新築はもうおしまいかもしれんね、、、【大阪タワー】


大阪タワーです。こんにちは。
連休ということで、なかなかバタバタしていて、手をつけられていなかったブログを書こう、とそういうわけです。

間取りのやつ、続きは次に書きますので、ちょっとお待ちください。

最近の工事費について

スムログ はいろいろな本職のある方が書いていらっしゃるメディアでデベロッパーの中の人と言っているのは大阪タワーだけ(たぶんそうだと思う。和田さんは社長になられましたし。)
そんな中で、最近、猛烈な危機感を持っていることがあります。

それは工事費です。もう、肌感覚でやばい。特にこの1ヶ月。。。

工事費の推移

一般財団法人建設物価調査会 建設物価建築費指数(2011年基準)


 


工事原価でみると 129.4(暫定)で前月比 1.1%増(+1.4 ポイント(以下、p とする))、前年同月比 5.5%増(+6.7p) となっている。純工事費でみると 130.3(暫定)で前月比 1.2%増(+1.5p)、前年同月比 5.6%増(+6.9p)となっている。 純工事費指数 130.3(暫定)の前月比 1.2%増に対する主要細目の寄与度をみると、寄与度がプラスの細目は、鉄筋 [+0.52]、上記以外の建築細目[+0.39]、型枠[+0.11]、軽鉄軸組[+0.06]、アスファルト防水[+0.04]等である。寄与度が

マイナスの細目は、木工[-0.01]である。
また、対前年同月比 5.6%増に対する主要細目の寄与度をみると、寄与度がプラスの細目は、鉄筋[+2.10]、上記以外の

建築細目[+1.54]、木工[+1.09]、衛生配管[+0.25]、電線・ケーブル[+0.20]等である。寄与度がマイナスの細目は、鉄筋 加工組立[-0.07]である。


グラフを見ると建設費自体はずっと右肩上がりというのが正しい表現です。
私自身、不動産会社の開発という仕事をこの10年くらいやっていて正直、工事費が下がったっていう記憶はほとんどないのですが、(直近だとコロナ直後の一瞬だけ下がった記憶はあります)それにしても今回はちょっと異常。
高いのもそうなのですが、普段通りゼネコンに「これでいくらくらいですか?」って聞いても答えが出てこないことが多い。
厳密には、しっかりと積算を回さないとわからない、と言われるか、今までよりも随分と高いことを言われる。

ちょっと考えれば当たり前のことなんですが見積を出すゼネコンからしたら、これだけの勢いで為替が動いて世界情勢も大混乱な状況になれば、建設業のようなロングテールなビジネスはすごくやりにくくなります。

基本的に、請負契約の金額というのは着工前に契約した単価でFIXしてしまい、数年間に及ぶ工事でも最初の金額で決まってしまいます。
厳密には見積条件書をよく読むと、「物価変動は見込まないものとします」とは書いてあるものの金額が上がったからといって、「その分、払ってください」と施主に言ってもそう簡単に払ってくれるものではありません。下落局面で返してと言っても返ってきた試しがないので、どっちもどっちですね。

そういう商慣習の中、今のような局面で見積を取ると、必然的に安全率を高めに設定されてしまいなかなか今までのような金額の見積は出てきません。
ここはゼネコンの人を責めても仕方がなくて、ゼネコンの積算部のおじさんからしても「ウクライナの戦争はいつ終わるの?」とか当事者のプーチン大統領にもわからない話を聞いたところでわかるわけはないのですから、ある程度見込みで考えるしかない。
見込みで考えるということは建設会社にとっての安全サイド=より工事金額が高くなる、になるしかなくなるわけです。

分譲マンションの利益構造を考えると、この辺りの金額はモロに効いてきます。

考えてみてください、建物を構成する原材料なんてほとんどが輸入品です。鉄はもちろんのこと、コンクリートの中身だって、セメントは国産が多いそうですが砂は輸入品という話ですし。
為替が変われば、これらの値段は上がるに決まっております。建材というのは素材の値段で価格が決まりますから。

よっぽどの都心でもなければ、マンション価格のうちの半分以上は建物価格です。その前提で考えれば、デベロッパーの利益で相殺できるレベル感の金額ではありません。

改めて、マンション選びのストラテジー

何が言いたいかというと、一言。

今後、新しく出てくる新築マンションに期待しても無駄!!!ということです。

端的に言えば、より割高になると思っておいた方がいいですよ。ということです。

それならば、今あるものから探すべきで、中古でも全然いいと思いますし。

これから出てくるマンションを事業化するための方法は極論、二つしかありません。
  1. 今以上にコストダウンを頑張る
  2. (高く売れる場所限定だけど、)高い値段で売る
さらに言えば、事業化できるだけマシで土地を仕入れても分譲できる目算が立たないから土地だけ再転売しまうようなことも増えてくるでしょう。

大手デベロッパーの利益構造を考えると、分譲事業というのは一定必要なのですが分譲益を上げるのはマンションのリテール販売に頼る必要はありません。
今はリートなども発達しているので、ビル販売も盛んですから、極論、マンションの供給が0になっても問題ない会社が多いです。
例えば、大手デベロッパーの中で、マンション事業を行わないという経営方針で有名なヒューリックという会社がありますがそのヒューリックも利益の半分は不動産の売却益。

極端な話、経営的にはデベロッパーが分譲マンション事業を積極的にやる必要がないということです。

これはリーマンショックの時との大きな違いで、あの頃は会社のキャッシュを回すためにむりやり赤字覚悟で供給を続ける必要があったけれど、今はもうその必要はありません。

というわけで、もう結果は見えています。

マンション、まだ値上がりますよ。

 

