【お便り返し&告知】引き渡し後、家具をどけたらクロスがボロボロだった。売主に請求できる?

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こんにちは!
ふじふじ太です!

お便り返しです。
お便りは以下の通りです。


差出人: コロッケ大佐

 

誰に答えて欲しいですか?

マンションマニア, ふじふじ太

 

いつも拝見させてもらってます。

この度中古マンションを4月に契約し、8月に入居予定です。

横須賀線沿線で、築年数20年5000万駅徒歩2分の物件を購入しました。

契約前の内見は売主様がまだ居住中だったため、家具などがある状態での内見では特に問題は見られませんでした。

先日売主様が退去されたとのことで、ようやく空室での確認だったのですが、家具や冷蔵庫があった場所の壁紙が目立つほど破れていたり、衝撃吸収用?スポンジが大量に貼り付けてあったりなど、とてもがっかりな状況でした。

この状態ではとても気分よく住めないと思いましたのでリフォーム予定はなかったのですが、クロス張り替えは必要だと考えています。

しかしながら、初めからこの状態だと分かっていればこの金額では買っていないと思いますが、泣き寝入りしかないのでしょうか?

さすがに空室で売るときこんな状態で売らないでしょ、、、な状態で、全部張り替えの費用とまでは言いませんが、一部費用は売主様に負担してもらえないかと思っています。

ご意見聞かせていただければ幸いです。


 

 

 

お便り頂き有難う御座います!

なかなか難しい事例ですね。。
コロッケ大佐のお気持ちは良くわかります。

 

家具をどかしてみたら壁紙がボロボロであったというケースは、居住中の中古物件取引では度々発生する事例です。
家具の後ろが電気焼けをしていて不格好であったり、カビだらけであったりということもありました。

 

コロッケ大佐さんと売主さんで結んだ契約内容がわからないのではっきりとお答えはできませんが、一般的な中古物件の売買契約書の定款に則ったご契約をされているという前提でお答えさせて頂きます。

 

結論から言うと、残念ながら売主さんに費用負担をさせるのはかなり難しいでしょう。

契約書に則って粛々と進めていくと、クロス張替え費用を一部請求できると解釈できる条文は見当たらないと思われます。

まさにこれが居住中の中古物件取引におけるリスクのひとつです。

 

 

中古売買契約書は買主に不利?

 

一般的な売買契約書の定款おいて、設備関連で引渡し後に売主に責任を追及できるものは非常に限られております。

 

まず一つ目が、「契約不適合責任における給排水管の故障・シロアリの害」です。

マンション一室の場合、シロアリの害というのは考えにくいので、実質は「給排水管の故障のみに限定されている」と考えて頂いて問題ございません。
これは引渡し完了日から3ヵ月以内に限り、不具合があった場合に売主に補修費用のみを請求することができます。

逆に言うと、給排水管・シロアリ以外の契約不適合責任は原則追求できないということです。

 

二つ目が、「設備保証における主要設備の故障・不具合」で、引渡し完了日から7日以内であれば売主に補修費用を請求できます。

コロッケ大佐さんのケースの場合、一見この設備保証に該当しそうなものですが、注意点は売主に請求ができるものは【主要設備に限る】という点です。
主要設備以外のその他の設備については、売主さんは補修義務を負っておりません。

 

主要設備とは主に、「給湯関係・水回り関係・空調関係」となりますので、残念ながらクロスの剥がれは主要設備には該当せず、売主にその責任を追及することはできません。

その他の設備については不具合があったとしても「現況有姿での引渡しです」ということで一括りにされてしまうでしょう。

 

こう見ると、なんだか買主さんにすごく不利な契約をさせられているように思いますよね。。
はい、まさにそうなのです。

 

そもそも大前提として売買契約書の定款自体が、民法の規定と比較しても、売り側に有利に作られているなーとは私も常々感じているところです。

 

例えば前述の通り、契約不適合責任で追及できるものが「給排水管の故障とシロアリの害」のみに限定されていたり、売買代金の減額請求をすることもできず、引き渡し後3ヵ月以内という期間も限定されています。

 

ちなみに民法の規定では、不適合責任を追及できる期間は「不適合を知った時から1年」です。
民法の規定に詳しい方ほど、売買契約書の定款に違和感を感じるかと思われます。
※任意規定であるため排除が認められるものではあります。

