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普通に2m巾とかのバルコニーのついているタワマンは「灼熱地獄」ってことはないのでは?って質問へのお便り返し。2名指名ですが、のらえもんさんの了解を得てお返事は私から。多少アイキャッチな大げさなタイトルなのはご容赦くださいね(でないと誰も…)

質問は

差出人: タワマン勉強中

誰に答えて欲しいですか?
のらえもん, はるぶー

地方都市に暮らすおじさんです。
マンションの知識はほぼゼロで新築のタワマンを契約(年末に入居予定)してしまい遅まきながら勉強中です。

本題の質問ですが、タワマンは夏暑いと言う記事を良くみかけますが
逆梁アウトフレーム工法で外壁やダイレクトウィンドウの日射で暑いのは納得です。
しかし、順梁+手摺バルコニーの場合 バルコニーが庇となるので2mもあれば夏場は朝晩を除いて窓から直射日光は入りません。
戸建てでも庇が2mの住宅はまず無いので 日当たりの良い戸建てよりむしろ涼しいのではなどと思えます。

「タワマンに限らず、外壁や窓が直射日光に曝される構造だと日射負荷が大きいので暑くなりがち、
順梁+外周バルコニーで十分な奥行があり庇になる構造だと(最上階以外は)日射負荷は小さくて特別に暑いことはない」
が正解に思えるのですがいかがでしょうか?

ps.

1. 庇の長さの部分は以下のホームページを参考にしています。
https://sumai-sekkei.com/plactical/hisashi-length.html

2. のらえもんxはるぶー対談その2の 『タワマンはそもそも贅沢品なんだから、「修繕費が高い、管理費が高い、だから買わない!」と言う人はそもそもタワマンに向いてない。』は耳が痛かったですがめっちゃ納得しました。
庶民なのに贅沢品を買ってしまったのですが、吹付けタイルで(ほぼ)全周バルコニーなので修繕費は安いかもと安心?しました。



奥行の大きなバルコニーの利点・欠点

もともとマンションに大きなバルコニーをつけるのは日本のお家芸みたいなところがあり、伝統的日本家屋には縁側があるってのを引きついているものかなと。ヨーロッパ風(韓国なんかもそう?)外断熱とかをやるには不利ですしね。
その趣旨も、まさにおっしゃる通りで、太陽の南中高度の高い夏の日差しは直接家の中にはいれずに、冬は中まで日照をとりましょうというものだと思います。

大抵の板マンは真南向けにバルコニー面をつけていますから、奥行きの上限2mまで(これを超えると、容積率に算入されてしまうので殆どのケースでバルコニーの奥行は2m以下です)のバルコニーがある場合、夏の正午近くの一番熱くなる時間に部屋の中に直射日光が入るということは起こりません。タワマンでもこれは考え方としては同じ。

タワマンであることのメリットの最大のものは”眺めがいいこと”ですから、リビングや居室の先に、幅の広いバルコニーがあるというのはその点ではあんまりありがたいとは言えません。逆梁の工法なら腰高のカウンターをつけるとか、順梁でも、角部屋などでは角は目いっぱいまで部屋にして、できるだけ大きなFIXの窓をとりつけたほうがタワーらしい景色とか解放感は味わえます。高層階は風も強くなりますし、窓が直接外に面してついていたときにその窓を開けたいとかの必要もないですしね。

このケースで特に南向きの部屋で、リビングを2面全面ガラス張りとかすると、やはり日照は強烈で、夏はなにも空調つけないと灼熱地獄なんてのはよくある話です。知り合いで横浜のタワーの真南角高層って人がいますが、いつも空調は冷房で、天井にめりこんでいるカセット式のを、冬は1台、夏は2台冷房で運転していますとかきいたことはあります。日の差す時間はカーテン閉めればいいじゃね?とかいうと、景色が見えなくなってなんか負けた気分だから、それは嫌・・・だとかで、熱はあんまりヘビーに熱のでるクッキングはしないとか。

下写真ではガラスにフィルムを施工していますが、リビングにクーラー2台設置ですよね。1台のパワーじゃ真夏に対応しきればいいという計算で2台ついているわけで、デベも考えもなしに高額の天カセを2台設置しているわけではない。


タワマンに固有の条件とは?

