第1回対談「マンションオタクから見たマンション管理」その1
マンションオタクでありながら大型マンションの理事会メンバー(理事長も経験済)でもある「はるぶー」さんにマンション管理について語ってい ただきました。聞き手は同じくマンションオタク界の重鎮「のらえもん」さん。
「目から鱗」情報が満載の対談をお楽しみ下さい。
目次
この対談 に参加したメンバーは?
のらえもんさん
マンションアナリスト、ブロガー、インフルエンサー。マンション購入ということに真正面から真剣に考えたブログを足掛け10年も運営しました。忙しくなりすぎて更新が滞りがちですが、スムログも引き続きがんばります、よろしくお願いします!
運営ブログ
⇒のらえもんブログ
はるぶーさん
マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。
対談
はじめに
今日は「大型マンション管理組合の熱心な理事長経験者」であると同時に「モデルルーム見学を数多くこなして、マンションそのものや相場にも詳しい」はるぶーさんにお話をしていただきます。貴重なお話がたくさん出てくることを期待しています。
では始めに。僕の印象では理事会活動に熱心な人ほど、マンションの値段とか気にしなさそうです、その辺いかがでしょうか?
では始めに。僕の印象では理事会活動に熱心な人ほど、マンションの値段とか気にしなさそうです、その辺いかがでしょうか?
管理組合を一生懸命やってる人って「自分のマンションは今いくらだ」とか意外に知りません。モデルルームをせっせと訪問するような人たちは「いまこの辺りのマンションは坪単価いくら」とかっていう風に、頭の中に坪単価の地図が入ってる感じですが「自分が住んでいるマンション坪単価を分かっている管理組合の中心メンバー」ってのは確かにいないかも知れません。
理事会を何年も一生懸命やる人は、そのマンションに死ぬまで住むつもりなんですよ。だから「自分の家を今売ったらいくらになるのか?」っていうことにはちょっと疎いんじゃないかな。ゆくゆくは売り払うつもりとか住み替えるつもりな人は割と金額を意識している。特にのらえもんさんがメインで見てる湾岸エリア辺りだとそんな人が多いじゃないですか?
理事会を何年も一生懸命やる人は、そのマンションに死ぬまで住むつもりなんですよ。だから「自分の家を今売ったらいくらになるのか?」っていうことにはちょっと疎いんじゃないかな。ゆくゆくは売り払うつもりとか住み替えるつもりな人は割と金額を意識している。特にのらえもんさんがメインで見てる湾岸エリア辺りだとそんな人が多いじゃないですか?
多いですね。私のブログに来る相談メールも「いつ住み替えたらいいのだろう?」とかそんな視点ばっかりです。
そうすると「10年後くらいに値上がったところでお金をもらって出ていきます。10年間の家賃はただでした。」狙いの人たちにとっては、マンション管理ってあんまり関係ない。
ぶっちゃけ面倒くさそう。
確かに面倒くさい。でも「お値段の高いマンションなら高いマンションなりに差別化を維持するとか、ゴージャスさをキープしていかないとダメだ!」というのが私の考え方なんです。その辺りをこの対談で明らかにしていけたらと思ってます。
なるほど。僕は「マンション探訪オタク」としてのはるぶーさんしか知らないので、今日は期待してます!
管理組合と理事会、管理会社の違い
まずはじめに管理に関わるのって、基本的には管理組合と理事会と管理会社があります。この区別ってなんですか?
