第283回 「損しないための究極のマンション選び](最終回)~決断のとき~

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

立地条件の良いマンションは、価値が下がりにくいものです。駅10分より、駅1分の方が新規建設の確率は低く、従って、駅1分のマンションは稀少価値を生むからです。

反対のケースはどうでしょうか。都心から遠く離れた駅は、駅前でも青空駐車場や空き地が多く、マンション供給がいつでもできそうな雰囲気を漂わせています。駅から少し離れると、小さな工場や資材置き場があったりします。

 

そこへ建てられるマンションは稀少性に乏しく、中古マンションとして売却を図っても、値上がりすることはありません。最新の設備とインテリアで化粧された新築との競争に勝てず、いつも安値取引になってしまうのです。

 

地方に転勤し、いつまでも狭い社宅住まいというわけにはいかないからと、地方都市でマンションを買ってしまう人があります。その場合も中古になったとき、ショックを受けるほどの値下がりに見舞われるケースが多いのです。

 

値下がり必至のマンションを選択するときの考え方と対策について考えてみました。

 

価値観は個人差が大きい

マンションには、「経済的価値」と「使用(利用)価値」の二つの側面があると考えられます。

 

後者は、個人の価値観や家族の事情などによって幅がありますが、その大きさは他人には測り知れないものがありましょう。仮に「経済的な損失」を被ったとしても、使用価値が高いことで大きな「精神的利益」を得て余りあるという場合があるからです。

 

例えば、郊外に住んだおかげで、我が家は大きく値下がりしてしまったが、その代わりスープの冷めない距離にある親の家を行き来して最期まで親孝行ができたと思えるかもしれません。親が子供(親から見て孫)の教育に一役も二役も買ってくれ、金銭では測れない結果を得ることもできます。

 

こうした考え方をすれば経済的得失は二の次となってくるかもしれません。値下がりしても、つまり経済的な損失を被っても、精神的利益が大きければ、トータルでは損はないと言えないでしょうか?

 

価値あるマンション、値上がりするマンションを選択するよう情報を収集する、勉強するという姿勢は大事です。しかし、思惑通りにならないこともあるでしょう。そんなとき、経済的価値ばかりが選択基準ではないことも覚えておいて悪くありません。

 

以下の記述が、そんなときの参考になれば幸甚です。

 

売却しなければ、値下がりしようが、しまいが気にする必要もありませんし、関係ないはずですが、実際は売却の必要が必ずやって来ます。

 

理由はいろいろですが、特定マンションに永住する人は10%以下というのが東京圏の実態です。理由のうち、ひとつは「建物の老朽化」です。コンクリートは長寿命ですが、それでもメンテナンスを怠れば劣化して雨漏りの原因になります。結露が起きてジメジメとした部屋の中で暮らすことになってしまいます。

 

また、コンクリート以外の部分、例えば給排水管やエレベーターなどの設備は30年か40年で交換しなければ使用が困難になります。その費用や対策の方法(建て替えなど)がマンション全体として複雑な問題になっている事例は少なくありません。

 

老朽化したマンションは不快な日常を送ることになるため、転居を考えざるを得ない入居者を増やします。そのとき、売却ができなくて賃貸に出すオーナーも現われます。しかし、不具合が頻繁に発生するようなマンションでは賃貸もやがてうまく行かなくなります。

 

賃料は下がり入居者のモラルは低下して、マンションはスラム化へひた走ります。そのような状態になるまでは、新築時から数えて50年くらいはかかるかもしれません。

 

しかし、そのとき同時に人間の寿命も尽きてくれたら好都合かもしれませんが、そうは問屋がおろしません。人間の寿命が伸びるということもありますが、その手前で不快な日常から脱出を図ろうとするに違いないからです。

 

さて、どのような理由にせよ、売却しようと思ったとき、その価格が安過ぎると困ったことになります。次の住まいを購入する資金ができないことが最も大きな問題ですが、それ以上に困るのは、売却で手に入る資金だけでは住宅ローンの清算(残金の一括弁済)ができないため、貯蓄を取り崩す必要に迫られたときです。

 

このような事態は、ローンの完済する30年、35年先には起こらないかもしれませんが、転勤その他の事情で売却する時期が10年先、15年先だったらどうでしょうか?

