第152回 永遠のテーマ「買い時はいつ?」

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このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

マンションのような高額商品は、衝動的に財布からお金を出してぽんと買うというわけには行きません。

全額現金で購入する人も、長期の住宅ローンを利用する人も、その人なりに考えて買うべきか否かを少しく迷い、ときに深く悩み、熟考して契約に至るものです。

マンションに限りませんが、商品を購入するときに悩むポイントは二つに集約されます。「どの品にするか」と「いま買うべきか否か」です。

今日は、後者の「いま買うべきか否か」について考えてみました。取り上げた理由は、マンション価格が急騰しているからです。また、買い時かどうかというお尋ねも多いからです。

 

●各種調査は住宅ローン金利の動向から買い時を示唆するが・・・

マンションは一般的にどんな時が買い時なのでしょうか?その答えを述べる前に、多くの購入者がいつを買い時と考えているかについて紹介しておきます。

 

各種の意識調査は、購買行動の動機は「金利が安いから」と「価格が低下したから」、あるいは「値上がりしそうだから」といった答えが上位に来ると発表しています。

今、金利は史上空前の低水準です。その面では買い時に違いないですが、価格が高くて手が出ない。自分が買えそうなものはだいぶ妥協を強いられる。それでも買った方がいいのかなどと悩みます。

 

そのほかにも以下のような悩みを持つ人がいます。

「デフレが続き、自分の所得が減少してしまうかもしれないので、そんなときに多額の借金を背負ってよいのだろうか?」という疑問や、「巨大地震が来たら、多額の修理費用がかかるかもしれない。賃貸住宅なら、その心配はいらないのではないか?」、「不況で再び地価が下がったり、マンションが売れなくなったりすれば、きっと値段が下がるはずだから、もう少し様子を見た方が得策ではないか」という声もありました。

 

●買い時を測ることの難しさ

将来を予測するのはむずかしいことです。金利はまだ下がるかもしれないという意見。いいやいや、もう十分下がったから今後は上がる心配の方が大きいのではないかという意見。どちらも一理あります。

 

デフレ解消の目処が立たないまま、かれこれ20年近い日本経済。2014年には消費税が8%に上昇しましたが、翌年には更に2%上昇する計画は2019年まで延期されました。

トランプ政権が誕生して以来、次々に打ち出す秩序を壊す政策、そのひとつは関税の強化ですが、これに対抗する各国の報復措置、英国のEU離脱、国内では戦後最長だった「いざなぎ景気」を抜く長期の成長と賃上げの継続、その一方では相変わらずの節約志向で消費が盛り上がらない。最近の景気の底上げに寄与しているのは「訪日客の増加」だとする分析もあります。。

 

東京駅オリンピックが2年後に迫っていることもあって、ホテル建設が盛んです。国立競技場をはじめとするスポーツ施設の建設、選手村の建設が進む一方、全国的な再開発ブームで人手不足の問題を抱えながらも経営好調のゼネコン業界。しかし、その反動が2020年以降にやって来る、地価は暴落するなどという物騒な見解を発表した人もいます。

 

このようなことを、あれこれ考えれば考えるほど社会と経済、金融などの世界の将来を予測するのは困難です。私ごとき素人には確信が持てないテーマです。もっとも、高名なエコノミストでも完璧に予測できる人はいないようですが。

 

数十年先の未来まで考えたら、不安要素は更に混沌として来ます。例えば、年金の受給問題が挙がって来ます。また、雇用不安や退職金の減額や消滅といった問題も浮上します。人口減少と外国人の流入が引き起こすであろうと言われる諸問題、空き家問題も焦眉の急です。

 

こうした未来予測の難しさを端的に表わす言葉が「不透明な時代」というのでしょうか?それを前提にしたら、マンションの買い時を言い当てることなど不可能になります。

 

想定外の災害や事故など、先行き何があっても不思議ではない。そんなふうに考えてしまうと、そもそも多額の住宅ローンを組んで購入するリスクを負っていいのだろうかという疑問にぶつかります。

買うとしても、もう少し頭金を貯めてローンを減らして買うほうが賢明なのではあるまいか?買ったら最後、そこに住み続けるほかにないなどという事態は起きないだろうか?その前に巨大地震が来たらどうなるの?