意外に管理会社と管理組合の区別がついてない人が多いです。まず管理組合の理事会って通常多くても月に1回しか開催されません。
管理組合と理事会は違いますよね。
オーナー(区分所有者)の集まりが管理組合。しかも強制加入です。年に1回総会やって決まりを作るんですけども、1年に1回しか決める場所がないと日頃のものが進んでいきません。そこで管理組合員の中から代表者を選んで、管理組合をより良く1年間運営していく組織が理事会です。
管理組合は何をするところかって、ざっくり言うと決まりを作るところなんですよ。要するに国会と一緒ですね。管理会社はその管理組合から委託を受けて毎日決まりに従ってものを進めていくところだから、政府、行政と一緒です。
管理組合は何をするところかって、ざっくり言うと決まりを作るところなんですよ。要するに国会と一緒ですね。管理会社はその管理組合から委託を受けて毎日決まりに従ってものを進めていくところだから、政府、行政と一緒です。
理事会が提案したものを管理組合が総会で承認して、それに基づいて行政府である管理会社が管理してくっていう形ですか。
基本的には理事会って立法の権限は無いんですよ。規約を変えたい時は必ず規約とか細則とか文章で残る形にして、その上で総会にかけて過半数とか4分の3とか取らなきゃいけない。総会に提案していくのが理事会の仕事ということになります。
「管理規約に書いてあるのにどうしてやってくれないんだ」っていう文句であれば管理会社に言ってもかまわないし、管理人さんに言ってもかまわないんだけど「規則が間違ってるよね」っていう文句を管理会社に言ってくる人がとても多いので、区別がついてないなあとは6年やってみて思いました。
「管理規約に書いてあるのにどうしてやってくれないんだ」っていう文句であれば管理会社に言ってもかまわないし、管理人さんに言ってもかまわないんだけど「規則が間違ってるよね」っていう文句を管理会社に言ってくる人がとても多いので、区別がついてないなあとは6年やってみて思いました。
住民の立場からすれば「なんでこのルールなんだ」と思う時、管理会社と理事会どちらに言えばいいか分かりませんね。
規約が悪いって管理会社に怒っても絶対変えようがないんで、管理会社はちょっと気の毒ではあります。
ルールを変えるのは理事会?
管理会社には絶対変えられないです。例えば「規約の教科書的な本にこう書いてあるのにこれが禁止されてるのはけしからん」と、管理会社に言ってもどうしようもないんですよ。ルールを変更するっていうのは規約の変更もしくは細則の変更になるので、管理組合にしか出来ない。理事会に言わなきゃダメ。
管理会社って何も出来ないんでしょって思うんですが。
変えることは出来ないですよ。でも何も出来ないって訳じゃない。「いま決まってる通りに腐らないようにキープする力」は管理会社のほうが強い。管理会社は守りには強いです、攻めるのは理事会の仕事ですね。
うちは管理人さんを4人雇ってます。朝から晩までずっといて住民の日常的にクレームを聞くのは管理会社しかできないんですよ。だから、窓口業務的に「こことここは問題起こっています」っていうことはきっちり理事会に伝えてもらう。それがルールの範囲内で処理できるのであれば処理してもらうとか。そういうのは管理会社の力次第です。管理会社がダメだったら、やっぱりどんなに管理組合が頑張ってもダメなんです。
うちは管理人さんを4人雇ってます。朝から晩までずっといて住民の日常的にクレームを聞くのは管理会社しかできないんですよ。だから、窓口業務的に「こことここは問題起こっています」っていうことはきっちり理事会に伝えてもらう。それがルールの範囲内で処理できるのであれば処理してもらうとか。そういうのは管理会社の力次第です。管理会社がダメだったら、やっぱりどんなに管理組合が頑張ってもダメなんです。
理事会役員はめんどくさい?何年に一回くらいするの?
私自身もそうですが、だいたいの人は「理事会役員は面倒くさい」と思ってます。抽選に当たっちゃって嫌々やる人も多いでしょう。そんな中、自ら進んで理事長を何年も続けられたはるぶーさんの見解はどうでしょう?
