第275回 「もう少し待った方がよいのでしょうか?」に答えて

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

タイトルのようなご質問が、数年前からよく届きます。今日は、これに対する筆者の考えをお話ししようと思います。

 

最近10年のマンション価格推移

最近10年、首都圏の新築マンション価格は%も値上がりしました。

2010年・・・・平均坪単価@219万円

2020年・・・・平均坪単価@306万円・・・2010年比+40です。

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これは1都3県の数値なので、23区だけに限ると、こうなります。

2010年・・・・平均坪単価@274万円

2020年・・・・平均坪単価@413万円・・・2010年比+50です。

驚いた人も多かったことでしょう。単純に見て、23区は年平均5%ずつ上がって来たことになります。

 

地域格差について

この数字を見れば一目瞭然ですが、東京23区の上昇率は首都圏平均を大きく上回っています。つまり、東京は都心ほど激しい値上がりがあったことを示しています。

 

高くなるに連れて手が届かない人が増えて売れ行きは悪化しますが、現に年々売れ行きは停滞して在庫が溜まる状況が続いています。

 

それでも、価格の引き下げに動く売主デベロッパーはなく、23区に限れば、2020年は前年比で11%も上がったのです。

これに対し、千葉県や埼玉県の値上がりは緩やかでした。建築費は東京都心も郊外も大差がないのですが、用地費の上昇率に差があるためです。

 

新築が上がれば中古も上がる

新築マンションの価格上昇に伴って、中古に選択対象を切り替える買い手も増えています。つまり、中古人気が高まっているのです。

中古人気は中古の価格を押し上げる、言い換えれば、中古マンションの価格も上がるということになります。

 

新築マンションの価格は、原価の積み上げと販売経費、さらにデベロッパー(売主)利益を加えて販売価格が決められます。

 

過去10年を見る限り、先述のように新築マンション価格は右肩上がりでした。原価の「用地費も建築費も高値更新が続く」という状況にあったためです。デベロッパー各社のコストカット、経費カット努力もむなしく、値上がりが続きました。

 

一方、中古マンションの価格は市場が決めます。言い換えると、売り手ではなく買い手が決めているのです。売主(多くが個人)が、いくらで仕入れたか(買ったか)などには頓着することなく、直近で売れた価格を指標に値付けされ、それが相場として流通市場に定着するためです。

 

売主個人がどんなに高く売りたいと思っても、市場に並ぶ「類似・近隣の中古マンション」と比較されるので、突出した値段は受け入れてもらえません。強気の値段で売り出すオーナーも少なくありませんが、そのまま買い手に通用することはなく、値引き交渉に応じざるを得なくなって下がるのです。

 

ともあれ、新築マンションが高値になると、安いはずとにらんだ買い手は中古へ向かい、結果的に中古も高値に誘導されてしまいます。

 

しかしながら、中古マンションの全てが同率に値上がりすることはありません。物件固有の魅力(価値)の差で、ばらつきが生まれるのです。新築と変わらない高値でも買い手が付くような人気中古がある一方、近隣の中古と比べて著しく安い値段でも買い手が付かない物件もあるのです。

 

地域格差について

新築にせよ、中古にせよ、マンション価格は立地条件によって差が生まれるものです。東京都心の人気エリア、区で表せば港区・千代田区・中央区・文京区などと、外周部の江戸川区・大田区・葛飾区・練馬区などとの比較をすると、大きな価格差があります。

 

人気の背景や要因について、ここでは説明を割愛しますが、交通利便性は都区内なら大差はないものの、人気の路線と、そうでもない路線があることに加え、歴史的な背景、環境の差、有名学校の有無なども影響します。

 

リクルート社が毎年、調査して公表している「住みたい街ランキング」などからも人気の違いは見当がつきます。

住みたい街ランキングはこちら https://suumo.jp/edit/sumi_machi/

 

新築志向が強い日本人

昨今、買いたい新築マンションが希望地域にはないと感じている人も多いはずですが、調査会社のデータから新規の供給戸数の推移を見ると、この10年は年々減って、39%減となりました。

 

2010年の首都圏・新規供給戸数(年間)・・・44,535戸

同上  2015年・・・・・40,449戸・・・2010年比▲9%

同上  2018年・・・・・37,132戸・・・2010年比▲17%

同上  2020年・・・・・27,228戸・・・2010年比▲39%

 

買いたくても品物が店頭に並んでいないという状態が続いていると言えます。

何故こんなに減ってしまったのでしょうか。一口に言ってしまうと、用地難が極致まで来てしまったのです。

 

昔から、マンション用地の取得競争は激しかったのですが、それが緩んだのはバブル崩壊で法人が抱え込んでいた遊休地や低利用の土地が放出された時でした。

それこそ垂涎の土地が売り出され、マンションデベロッパーは一斉に取得に動きました。そうして、新築マンションの大量供給が2000年頃から始まり、およそ10年それが続きました

