第308回「モデルルームと実物とのギャップに失望しないために」

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このブログは原則として10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

マンション販売は、工事中に販売を始める「青田売り」が一般的です。

その場合、購入者は、実物を見ないで決めることになりますが、そのことが完成後の「こんなはずではなかった」という失望を生む原因になることがあります。

 

注意すべき点はどこでしょうか。気持ちよく入居の日を迎えるためのポイントをお話ししましょう。

 

マンション業者のスタンス

商品の実物を見せないで販売することを「青田売り」と言いますが、これが業界のスタンダードです。事業者としては、早く販売のメドを立ててしまいたいので、青田売りするのです。

 

完成してから売るのは、モデルルームの建設予算が捻出しにくい小型マンションの場合くらいです。

 

新築マンションは未完成の中、モデルルームだけで契約してもらうというのが慣習として定着しました。大きなトラブルもなかったことから、業界全体が「青田売り」を常態化させて来たのです。

 

モデルルームの魔法

しかし、モデルルームと購入した部屋があまりにも違うという印象が購入者をしばしば失望させることが少なくありません。購入する部屋とモデルルームが、たまたま同じタイプになっていたらまだマシですが、そうでないことが多いので、想像と違ったという失望感が生まれがちのようです。

 

例えば、部屋の真ん中に飛び出した大梁(おおばり)。その圧迫感は、尋常ではありません。「こんな部屋と思わなかった」と、ショックを隠せない購入者も少なくないのです。また、「個室がこんなに狭いとは思わなかった。本当に〇畳あるのですか?」などの感想も漏れます。

 

モデルルームが原型(標準仕様)が分からないような造りとなっているケースも少なくないようです。間仕切りを変更し、仕上げ材をグレードの高いものに変え、設備もオプションを加えて豪華に見せています。更には、家具やインテリアによる演出もあり、感動的な姿で登場します。

 

商品のデコレーションは商売の常道です。とはいえ、マンションのモデルルームには、見学者を錯覚させる魔法のような力が備わっているようです。

化粧を取ったらまるで別人だったというくらいに、厚化粧した役者のようなもの、または、昔の見合い写真のようなもの。それがモデルルームだと思った方がいいのかもしれません。

 

モデルルームには、「このシールはオプション品です」、「家具は販売価格には含まれません」などと、注意を促すプレートがどこかに必ず掲示されています。

しかし、買い手は素人。不慣れです。言葉だけで本当(標準仕様)は別ですと言われても、グレードアップした方だけを見せられたら、それが記憶されてしまいます。

 

厚化粧をしていない素(す)の部屋を見た瞬間、きっと詐欺だと怒りたくなるはずです。しかし、「想像していたものと違う」などとクレームをつけても、売り手は涼しい顔です。

 

天井から垂れ下がった大梁の問題でも、図面の上にきちんと表示してあり、重要事項説明書にも、「図面をよく確認してからお申込み下さい」と記載してあります。よく確認しなかった買い手が悪いということになってしまうのです。

 

モデルルーム見学のコツをつかむには

図面とモデルルームを睨みながら、自分の部屋はどうなるだろう。ここからオプション品や家具をはぎ取ったらどうなるだろう。これを想像することに慣れるしか、完成後の失望感をなくす道はないのです。

 

そこで、おススメなのが、家具も何も置いていない部屋の見学。当然、別のマンションになりますが、完成済みの販売物件を探して見に行く方法です。

 

同じ売主に該当するものがなければ、別の売主さんには購入する気がないので申し訳ないことになるでしょうが、きちんと理由を話せば見せてくれるはずです。

大抵、完成済みマンションには、本体内のモデルルームが用意され、それと同一タイプの未販売住戸があれば、素のままで見学できることになります。その比較をしてみるのです。違いがはっきりと分かることでしょう。

 

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マンション見学のチェックポイントはここだ

①  天井高に注目する

・・・最近の新築マンションは昔に比べると天井高も高く計画されるようになっていますが、それでもリビングルームの中心部で2600ミリもないため、背の高い男性にとっては圧迫感があることでしょう。

気を付けたいのは、玄関からリビングルームに通じる廊下の天井高です。「織り上げ」されていればいいですが、2200ミリ程度の低いマンションが多いのです。

 

②  畳数表示の感覚を掴む

・・・個室とリビングルームの広さは「壁芯寸法」で表示されます。いわゆる内法(うちのり)ではないのです。

壁厚(かべあつ)だけでも10センチ弱ありますから、内側の寸法は表示とでは差があります。これは違法でも誇大表示でもないのです。6畳表示も、実際は5畳半しかないと見なければなりません。

とりわけ気を付けたい点は、柱の張り出しが大きい間取りです。

 

③  家具配置をしてみる

・・・表示の広さ以上に気を付けたいのは、家具を置いたらどうなるかの検討です。家具を置くときは人の動線を織り込む必要があります。動線部分、すなわち通路には物を置けないのですから。

 

④  主寝室のベッドの置き方に注意する

・・・ベッドの置き方にも注意したいものです。Wベッドを壁に押し付けて置くと、壁側に寝る人が先に手前で寝てしまうと、奥に寝る人は足元から這ってベッドインしなければなりません。理想形は、Wベッドの両脇は450ミリ以上空ける形です。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

 

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