 

ローンはたっぷり残っていることでしょう。その精算のために貯金を使ったら次の新居購入資金が足らなくなるかもしれません。もう住宅ローンは使いたくない年齢かもしれません。利用するにしても、年限は短くしたいと考えているかもしれません。しかし、手許現金は減らしたくないはずです。

 

いずれにせよ、「売りたくても売れない」状態で住み続けるか、マンションを賃貸に出して自分も賃貸マンションに移るか、そのどちらかということになる懸念は残るのです。

 

マンションは、いつか必ず売却するときが来ます。いえ、やむを得ず売却する必要に迫られることがあるのです。そのとき、売るに売れないという状態にならないよう、最初から想定しておきましょう。

 

対策のひとつは、できるだけ値下がり率の小さいマンションを選ぶこと。住宅ローンはできるだけ繰り上げ返済するなどして早めに残高を減らしておくこと。売却を諦めて賃貸し、住宅ローンの返済は賃料で賄い、完済まで継続すること――以上の3つです。

 

最後は割り切り方か

値上がりが期待できそうにない場所で選択するほかない人は、やはり経済的損失を被るかもしれないと覚悟しておくべきかもしれません。

 

しかし、ものは考えようと言いますが、同じマンションの同じ間取り、同じ階であったとしても、購入する方が賃借するより充実感は大きいはずです。なぜなら、賃貸では得られない周囲の賞賛などから来る満足感、快適な暮らし、幸福感、老後の安心感などを手に入れることができるからです。それがマイホーム購入の最大のメリットでもあるのです。

 

こうしたものを筆者は「精神的利益」と言っているのですが、これは経済的利益(得失)とは比べようがない、測り知れない大きな価値と考えることができます。最後はこう割り切るしかないのです。というより、ここにこそマンション購入の目的を見出すべきとも言えましょう。

 

本稿の趣旨は「賃貸の方がよかった」にならないためのカギを探そうという目的でもあります。実は、「賃貸か購入か」をトコトン突き詰めると、答えは購入に軍配があがるのです。

 

現金購入でなく住宅ローンを利用した購入でも、返済を終了したときには僅かにせよ資産が残ります。その金額が5千万円になるか、1千万円にしかならないの差はあるものの、何がしかの資産(財産)が残るからです。

 

これは、賃貸マンション住まいの人には絶対に得られないものです。ボロボロの借家に、ただ同然の家賃で長く住み、その間に巨額の貯蓄をすることに成功したという人がいるでしょうか?もし、そのような人がいれば、借家住まいも資産を残せるという反論にはなるでしょうが、現実的な話ではありません。

 

借家暮らしは家主の資産形成に貢献することはあっても、自分の資産をつくることには雀の涙ほども貢献しないのです。

 

以上のように考えると、損益分岐点という観点では選択を誤った人も、若しくは事情が許さなかったために、不満の残るマンションを買うことになった人も、いずれも悲観するには及ばないことが分かって来るはずです。

 

値上がりが期待できそうにない場所で選択するほかにない人は、経済的損失を被るかもしれないと思うべきかもしれません。しかし、ものは考えようと言いますが、同じマンションの同じ間取り、同じ階であったとしても、購入する方が充実感は大きいはずです。

 

賃貸では得られない周囲の賞賛などから来る満足感、快適な暮らし、幸福感、老後の安心感などを手に入れることができる、それがマイホーム購入の最大のメリットだからです。

 

こうしたものを筆者は「精神的利益」と言っているのですが、これは経済的利益とは比べようがない、測り知れない大きな価値と考えます。最後はこう割り切るしかないのです。というより、ここにこそ、マンション購入の目的を見出すべきと言えます。

 

そのマンション買って損はないか―迷ったときの方針整理術

東京圏の一部エリアでは、物件固有の条件によるとはいうものの、10年経っても値下がりしないどころか、値上がりしているマンションもあるのは事実です。

 

しかしながら、本来、建物は完成したときから老朽化が始まるのですから、経過年数によって価値が下がるのは当たり前とも言えます。地方都市や東京郊外のマンションは、中古になったら購入価格より売り値は下がるものと考えなければなりません。

 

同じ中古マンションでも、値上がりするマンションと値下がりするマンション、この差は、どこから来るものでしょうか?それは、需要の多寡によって生まれる結果です。

 

