総会議案書で”理事会の優劣”が! うちのタワマンの議案書やばすぎ?

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しりあいの”がすたま”って理事長がこのタイトルにしろというので、替えてみましたがタワマンとは無関係です

前回のブログは頑張ってきた理事長の”引退方法”で、質問は”すごく書く気”を起こさせるもので即返事を書いたんですが(但し理事長の引退論を読むのは理事長だけな気も…)、今回の質問は2月近くも放置されてたのは、Twitterに棲息する「理事長系」の人(理事会系マンションクラスター)は、多分読んだら皆うーむとか思うから。

ここ1-2週のTwiterでの理事会の人の流行は”区分所有は人類には早すぎた”とか、”理事会制度は人類には早すぎた”とかのセリフ。

理事会って制度があって、完全に一般人が管理者として理事長をして、かなり高度な専門知識を判断で求められるという仕組みは、割と日本だけに特有のもので、あんまり諸外国には例がありません。すぐお隣の韓国も”管理組合”はあるけど”理事会”はない。元々タダで無限に頑張る理事(長)の成果に残り全戸がフリーライドする仕組みでちょっと無理があるんですよね。

質問者のマンションはきっと大規模なんじゃないかなと。タワーを典型例として数百戸なんてマンションが普通になって、それを少人数の理事でなんとか運営するってのは主に21世紀になってからの流行りですが、戸数が大きくなるほど、”税金を払っている国民” が ”政府に文句だけ”をいう構図に近くなります。理事長も同じだけ管理費払っているんですけどね。質問にはこの匂いがするわけです。

質問は?

差出人: 総会に出たことない人

誰に答えて欲しいですか?
はるぶー

メッセージ本文:
総会には出たことがないのですが、
はるぶーさんがTwitterで書いていた、役員選出の議案など、総会の資料から理事会の優劣を見分けるやり方に関心があります。
うちの理事会はハイレベルなのかどうか総会の資料からわかるものなのか、少し初心者向けに解説していただけないでしょうか?

なんのために理事会の”レベル”を知りたいの?

議案書だけ見て組合の優劣が分るかといえば、確かにある程度は分かります。ただわかったとしてそれをどうするのかです。100の理事会があればなんと50は平均に満たない運営しかしていない(苦笑)ことになりますが、『総会にでたことない人』さん(理事会系のブロガーにこの名前で質問はしないほうがいいです)が、その事実を知ったとしてどうするかです:
  1. ただちに立候補して、理事になって立て直す
  2. こらダメだで、それがバレる前にさっさと自分の部屋を売る
  3. こんな規約や議案書じゃだめだぞとか理事会を虐める総会屋をやるか匿名掲示板で理事会をタコ殴る
①か②が目的なら、この先を読む価値があるかもしれません。一方で、③が目的なら、ここでさようならしたいです。管理組合で総会屋をやって幸せになった人はいないから。(断言できる)

規約や議案書から”書いた人”のレベルは判るけど

ここがチェックポイントだってアドバイスを教えても、③の目的で判定に使うだけなら、虐めにあう理事長が増えるだけな気もするわけです。文句をつけた人も含めて、誰も幸せにはなりませんからやめておいたほうがいい。

もともと質問を受けた時に呟いていたのは、管理規約における役員の選び方の規定や、総会の最終議案となる役員選出の方法などについてでした。確かに優劣の差を見易いポイントです。

元々新築時に初期設定される規約は、そのあと理事会で詳細は決めてねということで、”理事会役員の詳細な選び方”(立候補者を採用するか、輪番か抽選を併用するか)の規定はないので、その組合の歴史上で”レベルの高い”理事会が過去にあれば、マンションなりの規定が作られていて、揉めずに理事会役員を選任できる仕組みが明文化規定であります。

規約をチェックするとそこをまず見に行きますが、きちんと規定があったとしても過去のどこかで”ハイレベル”な規約ケアがなされたことがわかるだけです。 規約とか細則を魔改造していても10年も前で、今じゃだれもそれを見ていないかもしれないわけで、その”規約を書いた人”のレベルしかわかりません。

普通の規約だと、総会では”理事”と”監事”を別々に選んだ上で、その総会で承認を受けた新理事が集まって(監事は含めずに)理事長が誰とか決めるのがルールですから、規約に準拠して議案書をつくると、”理事”と”監事”は峻別されて選任を受けている一方、誰が次期理事長かは決まっていないので総会では承認決議しないのが正しい。
・・・・総会で理事長を決めてしまうと、総会しないとクビにできないことにもなりかねません(普通は理事会の過半数で解職できます)。

