第263回 「新築価格ますます高値に!!」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

2020年12月の集計が終わったらしく、「不動産経済研究所」から2020年の年間データが記者発表されました。

この中から、価格の部分だけを取り上げて、直近3年の動向を整理してみることにします。

 

新築マンションの価格動向

直近3年(2018年・19年・20年)の坪単価を眺めてみましょう。

まず、東京23区ですが、2018年は@376万円でしたが、2019年は@371万円とほぼ横ばいだったものの、2020年は何と@413万円となり、前年比11%も上昇してしまいました。

 

首都圏全体を見ても、@287万➡@290万円➡@306万円(前年比5.5%)と、上昇傾向は続いています。データは割愛しますが、3県と東京市部の4エリア個々も緩やかな上昇傾向を示しています。

 

※1戸平均の価格も見ておきましょう。

(23区)・・・7142➡7286➡7712万円(前年比+6%)

(首都圏)・・・4871➡5980➡6083万円(前年比+1.3%)

※こちらも、23区だけが突出した変動率ですが、坪単価ほどでないのは、面積を圧縮した物件が多かったためと推察できます。

 

発売戸数の漸減傾向が続いている

発売戸数の推移も見ておきましょう。過去5年間は次のようになっています。

(23区)・・・2016年;14,764戸➡2017年;16,017戸➡2018年15,957戸➡2019年;13,737戸➡2020年;10,911戸(2016年比▲26

(首都圏全域)・・・2016年;35,772戸➡2017年;35,898戸➡2018年;37,132戸➡2019年;31,238戸➡2020年;27,228戸(2016年比▲24

※首都圏全域で発売戸数が減っていることが分かります。

 

価格上昇が売れ行きの悪化を招いた

発売戸数が減っているのは、売れ行きが悪いからにほかなりません。

マンションは売出し戸数だけの工事を進めるなどということはできませんから、100戸のマンションの販売は20戸ずつ5回に分割したりするのです。

着工してから竣工までは1年以上、タワー型になると2年以上の時間を要します。その工事中に販売を進め、竣工までに完売させるのが売主の目標です。

 

売れ行きの良いときなら、それも造作ないことですが、昨今は売れ行きが悪く、建物完成時までに完売できないものが大半です。

 

売れ行きが悪い原因は、価格の高騰と景況の悪化にあります。無論、価格が高くなっても住宅ローンの金利低下によって実質的に購買力が高まり、価格との乖離を埋めます。ここ数年の価格上昇も住宅ローンの金利低下によって何割かは差を詰めていますから、価格高騰の実感は薄らいでいると言えます。

 

そのせいもあって、売主デベロッパーの期待よりは足が遅いながらも全戸完売という目標を辛うじて達成して来たのです。

しかしながら、売れ行きが悪ければ、未発売在庫はなかなか減りません。未発売在庫は統計に表われて来ませんが、売主企業自身は言うまでもなく軽視しません。

 

売れ行きに関係なく建築費は支払い時期が迫って来ますし、売れ行きが悪ければ決算数字にも影響するからです。従って、売れ行きの悪い物件ばかりを作っても意味がないので、新規の着工を遅らせたりします。

 

土地は腐らないのですから、更地で置いておけばよいので、慌てなくてよいのです。そこで、年間の売り上げ計画を睨みつつ、着工時期を調整します。とはいえ、分譲マンションの売り上げ計上は「竣工・引き渡しベース」なので、決算期に間に合うようにしなければなりません。

 

ともあれ、売れ行きの悪化は発売戸数の減少を招き、販売戸数、すなわち契約戸数の減少も招きます。契約が伸びなければ引き渡しベースの売り上げの減少につながります。最近の新築マンション市場は「負のスパイラル」に陥っているのです。

 

今後は値下がりするのか?

