不適切コンサルの「調整がばれちゃった」事例

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のらえもんがTwitter であんまり書かないブロガーは除名あるいは忘年会でのメシ抜きとか脅すもんでお題募って2時間1本勝負。

こちらの続編です。未読でしたら先に読んでくださいませ。

不適切コンサルタント問題について】 https://www.sumu-log.com/archives/8655/

不適切コンサルとは?

「設計監理方式」による大規模な工事では、工事の設計をして監理を実施するコンサルに支払うコストよりも、施工会社への支払いが桁違いに高くなるのを利用して、選定された会社からバックリベートを貰う慣習が横行している。官製談合とは違って違法とは言い切れないけど適切ではないから”不適切コンサルタント”問題と呼ばれる。



管理組合側は、施工会社にはしっかりと、しかも安くで工事をしてほしい
施行会社は、組合には煩く工事に注文はつけずにしっかりお金は払ってほしい
わけですから両方の関係は完全に”利益相反”です。
プロはお金払ってくれる人のために仕事するわけですから、同じ仕事で2か所からお金貰ってしまうのはダメですよね。

ゴルゴ13も言ってます:

おまえ……プロの掟を知っているな? プロは二重に仕事をひきうけないことだ……

主に以下の2点が理由。元をただせば理事会側にも一定の責任はある:
① コンサル選定も組合のコンペ対象なので、一番安いだけで会社を組合が選ぶとペイパックがないと食っていけない値段の会社しか通らない悪貨が良貨を駆逐する問題。
② 組合理事会がなぜか”工事会社”の選定をコントロールしないで丸なげしてしまう問題。

実際はなかなか証拠を押さえるのは難しい

一方でバックリベートを受け取っているでしょうという以下の事例はとても大手の設計事務所です。多くの組合の窓口となって多くの工事を差配することで有利な立場に立っていますから、コンサルを頼まないで直接管理会社などに責任施工方式で頼んだ場合と比較してより安価な見積もりを”ペイバック”をとった後でも出してくる場合も結構多い。そのくらい管理会社にお任せで頼んだ工事ってのは割高なことが多いとも言えます。

実際に”バックリベート”があったかどうかなんて証拠を示すことは難しいし、なんらかの選定謝礼を貰っていると思われる事例が余りに多いことから、結果の総コストが適正であればバックリベートの存在は気にしないと言い切る理事長さんも結構います。バックがないことを保証するなんてのは理事会の義務ではありえないわけだし。

Twitterでこんな質問をしてみたことが:

結果は400人程度で結構半々。条件は”理事長だったら”ですからね。志が高いだけでBを選べるかどうか。実際リベートをとっているかどうかは理事会からは見えませんし。

値段を見ていくと、下で事例にでてくる”悪徳系”コンサルも工事の総コストでは結構頑張ってみつけてきたなという事例も多くて、下手すると1割弱くらいバックをもらっていてもそれを上回るコストカットを俺たちは提供しているくらいに考えているかもしれません。

談合調整のばれた事例

理事長は集まっての飲み会大好き。理事長は必然的に沢山の会社を相手にするので、飲み会でアルコールが入ると割と会社名実名トーク全開。

そこで一人の理事長が・・・酷いんだよ~とかで紹介してほか全員耳がダンボに。まぁどうみても絶対談合というか情報を回していなければ起こりえない典型的な事例でまぁこれは真っ黒認定でしょう。

① 実施設計の仕様を決めて、価格の目途を示すために工事個所数/実施面積にその単価などをずらーっと入れてあるExcelシートをコンサルは事前に用意します。それを理事会は受け取って、入札の場での会社見積もりの参考資料として入札の場では個別に、コンサルのだした設計目途の価格との比較をしています。
② 通常コンサルは、理事会にはそのシートをそのまま提出し、施工への入札を希望する施工会社には、”工事個所数・面積”はそのまま残して、”単価”の部分はあなたがいれてくださいとしてブランクに数字を抜いてから「理事会以外」には渡すのが本来的な姿です。
③ くだんのマンションの見積もりで、コンサル側のミスで施工面積は正しいが、施工単価が他と比較して1桁多く間違えて予想価格が見積もられている箇所があった。その理事会はわざと指摘せずに何が起こるか”観察”することに。
④ 7-8社が参加した見積もりでは”ほぼ全社”が一桁間違えたまんまその項目については本来あるべき設計価格をの10倍の見積もりで提出してきた。
⑤ しかも最終的に勝った会社は、入札締め切り直前に”コンサル会社に駆け込みでやってきて提出して” 見積もりを差し替えた。
とかを赤裸々にその大規模修繕委員会の委員長さんは説明。

どうみても、もうあなたはいくらで出してねってのを全部細目までコンサル側が入力してから全社に出していなかったら全員が同じ個所で計算ミスろするってのはおこりえないわけです。経緯に関心があって、さてどうなったかはききませんでしたが私ならコンサルおよび見積もり提出全社を不合格として0からやり直しかな。

