【お便り返し11】定期借地権のマンションの資産価値って?(シエリア昭和杁中について)

皆さん、こんにちは。

個人的に最近引っ越しが完了しました。やはり住んでみないと気づかない部分も多々ありまして。

例えばトレットペーパーホルダーが逆に付いてたり(笑)


というのは極端として。

一番はシューズインクローゼットにコンセント付ければよかったなとか思ってる次第です(全体的には満足してますが)。

(閑話休題)

さて、今回はお便り返しです!

差出人: 新参者

誰に答えて欲しいですか?
こう

メッセージ本文:
いつも楽しく記事を拝見しています。

八事・杁中あたりで住まいを探しているのですが、マンション供給が多いエリアのわりにレビューなどが少なく、どう選んだものか迷っています。

とくに、いりなか駅に関電不動産が開発しているシエリア昭和杁中の評価について教えていただきたいです。
床暖房がつかない点以外は、グレードは比較的高めなのかなと思っていますが、定期借地権であることに漠然とした迷いがあります。

中京圏でも定期借地権マンションの供給が増えてきた(プラウドタワー栄パークアリーナなど)と思うのですが、定借マンションって実際のところどうなのでしょうか。
中古マンション市場が活発で、定借にも慣れのある関東と名古屋エリアでは違いがありそうな気もしつつ。
資産性というよりは居住性を重視していますが、定期借地権マンションにどれくらいの資産価値があるのか教えていただきたいです。


ご指名ありがとうございます。そして遅くなってすみません(他の指名頂いてるお便りも随時返してまいります)。

「シエリア昭和杁中」をご検討中で定期借地権が気にかかっているとのこと。

まず、認識のズレとして、室内の設備仕様はあまり高くはないかなと(感じ方は人それぞれですし、気を悪くしたらすみません)。

モデルルームに行ってなので正確な部分は不明ですが、
  • 直床
  • 第3種換気(壁に給気レジスターがボコっと付くやつ)
  • ディスポーザーなし
    ディスポーザーは標準でしたので修正しました(2022/11/11)
  • タンクあり(orキャビネット)トイレ(住戸による)
  • 床暖房なし
新興のカタカナデベロッパーのマンションと同レベルかと(あくまで設備仕様のお話)。床暖房警察のあの方が怒りそうな案件。

ただ、外観には角住戸にダイレクトウィンドウが使われていたり、エントランスが二層吹き抜けなど力が入ってるのは確かです。

あと、話が若干逸れますがこのHPの画像はいただけない。

公式HPより タンクレス?と思ってしまう。。。


ただ、設備仕様のお話は主題ではないここまでとして。

本題の定期借地権がどうなのよってお話ですが、すまいよみさんが非常にわかりやすい記事を出してますのでご参考にしてください。

【お便り返し_22】定期借地権付き新築マンションで、売却する際に困らない条件とは?

記事の中では定借マンションを選ぶ上で重要な条件として
  1. 立地など好条件であること
  2. 借地の期間が長いこと
  3. 同条件の所有権マンションと比べて価格が安いこと
を挙げれてます。勝手に拝借して物件に当てはめてみます。

1.立地など好条件であること

文教地区で駅近物件は名古屋では希少でしょう。文教地区では教育、文化施設が集積していることはもちろん、所謂”嫌悪施設”は建てられませんので教育環境を重視するファミリー層には当然人気のエリアになります。

名古屋の文教地区については名古屋市のHPに纏められてますのご参考に。

さらに駅近でスーパーやスポーツジムなども徒歩圏内でもある本物件の立地は文句はないでしょう(一応の懸念としては病院が近い(どちらかというと少し離れた日赤病院)ため昼夜問わず救急車のサイレンが聞こえることはあります)。