  1. 西日の問題 板マンの場合、ずらっと部屋の主な開口面の方角は同じですが、タワマンは断面が真四角で、なかに空洞(ボイド)があいている設計が多い。東西南北4方向ができちゃうわけです。このうち”南”側については、板マンと同じで幅広のバルコニーがついているなら上の部屋のバルコニーが庇になって夏灼熱問題は起こりにくいですが、東ととくに西向きはそうもいかない。西日は太陽の角度は低くなってるから、割と直撃です。大きな窓があるなら結構きついです。タワマンは、下の図のように、他のマンションが西日を遮ってくれるも期待しにくいですし。
  2. ツインタワーなどでお見合い回避で45度回転 タワーの場合、ツインタワーなどが典型ですが、近くの建物とのお見合い回避ってのが重要視されることも多くて、もともと東西南北に45度回して配棟してある場合も多く、この場合中住戸は”真南”って部屋はないから、質問者の方が思っているほど”日射が入らない”とはなりにくくなるほかに、角部屋(東ー南ー西)にはかなり長時間に日光が入ってきます。冬はまぁいいけど、夏は厳しいことがあるかも
  3. 角部屋の角はリビングでどかっとガラス張りになりやすい タワマンは、壁で構造をささえるものではないので、構造を梁と柱で作ってもたせてしまえば大きな開口部を確保しやすい。きょうびモデルルームにやってきた、マンションオタクが2XXcmのハイサッシが低いの高いTwitterに書き込んだりして、かまびすしいですから巨大FIX窓になりがち。タワーの角部屋は、遮熱設計上は不利になるわけで、角だけガラスをLow-E化したりして頑張るとかありますが、もともと集合住宅の熱の出入りは圧倒的に開口部中心、どかっとガラス窓だけ見えますという部屋したら、光熱費は覚悟するしかありません。


※のらえもん大先生の著書からですが、いくら超高層階に棲んでいても太陽の光が地平線の下からくることはないと思うの・・・

対処方法

最近は、窓のLow-E化などは進んできていて、ほんの10年程度前だとタワーでも角部屋のみの対応だったのが(省エネの基準などは、全部の部屋のうちで一番条件が悪いやつがクリアしてないとマンション全体に表記できない)今は全ての窓に対応ってのは珍しくなくなりました。これは、最初っからそうなっているのを選ぶしかないわけですが。

その他に自分で簡単に対応できるものでは、ガラスフィルムの施工があります。西日や、冬の日差しなどはかなり部屋の中に入りますが、どんな安価なフィルムでも紫外線を止める機能はあるので、家具や、フローリングなどの日焼け防止にはやはりガラス面にはフィルム施工したいもの。

ちょっとお値段は高くなりますが、可視光は90%近く通すほぼ透明なフィルムでも、紫外線を止めるほかに、熱を伝える赤外線の波長域の吸収・反射のい多機能柄のフィルムはでていて、おおくの場合オプションあるいは自分での施工です。
財政的に立地な自治体によっては(確か都内では港区などがそう)フィルムの施工費用に助成金の制度もありますから、是非調べて施工してみましょう。

”なんのためにタワマンにしたのか”も大事にね

直射日光がいやぁ・・とか、窓がでかくて冬寒いとかなら分厚いカーテンをつければかなり問題は解決できます。私のうちにもカーテンはありますが、実は閉めることはありません。せっかくスカイツリーが正面に見える部屋を買ったし、1Km以内とかに自分の部屋より高い居室のあるマンションとかないから夜でものぞかっる心配がない高さを選んだ(20階より上です)わけで、いつでも景色を楽しむぞ!で光熱費がかかるならがんがんエアコン運転すればいいじゃんが私の考えです。

灼熱地獄かも?ってのは、なんらかのタワマンなりの気持ちよさとかメリットとのトレードオフなわけですから(例え、低層お見合いの部屋でも大抵駅直近とかで、その地区ナンバーワン的なマンションであることのメリットは全戸で享受しています;屋上いけばでかいラウンジがあるとかね)普通よりはるかに高くなるタワマンをわざわざ不便に設計するわけもなく、多くは”メリットとのトレードオフ”なわけです。タワマンであることで、光熱費が高いとか、管理費・積立金とかの維持費がちょっと上がるってのがいやなら、板マンにしておけばいいのに・・・とか思わないでもない。

のらえもんxはるぶー対談お読みいただきありがとうございました。なんかボーイズラブで私が”ネコ”役とか連想してちょっと・・・ってタイトルなんですが。

書かれている通り、タワマンは管理費も、積立金も普通の板マンより高くなります。

積立金はなにせ工事の足場が特殊ですから、最近の国交省のガイドラインで、板マンの+30%とかが必要となる積立金相場です。殆どのタワマンが10期くらいまで激しく積立不足ですが、これは実は板マンも同じ。

タワマンの多くで、防災センターへの法的な常駐義務がありますから、2人を防災センターに配置したら今時はどうやっても月200万円の人件費が”戸数によらずに”かかります。200戸なら+1万円/戸、400戸なら+5000円/戸それだけで管理費は高くなります。
さらに多くは特殊仕様になるエレベーターの保守費用は、おおむねマンションの高さに比例します。(保守の値段は大体速さに比例するんだけど、どのマンションでも最上階までは1分で着ける速さを選ぶから)

この結果として、積立金が均等化した後では、タワマンでは多くのケース(例外は駐車場でぼろもうけしているケース)で1㎡あたり600-700円の管理費+積立金の合計額として必要になりますが、これは普通の板マンでも400-500円はかかるものなので、どのみち初期設定では足りてないから将来爆上げになるという”将来みこまれる値上げ幅”は大きくは変わりません。同じだけ値上げされて払えないのはどっちかというと板マンのほうな気もします、タワマンはもともとお高いですからね。貧乏な人は買ってない”筈”。

