都区部の中古マンション市場では、価格上昇が続いている。
しかし実際の成約構成を見ると、変化は単なる「値上がり」では説明しきれない。
注目すべきは、価格そのものではなく、成約の内訳が変化している点である。
今回は、成約構成比の変化から価格帯・専有面積・築年数の3点を確認する。
そのうえで、購入者がどの条件を動かしているのかを読み解く。
価格上昇で何が起きているのか(価格帯の変化)
まず、価格帯の構成比から市場の変化を確認する。
※出典:東日本不動産流通機構(REINS)成約データ
2021年と2025年を比較すると、1億円超のシェアは7.2%から22.3%へと大きく拡大している一方、~7,000万円までの価格帯は縮小している。
価格帯全体が均等に上がったというより、変化が1億円超の帯域に偏って現れているのが特徴である。
広さと築年でどう帳尻を合わせているか
価格上昇に対する適応は、専有面積と築年数の構成比に表れている。広さはどう変わったか(専有面積の変化)
※出典:東日本不動産流通機構(REINS)成約データ
~50㎡は31.7%→35.1%へ上昇し、70㎡超は29.6%→25.8%へ縮小している。
小型化と大型帯の縮小が同時に進んでいる点が特徴であり、広さで帳尻を合わせる動きが出ていると考えられる。
築年はどこまで許容されているか
- ※出典:東日本不動産流通機構(REINS)成約データ
- ※都区部単独で同条件の時系列比較が困難なため首都圏データを使用。なお、価格高騰が顕著な都区部では、同様またはそれ以上の築古シフトが生じている可能性がある。
築浅を維持するのが難しくなり、築年で調整する動きが広がっていると考えられる。
この市場でどう判断すべきか
価格帯・専有面積・築年数──この3つの動きが指し示す先は、ひとつである。価格だけが上がり、広さと築年でその帳尻を合わせる構造への転換だ。
専有面積と築年数の両方を従来水準のまま維持するのは、もはや難しい。
どちらかを調整することが、購入の前提になりつつある。
実際の成約も、広さか築年のどちらかを下げる方向に寄っていると考えられる。
(立地についてはここでは扱わない)
今の市場を測るべき基準は、価格の高低ではない。
専有面積と築年数、どちらを、どこまで譲れるか。
その一点に尽きる。
あわせて読みたい
- データで可視化するマンション市場──相場動向から構造的課題まで徹底分析
2025年1月〜2026年7月のスムログから、相場動向やローンリスク、エリア検証、間取りのゆがみなど、市場と価格の分析記事を体系的に整理したまとめ。
























広さも築年数も譲れないという場合は駅からの距離や通勤時間を譲ることになるんでしょうね。
コメントありがとうございます。「駅からの距離」と「通勤時間」を並べていただいた点、重要なご指摘だと思います。
まず「駅からの距離」についてですが、『後編(何を諦めれば買えるのか──4条件の取捨選択)』でサンキー図を使って分析した際、価格・駅距離・面積の各条件では成約件数の流量があまり細らず、築10年未満という条件を加えた瞬間に急激に絞られる構造が見えました。
つまり、23区内で駅からの徒歩分数だけを調整しても、実はあまり選択肢は増えません。
一方で「通勤時間」を、23区の外、千葉・埼玉・神奈川方面まで検討を広げるという意味で使われているのであれば、話は変わってきます。
23区の枠を外せば、価格帯・広さ・築年数のいずれも妥協せずに済む物件は増えると考えられます。23区にこだわらず、隣接3県まで視野を広げてみるのは、有力な選択肢の一つですね。
参考記事
【後編】東京23区中古マンション、何を諦めれば買えるのか──4条件の取捨選択
https://www.sumu-log.com/archives/74622/