理事会の役員って大きなマンションになると、10人20人って必要になってきちゃうじゃないですか。「はい、私がやります!」っていう立候補の人だけで埋まるならいいけども、実際にはなかなかそうはならない。例えば、じゃんけんで負けたとか、輪番でたまたま部屋番号が101号室だったとか。理事会がそういう消極的理由の人たちで構成されてるとみんな面倒くさくなっちゃう。別にやりたかったわけでもないのに…と。
マンションって「鍵をかけてしまえばセキュリティーも完璧で、そのまま外国に出掛けても戸建てと違って心配が少ない」というのを期待して買ってる人も多いはずです。それがたまたま理事になって、初回理事会の席でじゃんけんに負けると下手すりゃ理事長になりかねない。けっこう大変なところがあるんだけど、買うときにはそんなこと全く考えてない。実は案外頻繁に理事会役員は回ってくるんですよね。
マンションって「鍵をかけてしまえばセキュリティーも完璧で、そのまま外国に出掛けても戸建てと違って心配が少ない」というのを期待して買ってる人も多いはずです。それがたまたま理事になって、初回理事会の席でじゃんけんに負けると下手すりゃ理事長になりかねない。けっこう大変なところがあるんだけど、買うときにはそんなこと全く考えてない。実は案外頻繁に理事会役員は回ってくるんですよね。
小さいマンション、例えば30~50戸とかだと頻繁にまわってきそうです。
30~50戸だと5年にいっぺんぐらい。100戸ぐらいで10年にいっぺん。メガマンションになると20年とか50年とか、下手すりゃ100年に1回ってマンションもあります。
大きいマンションの方が理事会役員の人数は多いんですか?
理事会の人数は戸数とともに多くなってはいきますが、人数比例まではとても増やせません。基本的にマンションっていうのは、12年に1回くらいの間隔で大規模修繕工事が有ります。100戸ぐらいの規模だと12で割り算して毎年8人とか9人、この人数で回していくと、ちょうど大規模修繕までに全員ひと回りします。戸数が少ないところではこんな風に「12年以内でひと回りするように人数が決まっている」ところがとっても多いです。
でも1000戸のマンションでそれやっちゃったら、いきなり100人規模の理事会になるわけで、そもそも全員が入れる部屋も無い。だから理事会の人数は大抵20人くらいで打ち止めです。うちは500戸ちょっとで20人。ところが1000戸、2000戸でもやっぱり20人なので、2000戸で20人だと100年に1回しかまわってこないことになります。
でも1000戸のマンションでそれやっちゃったら、いきなり100人規模の理事会になるわけで、そもそも全員が入れる部屋も無い。だから理事会の人数は大抵20人くらいで打ち止めです。うちは500戸ちょっとで20人。ところが1000戸、2000戸でもやっぱり20人なので、2000戸で20人だと100年に1回しかまわってこないことになります。
そうですね。2000戸規模ってほとんどない気もしますが(笑)
大きいマンションだと自分のマンション理事会が何をやってるのか一生知らずに過ごすことも可能です。
逆に30~50戸くらいの小さいマンションだと、結構回ってくるっていうのもそういうことなんでしょうね。
役職として理事長・副理事長・会計は必ず必要です。それとは別に監事。これで最低4人いるから、たとえ20戸でも4人は必ず必要になりなす。だから戸数が少ないマンションだと頻繁に回ってきます。
そもそもマンション理事会の役員って立候補できるの?
規模の大小で理事会に立候補する人の割合は変わりますか?
「立候補する人が発生する割合」は戸数によらず似たようなものだと思いますよ。「理事長でもなんでもやります!」っていう積極的な人が現れる割合って、まぁ数百戸に1人だと思うんです。例えばそれが200戸に1人だとすると、数十戸のマンションだと多くの場合一人も現れない。そこは運任せですね。ところが500戸、1000戸のマンションになると、ちらほらと何人かは必ず出てくる。そんな人をうまく取り入れることのできるシステムになっているかどうかは重要です。
500戸とか1000戸とかあっても、売り主の陰謀っていうのかな「部屋番号順での輪番以外では理事にはなれません」という初期設定になってるマンションもある。
500戸とか1000戸とかあっても、売り主の陰謀っていうのかな「部屋番号順での輪番以外では理事にはなれません」という初期設定になってるマンションもある。
理事に立候補したいという人は希少だけど、その立候補すら禁止するマンションがあるんですか?