”贅沢品を買ってしまった”のであれば、ランニングコストを気にして生きるより、毎日家からいやぁいい眺めだ、これはなにものにも代えがたい!とか気分の良さで回収したほうが楽しい気もするわけです。でまぁ、私は絶対リビングのカーテンはしめません(なくてもよかったwww)それで電気代が高くなるなら払えばえーやん。

近況とちょっと宣伝

[1] ダイヤモンドの特集

5月の頭に全18回でダイヤモンド・オンラインの特集にかなりの回数理事長の会RJC48からエース級の理事長が多数座談会などで協力しました。
殆ど有償サービスの記事ですが18回全部マンション管理。よかったら。
https://diamond.jp/list/feature/p-mansion2022



※マンション管理の地獄はいいけど、天国ってなに? 理事長が昇天するんかな・・・

なお多分5/30のダイヤモンド本誌でもこちらのオンライン記事のネタに併せて特集になります。私もでてくると思うので買って読んでね。多分特集まるまるで”マンションの管理”ネタです。

[2]  マンション総合EXPO2022 の講演

昨年の10月に続いて、ビッグサイトの東7ホールで、6/16-17にやっているマンション総合EXPO2022 の中で、管理組合理事会の人相手の講演が2日目にあります、よかった登録の上で聞きにきてみてください。私の自己紹介はちょっと盛りまくりですが、もともと私が書いたものじゃありませんのでご容赦を。



※お前んとこみんなで楽に・楽しく管理できてるんか?ってツッコミも禁止

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

6 件のコメント

  • タワマン勉強中 より:

    はるぶー様

    早速の回答ありがとうございます。
    まさに、「角部屋の角はリビングでどかっとガラス張り」で南西・北西向きの間取りなのでドキッとしました。
    ご指摘の通り(夕日を含めて)眺望が目当てなので後悔とかはないのですが、西日の影響はどうなのか怖いながらも楽しみです。
    残念ながらLow-Eではないのですが、遮熱フィルムという対策も教えていただいたし。

    地方だとタワマンでもまだ安くて(坪単価200万以下)庶民でもローン組めば普通に買えてしまう価格です。
    マンションってみんなで守るものなので管理費や積立金の滞納問題の対応とかも勉強しくてはと思った次第です。

  • より:

    お邪魔します。
    最近、タワマンのMRを訪問すると、
    「南向きは夏に熱いですから」とダイレクト窓の無いの中住戸プランの説明の時でさえ、
    客に言う営業さんもいます。タワマンの眺めで
    >幅の広いバルコニーがあるというのはその点ではあんまりありがたいとは言えません。
    は確かでしょうけども、ダイレクト窓の無いプランまで南向きなら全て灼熱地獄であるかのように、
    先入観を植え付けてしまう傾向が最近はあるのはどうかと思います。

    • はるぶー より:

      マンションそのものの断熱性も上がってきていて、”冬寒い”ほうはそれほど気にしなくてもよくなってきているわけで、タワマンの方向による値段付けは、”部屋から何が見えるか”をもっと重視して決めて構わないと思っています。

      例えば、質問者のお名前の”佃”にあるセンチュリーパークタワーは、お見合いを避けて開けている、墨田川を望む北側が一番高評価ですよね。

      一方で、私自身の妻もそうなのですが、洗濯物はなぜか外で太陽の光で干したい派みたいな人はタワーの購入検討者層でもかなり多くて、南側に人気が集中しがちです。
       
      昨今タワー発売の多い都内の東湾岸地区だと、北とか西が眺めでは有利な(なんでか、スカイツリーとかレインボーブリッジは人気ですよね)方向で、それなりに値段ももっていたら案外そっちに誘導できないとかおこることがあります。

      価格設定の捻じれによる人気度といった販売側の都合がある場合に、特定の方向はちょっと避けさせたがるとか、特定の方向に誘導したがるといった売り主側の事情が営業トークに反映されることがあるくらいは私はご愛敬じゃないかな・・・と。

      タワー特有の設計のために、”南側”が灼熱地獄化しやすいというのは、案外購入検討時には知らない人も多いわけですので、メリットだけではなく、特定の季節のデメリットもきちんと伝えてくれること自体は、責めるのもどうかな・・・・とは私は思うわけです。

      • より:

        ありがとうございます。
        新しいタワマンは知りませんが、佃でも某都営タワーでは
        北向きは住民さんから「冷蔵庫」とか俗に言われていると聞いたことがあります。
        センチュリーパークタワーさんはお金持ちが多いので、暖房費などは気にしないとか聞きました。
        全て佃での伝聞ですけども。

        • はるぶー より:

          佃のタワーはすこし設計が古いということはあるかもしれませんね。
          最近のタワーでは逆に北向き極寒という話はあんまりきかないきもします

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