7月は、価格の高止まりが続く一方で、市場には新たな動きが見え始めた。
中古マンションは価格・成約件数ともに前年割れとなり、新築マンションは供給を絞りながら億ション比率が過去最高圏に達した。建築コストは依然として高く、住宅ローン審査や購入者意識にも変化が表れている。
不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」から、2026年7月の注目トピックを図表とともに振り返る。
市場はどこへ向かうのか
中古・新築とも「価格は高値圏を維持しつつ、需給には緩みの兆し」という共通点が見られた月である。中古は成約件数・単価が前年同月比で減少に転じ、在庫は増加。新築は発売戸数を絞る一方、高額帯の比重が高まった。まずは首都圏全体、次にエリア別の実態、最後に新築市場の順に見ていく。
首都圏中古マンション市場動向(26年6月)
REINSの月例データによると、2026年6月の首都圏中古マンション成約単価は82.64万円/㎡。前年同月比では2か月連続で下落し、成約件数も3か月連続で減少した一方、在庫件数は4か月連続で増加している。
東京都は116.91万円/㎡、成約件数2,136件と、価格・流動性ともに他県を大きく引き離す集中構造が続く。
在庫・滞留・価格改定から読む湾岸と都心
江東区・港区を毎月定点観測する記事では、「在庫件数だけでは需給を判断できない」実態が改めて示された。
港区は在庫が減少したにもかかわらず平均滞留日数と価格改定率(▲5.9%)がともに悪化し、江東区は在庫が増加した一方で価格改定率は▲2.8%まで改善した。
首都圏新築分譲マンション市場動向(2026年6月)
不動産経済研究所によると、6月の首都圏発売戸数は1,564戸(前年同月比▲4.7%)、23区は495戸(同▲18.2%)と供給水準はなお低位。
一方、平均価格は1億137万円、23区の億ション率は6か月移動平均で62.0%と過去最高圏に達した。供給拡大による値上がりではなく、限られた供給の中で高価格帯の存在感が高まっている。
価格を押し上げる構造変化
マンション価格が下がりにくい背景には、需要側だけでなく供給コストの上昇がある。資材価格、建築費指数、省エネ性能の標準化という3つの角度から、価格の下支え要因を確認する。中東情勢緊迫化に伴う建設資材価格・需給動向を読む
建設物価調査会の月次レポートによると、塗料、塗料用シンナー、建築用断熱材、硬質ポリ塩化ビニル管などで「強含み」「ひっ迫」の評価が目立つ。
日本銀行の企業物価指数で見ても、塗料用シンナーは2026年2月の138.3から6月には186.2まで上昇しており、資材によって程度は異なるものの、価格・需給双方に圧力がかかっている状況がうかがえる。
マンション建築費はどこまで上がったのか
建設物価調査会の建築費指数(集合住宅・RC造)は、2026年6月時点で東京145.6、大阪149.9、名古屋143.8(いずれも暫定値)と、主要3都市すべてで前月を上回った。
急騰局面ではないものの下落は確認できず、「高水準での緩やかな上昇」が続いている。この水準は新築価格だけでなく、将来の建替え・大規模修繕コストの前提にもなる点に留意したい。
ZEHマンションは新たな標準へ
省エネ性能もまた、コスト構造を変える要因の一つである。
全国の新築集合住宅に占めるZEHマンションの割合は2024年度に78.9%まで上昇し、一般社団法人環境共創イニシアチブの調査では購入者の約56%が「ZEHであることを意識した」と回答した。
2025年4月には省エネ基準適合が義務化されており、性能向上は特別な付加価値から標準仕様へと移行しつつある。
買う人・住む人はどう変わるのか
国土交通省「住宅市場動向調査」の最新年度(2025年度)データから、購入者の実態を2つの切り口で見る。新築マンション購入、希望どおり住宅ローンを借りられない人はどのくらいいる?
2025年度、新築マンション購入者の90.6%は「希望どおり融資を受けられた」と回答している。融資条件の変更を伴ったケースが7.4%、完全に融資不可となったケースは0.7%にとどまる。
断られた理由は年収・年齢・勤続年数・返済履歴など複数にわたり、単一要素ではなく総合判断であることがうかがえる。
新築か中古か? マンション購入者が選んだ本当の理由
新築購入者が中古を選ばなかった理由は「新築の方が気持ち良い」(53.7%)が突出して多い。一方、中古購入者は「予算的に手頃だった」(72.2%)が最多ながら、「新築住宅にこだわらなかった」(42.2%)「リフォームされており、きれいだった」(34.5%)など、価格以外の理由も一定の割合を占めるようになっている。
注目テーマ
市場全体の動きとは別に、継続観測しているテーマを2本紹介する。晴海フラッグ転売市場に何が起きているのか
2026年7月時点の転売希望件数は35件(実質)、うち34件がSKY DUOである。SKY DUOの上乗せ率は95%(前月99%)、転売希望率は2.3%(前月2.7%)と、いずれも低下傾向が続く。
市場が崩れていると断定できる段階ではないが、強気一辺倒の局面から調整を伴う局面へ移りつつある。
定借マンション供給戸数の推移
2025年度の定借マンション供給戸数は全国2,180戸、首都圏1,490戸と、いずれも2009年度以降で最多となった。
首都圏の新築分譲マンションに占める割合は6.4%で過去最高。東京都980戸・神奈川県393戸の2都県で首都圏全体の約9割を占める。この増加が一時的なものか、供給動向の変化なのかは今後の推移を見て判断したい。
今月のまとめ
データが示しているのは、「価格の高値圏は維持されているが、需給の逼迫はやや緩みつつある」という構図である。中古は成約件数・単価が前年割れとなり、新築は供給を絞りながらも億ション比率が過去最高を更新した。建築コストは資材・指数の両面で上昇が続き、価格の下支え要因であり続けている。
一方、購入者側では、住宅ローン審査を通過できる人が9割に達し、中古マンションを選ぶ理由にも価格以外の要素が広がっている。また、晴海フラッグの転売市場では、過熱感に落ち着きが見られるなど、市場の変化を示す動きも現れ始めた。
来月は、どんな景色が見えるだろうか。
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- 東京都文京区小石川4
- 東京メトロ丸ノ内線・南北線 後楽園 駅徒歩12分(サブエントランスより/8番出口まで)
- 1LDK~4LDK
- 36m2~85.81m2
- 18戸/総戸数 522戸





















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