 

大量供給も需要がなければ意味がありませんが、当時は需要も大量にありました。

バブル期にマンション開発は殆ど不可能になっていましたので、残存需要の蓄積があったからです。

 

1080年代後半~1990年代のことに社会問題になった、土地転がしという言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?日本中がバブル経済に酔っていた当時、土地を買っては転売し、また買っては転売するという中小零細不動産業者が闊歩し、1億総不動産屋などと言われた時代があったのです。

 

投機対象になってしまった土地は、一般サラリーマンのマイホーム願望を打ち砕きました。買いたくても高過ぎて手が出ない状態になったのです。

 

安い開発用地を求めて、マンション業者は都心から遠く離れた超郊外で用地を求め、マンション建設を試みましたが、通勤時間を無視はできす、やがて超郊外の開発もやめてしまいました。かくしてマンション冬の時代が到来します。

 

買いたくても買うものがないのです。やがて、バブル経済の花見酒に酔っていた人々は目が覚めて異常に気付きます。国も対策に乗り出し、短期譲渡に重い税金を課すなどして土地の投機的行為を事実上禁止したのです。

 

このころにマンションを買いたかった人たちも、買うことを諦めて時機を待つこととなりましたが、先に述べたように、2000年ころから新築マンションの供給は再び蘇ります。そうして、買いたいものがなくてじっと耐え忍んでいた買い手は、動き出します。史上まれな大量供給も、待機需要がこれを吸収し、新築マンション市場は再び活況を取り戻したのです。

 

しかし、それも10年は続きませんでした。価格が高騰して売れなくなったからです。機を同じくして開発できる用地も枯渇し始めます。こうして、発売戸数は再び減少して行きました。

 

少し、補足しておかなければなりません。新築マンションは、売れ行きを見ながら発売戸数を調整するので、未発売在庫を常に有しています。着工戸数が1000戸でも、売り出し戸数は500戸で、在庫が500戸隠れているかもしれないのです。

 

従って、売れ行きが良くなれば売出し戸数の増加も期待できるのです。とはいえ、同じマンションの階違い、間取り違いというだけで新たな建設地の新規マンションが次々に発表されるという状況は期待薄と見なければなりません。

 

古過ぎるマンションは転売時に買い手が付かないかも

マンション建設にふさわしい用地が今後も増える見通しはなく、単発的に再開発案件の大型マンションが発売されることはあっても、総量で見れば新築マンションが増えることはないと言って過言ではないのです。

 

従って、今後は中古マンションも検討対象に入れざるを得ないことになります。

 

さて、その中古マンションですが、日本人は中古アレルギーが強いと、外国に滞在していた知人は語ります。新築マンションと比べて中古マンションの評価は低いと言い換えられますが、中古市場を日頃チェックし続けている筆者も、同感と言わざるを得ません。

 

特に、築年数が長い物ほど評価が低いのは確かです。「古いマンション、大丈夫なのか」という疑念があるためでしょう。購入するときに、この疑念や不安を持っていれば、売却時に築年数が一段と重なる自宅マンションの価格に不安を抱くのも無理はないのです。

 

「買い手が現れるだろうか?」、「大幅に値が下がるのでは?」といった心配をするというわけです。その懸念は物件ごとに判断しなければならないので、ここで十把一絡げに語るのは避けますが、軽視できない問題であるのは確かです。

 

購入マンションの将来価格を予想しておきたい

マンションの耐用年数は、一口に言ってしまうと70年80年と長いものです。とはいえ、メンテナンス次第でもあるのです。日頃の維持管理がどのように行われて来たか、大規模修繕工事も適切に行われて来たかなどによって差異は大きく、50年で寿命が来てしまったなどという事例がないわけでもないようです。

 

購入後20年もしないうちに故障その他の不具合が頻繁に起こって、住み心地が悪いという状態は願い下げです。しかしながら、新築でも買ってから3年もしないうちに不具合や故障が発生して不快な気分にさせられてしまう懸念はゼロでありません。

 

読者の皆さんもご記憶の「建て替えに発展した横浜の事件」などからも、買ったマンションには同様の不具合が起こらないとは断定できないのです。そういう意味では、問題があったとしても解決済みの中古マンションは逆に安心と言えない「こともありません。

 

まあ、絶対的な基準ではありませんが、築10年を超えていたら問題は解決済みと見て良いのです。

 

新築が激減してしまった首都圏のマンション市場。これからは、中古マンションの中から選ぶほかないのかもしれません。少なくとも、新築にこだわっていたら、マイホームは持てない。そう思うべきときと言えるでしょう。

 

最後に。

よく問われます。「もう少し様子を見た方が良いでしょうか?」と。これに筆者は間髪を入れず答えます。「買い時はいつも今なのです」と。

 

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です。

 

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