東京の人気住宅地では、マンション開発が難しく、新築マンションは滅多に販売されません。いきおい、そこに住みたい人は中古へ向かうしかないわけです。その結果、人気住宅地の中古マンションは値が下がらないという傾向を見せます。

 

首都圏でも10年で新築時の半分に下がってしまった極端な例が少なからずあります。これは、その地域における需要と供給の関係が大きいのですが、それだけでもありません。

 

地域の中でも条件が特に良くない物件だからです。何がよくないかは様々なケースがあり、一言でくくることはできませんが、物件固有の条件によることだけは確かです。

 

需要の少ないエリアでは中古価格は下がりやすく、需要の多いエリアであっても、固有の条件によっては、やはり下がります。

 

どのような地域にせよ、少しでも高く売れそうな物件を選びたいものです。とはいえ、条件が全部揃うマンションは中々ないものです。従って、「あちら立てればこちらが立たず」と悩み・迷う。これが現実です。

 

そこで、優先順位を定めて後順位の枝葉末節は切り捨てるような選択態度が望まれます。それでも現実には簡単ではないようです。次のようなご相談事例が最近ありました。

 

「駅近を優先するべきであることは分かるが、駅近物件には満足できるものがないと悩んでいる。そんなとき、駅から少々遠いこと(徒歩12分)を除けば満足度の高い物件を発見。駅近を優先順位のトップに掲げて探して来たが、それを捨てて購入したい。

 

一旦は、こう思ったが迷いは消えません。20年くらい住んだら売却するか賃貸する予定だが、あまり高くは売れそうにないし、賃貸するにしても家賃は高く取れない。環境も建物の内容もいいのだが、どうしたものか・・・・・このようなお悩みも少なくありません。

 

このような場合、次のように考えを整理してみることをお勧めしたいと思います。

 

将来の売却価格が下がること必至という場合の考え方

①売却や賃貸は、20年以上も先のこと。そこまで予想するのは難しい

②住まいは何のためにあるのか?日々の暮らしを豊かに送るための基盤ではないのか。駅から遠いという問題はあっても、さほど苦にならない程度なら、そちらを選択すべきではないのか。

 

③20年以上住んだ後に売却するとき、値下がりは間違いないだろう。でも、下がり方が極端でなければいい。その許容範囲は、どのくらいだろう。精神的満足感(これは測りしれないもので、大きな価値・利益なのですが、ここでは割愛)を加えず、単純に損得だけで判断してみる。

 

④20年後に購入価格の半分になったとする。しかし、住宅ローンは半分以上返済が進んでいるので、銀行の清算をしてもいくらかの手残りがある。少なくとも頭金以上の金額が残る。これなら損はない。

 

⑤仮に、売却せず賃貸したら、駅前物件ほど高くは貸せないが、ローン返済に充当できるくらいの額は取れそうだ。 とすると、最終的にはローンなしの物件が残る。そのときに売れば、更に売値が安くなっても手残りは大きいのではないか・・・・・・・・等々

 

住まいはどうあるべきかの原点は?

人間には欲が付きものですから、居住性も高く、且つ将来の資産価値も低下しにくい物件を望みがちです。しかしながら、それには予算を大幅に上げなければならない場合も多いことでしょう。

 

それが可能な人は、値下がり率の小さい都心の人気エリアに求めればよいですが、それが簡単に行かない人はどうしたらよいのでしょうか?

 

次のように方針(例)を決めて探すようにしたらいかがでしょうか?

 

◆そもそも家を買うのは何のため? 老後のことを考えたら賃貸マンションで良いわけがない。それに家賃が勿体ない。だから家は買う。この考えをしっかり固めておく。

◆マイホームは、日常生活がしやすいこと、快適な暮らしが基本。通勤・通学の便が良いこと、子供のいる家庭では子育てがしやすい環境にあること等が大事である。

◆住宅ローンに追われるようなストレスもない方がよい。つまり、無理な資金計画のもとに買ってはいけない。

◆駅近で、かつ広い住戸を求めても、それが無理と分かったら、広さを我慢して駅近を選択する。我慢の範囲は、現状の住まいにプラス10㎡(例)などと定め、欲張らない・高望みしないこととする。

◆我慢できる広さの物件がないときは、駅からの距離を妥協するが、バス便だけは避け、徒歩10分を許容限度と定める。これは、将来の売却価格が下がり過ぎないことを考慮した選択である。

