が占める割合はさらに大きい。
2棟の総販売額は約1763億円。23区全体の約2726億円に対して、64.7%に達する。
7月の23区市場で、これほど大きな割合を一つの物件シリーズが占めていたのである(次図)。
パークコート麻布十番東京を除くと、平均価格は?
ここまで来ると、各メディアが大きく報じた「2億6520万円」という数字を分解してみたくなる。7月に販売された合計戸数1028戸から、パークコート麻布十番東京の355戸を除く。
残るのは673戸である。
7月の23区全体の総販売額から同物件の販売額を除き、残る673戸で割ると、平均価格は約1億4317万円になる(次図)。
あくまでも計算上ではあるが、パークコート麻布十番東京355戸を含むかどうかで、7月の23区平均価格は「約1億4317万円」と「2億6520万円」に大きな差が生じる。この数字からも、同物件が7月の平均価格を大きく押し上げる構造だったことが分かる。
「23区平均2億6520万円」をどう読むか
パークコート麻布十番東京を除いても、平均価格は約1億4317万円。23区の新築マンションが安いという話ではない。「23区の新築マンションは平均2億6520万円」と数字だけを見ていても、7月の市場の実態は見えてこない。
実際には、7月の発売市場には、平均約5億円の大型物件が355戸も含まれている。
その月に、どんな物件が、何戸発売されたのか。
そこまで見て初めて、2億6520万円という数字の意味が見えてくる。
続く……。
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