おまけ、いいなと思う中古マンション

マンマニさんのマネ笑



ブリリアタワー堂島の脅威的な売れ行きや中古マンションの枯渇を思うとこの立地でこの価格はお得に見えます。

角部屋で間取りもゆとりがあるし、いいマンションだと思うんだけどなぁ。。。

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こんにちは、大阪タワーです。 昼間は在阪デベロッパーで都市開発のお仕事をしております。 大阪市内タワマン在住の永遠の30歳です。よろしくお願いします。

[寄稿] マンションコミュニティ:スムラボ派出所スレ

10 件のコメント

  • のり より:

    零細工務店経営兼賃貸マンション経営しています。
    おっしゃる通り、ここ数ヶ月の建設資材の値上がりは凄まじいです。
    あらゆるモノが一方的に値上げ通告してきます(例えば、三◯電機の給湯器は、6月から2割の値上げです)

    ちょうど1年前に起きたウッドショックにより価格が約2倍になっていた木材は、今回下がるどころかロシア産の輸入が止まり、合板がまた跳ね上がってます。

    間違いなく、今後の建築費は値上がりしますね。
    先日も賃貸マンションをもう一棟建てようと某ゼネコンに見積もりを貰いましたが、やはり数年前より跳ね上がってました。

    価格に急騰に需要がついていけばまだ良いのですが、需要が急減した場合を考えると怖いです。。。

    • 大阪タワー より:

      大阪タワーです。コメントありがとうございます。

      ウッドショックはビル物をやってるとあまりピンとこなかったのですが今回はちょっと異常ですね。

      納期もおっしゃる様に年々異常なことが増えていますね。
      コロナといい、戦争といい、早く平常に落ち着いて欲しいと切に願います。

  • 元内装屋 より:

    職人さん不足も深刻ですね。
    最近は商業一体開発の住宅も多いですが現場に行って職人さんたちの年齢見れば如何に不足しているかが解りますよ。
    それなりの年齢の方が現場でバタンと行くことにビクビクしながら物作りをしている状況です。

    外注さんの二代目社長なんかと話をすると若い子を採用して定着してもらうために給与・休暇を増やし
    それを如何に元請に理解して頂くかということに滅茶苦茶心を砕いてます。
    お金が無いと給与も休みも与えられないので存続をかけて彼らも必死です。
    先代には声が大きいスカッとした人が多かった気がしますが、二代目さんは凄く頭を痛めてる人が多いですね。
    数字ではなくフィーリングの世界ですが、このようなフィーリングが数字として具現化した時のことを考えると
    本記事でおっしゃっていることが理解できる気がします。

    • 大阪タワー より:

      大阪タワーです。コメントありがとうございます。

      おっしゃる通り、お年を召した方、あと外国の方が本当に増えたと思います。
      ゼネコンも閉所日を増やしたりと苦労をされていますが立場変わればのところもありますので、施主としてもなかなか素直に応じられないのも事実。

      とはいえ、それが業界のコンセンサスになりつつある今、今以上に価格に転嫁されてくると思いますので記事で申し上げたような状況になっていくのかなぁと思います。

      フォローをいただき、ありがとうございます。

  • 引き渡し待ち より:

    建築サイドの状況がよくわかる記事でユーモアもたっぷりで大変面白くためになりました。どうもありがとうございます。

    「今はピークだから買い時じゃない」という声も少なくない中、それでも早く賃貸は卒業しようと年初に初めて新築マンションを購入しました。物価が下がる気配もないし、仮に今後需要が落ちて住宅価格が値下がりしても質も下がるのでは?と素人ながらに思っていたので、業界の方の見解が聞けて少し安心できました。

    ちなみに、一般購入者に分からない部分で、例えば建築中の建材を、本来使うものより物価高分グレードを下げる、みたいなことはあり得るんでしょうか?

    • 大阪タワー より:

      大阪タワーです。コメントいただきありがとうございます。

      建材、例えば断熱材の量やグレードを下げてみたり、遮音等級の低い間仕切り壁にしてみたりということもあると思います。
      あとは天井の高さを落として柱の量を減らしたり(=柱が短くなるので、節約になる)、床を薄くしたりなどの構造を触ることも有り得ると思います。

      もちろん、建築基準法は順守するので安全性には問題ありませんがコストダウンの知恵は今以上に絞ってくるのかなぁ、と思っております。

      • 引き渡し待ち より:

        ご返信ありがとうございます。大変勉強になりました。

        既に契約者への告知や広告で発信済みの内容までは流石にグレードダウンしないかなとは思ってましたが、頂いた点含め物価高の影響が出ているかは購入した先の売主にも質問してみようと思います。

        今後の記事も楽しみにしております。

        • 大阪タワー より:

          基本的に契約済み(=工事中)のものは大丈夫だと思いますが聞いておくに越したことはないかもしれません!

          • 大阪タワー より:

            コメントありがとうございます。

            そうですね。今でもだいぶ新築の供給は減っていますがそれ以上に今後は減ってくるかなと思っています。

            何とか落ち着いてくれるといいんですが、、、

          • 保険屋 より:

            共感、同意する内容でした。ちょうど首都圏で実家を解体していたのですが、解体工事に来た5人はクルド人とパキスタン人。親方もパキスタン人です。そんな彼らさえ入国制限で人手不足とか。
            燃料費も上がっているから解体、運搬、廃棄のコストが上がってます。つまり建てる前から値上がりです。住宅は特に新築は庶民が無縁な贅沢品になるの予感がします。

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