 

そんな買主に不利な契約おかしい!と反論をしたとしても、それがFRK(一般社団法人不動産流通経営協会)の定めた定款であり基本となっているので、契約内容について抗議をしたところでその交渉を飲んでくれる売主さんはかなり限定されるでしょう。

 

つまり、中古物件購入後の設備・室内状態に関するリスクの多くは買主さんが負わなければならないということを承知の上で、購入をしなければなりません。
釈然としませんが、中古物件の取引とはそういうものであると認識しておきましょう。


もっと言うと、現地確認が十分にできない居住中物件であったり、築古の物件であれば尚更です。

 

どうしてもその規定が納得できないということであれば、中古売買はやめて、まだ設備保証が手厚い新築物件を買う他ありません。

今はそういうトラブルをなるべく無くすために第三者機関の設備保証などもありますが、基本的にはこの設備保証も主要設備のみの保証となります。

 

 

 

今回のケースにおいてできること

 

では今回のケースでは泣き寝入りしかないのかというと、決してそうではありません。
売主さんに交渉する余地はないこともないです。

 

それは、「告知義務違反」という点で指摘できる可能性があるという点です。

告知書(物件状況報告書)とは要するに、「売主さんが知っていること、物件の状況を買主さんにちゃんと共有しましょう」という書面です。
告知書内では、壁の状況についてコメントをする箇所があるかと思います。

 

この告知義務違反の程度次第では、売主さんに損害賠償請求をすることができます。


損害賠償が認められるケースとしては、過去の判例から見ると、売主が瑕疵・不具合を知っているにも関わらずあえて告げていなかったと認められる場合や、契約締結の可否の判断に重要な影響を及ぼす内容であることなどが挙げられます。

要するに、大事なことで嘘をついてはいけませんということです。

 

さて、果たして今回のケースはそれに該当するでしょうか。

ここからは個別案件であり、内覧時・契約時の状況、当事者の発言、悪質具合等によっても結果は変わってくるので、何ともわかりません。

ただ、一般的には家具の裏側まで確認をして売却をする売主さんは少ないと思いますので、売主さんもその状態を知らなかったとすれば、告知義務違反を指摘できません。


さらにクロスの一部の状態が契約可否に関わる重要な要素かと言われると際どいので、個人的な感想としては、なかなか勝機は薄いかなと思います。


 

それでも怪しい、納得できない、知らないはずがないと客観的に証明できそうであれば、売主さんに対して提訴(少額訴訟)をして裁判で争う形になります。
そこまでするかという議論は置いておいて。。

 

ということで、まずコロッケ大佐さんが行うべきは、売主さんに状況を伝えて、告知義務違反の可能性があるかを探りましょう。
このことを知っていたのではないですか?と。

特に衝撃吸収用スポンジが大量に貼り付けてあったという点は悪意(売主さんが知っていた)の可能性がありますね。

もし売主さんが、心当たりがあるということであれば話し合い次第では一部補修費用を負担してくれる可能性もあります。

ただ、経験上、類似ケースの多くの場合は売主さんも認識していないことがほとんどですので、そうなると契約書上で追求できるポイントがなく、正直どうしようもないかなと。。

それでも納得できなければ少額訴訟として提訴をするか、諦めるかの2択となります。
ただ、提訴をしても勝てるかはわかりませんし、勝ったとしても請求できる金額は数万円程度でしょうし、心労を考えると結局諦める方が多いというのが現状です。

よって、個人的な見解ですが、一度売主さんに交渉をしてみるものの必要以上に粘らず、やや不服感が残るとは思いますが今回はついていなかったということで諦めて、前向きにリフォームをご検討された方が精神衛生上もよろしいかと考えます!

上記、コロッケ大佐さんの参考になれば幸いです!

本日は以上となります!
ご講読頂き有難う御座いました!

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

不動産コンサルティングマスター。2022年MBA取得。現場で仲介営業を10年経験済。取引件数500件以上。賃貸・売買どちらにも精通。多数メディア出演経歴あり(NHKクローズアップ現代・ABEMA TV・香港TV等)。不透明な不動産取引業界を透明化させ、失敗のない購入・売却のサポートをすることが使命!マンション購入は怖くないと発信していきたい!皆さんのマンションライフを応援しています!YouTubeもやっておりますので是非ご覧下さい!

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