高級物件ほど天然石の床?大理石や御影石の居住性ってどうなの?

スポンサードリンク

お便り返しです(3/27タイトル変えました)。





差出人:青い芝生

メッセージ本文:
高級な中古物件をサイト写真で見ているとウユニ塩湖のように鏡面反射しまくってる大理石(?)のリビングなどが見受けられます。
とても素敵なのですが、このような床材の居住性ってどうなんでしょうか?写真で見るだけでも目がチカチカしてしまいそうです。

ペットのために床のコーディングを検討していたのですが、どうせならボロボロな床ごと張り替えちゃおうと思い色々見ているところ気になった次第であります。

ついでに直床のマンションでオススメの床材などありましたらご教授ください。


青い芝生さん、ウユニ塩湖は現地で一度は見たいですね。リノベーション担当、かつスムログでおそらく大理石のことを一番書いている私からお答えします。

ウユニ塩湖

Mountains surrounding the Uyuni salt flat during sunrise/Diego Delso, delso.photo, (30 August 2016) License CC-BY-SA 4.0.”

岩石のキホン

「りゅうもん安産、元気な子、囲んでせんべい半分こ」

はい皆さんご唱和ください! え、何の呪文かって?

けっこう中学受験の基礎知識なんですが、1年前に受験を終えた子どもに「ほらアンザンがナントカ」と促したら「懐かしい~」と言いながら思い出して復唱した岩石の種類の覚え方ですね。床材の理解のためしばしおつきあいを。結論を知りたい方は次の項目にどうぞ。

まず、岩石は大きく次の3つに分類されます。
  1. 火成岩:マグマが冷えて固まった岩石
    →詳細後述、深成岩のなかでも花崗岩が床材には使われる
  2. 堆積岩:何らかの粒子が堆積して固まった岩石
    →砂や泥、火山灰、生物の死骸など。このなかでサンゴ、有孔虫などの死骸が固まった石灰岩(ライムストーン)が床材にはまれに使われる程度。
  3. 変成岩:岩石が熱や圧力で変化したもの
    →中学受験的には石灰岩が熱で変化した大理石を覚えておけばOK。
火成岩はさらに火成岩と深成岩に分かれるので代表的な岩石とともに紹介します。
  • 火山岩:地表近くでマグマが急に冷えて固まったため結晶とガラス質が混ざる(斑状組織)
    流紋岩、安山岩、玄武岩(りゅうもん、あんざん、げんきなこ)
  • 深成岩:深いところでマグマがゆっくり固まったため結晶が大き目で整っている(等粒状組織)
    花崗岩、閃緑岩、斑レイ岩(かこんで、せんべい、はんぶんこ)
それぞれ、組成により次のようになります。

流紋岩、安山岩、玄武岩
花崗岩、閃緑岩、斑レイ岩
←白っぽい  黒っぽい→
多い←石英や長石→少ない

基礎知識としてはこの程度でOK、というか中学受験レベルの知識はリノベーションにも役立つ!

床材に使える石の種類と特徴

情報としてはこちらがまとまっています。

床材に使える石の種類と特徴!メリット・デメリットも紹介(リノベノトリコ)

石灰岩(ライムストーン)についてのみ抜粋。

炭酸カルシウムを主成分とする堆積岩で、優雅な美しさが魅力の床材。
大理石のような光沢はでませんが、柔らかな色調でインテリア性が高いため、リビングなどに好んで使われます。
床材として家庭でも人気なのですが、吸水性が高いため、汚れやカビなどがつきやすく、メンテナンスが難しい石です。
床暖房に使うこともできますが、比較的脆く削れやすいので、靴や椅子などで擦らないよう注意しましょう。

上記のとおり青い芝生さん期待の光沢は出ないので本記事では省略します。冒頭でお勉強したとおり、堆積岩だと理解していれば光沢が出ないことや比較的脆いことも理解できますね。以下では大理石と花崗岩の特徴を述べます。

大理石

大理石の特徴は、先日のダイニングテーブルの記事にも書きました(が、長すぎてまだ大理石テーブルが未登場)。

天然大理石:天然系硬質素材の代表(花崗岩は硬く重すぎるので一般にテーブルには用いない)
○触り心地がよく高級感は最高レベル、世界に一つしかない特別感、表面がひんやり(冬はデメリット?)
×熱・水分・酸のいずれにも弱く、とくに水分は容易に輪ジミができる(テーブル以外で経験済)

