第191回 騙されやすい新築マンションの価格表

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このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

魅力的な新築マンションと思ってモデルルームを訪れたMさん。訪問するまでは価格も公開されておらず、自分が購入できるマンションかどうか全く分からなかったのですが、現地を確認しモデルルームを見て買いたい・欲しいと感じたそのとき、担当営業マンは「こちらは予定価格で、正式なものではないのですが」と言いながら、全住戸の3割くらいに数字の入った価格表を目の前に置きました。

 

それを見たMさんは、一瞬「やっぱり高いな」という印象を持ちました。しかし、届きそうな価格帯の部屋も少数あることに気づき、「頭金ゼロの場合、この2階の部屋は毎月いくらになりますか?」と、3LDKの中で一番安い部屋のローン計算をお願いしました。計算書を見ると、返済に無理はなさそうでした。

 

「同じ面積の5階とでは300万円も違うんですね。どうして、ここだけ安いんですか?」疑問を感じたMさんが尋ねると、「バルコニーの前にお隣の一戸建て住宅があるので・・・」との答えでした。

(3階と4階は次回分譲とのことで空欄になっていました)

 

「そうですか?すると、3階より上の方がいいのですね?」

「まあそうですが、2階でも問題はありませんよ。3mくらい距離がありますから」

 

Mさんは、価格表を含む資料一式を受け取り、来週もう一度訪問する約束をして帰りました。帰宅後、Mさん夫婦は話し合いました。

 

「2階でもいいんじゃないかな。日当たりは問題ないと言うし」

「大丈夫かしら?日当たりを確認できないのかしら?」

「完成まで見学はできないよ。3mということは、このマンションの前の家と同じくらい離れているんだから大丈夫だよ」

「300万円も安いのは、ほかにも何か理由があるんじゃないかしら?」

「そうだな、もう少し考えてみよう」

二人の会話は、そこで終わりました。

 

翌週、Mさんは再度モデルルームを訪問して担当営業マンに聞きました。

「安い理由は2階建ての家が前にあるからというお話でしたが、それにしても安い気がしますが、そんなものですか?」と。

「そうですね。上の階から順に下げております。ただ、3階までの下げのピッチより、2階は大きめにしております」

「それはお隣の家があるからですね?」

「はい。その通りです」

 

Mさんは思いました。日当たりは問題ないというし、それだったら2階はお買い得商品ではないかと。これは、きっと目玉商品だ。客寄せパンダみたいなものかもしれない。

ほかの部屋も見ましたが、Mさんが注目した部屋が一番安い気がしました。もっと安い部屋もありましたが、面積が違っていたのです。これは、やっぱり掘り出し物かもしれない。

 

「この部屋って、お得ではないですか?」思わずMさんは口にしました。

「そうですね。何せ一番の割安住戸ですから」

Mさんは俄然、購買意欲が高まりました。

 

「この部屋を買いたいときは、どうすればいいんですか?」

「00日から先着順で販売を開始しますので、00日に印鑑をお持ちのうえでお越しいただければ結構です。お申込み後にローンの仮審査を受けていただきまして、問題なければ1週間後にご契約という流れになります」

「契約のときは、手付金の用意がいるのですね?」

「はい。お申込みのときに証拠金10万円を入れていただきますので、その分を含めて手付金は〇〇〇万円になります」

 

「分かりました。では00日に来ればいいんですね?」

「はい。ただ、この部屋をご検討のお客様が複数いらっしゃいますので、朝一番でお越しいただいた方がよろしいかと思います」

 

この発言を受けて、Mさん夫婦は00日の9時に行こうと心に決めました。

帰宅後、Mさんの妻は夫が宝物を掘り当てたかのように喜ぶ姿を横目でみながら、相談できる人がいないかと、インターネットでいくつかの検索キーワードを使って「三井健太の相談室」にたどり着きました。

 

筆者に届いたメールには、検討マンションに至った経緯やモデルルームが素敵に見えたこと、2階住戸のお買い得感などを書き込んであり、「マンション評価」をお願いしたいこと、00日に再訪問する予定なので、その前にレポートを欲しいと希望が綴られていました。

 

筆者は早速いつもの作業に取り組みました。分かったことは、Mさんがお買い得だと感じた住戸が少しも安くないことでした。当該マンションの平均単価を概算し、それとの比較では確かに安いのでした。しかし、平均単価を相場と比較すると15%も高いマンションだったのです。

 

価格表だけを目にすれば、割安に見えてしまう住戸も、同程度の他社マンションと比較すれば少しも高くないということがあるのです

 

後で分かったのですが、Mさんは「鬼の首でも取った」かような勢いだったそうです。妻が「宝物を掘り当てたようだ」と表現した様子が手に取るように分かる気がしました。

 

人間は誰でも近視眼的になるときがあるものです。単眼、複眼という言葉もありますが、なかなか複眼で事象を見ることはできないものでもあります。そこに錯覚や誤解を生む原因があるのです。

AとBどちらがいいですか?と問われると、第三の選択肢があるにも関わらず、AかBかと悩んでしまう心理も働くものです。

 

盲点はないか、落とし穴があるのではないかと考えてみるものの、経験や幅広い知見がないと発見できないのが普通です。仮説を立ててみても、的外れだったりもします。

 

新築マンション、その価格が高いか安いかの判断は簡単ではありません。駅から徒歩10分と5分、そっくりの建物がそれぞれに建てられていれば比較は簡単ですが、10分の物件はきっと5分の物件にはない長所を備えているはずです。その長所となっている条件が5分の差を埋めているだけでなく、お釣りが来るほどのインパクトある条件が10分のマンションに備わっていれば、答えは簡単ですが、その判断は難しいのが現実です。

 

マンションの価値を決める要素は、①立地条件(利便性と環境)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、ブランド、⑥管理体制などです。

 

しかし、これも項目によって比重が異なります。立地条件が占める比重が大きいということは知っていても果たして何%くらい占めるのか、広域的な見方では高い価値があると信じられる地域のマンションでも、地域内の競争力ではどのレベルにあるのかが分かりにくいものです。

 

また、ブランド力はどのくらいの比重になるのか、デザインはどうなのか、スケール感はどうなのか、特別な共用施設が何もないというのは気にしなくていいのか、間取りも平凡だし、室内設備も物足りない印象があるが、そこをどう見たらいいのか。こうした疑問がきりなく出てきます。

 

Mさんは、こうした点を全く考えなかったわけではないのですが、すぐに通り過ぎてしまったようでした。目の前の価格表の魔術に引き寄せられ、「割安だ・お買い得だ・目玉商品だ・掘り出しものだ」という勝ち誇り感に酔ったのかもしれません。

 

中古マンションには、売り出される同タイプ・同面積の部屋がふたつ同時ということが稀にはあるものの、普通はないので、相場を調べようとして他のマンションとの比較をしたがりますが、新築ではMさんのようなマンション内の比較の罠にはまってしまいがちです。

 

安いと感じたとき、それは危険のシグナルです。くれぐれも多角的な検討をなさいますよう進言して今日の記事のまとめとします

 

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