第232回 「新築物件はもう買えない」という嘆きの声がたくさん届く昨今

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

「新築マンションの価格が高過ぎで手が出せない」そんな嘆きの声がたくさん届くようになりました。短期間の値上がりが背景にあります。

 

ご存知ない方もいらっしゃるようですから、改めて整理しておきますが、グラフは2000年以降の価格の上昇傾向を表わしたものです。


 

第230回「低迷続く?!新築マンション市場」で詳しく書きましたので、そちらをもう一度お読みいただくとして、今日は、少し角度を変えて述べたいと思います。重複する部分もあろうかと思いますが、お目通しいただければ幸いです。

 

値上がり率は、東京23区だけを見れば2010年が坪単価で@281万円、2018年が@376万円なので、この間に約34%も上昇したことになります。

66㎡(20坪))なら、5620万円から7520万円に、1900万円も上ったのです。

 

5年前から検討し始めたというQさんは、この上がり方を知って後悔したそうです。

 

5年の間に給与も増え、自己資金も増えたことに加え、ローンの金利も低くなったので予算も増やせそうだから、買えないこともない。だけど、今ここで買って後悔しないかと悩んでいるそうです。

 

少し郊外に出れば、予算を抑えて届く物件もあるものの、役職がついて一段と多忙になり、通勤時間はなるべき短くしたい、妻も仕事を持っているので、郊外マンションというわけには行かないのだと語ります。

 

最近、筆者に届くお便りには「少し待てば価格が下がると期待をしている」というものと、「高値でも思い切って買った方がいいのか」、「新築マンションは諦めざるを得ないのか」、「中古も新築マンションより高いものが多い気がする」といった声が目立ちます。

 

「高くて手が出ない」という声も聞きます。しからば中古はどうかと言えば、その中古も高く新築と変わらない。だったら「やっぱり新築がいい」こんな声も届きます。

 

●今年はどう動くべきか

では、今年はどのような方針でマンション探しをしたらいいのでしょうか?

 

新築を諦める必要はないのです。しかし、これはというものは高くて出が出ないと語る人も少なくないようです。 方針転換するとして、以下のような考え方はどうなのでしょうか?

 

①予算を増額する?

②立地条件を変更する?

③面積を妥協する

④階数を下げる

⑤中小物件に候補を変更する

⑥キャンセル待ちする

⑦売れ残り物件を値引きさせる

 

人それぞれの事情があるので、上記のどれを選ぶべきかという点について語るのは簡単ではありませんが、可能な限りの所感を書いていくことにします。

 

①予算を増額する?

 

金利の低下で、予算を増やすことができるようになったという声を聞きます。

 

個人差があることなので、筆者に言えることは「銀行を変えて、低利のローンを探す」とか、諸費用の差もあるので、細かく比較してみることで「お得なローンを選びましょう」という程度です。

 

②立地条件を変更する?

通勤の問題は妥協できないはずですが、東京は広いのです。 全方位で、もう一度見直してみましょう。 思いがけない物件を拾う可能性はあると思います。

都心は無理でも「準都心」なら、思いがけず拾いものをするかもしれません。

 

③面積を妥協する

「3LDK・75㎡以上」などの条件を、例えば65㎡・2LDKでもいいと変更すれば選択肢は広がるでしょう。

 

④階数を下げる

眺望の良い上層階が希望だという人でも、「景色は5分見たら飽きる」といいます。割り切って、低層階に候補を変えたら、きっと手が届く部屋があるかもしれません。 ただし、前方に障害物があるのは避けなければなりません。

 

⑤中小物件に候補を変更する

大規模マンションに限定している人は別ですが、こだわらないなら、選択肢は広がります。

ただし、「ペンシルビル状の超小規模マンション」はお勧めできません。 例外もありますが、50戸以上、できたら100戸を目安にしておきましょう。

 

⑥キャンセル待ちする

キャンセルが出ないこともないのです。「出たら教えて」と伝えておきましょう。

 

⑦売れ残り物件を値引きさせる

全体的には「悪くないマンション」と思っている物件があるとします。

しかし、なぜか売れ行きは芳しくないようです。竣工間際なのに、まだ半分しか売れていないらしい。 こうした例が増えています。売れ行きが悪いのは、ここ3年余りの傾向です。価格が高いために、二の足を踏む買い手さんも多く、販売は進まないのです。

 

物件価値がさほど悪くないと思うなら、言い換えれば価格だけが問題ということなら、「値引きしてもらえば解決できる」わけです。思い切って指値をしてみましょう。

 

ただ、新築物件の値引きは高々10%です。売主企業によって、また、物件の社内の位置付けなどによって、プラスαがないことはないですが、まあ5%程度が限界と思いましょう。

 

 

●「安いから」で、駅から遠い物件を選ぶのは問題

「立地条件を変更する」という選択肢もあると書きましたが、最寄り駅から徒歩10分以上も歩くのは考えものです。

 