初期設定で立候補を禁止しているマンションって結構あります。某電鉄系なんかでよく聞きますね。さすがに漢字で書く財閥系の有名な三井さん三菱さんとかで立候補禁止はほとんど聞いたことないです、住友さん東建さん野村さんとか、その辺までが漢字財閥系かな。
「立候補は一切禁止」と規約に書いてあると、その規約を総会で変えるまではずっと経験のない人で何十年も切り盛りしていくことになるんですが、これだけはやめといたほうがいいと、個人的には思います。
「立候補は一切禁止」と規約に書いてあると、その規約を総会で変えるまではずっと経験のない人で何十年も切り盛りしていくことになるんですが、これだけはやめといたほうがいいと、個人的には思います。
「理事に立候補することを禁止する規約」って住民にメリットありますか?
いやいや、売り主から見ると、私のようなうるさい人が永久に現れないので、なんでも好き放題やり放題が出来ちゃうんですよ。
管理会社が理事会をコントロールしやすい、リプレースされにくい、みたいなことですよね。
特に大きいマンションだと、1年じゃ管理会社リプレースってできないですよ。「この管理会社はひどい!だから代えましょう」って言って、見積もりを取りプロを雇って比較検討するために何社も呼んで話を聞くわけじゃないですか。時間をどんどん消耗します。最後に総会で承認してもらうことまで考えると、1年でリプレースは絶対無理です。
なるほど「立候補禁止は管理会社のため」と。なかなか普通だと気づかない視点ですね、でもそんなこと買う前に管理規約までチェックしないと分からなさそう。
当然、管理規約は契約前に全文チェックしますよ。
ほとんどの人はしないと思います。管理規約案が読めるのは重要事項説明の前ですか?
実際に契約のプロセスに進んで、最後の契約の印鑑を出す前に重要事項説明という、購入する前に必ず必要な手続きがあります。その時に「管理規約案」のサンプルが提示されるので、一応見たほうが良いです。全部見る必要はありません。世の中、国土交通省が決めた「標準管理規約」がありますので、それとどこが違うかって聞いたほうが早いかもしれない。
例えばよくあるパターンでは、誰が理事になれるかのルールです。「立候補は受けず輪番だけで回していきます」と明確に書いてあったりします。レベル低めの管理組合には規約の変更はとても無理なので、もう未来永劫、売り主系列の管理会社で囲い込めるから彼らにとってはとてもお得です。管理規約に最初から管理会社名が書いてあるとその変更も全戸の3/4での「特別多数決議」になります。いまだにそんな設定をしている管理会社って結構ありますよ。
例えばよくあるパターンでは、誰が理事になれるかのルールです。「立候補は受けず輪番だけで回していきます」と明確に書いてあったりします。レベル低めの管理組合には規約の変更はとても無理なので、もう未来永劫、売り主系列の管理会社で囲い込めるから彼らにとってはとてもお得です。管理規約に最初から管理会社名が書いてあるとその変更も全戸の3/4での「特別多数決議」になります。いまだにそんな設定をしている管理会社って結構ありますよ。
そういうマンションは、はるぶーさん買わないですよね。
もう絶対買わないです。
自分たちで自分の持ち物のコントロールできなくなるから?
いざって時にコントロールできないのは嫌だなと。
「どうせならマンションの理事長になりなさい(はるぶー談)」
「どうせならマンションの理事長になりなさい(はるぶー談)」
さて、この対談は、マンションコミュニティー掲示板に掲載される予定です。新築マンションをこれから買う人、契約して入居を待っている沢山の人がこの記事を読むと思います。読んでいる皆さんに第1期の理事に立候補してもらいたいと思いますか?
