「1期目に理事をやる」ことのメリットは?【お便り返し】

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1期めに理事になってしまった人向けに、1期目にやっておくべきことというのは、前にお便り返ししています。こちらも併せて読んでくださいね:

1期の理事会の理事が優先すべきことは?

https://www.sumu-log.com/archives/11521/ 

今回の質問は、1期目の理事に立候補した人から、1期目に理事をする醍醐味とは?という質問です。

図面や仕様書などの文書を眺めてみたかったが動機とかでかなり変わってますねぇ。マンションを極める?にはとにかく理事(長)を一回やってみたかったってのが立候補の動機だった私、親近感があります。

ご指名は理事経験の長い2人に対してで、私か湾岸ライフさん。直前に回答している湾岸ライフさんは1期の理事ではなかったようなので、そこを中心にはるぶーもお返事します。

質問は

差出人: 理事見習い さんから

メッセージ本文:
新築マンションの入居を控えている一次取得のシングルです。
もともと裏方仕事が嫌いではないのと、いろいろ意見を言うには “中の人” になったほうが早いのではと思い、一期目の管理組合役員に立候補しました。(図面や仕様書などの文書を眺めるのが好きなので、設計図書を心ゆくまで読みたい、という目論見もあります。笑)

一期目で取り組んだほうがよいことは過去のエントリーでも取り上げてくださっていましたが、一期目の役員を務める醍醐味とか、期にかかわらず役員をやっててよかったと思ったことなどがあればお聞きしたいです!

1期目の理事であることの醍醐味

三井を代表格として、1期目には輪番あるいは抽選のみで理事を選んで、立候補を受けないというデベもあります。マンションの全体の意見をまんべんなく初年度の運営に反映させるという趣旨には沿ったものですから、これはこれでありだと思います。

立候補を無条件に認めると、いきなり影響力の強い人が、理事数の過半数の賛同者を連れて乗り込んでくる場合があります。うちだと10人近くで同時に立候補しないといけませんが、過去にできた人は2人いて、1-2期の私自身と、今の理事長ですね。いろいろな意味で、理事会は『理事長風』になりますから、必ずしも立候補を無条件で優先することがよいことかどうかはわかりません。極端な話2人が喧嘩を始めたら、理事会の総定員30名を超えた議決権の奪い合いになるかもしれない。

全国的にみても、”立候補した人が理事になることができる”としているマンションは全体の1/3ほどに過ぎないわけで、1期目で『理事見習い』さんが立候補で理事になれるというのは、案外珍しいことかもしれないわけです。。

私が代表をしている理事長の会『RJC8』はタワーなど大規模マンションで理事長さんが多いので、その殆どが立候補で理事になった人ですが、これは500戸以上のマンションの実に5/6が立候補を受けているせい。


1期目に理事をする最大のメリットは、なんといっても組合に歴史がないので、変な癖はついていないということでしょう。 『僕の前に道はない』わけです。



30年とかの歴史のある理事会で、現在理事会は『立替派』と、『徹底修繕派』に2分されて総会ではいつも何時間も大揉めするといった組合の理事に途中からなったらどうやっても年単位の揉め事にまきこまれることを回避できません。

まだなにも理事会や総会で決めた歴史がない初代理事会の役員になるのとでは、”過去の歴史を引きずっている”ことに伴う苦労がまるで違います。

『僕の前に道がない』のが1期目に理事であることの醍醐味。好きに道はつくればいいわけです。私が、理事をやるなら1期目が特におススメとしているのはこのためです。

『僕の後ろに道は出来る』

逆に1年でも理事会が運営されて、総会もやったなら、『後ろに道ができる』わけですから、後に悪影響を与えないよい道を作っておくのも、醍醐味と言えるかもしれません。

どうしても”何かを成し遂げよう”(例えば、管理支出の無駄のカットや、積立金の均等割移行)とか目に見えて数字に残る成果)で財政のV字回復を1年で達成みたいな方向に進もうとすると軋轢も生みやすい。

なにより全マンション的合意形成なしに総会で拙速に変えたことは、総会でまた元に戻すのも実は簡単です。後に残っていかないことをしても意味はないわけです。

なかなかいろいろうまくいかなかった中で、1-2期にやったことでちゃんと今まで残ったことは、理事会や、総会といった合意形成の方法をきちんと明文化して制度化したものくらいです。

以下のものが1-2期目で確立できて今まで残っています:

① 総会への出席議決権数95%以上
② 立候補すれば必ず理事になれるなど理事の選出方法を細かく定めた役員選出細則
③ 3人(当時)の副理事長おのおのが統括する専門委員会の立ち上げ
④ 役員報酬制度の導入(少額ですが)
⑤ 管理士の導入(プロの知見はお金を出して買う習慣)

こうしてみると、全て”理事会”や”総会”などの合意形成を円滑に進める仕組み作りばかりで、うちで2期までに規約や細則の書き換えをしたものは、実は全て理事会や組合自身に関するものばかりです。