立地だけでなく、同じようないりなか駅最寄物件でも20~30戸の小規模マンションが多く、本物件の70戸という規模感も希少性がありますね。

2.借地の期間が長いこと

本物件は定借期間は70年になりますので十分期間は取れていますので問題ないかと。

また、本物件の借地権(地上権)についてもう少し調べてみました。

土地の貸主は「香積院(こうじゃくいん)」という寺院です(本物件の近く)。Googoleのストリートビューで過去の画像を確認すると立派な戸建てが写ってますので、おそらく、お寺関係者のお宅ではないかと思われます。つまり、企業が所有している土地は異なり、「希少なので手放したくない」というよりも「先祖代々の土地を手放せない」といったところでしょうか。なので、お寺が所有している土地の方が心理的には納得しやすいかなと(個人的な感想)。

ちなみに、登記簿謄本による地上権設定の内容は以下になります。

存続期間:令和2年8月20日から令和76年3月31日まで
地代:
令和2年8月20日から令和5年3月31日まで月額金35万円
令和5年4月1日から令和75年3月31日まで月額金35万円
令和75年4月1日から令和76年3月31日まで無償
支払時期:毎月末日までに翌月分前払い
特約:借地借家法第22条の特約

建物の解体期間中は無償なのは良心的ですね。「借地借家法第22条の特約」は期限を延長しない、建て改築しても期間は延びない、建物の引き取らないという一般的に定借に付く特約です。

また、若干のメリットとして、本物件は「保証金方式」かと思いますで、保証金の一部を住宅ローン減税の対象に含むことができるかと思います(モデルルームで要確認)。まぁ大抵の定借は「保証金方式」なんですが。。。

3.同条件の所有権マンションと比べて価格が安いこと

一例として「プラウド昭和滝川町」が築8年現在で坪200万円前後(住戸による)。1年で1.5%減価で仮定すると

200 × ( 1 + 0.015 ) ^ 8 = 225

さらに、定期借地権なので1割安ぐらいで買いたいよねっとことで

225 × 0.9 ≒ 202(万円/坪)

中間的な部屋が上記ぐらいであれば妥当な金額と言えるのではないでしょうか。

まとめ

この本物件の評価はどうなの?という部分ですが、結論、資産価値は気にせず、住環境と建物(設備)が気に入ったなら買ってもいいと思います。

定期借地権の資産価値の評価は非常に難しいというか。近年でも価格が安いという最大のメリットが感じにくく(実際それほど所有権と比べて安くない)、正確な価格情報がわかりませんが、実際、本物件は上記で計算した坪200万円よりはだいぶ高いことを考えると、資産価値を気にするぐらいなら、中古でも所有権のマンションを買った方がいいと思いますというのが個人的な見解です

ただ、定借期間が70年と長いこと、実際に希少性はある物件だと思いますので買って後悔することは考えにくいかなと。

また、ご質問中にあった部分で、首都圏の検討者は定借マンションに特別慣れているということはないですね。「既存住宅市場における定期借地物件の評価」の内容を参考にすると、定借は年間のマンション供給戸数の1%にも満たないシェアしかありませんから(先のレポートは他にも成約価格の調査など参考になる部分が多いです)。

あとアドバイスできるとすれば、周辺エリアや他の検討エリアの中古物件との比較は必須かと思いますので、上記で挙げたような計算式を参考に比較することをおすすめします。

回答は以上になります。お役に立ちましたら幸いです。

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名古屋在住の独身サラリーマンです。これまでに複数回マンションを購入した経験を活かして購入検討者のお役に立てる情報を発信して参ります! 気になるマンションのご質問は「スムログメンバーへの質問やお便り」からどうぞ!

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4 件のコメント

  • こぐま より:

    勘違いしていたらすみません

    >定期借地権なので1割安ぐらい
    なので1.1掛けでなく0.9掛けではないでしょうか?

  • 床暖房 より:

    購入の参考となる記事、ありがとうございます!
    定期借地権という点で迷っていたところ、大変わかりやすく勉強になりました。

    ちなみに設備の記載箇所、ディスポーザーは標準設備となっているそうです。
    トイレはローシルエットなのでタンクはあるのでしょうが、いわゆるタンクありトイレとは印象は変わりますね。
    https://suumo.jp/ms/shinchiku/aichi/sc_nagoyashishowa/nc_67721316/

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