ぜひとも立候補して欲しいとは思ってます。やっぱりマンションコミュニティーの掲示板読んでる人って、すごく資産価値に敏感というか「このマンションは高く売れるから買って損しないかな?」という観点からの感度が高い人だと思うんです。買うか買わないかは自分でコントロール出来ますが「理事会がボロボロで修理とかなにもしなくて共有部を腐らせちゃった」とか、自分がコントロールできないところで、自分のマンションの価値が下がっていく可能性があるわけです。それを防ぐためには理事会に入って、コアな役員、はっきり言っちゃえば、理事長までやらないと自分が思った方向には進められないんじゃないかと。
でも、いきなり理事長ってハードじゃないですか?
理事会で何を議論するかは議長の理事長が決めるわけですから理事長の意向って大きいです。マンションコミュニティーの掲示板だって、やっぱり人気のマンション、例えば湾岸とか、武蔵小杉とかのマンションのスレッドってものすごい伸びてるじゃないですか。「いくらで売れる」とか「値段がキープできる」とか「上がってくれる」とかっていう資産価値向上に関心の高い人がたくさん住んでいると思うので、その延長線上で「防衛的に値段を守る」とか、あるいは「共有部とかを凄くきれいにキープする」とか「ど派手なことをぶち上げて値段を上げる」とか、そういう風に自分でマンションの価値を守り高める方向に関心を持ってくれれば嬉しいなと思ってます。
この対談前に近所の住民掲示板をざっと見ましたが「理事会は何もしてくれない」とか、そういう愚痴っぽい書き込みも沢山みかけます。そういうの健全じゃないですよね。そこまで書くなら自分で解決したらいいと僕も思う。
そうです。文句を言うのだったら自分でやっちゃったほうが早いと。特に住民掲示板の一部って、凄くネガティブな怨念みたいなものを感じてしまいます。問題があるなら自分で解決しちゃったほうがハッピーになれるのにって、私はいつも読んでて思うんですけれども。
管理組合はやっぱり権力は持ってるんですよね。管理会社替えちゃったり。
管理会社の変更は総会で過半数を集めるだけで出来ますから、その気になれば簡単です。
共有部を外部に貸し出して稼ごうとか。
そういうこともやろうと思えば出来ます。ただ「全くの他人に共有部を貸し出す」っていうのは法律的に結構難しいです。「ゲストルームが余ってるから外に貸し出そう」っていっても、法律とかの縛りもいろいろあるので、必ずしも自由にできるとは限りません。管理会社が頑張れば今と同じ状態をキープすることはできるけど、ルールを変えることはできないので、今より良くすることは絶対できません。だからなんにもしてくれない理事会だと、絶対今よりは良くはならないんです。そこは重要なポイントですね。
「今がどうなってる」とかってたぶんみんな分かってない気がするんですよ。要するに「買いました、入居しました、以上。」でそれ以上のことは分からない。でも管理組合の理事長になれば「ここ変えたほうが良いよね」とか、そういうことが見えてくるっていうお話ですよね。マンションの初期設定が必ずしもベストでないことが多いことに気が付くと。
まあそうですね。駐輪場、駐車場とかの台数の余り具合とか値段設定とか、たいてい必ずしも適正とは言えないです。例えば「駐輪場は全然足りないけど、駐車場はたくさん余ってる」とか、そんなことは次々起こってくるわけです。そうなった時に、初期設定のままでいいのか、それとも攻めるのかと。
駐車場が余ってる、でも各戸1台までしか借りられないというルールだったら「2台目、3台目も貸します」っていうルールを作っていい。足りないのなら「毎年抽選をします」っていうルールを作って公平にしたっていい。だいたいマンション入居当初って毎年子供がぼこぼこ生まれてくるんですよ。私のマンションは約500戸ですけど、毎年50人生まれてくる。新築のマンションでも、高額なマンションは熟年層が入るんですけど、普通の値段のマンションだと10戸に1人の割合で入った最初の年からしばらくの間、毎年子どもが生まれてくるわけです。いまは駐輪場が足りていても、いずれ毎年50台ずつ自転車の需要が増えてくることになる。これを理事会が解決できないとぐちゃぐちゃになります。「整理しましょう」とか「レンタサイクルを導入しましょう」とか、そんなことは理事会が総会提案しなきゃできない。
