マンション価格が上がり続けている。東京23区の新築マンション価格は、これから初めて購入する人にとって大きな壁になっている。
一方で、マンション市場から買い手が消えたわけではない。
そこで気になるのが、すでにマンションを持っている「含み益組」である。
国土交通省が7月17日に公表した「令和7年度 住宅市場動向調査」によると、三大都市圏で新築マンションを購入した世帯のうち、二次取得者以上は21.5%。さらに、住み替え前のマンションを売却した世帯では、2025年度に平均1,444万円の売却益が発生している。
価格高騰は、これから買う人には負担となる。一方、すでに持っている人には、その上昇が次のマンション購入の資金につながる側面もある。
では、「含み益組」は実際にどこまで有利なのか。
国土交通省のデータから見ていきたい。
新築マンション購入者の5人に1人は買い替え経験者
※出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」P168
新築マンションを初めて購入する人ばかりではない。
2025年度の新築マンション購入者は、一次取得者が77.0%。二次取得者15.9%、3回目以上5.6%で、二次取得者以上が21.5%を占める。
つまり、新築マンションを買う人の5人に1人程度は、すでに新築マンションを取得した経験を持つ。
もちろん、この21.5%がそのまま「含み益組」というわけではない。そこで、次に実際の売却データを見る。
住み替え前のマンション、売却益はどこまで膨らんだか
国土交通省の調査では、住み替え前のマンションについて、取得価格と売却価格、その差額である売却損益を調べている。新築マンションを取得した世帯のうち、住み替え前のマンションを売却した世帯では、2025年度の売却損益は+1,444万円だった。取得価格は5,200万円、売却価格は6,644万円である。
過去5年間の推移を見ると、それまでマイナス圏だった売却損益が、2025年度に大きくプラスへ転じている。
※出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」P174
ここで注意したいのは、1,444万円は「含み益」ではなく「売却益」だということだ。
含み益は、まだ売却していないマンションの評価益。一方、今回の統計は、実際に売却したマンションについての実現益である。
それでも、マンションを売って買い替える世帯の中に、1,000万円を超える売却益を得ている層が存在することは確認できる。
ただし、1,444万円は三大都市圏全体の平均値であり、物件価格や保有期間によって個々の売却益は大きく異なる。価格上昇の大きかった都心部では、この平均を大きく上回るケースも考えられる。
また、2025年度の数字は前年の▲132万円から大きく跳ね上がっている。単年度の数字であるため、これだけをもってマンション所有者全体の売却益が急増したとまでは言えない。
売却益は、次のマンション購入資金になっているのか
マンションを売却して得た資金は、次のマンション購入にどうつながるのか。国土交通省の調査では、マンション購入時の自己資金の調達方法として、「不動産売却」が独立した項目として設けられている。
不動産売却によって得た資金が、自己資金の一部として計上されていることは、この調査からも分かる(詳細は後掲図)。ただし、これは新築マンション購入者全体の平均値であり、二次取得者に限った金額ではない。
それでも、資金の流れはシンプルだ。
マンションを所有
↓
価格上昇
↓
売却益が発生
↓
次のマンション購入へ
新築マンションの購入資金は平均6,443万円で、自己資金2,573万円、借入金3,870万円。自己資金比率は39.9%である。
※出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」P197
新築マンション購入者の自己資金は平均2,573万円で、そのうち645万円が「不動産売却」によるものだった。残りは預貯金・有価証券の売却代金・退職金、贈与、遺産相続などである。
それでも、一次取得者にはない「保有マンションを売却して資金を作る」という経路を、買い替え層は持っている。
「含み益組」は、どこまで有利なのか
今回のデータから確認できたのは、まず、新築マンション購入者の21.5%が二次取得者以上であること。そして、住み替え前のマンションを売却した世帯では、2025年度に平均1,444万円の売却益が発生していたことだ。さらに、マンション購入時の自己資金には「不動産売却」が含まれ、新築マンションでは645万円が計上されている。
つまり、既存マンションの売却で得た資金を、次の購入資金に充てる経路そのものは、統計上も存在することが確認できる。
ただし、マンション所有者の含み益が平均いくらなのか、含み益を持つ人が全体の何%なのかまでは、「住宅市場動向調査」からは分からない。
「含み益組」をめぐる数字は、まだ見えていない部分が大きい。だが、買い替え層には、保有マンションの売却によって数百万円、場合によってはそれ以上の資金を次の購入に回せる層が存在することは確認できる。
「含み益組」は市場の主流とまでは言えない。だが、一次取得者には持ち得ない資金調達手段を持つ層が、確かに数字として存在する。
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