管理士に 「管理費を削減」されては困ります

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先週末理事長勉強会RJC48の第18回の勉強会をうちでやってお疲れ。私のブログではおなじみのミッキーエヌさんの大規模修繕工事に関わる独演会だったんですが、ホストってやっぱり大変。年1回が限度だなぁ。

この後の予定ですが、
8/27 に「管理組合最初の2年が勝負!」として、2年アフターなど、管理組合の立ち上げをテーマにした回を月島の公民館を借りて開催します。さくら事務所のヨーダ様こと土屋さんの講演もあります。
10/1 には南千住の汐入公園を舞台に、毎年やっている”マンション防災”をテーマにした大規模な勉強会を予定しています。

いずれも、RJC48の会員以外でも参加できるので、関心のある人は”RJC48″で検索して連絡くださいませ。懇親会もしっかりやりますので名刺交換しましょう。

スムブロも新作を書き貯めているとこですが、にぎやかしに元のアメブロから一回転載しますね

「管理費削減」を売りにする管理士ってどうなのよ?

管理人さんブログでおなじみトホホさんが、よく「コストカット命」系の管理士さんや、コンサル会社のホームページに文句をつけているのは、管理士さんが削減できるのは管理費じゃないよという点。

私も全く同感で、ホームページに 『管理費削減!』を売りにする管理士さん、よっぽど素人っぽい組合を相手の商売なんだろうな・・・で、その台詞を見かけるたびにその人の価値を1割引きに評価する程度に考えています。理事会からみたら、この混同はちょっと許せない。

管理組合から見て、通常お財布は2つ。計画修繕に備えるための”貯金”にあたる口座である修繕積立金会計と、日々の管理に使う”生活費”にあたる一般会計の2つ。通常規約規定で、貯金にあたる積立金は、勝手に引き落として一般会計の不足に充当することは禁止されてますから(逆に”生活費”が余ったら”貯金”しましょうはOK)、一般会計は、収入>支出でないと、いつか組合が破綻します。

図にすると超概略ではこんな感じ。

一般会計の概念図

マンションの全戸のオーナーさんが支払う管理費は全部管理組合からみると貴重な収入です。管理士さんに勝手に「管理費削減」なんてされてしまうと、支出は変わらず、収入だけ減るわけですから、組合は破綻しかねません。

「管理費」は収入、管理会社に払うのは「委託業務費」

組合の収入は、管理費だけではありません。
ほとんど(まぁ全体の8割くらい)のマンションで、駐車場利用料収入のほぼ全額を充当しているのが普通です。

一方、組合の支払は全部管理会社にいくように錯覚している人も多いですが、共用部の電気ガス水道代や、組合が管理会社を経由しないで直接相手と契約している管理関連の費用(雑排水管清掃や各種点検など)は、管理会社に支払われるわけではありません。うちの場合、管理組合の支出で管理会社に定額で毎月支払われる金額が全体の6割ちょっとです。

管理士さんがよくホームページで言っているように、管理会社との交渉などで削減可能なのは、この図でいうと”業務委託費” あるいは、組合からの支出全般である”管理コスト”だけです。サービスが同じに保たれるのであれば、支出は確かにもし削減可能であれば少ないほうがベターです。

さて支出を減らせたら、その分だけ「管理費も削減」するかどうかはその組合の方針次第です。管理費の単価(平米あたりいくらで専有面積に比例)の改定は、通常管理組合の総会の決議事項。”生活費支出”の削減が進んでくれば、”収入”ももっと少なくてやっていけますで、管理費を減額する組合もありますが、決して多数派とはいえません。修繕積立金がまるで足りていないのを一部でも穴埋めする目的で、毎年余った一般会計の黒字を、修繕積立金に積み替える組合が実際には多数派です。

うちの組合は逆に修繕積立金は長期計画で必要な金額を均等割りにして集めるのを先に済ませています。うちでは、臨時の支出や一般会計には一定の黒字幅があって、臨時の支出に耐える予備費や、マンションのグレードアップに使える「理事会の裁量的な経費」として確保すべきだと考えていて、ざっと収入の9割未満に支出を抑制できて、それが定常的に維持できるまでは、「管理コスト」を削減できても、「管理費」は改定しないという方針を議案書などで示してきています。実際に、過去に3200万円ほど収支は改善してきていますが、実際に管理費の値下げとして全戸に還元したのはその一部だけです。

組合の一般会計に黒字ができたらどうするかは、理事会が総会などの場でオーナー全員に提案していくものでって、わざわざお金出して管理士さんを雇って、勝手に「管理費」削減をされちゃかなわないよなと思うわけです。

一般会計収支は内訳をじっくり見ないとね

よく管理士さんが、管理費など何割もカット可能だとかブログに書いていたぞ!うちはきちんとやっているのかとか、総会とかで演説する人が現れるので、コスト削減命系の管理士さんって、むしろうちにとっては害のほうが大きい。

まだ業務委託経費に切り代があるかどうかは、毎年の通常総会の決算・予算案に、委託契約書の内容をみていかないと分かりません。これを見直すなら、管理員さんは年間何時間雇っているから1時間あたりいくらとか、単価にバラバラにした上で、ぼったくり価格ではないことを他のマンションの事例と個別に比較していくことになるわけです。

初期設定が酷くて、塗れぞうきんをジャーとか絞るみたいな委託経費なら何割も絞れるかもしれないけど、一律3割カットだとか言われても、過半が人件費である管理員さんの時給は、下手するとお隣のコンビニ以下。いくらなんでも、ブラック企業でなきゃ、都の最低賃金より下にできるわけもないし、とことん安くしたらまぁ求めるような人材は採用できなくなります。多くのコストカット提案は、管理人の勤務時間を削るとか、サービスのほうも削っていることが多くて、確かに委託経費は安くはなったけど、住民はろくに管理人さんに会うこともできなくなったとかなりがちです。

これって、本当にそのマンションの住人が求めていたことなのかな?とかこのあたりの話はおいおい。

そもそも管理費って安ければいいものなの?

コスト削減系の管理士さんは、なぜか単にコストカットのためには、管理会社のリプレースをやりましょうとかなんか筋違いな提案をする傾向があります。相見積をとるならまだしも、コストカットのためだけになんで管理会社を代えないといけないのか私にはそんなブログを何回読んでも全く理解できないんですよね。

わずか1-2年で収支をV字回復しましたとか、「短期間での成果を威張りたい」理事長さんが手掛けて数字だけ大威張りしているのをよく見かけるのですが、私は「管理費」は安ければよろしいとは思っていません。このお話に続く。

!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

4 件のコメント

  • Kevin より:

    住み替えや中古の検討者が増え続けているので、はるぶーさんは孫さんのように未来を先取りするブロガーなのかも?

  • 匿名 より:

    そもそも削減系の管理士はエレベーター保守費などの見直しで出ていくお金を減らして、安くしましょうという趣旨だと思いますよ?

    • はるぶー より:

      エレベーター保守費の削減には決まったパターンがあり、
      率直にいってそれが主目的なら管理士の助けは不要です。
      (コストカット全般に管理士でないといけない理由には乏しい)
      なのに、メシの種は明かせないということなのか、管理士の出している
      本にEVメンテの相場なんてのがでているでているのは見ないですね。

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