第296回 「新築と中古、価格の成り立ちの違い」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

マンションの価格って、どのように決まるんですか?と問われることがあります。今日は、このお答えを含め、マンションの価格と関連する基礎知識についてお送りします。

 

中古の価格は買い手が決める

中古マンションの価格は、自由に設定することができます。ただ、売ることが目的なのですから、売れそうもない高値をつけても意味はありません。

 

そこで、市場に並ぶ中古マンションと比較しながら、自分のマンションは条件が良いのだから、もっと高値でも売れるのではないかと期待したりします。その傍ら、売ってもらう仲介業者に「価格の査定」を依頼します。

 

ここが問題で、売却依頼を待ち受けている業者は、依頼者が喜びそうな高額査定を提示して来ます。つまり、5千万円が相場でも5千500万円で売れる可能性が高いなどと、売り手が喜びそうな提案をして来るのが通弊です。

 

業者によって、①目標価格、②最低販売価格、③当社買取り保証価格といった三重の価格を提示して来たりします。

 

「目標価格で先ずは売り出してみましょう」、「これでも反響は多数あるでしょう。何せこの辺りでは希少価値のある物件ですから」などと依頼者を喜ばせつつ、媒介依頼を獲得しようとするのです。

 

依頼者(売主)は、この説明を鵜呑みにせず、別の業者にも査定を依頼するのが普通です。売主によっては4社にも5社にも査定を依頼し、査定価格と営業姿勢などを観察しながら最後はどこかに定めます。

 

依頼者によっては、複数の仲介業者を選択して競争させようなどと考え、「専任媒介契約」ではなく、「一般媒介契約」をそれぞれと締結します。

 

専任契約が良いのか、一般媒介契約がよいのかという問題は別の機会に書こうと思いますが、どちらにしても売り値は売主が仲介業者の提案数字を見ながら、売りたい価格以上で設定するのです。

 

売り出してみると、反響は少なく、見学者も無論わずかで成約に至りません。2か月、3か月と時間が経過し成約にならないので、やむを得ず値下げに踏み切ります。そうして半年経過、やっと買い手が決まるーーーこのよう例は少なくありません。

 

新築の価格も売り主デベロッパーが決めるのだが・・・

中古マンションは、中古市場に並ぶ類似マンションと見比べつつ、仲介業者の提案額(査定額)を参考に売主が定めます。

 

これに対し、新築マンションは市場調査などの結果を参考にしつつ、事業者利益を確保できる最低価格以上で設定されます。たとえ、市場調査が5千万円上限であっても、利益確保のためにはこれを超える価格を設定して販売を始めるのです。

 

用地取得時点と販売開始時点にタイムラグがあって、建設業界の事情も市場の動向も少なからず変化しているため、計画との間にズレが生じます。

 

また、建築費の高騰を織り込んで計画していたとしても、地中障害など、想定外の事態が発生して思いがけない出費が嵩んだりすることがあります。ゼネコン業界の事情によって高値での発注を強いられることもあります。

 

予定より高値になってしまうとき、彼らは己に言い聞かせます。「5千万以上でも売れるはずだ」と。会社の利益基準を死守しなければならないと考える担当部長氏などは、不安を抱きながらも利益の確保を第一義に価格を定めるのです。

 

「少し高いな」と思っていても、売り出してみると、初回(第1期)は思いのほか好調に進み、ほどなく完売に至ったりします。部長氏は胸を張り、または胸をなでおろします。

 

こうして販売がスタートしてしまうと、その後は値段を上げることはできても下げることは難しくなります。下げたら、高く買わされたと契約済みの買い手からクレームが来る恐れがあるためです。

 

もっとも、利益が社内基準ギリギリのケースでは、下げたくても下げられないのです。売れ行きが不調であっても、そのままで進めるほかありません。

 

売れないのは、「物件価値の割に高い」と買い手が判断したことに他なりません。買い手は、一方的な売り主の価格を拒否できるというわけです。それでも、買い手には様々な事情があるので、高いと感じながらも買ってくれる人は必ず現れ、時間はかかるものの売れて行くのです。

 

その価格、高過ぎませんか?

