第36回「モデルルームと実物とのギャップは大きい」

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このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介しようというものです・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています

 

 マンション販売は、工事中に販売を始める、青田売りが一般的です。

 その場合、購入者は、実物を見ないで決めることになりますが、そのことが完成後の「こんなはずではなかった」という失望を生む原因になることがあります。

  モデルルーム見学のとき、どのような点に気を付けたらいいのでしょうか。

 

●トラブルも起こる

 

 青田売りは、買い手を失望させるだけではなくトラブルになることもあります。

  部屋の真ん中に垂れ下がった梁。その圧迫感は、尋常ではありません。「こんな部屋と思わなかった」と、ショックを隠せない購入者もいます。また、「個室がこんなに狭いとは思わなかった。本当に〇畳ありますか」などの感想も漏れます。

  ルーフテラスに出られるはずのキッチン横のドア。実際は高さ50㎝以上の立ち上げ壁をまたがないと出られず、小柄な奥さんはショックを受けたという例もあります。

  また、玄関扉の上に出ている梁が低く、大柄な男性は頭がぶつかりそうな印象だったという例も最近ありました。

 

 こうした問題は、「聞いていない」から始まります。すると、「いいえ、図面に正確に表示してありますが・・・」と担当者は反論します。確かに、小さな文字で書いてあります。天井高ならCH=2000などど。ルーフテラスの出入りの部分は部分 断面図を間取り図の横に添え描きしてあるのです。

 

 図面をよく見なかった客が悪いと言いたげです。しかし、平面図に点線で「ここからここまでCH=2000」などと書かれてあっても、慣れた買い手でなければ見逃してしまいがちです。平面図から3Dを想像するのは簡単ではありません。

 それを確認しなかったあなたが悪いと言われたら腹も立ちます。しかし、もう遅いのです。買い手に勝ち目はありません。重要事項説明書にも、「図面をよく確認してからお申込み下さい」と記載してあります。よく確認しなかった買い手が悪いということになってしまうのです。

 ※蛇足ですが、それでも粘って交渉すれば、建物に変形を加えることはできなくても「慰謝料的」に金品を獲得することは可能です。

 

 買い手に取って違和感が最も大きいのは、派手なモデルルームに対して購入した部屋が地味に映ることです。完成した我が家に入った瞬間「あれっ」と感じるのです。これはトラブルになり得ませんし、怒りを覚えるようなものでもありません。

 

●青田売りする理由

  

 事業者としては、早く販売のメドを立ててしまいたいので、青田売りするのです。

 完成してから売るのは、モデルルームの建設予算が捻出しにくい小型マンションの場合くらいです。

 その昔、マンション建設に必要な資金は銀行から高利で借りていました。今では考えられないことですが、年利8%とか、零細なデベロッパーの中には10%もの金利を払って地方銀行や信用金庫から資金調達していたのです。住宅ローンの金利が7%とか8%といった時代のことです。

  借りた資金は早く返さないと金利負担に耐えられず、企業は倒産の憂き目を見ます。そのためには完成と同時に返済しなければならない銀行融資と、ゼネコンに支払う工事代金に充当する資金、すなわち売り上げを確実なものとしておきたいのです。この考え方は、低利時代の今も生きています。

 

 竣工と同時に完売したい理由は、ほかにもあるからです。たとえ半分でも入居者があればエレベーターを動かさなければなりませんし、機械式駐車場なら運転ができるようにしなければなりません。管理人も清掃人も必要です。つまり、管理費が発生するのです。

  半分しか入居者がいないから管理費も半分で済むわけではないのです。足りない分は売主が負担しなければなりません。また、売れ残った部屋は定期的に風通しをしたり、窓に簡易なカーテンを取り付けたりといった「商品管理(養生)」も必要になります。販売経費も掛かります。広告予算も追加になることでしょう。