これはそうはなっていない議案書のほうを遥かに多く見るくらいで、大抵は全部役職が決まっているか、理事も監事もいっしょくたの選任です。これは事前に集まって誰が監事か決めないといけないけど、大抵はそのとき理事長もきまっちゃうせい。

まともに議案に書いてあってもわかるのは、”その議案書を書いた人”のレベルだけです。議案は理事会が最終的には責任をとりますが、書いたのは理事とは限らない。大抵のケースで、管理会社の担当者(フロント)が素案を書いて、理事会はそれをそのまま承認して使うだけです。

ある1年の通常総会の議案書を見ても、財政状況とかはわかりますが、”理事会の運営レベル”がわかるかというと、よほど神レベルか、そうでなければ激しくぐだぐだの場合だけ。財務状況だってその期に特有の事業の影響を受けているから、最低でも3年程度はまとめてみないとわかんないです、

1点でここをチェックすればわかるってほど甘いもんでもないわけです。

理事会主導か、管理会社にお任せか

自主管理を代表例として、理事会がメインで進めてきていると、レベル感にはばらつきが大きい、一方で、きちんとお布施(委託経費)を払って管理会社にお任せしていれば、満点にはならない一方で、こら落ちこぼれだわというのは起こりにくくなります。

図に書くとこんな感じ。100点を狙うなら、神レベルの理事長がずっと主導してないと難しいですが、ずっと理事会だけでやっていると(他のマンションを知らないから)ガラパゴス的な進化をしやすい。中には、頑張ってはいるけど力の限り”逆走”しているんでは?ってなことも起こるので、どうしても理事会主導で進めると点数分布には幅がでる。



Twitterに出てくる理事長系マンクラは、理事会もしながら、”明日総会だぁ余裕で全議案可決だけどね!”とか余裕のWeetもしているわけであるいみ超人伝説の人たちです。総会をすれば督促とかしなくても90%以上の住民が参加して、苦も無く3/4の特別決議を通せる人しか私の理事長の知り合いにはいません。しかし、そんな超人理事長は数千戸に1人しか現れない(湾岸タワーで片手で数えられる程度です)からで、その超人レベルを当たり前に理事長全員に要求しても誰も幸せにはなれないと思うわけです。

一方で、これから流行るであろう第三者管理を代表例として、もともと”守り”に強い管理会社はもらったお金の範囲で、満点を狙う必要はない一方で、30年後にスラムにはしない管理をしてくれというゲームには圧倒的な強みを発揮できる。30年ある点数以上でもたせてくれというミッションなら、任せられるのは、1-2年で収支を改善したら”削減額比例”のコミッションを受け取って消えていってしまう”焼き畑農業”みたいなコンサルでは無理で、力量のある管理会社に継続的にお願いするしかありえない。

私が最初に理事になったのはもう13年も前ですが、その頃頻繁にメディアにとりあげられて、先進的だ!で名前をその時ブイブイ売っていた管理組合で、今でも名前が先端的運営ネタででてくるとこってとても少ないです。優秀な神理事長の運営は1代限りということが多く、超人理事長は辞めちゃうと同じレベルは維持できないわけで、例え”今の”理事会のレベルがわかっても、それでずっと安心というものでもないのでは・・・と。

結局カネが全て

となると、少なくとも買ったら自分の一生に近い30年程度は大丈夫なのかどうかという、継続可能性に関する視点から、管理組合運営のよしあしを判定するには、長期に安定して修繕などの実施できる財務状況の有無で優劣は決めるしかないでしょう。

4月から国と自治体の「管理計画認定制度」と、管理業協会の「マンション管理適正評価制度」がはじまりました。いずれもマンションの財政状態に非常に重い配点をしています。 ”認定”に適合し、”評価”が★5つとかなら、30年もしくは修繕周期2回を超える期間、そのマンションが財政破綻しないであろうことが保証されますし、それを管理組合は対外的にうちはちょっと違うと示すこともできます。
制度として流行ってほしいなと思っています。

(ちょっと配点基準が厳しすぎるけど・・・これ合格できるマンションがどれだけあるんや・・・)


『エコノミスト』に管理ネタで寄稿しました

実は、週明け月曜の「エコノミスト」誌の特集が”マンション管理”で3ページを寄稿しています。なかなか有名どころに挟まれていて香ばしい感じですが。



4月から始まった、”評価制度”や”認定制度”は、管理のよしあしが、ローン金利の差など目に見える差に繋がる初めての制度です。

定着して欲しいなと思っていて、個人的には特に管理業協会の「評価制度」を”全推し”の立場です。僅か3ページでは書ききれないころも多く、点数合わせのノウハウもののノイになったことも否めません、記事がでたら少しこのブログでも補足していきたいと思います。次回お楽しみに。

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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