景観が抜群である上に、専用送迎バス付きなどの例外も無論あるのですが、できるだけ徒歩5分以内の物件にしましょう。

 

●新築の値下がりはないと思った方が良い

次を待っているうちに時間だけが経っていくものです。

 

マンション探しを始めてから2年以上が経ったという方からのご相談が届くことがあります。

慎重な性格のためなのか、それとも良い物件と巡り会わないためなのかは別として、探し始めてから数えきれないほどの物件を見学していても、買おうと思う物件に遭遇しないというのです。

 

理由や背景はとのかくとして、中々決断できないという人は少なくないようです。今は、どこを見ても信じられないほど価格が上がっているようなので、反転するのを待ちたいと語る人もいます。

 

残念ながら、新築に限れば反転はないと思った方が良いのです。新築マンションが値下がりするとしたら、地価も建築費も値下がるときです。 しかし、今のところどちらも下がる見込みはありません。現在販売中の物件の中から、個別交渉によって売主に下げてもらう道が残されているだけと思った方がよいのです。

 

●中古も高いという声が聞こえる

中古も高いというのは錯覚です。少なくとも筆者は、そう思っています。 中古マンションで近燐の新築マンションを上回る中古物件がないこともないですが、それは、周辺の新築マンションより価値があるということなのです。

 

ここで事例を出して説明することは割愛させていただきますが、高値の中古は価値ある中古であることを世間(市場)が認めている何よりの証拠なのです。

 

●中古は考え方次第

筆者が中古崇拝者と誤解されても困りますが、現状は中古の方が良い売り物に出会う確率が高いのは事実です。

 

値下がりしにくい中古・近隣の新築より価値ある中古を選べばいいのですが、中古マンション選びは壁も低くありません。

 

見学者の声を聞いてみると、「キレイとは言えない」からのようです。

もうひとつは、「良い物ほどすぐ売れてしまう」ことです。 先着順受付なので、予告広告を繰り返して何か月か後に「申し込み受付」を開始する新築と異なり、中古は常に「先着順受付」方式です。

 

見学に行って、購買意欲がわいてきたら、いくつかの質問をしたのち、納得できたら、即座に申込書を買いて証拠金とともに仲介業者に預けるくらいのスピード感が必要です。

 

大げさではなく、一生に一度の大きな買い物を「即断しろ」とは乱暴すぎるとお叱りをいただくかもしれませんが、そのくらいのスピード感がないと良い中古物件はゲットできないのも事実です。

 

筆者は、「見学し過ぎ」と「考え過ぎ」が中古購入の一番の壁だと思っています。

 

仔細は次の機会に書きますが、良い新築物件を買う場合も、「高い抽選倍率」の壁があります。または、価格が高くて販売が長期化している物件もあります。気に入った新築マンションを見つけたが、予算を超えているということなら、値引き交渉をするほかないのです。

 

●新築に限定するなら・・・

どのような道をたどるとしても、高いなと思いつつ、新築物件を選ぶなら、将来のリセールバリューには期待が持てないという覚悟をしておきましょう。無論、価格だけが問題の優良マンションなら、値引きなしで買っても怪我はないという場合もあります。

 

将来の価格が期待した割には高くならなかったという物件も、おそらく同時に検討した物件と比べたら、大きな差異ができているかもしれません。

 

その判断は簡単ではありません。分譲主のセールストークは、常に曖昧ですが、誰にも将来の価格を正確に見通すなどということはできないのですから。

 

筆者の展開する「将来価格予測サービス」は大胆な予測レポートであると自覚していますが、長く市場を見て来た筆者は、データも駆使しつつ「10年後、15年後の購入マンションの価格予測」を提供しています。10年ほど前から展開して来たサービスですが、ときどき依頼者からレポートを見たのち、お叱りのコメントが届くことがあります。

 

「惚れた妻・恋人をけなされてしまった」と思うのでしょう。 筆者の未来予測は悲観的です。予測値も依頼者の期待を裏切ってしまうことが多いのかもしれません。しかし、「これでいい」と思っています。

 

筆者自身で過去のレポートを読み返してみて、直近の売買異例と比較すると、過半が筆者の予測値を超える結果になっているからです。 この間の価格上昇が筆者の予想を超えてしまったのです。

 

購入した依頼者は大喜びのようです。 反対に、購入を諦めた方は何と思っているのか。聞いてみたい気もします。

 

とまれ、今後は変わって来る可能性が高いかもしれません。筆者は予測数値を常に厳しく算出することにしていますが、それが10年後、15年後にどのような結果になるか、それを見る楽しみが残ります。

今日も、「将来価格の予測レポート」作成にあたっては、市場の動向をにらみつつ、慎重に数字をはじき出す作業に取り組んでいます。

 

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

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