4年も前から新築マンションの売れ行きは低迷が続いています。この状況は今後も続くことでしょう。売れ行きが好転する材料が見当たらないからです。

 

売れなければ値段を下げてくれるでしょうか? ときどき、このような質問が届きます。答えは「NO」です。

新築マンションは、定価で購入した人の手前、値引き販売はしないのが常道です。値引き・値下げをしていないかどうかを注意深くチェックしている「先行契約者」がいるので、表立った値引き販売はできないのです。

 

値引き・値下げ販売に踏み切るときは、先行契約者に値引き率に応じて差額を返金する旨の確約をしたうえで実行するはずです。まあ、こっそり値引きしている例は少なくありませんが、「他言はしない」旨の成約書を買い手に書かせて表面化しないように実行するものです。

 

価格が高くて中々売れない今の状況は、デベロッパー各社を困惑させていますが、幸いにして品薄状況が続いているので、遅まきながらも売れて行くに違いないという確信を抱いているようにも見えます。そのためもあって、デベロッパー(売主)は簡単に値引き・値下げ販売に舵を切ることはしないのです。

 

新規発売の物件ならば、先行契約者とのトラブルを心配しないですみますから、価格を抑えて売り出せばいいという人がありますが、そもそも分譲マンション事業の利益率は大きくないので、下げることができたとしても。その比率は5%未満に過ぎません。

 

言うまでもなく、マンションデベロッパーも利潤を追求している民間企業です。利益の出ないマンション分譲はしないのです。先述のように土地だけで置いておくという「究極の選択」もあるからです。

 

新築マンションが高値になった要因は、土地(用地費)と建築費ともに高騰したことにあります。用地費が安くならなくても建築費が大幅に下がってくれれば、原価の合計も下がって売りやすい分譲単価が成立するはずです。

 

ところが、その建築費も下がりそうにないのです。景気が悪化して設備投資・建設投資が減れば、下がるはずです。その可能性はゼロではありません。しかしながら、景気不景気とは無縁の工事もありますし、むしろ、景気悪化のテコ入れとして国から建設投資が拡充されるのは定石です。

コロナ不況下において、国は景気の下支えをしなければならないはずですし、民間投資の刺激策なども動員しながら、官民挙げての投資を減らすことはないと見なければなりません。こうしたことを考えてみると、建築費が大きく下がる材料は見当たりません。

 

結局、用地費も下がらない、建築費も下がりそうにないという結論に落ち着いてしまうのです。

 

コスト削減の妙薬はないのか?

デベロッパーから見て、マンションの建設用地は既に買ってあるので、原価は下げたくても下げようがありません。今後、用地費が下がるとしたら、買い手のデベロッパーが用地物色を手控える姿勢を見せるか、売れ行きが一段と悪化し、しびれをきらして値下げするような局面が来ることです。

 

どうなるかは確信を持てないのですが、少なくとも人気のない売地については、値下がりする可能性があるかもしれません。

とはいえ、マンション業者同士の用地争奪戦は、交通便と環境の良い、かつ広い土地で演じられるものです。条件の良い土地は値下がりしそうにないと見るほかないのです。

 

土地代が安くなる見通しはない。建築費も下がりそうにない。としたら、価格引き下げ策は建物グレードを落とすほかありません。しかしながら、その策も既に実行済みで、もはや「乾いた雑巾を絞る」類のレベルに達しています。

言い換えると、「これ以上のコストカット策は素人目にも一目でわかってしまうような粗悪品を作るに等しいので、それはできない」というのがデベロッパー各社の共通姿勢なのです。

 

*  *  *  *  *  *  *

 

今の新築マンションは明らかに高値です。このまま上がり続けるとは思えません。しかしながら、下がる確率も低いのです。待っていれば安値の物件が出て来る可能性も少ないでしょう。売出し物件数も増えないでしょう。

待っていれば、新しい物件が発売されるのは間違いありませんが、その数たるや僅かです。しかも、どれも皆、目をむくほどの高値のはずです。

 

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です。

 

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