駐車場が余ってる、でも各戸1台までしか借りられないというルールだったら「2台目、3台目も貸します」っていうルールを作っていい。足りないのなら「毎年抽選をします」っていうルールを作って公平にしたっていい。だいたいマンション入居当初って毎年子供がぼこぼこ生まれてくるんですよ。私のマンションは約500戸ですけど、毎年50人生まれてくる。新築のマンションでも、高額なマンションは熟年層が入るんですけど、普通の値段のマンションだと10戸に1人の割合で入った最初の年からしばらくの間、毎年子どもが生まれてくるわけです。いまは駐輪場が足りていても、いずれ毎年50台ずつ自転車の需要が増えてくることになる。これを理事会が解決できないとぐちゃぐちゃになります。「整理しましょう」とか「レンタサイクルを導入しましょう」とか、そんなことは理事会が総会提案しなきゃできない。
どこのマンションも初期入居時点では子どもがいる家庭は少ないから駐輪場が余ってるけど、加速度的に駐輪場の需要が増えてくわけですね。
そうですね。特にマンション買うようなちょっとリッチな親って、小さな子供を自転車に乗っけるのに必ずものすごい立派な椅子をつけます。うちは上下段のラック式なんですが、下の段に立派な椅子の付いているママチャリが有ると、上の段には自転車が置けなくなる。椅子にぶつかるんです。左右にも置けなくなっちゃう。でかいママチャリの両脇と上が使えなくなるんで、結果ママチャリ1台で4台分の場所を取っちゃうわけです。自分のマンションでは理事会主導で「ママチャリだけ別の場所に追い出す」事でその問題を解決しました。
マンション全体としてのライフスタイルの変化によってカスタマイズしていかないと、ベストな状態をキープできないっていうことですね。だんだん合わなくなってくる。
そうですね。
キープするためには、理事長になっちゃいましょうと。
せめて理事会には入って、いろいろとやるといいんじゃないかなと思います。
メリットは凄く有りますね。
理事会に自ら立候補するメリットとは
でも、マンション全体にはメリットがあっても時間がものすごく取られそうです。他に理事会に入るメリットってありますか?
特に大きなマンションだと豪華な共有部がいろいろ付いていますが「運用ルールが気に入らないから変えたい」とか「マナーの悪いやつがいっぱいいるけどなんとか駆逐したい」とか、いくらクレームを紙に書いて出したって、自分が担当理事じゃなかったらなかなか実現できない。「変な停め方をしている自転車が区画からはみ出しててけしからん」と思ったら、自分が共有部の担当理事になった上で管理会社の人つかまえて「ほら、こいつに警告の紙を貼っとけ」ってやればいいわけでしょ。だから、いつもマンションの中のことで怒ってるような人はぜひ理事になったほうがいいと思うんです。そうじゃないと単なるクレーマーで終わっちゃう。
クレーマーになるくらいだったら、そのパワーを良い方向に使おう!みたいなことですね(笑)
そう。もう一つのメリットは、自分のやりたい時に理事になれること。立候補で理事になるパターンだと「いつかは役員をしないといけないという義務」を好きな時に果たしておくことができますね。
実利的な話で言っちゃうと、例えば「輪番でやると12年目に理事になることが分かっている人は“先にやっておいたほうが得”」なんですよ。大きなお金の動く時期でない時に理事やったほうが、大規模修繕の時期に理事やるよりもずっと楽ですから。メガマンションの大規模修繕だと何億円ってお金が動くので、理事会の負担も当然その時期には特に重くなります。