新築にしろ、中古にしろ、事情のある人を別として、あまりにも割高と知って買う人はありません。この数年、首都圏の一部エリアでマンション価格は目立って高騰して来ました。市場を継続的に見ている筆者も、当初は驚くばかりの現象でした。

 

ところが、その値上がりの現実も時間が経過すると驚きはなくなります。「今は、こんなものだよ」と納得させられてしまうのです。

 

多少の高値なら、住宅ローンの金利低下によって購買力が押し上げられ、「高値」に驚異を感じない買い手も少なくはなく、「へえ~、こんな価格でも自分は買えるんだ」と知らされ、前に進むのです。

 

数年に渡り継続的な観察・検討して来たという人もいないことはないものの、探し始めて半年か1年という人が圧倒的に多いので、価格上昇の実感が分からない人が多いのかもしれません。

 

ともあれ、提示された価格、もしくは情報サイトに明示された中古マンションの価格を見て、瞬時に高いか高くないかを判断する基準値を記憶している買い手(検討者)は多くありません。「そんなものか」程度の受け止めなのです。

 

しかし、買い手を甘く見てはなりません。ある売り手の知人は言いました。「情報サイトの物件を比較して行くうちに、ぼんやりながらも分かるものだ」と。 筆者も、この意見・感想に反論しません。

 

ただ、一般の買い手は正確に適正価格かを判定できるレベルではないはずです。「買いたい物件があるのだが、この価値について査定して欲しい。特に価格は適正かを聞きたい」という筆者への依頼・相談メールが少なくないことからも推察できるのです。

 

高くても買って損のないマンション

先述のように、昨今は価格高騰が顕著で、都心や東京以外でも人気エリアでは「高騰が続いている」のです。

 

検討しているうちに、いつの間にか高くなってしまった。今、買って大丈夫なのか?」といった類の声が高まっています。「しばらく様子をみようと3年待ったが、一段と値上がりしていることを知らされガックリです」と、こんなお便りも届きました。

 

筆者も、「値上がりよ止まれ」と願って来ました。2019年には頭打ちの兆しもあったのですが、2020年は期待を裏切られ、再び上昇数値を示しています。2021年も年間の集計は年明けの2月まで待たなければなりませんが、値上がりが止まったという実感はありません。

 

 

値上がり続く新築マンション

マクロデータを見つつ、個別マンションの値動きにも注意しなければなりません。新築マンションは、用地費が下り、建築費も下がることによって価格は下げられますが、分かりやすいのが東京23区の値動きで、2009年~2012年に5%ほどの値下がりがあったものの、2006年~2008年の急激な値上がりの反動でした。

 

値上がりによって売れ行きが悪化したことに伴って、各社とも価格を下げざるを得なかったのです。

 

その後は再び値上がりが続き、2020年までの12年間、一本調子の値上がりなのです。

 

補足ですが、2019年に頭打ちになり、これでようやく値上がりは止まりそうだと期待したものの、2020年は再び値上がりしてしまいました。

 

 

値下げが難しい新築マンション

新築マンションの価格は、用地費+建築費+販売経費+企業利益によって構成されています。値下がりする(値下げする)ためには、少なくとも用地費と建築費が下らなければなりません。

 

しかしながら、用地費が下がる見通しはないのです。そもそもマンションの建設のためには、一定規模の広さが必須です。300坪(1000㎡)の土地では、住宅地で600坪の建物が建てられますが、戸数では30戸程度の小型マンションに過ぎないのです。

 

同じ広さの土地で商業地の場合は、指定(制限)容積率が400%、500%などと大きくなっているので、戸数で80戸程度までの建設が可能となります。

 

マンション建設の適地は、年々取得が困難になっているようです。無論、立地条件を厭わなければ売地はたくさんあるので、建設は可能ですが、立地条件の悪いマンションは売れないものです。このため、デベロッパーは手を出しません。

 

補足すると、規模の小さなマンションの建築費はどうしても割高になるため、その観点から小規模用地には手を出しにくいのです。結局、大型のマンションを建てたいデベロッパーは、その願望をかなえてくれそうな用地買収に行き詰っていると言えます。

 

そんな状況から、用地買収の競争率は高く、買収費はどうしても高くなりがちです。建築費も高値に張り付いて、下がる気配は感じられません。

 