今はネットだのオフ会だので簡単に理事長同士が横に繋がっていける時代なわけで、悪い噂の広がる速度はとてつもなく速い。飲み会に出ていた理事長さんは皆耳がダンボで聞いていたわけで、コンサル選定で呼ばない会社リストに心の中でいれたのではないかなとは。直近にうちでもかなり大きなコンサル起用案件があったのですが、いうまでもなく上の事実を述べて、その会社は一次予選の時点で排除しました。理事長の飲み会とか、憂さ晴らしばかりかと思うと結構役にたつわけです。

合計金額でなく、細目にわけて内訳をみる

管理会社との委託経費の交渉などでもそうなのですが、何らかの嘘のある見積もりをつくりこもうとすると、総額だけならなんとかなっても、細かい細目に数字がわかれていくほどに嘘をつくりこむのが難しくなってきます。
上の”ばれた”事例も細かく分かれていたから理事会側もチェックして”わくわく”とか待つことができたわけで、総額だけ見て選んでいたら気が付かなかったでしょう。

バックリベートでの談合つくりこみは”チャンピオン”が一番安くなるように決めた後で残りの会社の見積もりはコンサルがより合計額が高くなるように仕切るわけなのですが個別細目の”散らし方”が下手なケースがまま見られます。本当は施工会社ごとにどこを内製化していてどこが外注で孫請けとかなるかで”得手不得手”があるものです。足場は高くつくけど、防水工事は得意なので激安など。どうせ当て馬で負けるための見積もりなのでそのあたりをコンサル側が反映しないので、負けた会社は一律1割だけ高いとか変なことになりやすいわけです。

下の図はうちでやった数千万の工事を項目別にわけて、参加6社の見積もりがコンサル(この回は管理会社自身にお任せしていましたが)の設計価格ー赤い横棒ーの何倍かを示しているものです。まぁ多分談合はできなかっただろうな(どうやって防ぐかの話はまた次回)という場合。会社毎の”得手不得手”がでるんで凸凹しているのが普通なんですよね。



<工事の”項目ごと”に設計価格の何倍かを見ることが大事>

あなたの会社はこの工事部署だけ高いからおまけしてよとか言われるのがいやなので大抵チャンピオンは額の大きなものは細目レベルでもチャンピオンになるように嘘は作りこむので、このように見ると談合ありだと無理がでやすい。

管理会社が工事の取得ノルマにさらにリベートを載せた例

管理会社が担当者(フロント)に工事ノルマを貸して、例え設計事務所を紹介する場合でも今度は”設計事務所”と”管理会社”で一定額を抜くというスキームを管理会社の中の人として実施していた例を実際にやっていた人の名乗り出を、大手新聞に紹介したことがあります。

この管理会社は他から管理受託をリプレースでとってくるのが中心な会社なので管理費関連の委託報酬の利幅が少ないために工事ノルマの存在があることが知られているところで、内部告発というか、中の人に話を訊いた例が複数人あるので多分以下のことも本当。数字まで割と一致してました。

①大規模修繕が発生して比較的管理会社の言う通りになるマンションで、管理会社独自のコンサルを推さずに設計事務所を紹介し、見返りにチャンピオンと言われる施工業者から設計会社と管理会社で手数料を折半する。
②多い時でお互いに施工金額の10パーセント、少なくとも互いに5パーセントは抜く。
③勤務先の管理会社からはやり方はどうであれ、元請で工事が取れないのであれば手数料を取ってこい(取ってこないとボーナスから天引きあり)という指示がある。
・・・某経済新聞に紹介したので記事になるかもしれないしならないかもしれない。長い目で見ると管理費の総額~積立金実施の工事総額ですから、管理費の側で1割程度のダンピングをしても、工事を息のかかったところにコントロールできればまぁとんとんにはもっていけるし、管理費のうちわけより工事費のほうが素人目には判定が難しく「盛り易い」のは確かでしょう。

管理会社に任せず、どこか設計事務所に設計監理をさせるとしても”管理会社にその会社の紹介”を受けるとまずいこともあるということで、普通の人は施工会社やましてやコンサルとか名前も知りませんから少し事前にお勉強しておく必要はあります。
すごく大手の施行会社と、設計管理会社で犬猿の仲で絶対一緒に組んで、施工管理ー施工の組に入ることはないね・・・とかじーっと組み合わせを見ていると見えてくるものもあります。

良心的なら疑われない方法論に気を遣うはず

うちの規模で大規模修繕工事は1回10億ちかいこともあり(超高層認定なのでちょっとお高め。足場がね)そこでずるして抜いてないか?とか言われると営繕部門の責任者の私はまだしも家族がかわいそうです。

理事が疑われないために何をしているかを考えれば、コンサルだって良心的だと信じてほしいならやることは同じはずです。それは”私はずるをしません!”とホームページに宣伝することでもなければ、コンサル会社が連合つくることでもない。
まともなコンサルは理事会に ”理事会に対して身の潔白を極力証明可能な方法”を求めてくるはずです。既に長いのでここは次回に。

不適切コンサルが主導する”談合?”のスキームについて”アエラ”の挿絵を勝手拝借させていただきました。記事もとても参考になるものです。是非。

被害2億円も!「修繕積立金トラブル」の実際
 ~悪質コンサルに巻き上げられる
http://toyokeizai.net/articles/-/172813

本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

 

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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