黒歴史は残さないでね

理事会に黒歴史を残さないことも大事です。

理事会を意見の対立で割ってしまうとか(強引な理事長を排除しないといかんで、多選禁止とか立候補禁止の提案になりやすい)、
総会が荒れて思わず議案を取り下げてしまったとか(1度でも歴史上で議案の取り下げを起こしてしまうと、その後の総会には必ず”総会屋”がでてきます)、
そんな失敗を初期の理事会の歴史の中で起こさないことが大事かなと。

殆どのマンションの規約に、”理事はどう選ぶのか”に関する詳細な規定はありません。
一方で、理事長の会RJC48の上級の理事長さんで、それをそのまま放置して、規定を詳しく規約なり細則に明文化して規定していないって人は1人もいないんですよね。規約は揉め事を起こすことがないように制定していくものです。理事の選出がきちんと明文化されていれば、理事会の内ゲバは起こりようがないわけです。

理事会の制度そのものがきちんとしていないのに、何かを無理に進めるよりも、”合意形成がなされる仕組み”を作って、それができてから3倍速で個別の問題にとりくんだほうが速いんですよね。例えば、うちは今4つの専門委員会が各々別の副理事長を統括者としてありますから、4つの重めの総会議案の検討を同時並行ですすめることが可能です。

1期にはいろいろな初期設定が不十分なことによる問題が噴き出てきます。それに振り回されるだけではなく、理事全員でじっくり話し合って、”そのマンションに会った『合意形成の進め方』を決めておくことが大事で、『僕の後ろに道ができる』のも醍醐味じゃないかなと。

私が理事長をしたのは2期だけですが、今昔に戻ってやりなおしてもいいと言われても1-2期を選ぶと思います。

私の最初の2年の失敗

私の失敗は、地固めを中心にすればいいのに、収支改善や、来客用駐車場や、駐輪場の不足問題の早期解決のためにちょっと早く動きすぎたことです。
結果として、最初の1年に出した、総会での反対票の数は総戸数を超えています。収支改善のためにミニショップは1年ちょっとで廃止にしてしまったのは、当時それで浮いた金額の年6-700万円は大金ではあったとはいえ、その分管理費も値下げまでして反対派の声に対応していたわけですから、全戸の25%もの反対を出しながら押し切ることもなかったかなとは。

最初2年の総会議案は反対票の嵐・無理しすぎ・・・


いろいろ後にひきずって(具体的には、理事の負担が重くなりすぎた)、特に3期目4期目は立候補理事が私1人、残り全員輪番の理事の中で、じゃんけんで負けた理事が理事長になるという2年間の暗黒時代をすごすことになりました。最初の2年に理事会関連でかけていた時間は年1千時間を超えていたと思います。理事長としての理事の人使いも荒くて、総会に未提出の150票ほどを玄関まで理事が手分けしていってとってこいとか結構無茶(理事にも負担をかけること)をやってました。 9人いた1期からの同士は”疲れました”との言葉を残して2期終わりで全員退任。ちょうど大きな地震が来た直後で、脱落したEXP-J(渡り廊下)がぷらぷら揺れているのを見ながら、自分が理事会を抜ける作戦が失敗したのを、”ここで抜けたら有事に弱いとか言われるやろうな・・・”とか考えていたわけです。

無理してやらんでもいいことまで早く実施しすぎたのは、やはり”数字になる”収支改善など、住民向けに示せる成果を数字であげたかったから。

これはちょっと失敗。殆どのマンション住民は、初期設定からの大きな変化を望んではいないですから。

どうせ理事をやるなら理事長に!

さて、どうせ理事をやるなら”初代理事長”まで狙いましょうが私のお薦めです。

なにを理事会で議題としてとりあげるかは、議長である理事長の仕事になりますし、多くのマンションでは、理事長だけが”管理者”ですので、管理会社をはじめとしてのやりとりは全部理事長が窓口になります。
・・・『理事見習い』さんの大好きな竣工図書が本で貰っているのを電子化したいからお金を書けましょうという提案をして、通るかどうかは理事長次第なところがあります。自分が理事長であれば少なくとも理事会に議題として取り上げるところまでは100%いくわけですので。 理事会のカラーは理事長が決めているといっても過言ではないと思います。

理事をやってよかったこと

書くと長くなりそうですが、いろいろな年齢・専門・仕事の人と知り合えたことですかね。うちの奥さんにいったら、
「あんたにも、オタクじゃないお友達ができてよかったわね」
との言葉を貰いました。なるほど。

『理事見習い』さんは実際に理事になられたら、是非 マンション管理組合理事長勉強会 RJC48 にお越しください。→ https:/www.rjc48.com/
実は、湾岸ライフさんももともとはメンバーで、そこから独立してゆかれました。

理事(特に理事長)って真面目にやろうとするほどに結構孤独なものです。
『理事(長)の気持ちは、理事(長)をやったことのある人にしかわからない』
から。なので、やはり是非他のマンションの理事長さんと名刺交換とかしてやりとりができるようになると、”理事であること”の楽しみの幅が増えます。

”竣工図書を見られるなんて楽しい”なんて方の参加をお待ちしています。

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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