安倍政権時代の末期、財政バランスのために6兆円に抑制してきた規律を破り、2019年度から3年間にわたり、公共工事費を毎年1兆円増やして7兆円に増やすと決定したことも手伝って、建築費は強含みのまま推移しているのです。

 

用地費も建築費も下がらなければ、マンション価格も下がることはありません。2009年~2012年に5%ほどの値下がりしたのですが、これは品質の低下(グレードダウン)によるものでした。

 

今後は、その時に業界標準のようになった品質レベルを、更に一段下げるほか建築費を下げる道はないのです。しかしながら、それを市場(買い手)は容認するとは考えられないのです。

 

―――― 以上のような事情から、新築マンションの価格は下がらないと見るほかない。筆者はそう考えています。

 

値上がりする中古・値上がりしない中古

中古マンションの話に移ります。新築価格が上がれば、それを嫌った買い手は中古を探そうと動きます。それによって中古マンションの人気は高まり、価格も押し上げられます。

 

その様子が分かるデータを紹介しましょう。2019年までですが、傾向はよく出ているので、これを使います。上のラインが新築。下が中古です。


 

お分かりいただけると思いますが、新築マンションの価格が上がると中古マンションも連動して上がる様子がよく分かります。新築の上昇率より中古のそれは小さいものの、上昇傾向は同じように見えます。

 

しかし、これはマクロデータです。この数値を構成する物件個々のデータを調べてみると、値上がり率はマチマチです。一律に値上がりしているわけではなく、値下がりした物件もあるのです。

 

中古マンションは、築年数だけでも大きな価格差ができますが、立地条件やスケール、階数、間取り、ブランドなどで価格差が生まれているのです。中古マンションは人気投票で価格が決まるような側面があり、買い手が全く現れないような物件もあります。不人気物件は価格が低位に留まってしまうのです。

 

高過ぎるマンション・・・値引き交渉はできるか?

市場全体を見れば、中古も新築も高値が続いているのは現実です。その中で、買い手は「高い時期にあることは承知しているが、可能なら少しでも安く買いたい」と考えています。

 

ここで、値引き交渉という概念が登場して来ます。果たして、今、値引きは可能なのでしょうか? 答えを言ってしまうと、「新築の値引きは難しいが、中古は物件次第で可能」なのです。

 

新築マンションは、企業の利益が優先されます。利幅も大きいわけではないので、販売が思いのほか進まないときの最後の手段として、やむを得ず決断(経営判断)をする場合があるものの、建物が竣工して相当数が売れ残っているときだけなのです。

 

しかも、先行して販売した顧客からのクレームを恐れるため、僅かな戸数について密かに実行するのみです。

 

他方、中古マンションは、売主が個人なので、事情があって売りたい、いつまでには買い手を見つけなければならないといった事情を抱えているものです。そのため、見学者は現れても契約に至らない状態が続くと、焦りも手伝ってか値引きを決断するときが早い段階にやって来ます。

 

その決断は、夫婦だけでできるはずです。しかも、今は買ったときの価格と比べると2割も3割も高い価格で売り出せる状況にありますから、下げ余地はあるのです。購入した時点からの経過年数が10年もあれば、ローンの残債は25%以上も少なくなっているので、ゆとりは大きいからです。

 

しかしながら、その中古が人気マンション(人気エリア)であったりすれば、売主は強気に構えており、値引き交渉は一切受け付けないなどという態度で、高いと感じた買い手も、売り値を鵜呑みするしかないようです。

 

高値で買ってしまったら将来はどうなるの?

それでも、人気マンションの場合は、いわゆる値崩れする可能性が低く、「将来は、思った以上の高値で買い手が付く」という結果も考えられるのです。

 

どのような物件が、そうなるかは別のテーマになりますし、具体の物件を提示してブログ上で解説することは出来かねます。なぜなら、マンションは地域、駅、環境など立地の差でも、建物全体の規模・風格、階数、方位、角部屋・中部屋の差、グレードなどでも価格は変わりますし、十羽一からげの説明では的を射ることはできないからです。

 

いいかえれば、買い手・売り手の個別ご相談で筆者独自の評価(将来価格の予測)を秘密裏に提供するほかないのです。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

 

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