また、表面が水分に弱く、冷たいことはキッチンリノベーションのお便り返しでも書きました。

カウンターは、妻の希望を取り入れパンもこねられるよう天然大理石の天板としました。押切もえさんプロデュースマンションで話題になったとおり、大理石はアウトドアには向きませんがチョコレートのテンパリングにも使われているとおりお菓子やパン作りには向いている素材です。

水・酸に弱いのは、冒頭でお勉強したとおりもとが石灰岩のためですね(石灰岩が酸に溶けて二酸化炭素が発生するのも中学受験の基礎知識)。また、ひんやりしていることはテーブルやバックカウンターとしては問題になりにくいですが、床材として使うことを考えると冬は厳しいことがありそうです。木は空気を含み熱伝導率が低いく、テーブルと同じく温かみがあるので、床材が一般に木のフローリングなのは理にかなっています。

青い芝生さんはペットを飼われているとのことで、大理石で気になることは人間も含め滑りやすいこと、もし粗相をした場合にシミがつくことなどでしょうか。爪などによる傷はつきにくいと思います。ご質問の鏡面仕上げは、石をどこまで磨いているかにもよるので、そこまでの鏡面でなくてよいかもしれません。

磨き以前に、大理石自体にも実際には多くの種類があります。ミケランジェロのダビデ像にも用いられている白系に模様の入ったビアンコ・カララが代表的で、マーブル模様といえばこちらが想起されますね。ちなみに白系のなかでもC、CD、Dなどクラスがあります(CがCDより白い)。

白い以外も色・模様は組成によりさまざまですが、沼が深くなるのでお便り返しではここまで。

花崗岩

組成で説明したとおり、結晶が大きく整っている深成岩のうち、色が白っぽい花崗岩(いわゆる御影石)が石材としては多く使われます。「黒御影石」は斑レイ岩などになりますね。日本では墓石などにもよく使われています(大理石は上述の理由で墓石はNG)。


10年くらい前はいいお値段のオプション扱いが普通でしたが、花崗岩は水に強い特徴からキッチン天板、洗面台天板には最近のマンションでは多用されていますね。採掘含めた技術の進化、中国産が増えたこと、物件価格の上昇に見合うことが求められているなどの複合的要因と理解しています。

最近は”クォーツストーン”も多いですが、これも冒頭の中受知識で理解できます。クォーツ=水晶=石英=二酸化ケイ素(SiO2)の結晶なので、花崗岩の白い主成分を主体に人工的に作ったものです。人工なので、花崗岩の成分が主体でありながら大理石のような模様などが自由に作れます。いっぽう、純粋なぶん天然の花崗岩よりさらに硬いので、キッチン天板としてはお皿のフチなどが当たらないよう注意が必要です。

青い芝生さんのケースでは、人間も含め滑りやすいことは大理石と同じですが、硬さや水に強いことはメリットになりそうです。

複合材・人工石

上では個別に述べませんでしたが、石材を床に使う場合は工事が大規模になることや、床暖房に対応しにくいことも問題になります。ダイニングテーブル記事でも説明した突板と同じで、最近は石も表面に薄く張った複合材が出ています。もとのご質問の直床か否かは、こちらなら影響を受けなそうです。

床に大理石を張る!簡単リフォームで豪華に変身(AllAbout Yuuさん記事)

元のご質問が天然石を想定されていると思うので触れませんが、石目柄の人工素材は鏡面調など数多くありますので調べてみてはいかがでしょう。

鏡面調仕上げを施した石目柄の化粧床材 ハピアフロア 石目柄Ⅱ

あわせて読みたい

お便り返し【タビー】 QoL向上に向けたキッチンリノベーションの実際
ダイニングテーブルへの道(1)無垢編
ダイニングテーブルへの道(2)イタリアモダン前編 3大ブランドABC

ABOUTこの記事をかいた人

港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

コメントを残す

「コメント」と「名前」は必須項目となります。


※個別物件への質問コメントは他の読者様の参考のためマンションコミュニティの「スムログ出張所」に転載させて頂く場合があります。
※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)