実利的な話で言っちゃうと、例えば「輪番でやると12年目に理事になることが分かっている人は“先にやっておいたほうが得”」なんですよ。大きなお金の動く時期でない時に理事やったほうが、大規模修繕の時期に理事やるよりもずっと楽ですから。メガマンションの大規模修繕だと何億円ってお金が動くので、理事会の負担も当然その時期には特に重くなります。
なんかPTA役員っぽいですね。「義務だから楽な年にやっとこう」的な。
そうそう。PTAの役員って、小学校6年生と1年生はやっちゃいけないってことになってるじゃないですか。
いや、世間一般ではなってはないと思いますが(笑)
それと同じように輪番だと、何年目に自分が理事になるか読めます。先に立候補してこれは避けるっていうことも、私はやって構わないとだと思います。ちょうど輪番の時期に忙しかったり、子どもが入試の年に理事会で大規模修繕やったりしたら体がもたないと私も思う。うちのルールは立候補優先で、輪番を前倒しで済ませておくと、輪番では飛ばしてもらえるルールにしてます。そういうのは有りだと思うんですよ。
「立候補を受ける」とか「立候補したら輪番を回さない」とかはマンション毎に設定されているルールがいろいろ違っているので、それぞれのマンション毎に考えないといけません。立候補者がいっぱい出てくるマンションなら、あんまり輪番の細かいルールを考えなくてもいいわけです。湾岸とかの意識の高いマンションでは、人数の上限を超えて立候補者が来ちゃうので、立候補者がじゃんけんをして、誰が理事になれるか決めたっていう事例まで聞いたこともあります。
「立候補を受ける」とか「立候補したら輪番を回さない」とかはマンション毎に設定されているルールがいろいろ違っているので、それぞれのマンション毎に考えないといけません。立候補者がいっぱい出てくるマンションなら、あんまり輪番の細かいルールを考えなくてもいいわけです。湾岸とかの意識の高いマンションでは、人数の上限を超えて立候補者が来ちゃうので、立候補者がじゃんけんをして、誰が理事になれるか決めたっていう事例まで聞いたこともあります。
意識高いですね。
小さいマンションだったんですけど、なんとなく集まった人たちで「我々で管理組合を牛耳ろう」って示し合わせて、全員で立候補して1年目にいろんな矛盾点とかを全部見つけだそうとしたことがあります。その時は管理会社替えちゃおうかぐらいの話までやったんで、結構権力が有るんだなとは思いました。
管理組合は基本が直接民主制で、大事なことは理事会が提案するけど必ず総会で議案として諮ります。だから理事会は決定権が無いような感じに錯覚されがちなんだけど、何を議案として総会に出すかっていうのは、もう理事会権限であり、理事長とかがどんどん指揮とって決めるものなので、やっぱり影響は大きいです。よほどのことがなければ総会に出した議案はかなりの確率で通せますから。
あと輪番のルールって、さっきいった101とかからスタートするのが多いんですか。
理事というのは義務でもありますが権利でもあるので、輪番をブロック割りするとなると各ブロックの戸数の公平性を考えないといけない。例えば役員が10人だとして、100戸だったら10戸ずつでぴったり同じ戸数になるように切ります。101の次は102で、と若い番号から順に決めていくマンションは多いです。だから、101っていう部屋番号はよほど覚悟して買わないと。買ってすぐに理事になる率が非常に高いです。実は1期の理事の“詳細な決め方”まで規約などで決まっているマンションは少ないですが。
確率は高いってことですね。面倒くさいんだったら101号室は避けたほうがいいかもしれないですね。
そうですね。
理事長はつらいよ
はるぶーさんは、理事会に立候補して自ら理事長になられたわけですけど、理事長の感想をお聞かせください。
向き不向きがあって、私は500戸規模のメガマンションの1期と2期の理事長をやったんですけれども「理事会に向いてる」っていうのと「理事長に向いてる」っていうのはまた全然違うんだなって思いました。特にメガマンションの理事長は、20人とかの理事会を率いていくので「理事長の本当の相手は数字や規約の条文じゃなくて個々の人間なんだ」ってことを理解してないと、けっこうアンハッピーなことになるケースが多い。