  こうしたことを勘案して行くと、やはり竣工までには完売しておきたいのが売主・デベロッパーの目標であり、本意なのです。

 

 ともあれ、マンションは工事中に、モデルルームだけで契約してもらうというのが慣習になりました。大きなトラブルもなかったことから、業界全体が「青田売り」を常態化させて来たのです。

 

 しかし、モデルルームと、購入した部屋があまりにも違うという印象が購入者をしばしば失望させます。購入する部屋とモデルルームが、たまたま同じタイプになっていたらまだマシですが、そうでないことが多いので、想像と違ったという失望感は、どうしても生まれがちのようです。

 

 最近は、バーチャルモデルルームと称するCG画像を動画のように映し出し、まるでその中を歩いているようなプレゼンテーション技術が誕生したので、リアルなモデルルーム以外のタイプも見られるようになりましたが、これでイメージギャップがなくなったとは思えません。

 

●変造した見合い写真

 モデルルームというのは、最近では原型(標準仕様)が分からないような造りとなっているケースも多いようです。間仕切りを変更し、仕上げ材をグレードの高いものに変え、設備もオプションを加えて豪華に見せています。更には、家具やインテリアによる演出もあり、感動的な姿で登場します。

 

 商品のデコレーションは商売の常道です。とはいえ、モデルルームには、見学者を錯覚させる魔法のような力が備わってしまうようです。

 化粧を取ったらまるで別人だったというくらいに、厚化粧した役者のようなもの、または、昔の見合い写真のようなもの。それがモデルルームだと思った方がいいかもしれません。

  モデルルームには、「このシールはオプション品です」、「家具は販売価格には含まれません」などと、注意を促すプレートがどこかに掲示されています。

 しかし、買い手は素人。不慣れです。言葉だけで本当(標準仕様)はこちらと言われても、グレードアップした方だけを見せられたら、それが記憶されてしまいます。

 厚化粧をしていない素(す)の部屋を見た瞬間、きっと詐欺だと怒りたくなるはずです

 しかし、「想像していたものと違う」などとクレームをつけても、売り手は涼しい顔です。理由は先に述べた通りです。

 

●失望感を味わわないための策は?

 図面とモデルルームを睨みながら、自分の部屋はどうなるだろう。ここからオプション品や家具をはぎ取ったらどうなるだろう。これを想像することに慣れるしか、完成後の失望感をなくす道はないわけです。

 

 そこで、おススメなのが、家具も何も置いていない部屋の見学。当然、別のマンションになりますが、完成済みの販売物件を探して見に行くという方法です。

  同じ売主に該当するものがなければ、別の売主さんには購入する気がないので申し訳ないことになるでしょうが、「モデルルームだけでは怖いので」と理由を話せば見せてくれるはずです。

 

 大抵、完成済みマンションには、本体内のモデルルームが用意され、それと同一タイプの未販売住戸があれば、素のままで見学できることになります。その比較をしてみるのです。違いがはっきりと分かることでしょう。これを2回か3回なさってはどうでしょうか? 

・・・・・・・・・・・・・・今日はここまでです。

◆三井健太のマンション相談室

三井健太はマンション研究家。マンション業界OBとして業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介しています

また、個別の物件の価値判断やご購入における諸問題について個別のご相談を承っております。営業担当者には聞きづらいこと、聞いても立場の違いから客観的で信用できる回答を期待しにくいことなどに関しても秘密厳守でお答えしています

別サイトのブログ「マンション購入を考える」も是非お目通し下さい。500本以上の記事があります。

 

今週のご紹介マンションは、次の5物件です。

NO.73 (仮称)東京ベイ トリプルタワープロジェクト(来春販売)/NO.74 クレヴィア日本橋浜町(新築) NO. 75 ブランズ南荻窪(20174月上旬販売開始)/NO.76 シティタワー目黒(継続販売中)/ NO.77 ジオ新宿若松町(20172月販売開始)

 

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