◆売却の時期は10年以内を目安とし、その間の暮らしに支障がない広さでいい、次にランクアップすればいいと割り切る

――――― 以上のように整理してみることです。

 

マンションの「個人的価値観と客観的価値判断」

良さを測るモノサシが見つけにくい品物が世の中にはたくさんあるようです。例えば、500万円もするクロコダイルのハンドバッグ。1品生産で、注文してから半年もかかるのだそうです。

 

男の持ち物でもあります。1着100万円もするオーダースーツや50万円のビジネス鞄などが代表的です。男女差がない物では自転車。1台30万円もする高級自転車があります。

 

時計などは天井知らず、1000万円を超えるようなダイヤ巻きの宝飾時計があります。貴重なダイヤモンドを散りばめているからだろうと、少しは理解できるものもありますが、多くの場合、どうしてこんなに高いのか、門外漢には全く理解に苦しむ値段の品もたくさんあります。

 

TV番組に「何とか鑑定団」というのがありますが、ここへ持ち込まれる様々なお宝は、専門家による鑑定によって所有者もびっくりするような値段が出てきたり、その反対に落胆が隠せない低額であったりと、物の価値はいろいろで、素人には分からないことが多いと、視聴するたびに感じます。

 

マンションの価値を決める要素は?

マンションの価格も随分と幅があります。ファミリータイプで比較すると、3000万円を切る低額なものから数億円もする高額なマンションまでと、ご存知のとおりです。

 

この差は、広さの違いでしょうか?設備の差でしょうか?それとも仕上げ材の差でしょうか?構造の違い?ブランドの差?それらも確かに存在します。しかし、それだけでは数千万円もの差にはならないのです。そうです、土地代の差ですね。郊外の土地は安く、都心の高級住宅街の土地は高いからです。

 

では、地価はなぜ大きな差になってしまうのでしょうか? 答えを簡単に言えば、需要量と希少性の差です。言うまでもなく、土地は工場で再生産できるものではありません。「その場所」は唯一無二なのです。銀座4丁目の角の土地は、4箇所しかありません。

 

マンションの価値を大きく左右する立地条件、「その場所」が貴重な所であればあるほど用地費は高くなります。駅に近ければ、高層ビルの商業施設で埋め尽くされており、住宅に向くような緑多い環境の土地はまずありません。

 

駅に近くて便利、それで環境も良い、そのような場所に売り地があれば、マンション・デベロッパ―は競って買収に動くでしょう。もし、入札方式で買い手を決める場合なら相場を大きく吊り上げる結果で取引されるでしょう。

 

そのようにして取得した土地に建てられたマンションの分譲価格が、飛び抜けて高くなっても不思議ではありません。

 

人気があって稀少な土地にマンションを建てるとき、計画する建物もハイグレードなものとなるのが普通です。なぜなら、得難い場所のマンションにはお金を出し惜しみしない富裕層が集まって来るからです。つまり、富裕層の志向・ニーズに合わせてプランニングする結果、建物の中身も差別化され、優越感をくすぐる内容、高級で個性的なものになるのです。

 

場所も良い、建物もすこぶる良いと評価されるマンション、その販売は、売主の思惑どおり高額でも成功裡に終わるものです。

 

極論すると、マンションは立地条件が全てなのです。

 

価値を認める人、認めない人

誰が見ても稀少価値あるマンションの話はさておき、よくあるタイプの立地条件、例えば駅から10分歩くとか、駅近ではあるがビルに囲まれた場所など、平凡な場所のマンションが多い中、その価値判断は人によって様々です。

 

高いと感じて購入を止める人、ちょっと高いけれど買いたいと瞬間的に感じて舞い上がる人、高いマンションだからこそ買ったのだと内心で優越感に浸る人、反対に、少し不便だが環境がいいし広い住戸が手に入るからと購入を決断した人などなど、例を挙げればキリがないほどあります。

 

これらは、人の価値観の差から生まれる行動とも言えます。つまり、マンションの価値を客観的に計測する道具はないのです。本人が良いと思えば、それは価値ある買い物になります。相対的には安くてお得な買い物と言えるのです。

 

・・・・シリーズ「損しないための究極のマンション選び」はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

 

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