理事会の中で孤立しちゃったりする理事長さんは、管理規約とか、マンション関連の法律とかに詳しかったりする人にかえって多いです。とても難しい「マンション管理士試験」とかを受かっちゃうような理事長さん。「これが正しいんだ!」とか言ってその方向にどーっと突っ走って進んじゃう。でもメガマンションだと理事会って20人ぐらいいるから理事長さんが一人で突っ走っちゃうと、後の19人は遊んでる状態になっちゃう。
これは典型的な失敗例で、そうじゃなくて、本当のメガマンションの理事長は人間力なんですよ。私、2年でそれ分かったんで、後は理事長はやらないようにしてます。私は難しい話は得意ですけども「みんなで一緒にやろうよ」っていうのがなかなか出来ないから。理事長に必要なのは一緒に飲む力。
理事会の中で孤立しちゃったりする理事長さんは、管理規約とか、マンション関連の法律とかに詳しかったりする人にかえって多いです。とても難しい「マンション管理士試験」とかを受かっちゃうような理事長さん。「これが正しいんだ!」とか言ってその方向にどーっと突っ走って進んじゃう。でもメガマンションだと理事会って20人ぐらいいるから理事長さんが一人で突っ走っちゃうと、後の19人は遊んでる状態になっちゃう。
これは典型的な失敗例で、そうじゃなくて、本当のメガマンションの理事長は人間力なんですよ。私、2年でそれ分かったんで、後は理事長はやらないようにしてます。私は難しい話は得意ですけども「みんなで一緒にやろうよ」っていうのがなかなか出来ないから。理事長に必要なのは一緒に飲む力。
一番大事なのは。飲みニケーションですか?意外ですがなんとなくわかる。
酒飲むの大事ですよ。理事20人全員が義務でやってるんだと思ったらお互いに押し付けあうだけで誰も働かないですよ。理事会の後で懇親会やって「俺たちのマンションでほっとくと管理会社に2倍高い見積もりを次々に持って来られてぼられちゃうから順番にみんなで戦おうぜ!」とか、共通の敵を作って盛り上がるじゃないですか。そうなると、理事さんたちが順番にいろんな会社に電話して「もっと安い会社はないかな」とか「いや、こんな専門家を見つけたぞ!」とか、そういうのを皆次々と見つけてきます。やっぱりそういう「人を繋いでいく力みたいなものが有るか無いか」で理事長向きかどうかは変わってくるんじゃないかなと思います。率直にいって、私はあんまりその力はありません。
つまり、RJC48(管理組合理事長勉強会)を率いながら、実は理事長には向いてないはるぶーさん(笑)
そうそう。向いてないんだから仕方ない。
でも、理事には向いてる。
理事には向いてると思います。黒幕的にお金とか建物とか、やっぱりマンションおたく的なことをサポートしてますね。自分が詳しいっていうより、いい知り合いとか志高いプロと、どんどん名刺交換して多数知り合いになってると強いですね。そのためにRJC48を立ち上げた。
マンションって、物が壊れた~人が違反して~訴えられた~、とあらゆる問題が多方面に起こってくる。マンション管理って建築とか法律とか経理とか、実に多方面の専門知識が要求されるんです。でも建築士で弁護士で会計士ですなんて超人はいませんから。そうすると理事会のトップに必要な能力って、ジェネラリストっていうか、なんでもそこそこには理解していて、相談すべきプロの相手を次々見つけられる能力だと思うわけです。
マンションって、物が壊れた~人が違反して~訴えられた~、とあらゆる問題が多方面に起こってくる。マンション管理って建築とか法律とか経理とか、実に多方面の専門知識が要求されるんです。でも建築士で弁護士で会計士ですなんて超人はいませんから。そうすると理事会のトップに必要な能力って、ジェネラリストっていうか、なんでもそこそこには理解していて、相談すべきプロの相手を次々見つけられる能力だと思うわけです。
次回の対談 は・・・
次回は、理事会運営の中身について具体的に語っていただきます。理事会の手でマンションの資産価値を上げる方法については必見!