そこまでのことはないにしても、売却がままならず、仕方なく賃貸に出し、自分も再び借家暮らしに戻ることになるのではないか?住宅ローンが払えずに競売で処分され、退去を余儀なくされることはないだろうか?

 

こうした不安を消すためにも、今は様子を見るべきなのではないか?踏みきれない人は、最後に「様子見」に落ち着きます。しかし、この先、将来への不安が消える時はやって来るでしょうか?

 

●買い時はいつも今である

私たちの周囲を見ると、快適なマンションライフを手にしているシニア層の共通点は、いち早く購入しているという点です。既にローンを完済し、日々ゆとりある暮らしを送っていたり、買い替えも実行して、優雅な老後を過ごしていたりします。

 

よく、金利が安いから買いだとか、価格が間もなく下がるから様子見が賢明だとかと、「したり顔」の似非専門家を見かけますが、それが正しいとしても、そのような背景や環境は人生の中では一瞬のことに過ぎません。

 

金利の動きは誰にも読めません。毎月の返済額を減らそうと、これから時間をかけて頭金を増やしても、いざ借りるときに金利が上がっていたら、返済額が減るどころか増えてしまう可能性もあります。

今は低金利が続いているから、今後は金利が下がる余地よりも、上がる確率のほうが大きいかもしれません。でも、ずっと横ばいという可能性だってあります。結局、金利の動きは誰にも読めないから、欲しいと思える物件と出会って、余裕をもって返していける資金計画が立てられるなら、そのときが買い時とも言えます。

価格の変動でも同じことです。金利よりは読みやすいですが、それでも、予想は絶対ではありません。

 

金利にせよ、価格にせよ、その動向に一喜一憂しながらマイホームの買い時を探すという考え方は、本末転倒と言って過言ではありません。

 

ところで、モデルルームを見学に行く人はどのような理由があるのでしょうか。

結婚や転勤などの事情がある人も中にはありますが、ほとんどの人が今スグに買わなければならないという事情を抱えているわけではないはずです。

 

「家賃が勿体ないから」とか、「現在の住まいが手狭なので」、「いつかはマイホームを持ちたいと思っているから」などと、やや漠然とした動機や背景があって見学に行くのです。

 

きっかけは、「近くにマンションができたから」、「友人から勧められて」、「転居したお隣さんに刺激を受けて」、「家賃が上がるので」といったものが多いようです。

住宅購入経験者の事例を調べてみても、切迫した状況にはなく、急がない人たちばかりです。しかし、急がないのに何故マンションを買うのでしょうか。

 

これは、夫婦の出会いに似ています。たまたま縁があって購入したというケースが多いのです。言い換えれば、「この人と一緒にいたい、家庭を持ちたい」ということです。例外もあるでしょうが、結婚を経済的損得で測るわけではないと思います。

結婚するとき考えるのは、せいぜい「この収入で生活していけるか」ではないでしょうか?それも将来のことではなく、目先の問題として考えるのではないかと思うのです。将来起きるであろう子供の教育費など支出の増加と、それを賄う所得の増加まで検討して結婚を考える人は殆んどいないはずです。漠然と自分の未来を予測しながらも、「家族のために頑張る」といった思いが優先しているはずです。

 

これを住宅購入に当てはめたら、「マイホームを持ちたい」という動機があって、次に「この収入で当分の間、住宅ローンを払っていけるか?」になるのではないでしょうか?20年先、30年先のことを、どれだけ研究しても答えはどうせ見つからないのですから。

 

そう考えると、買い時はいつかと考えるのではなく、「欲しい・買いたい」という動機があって、次に「今の収入なら無理なく払える」を決め手としても、決して乱暴な話ではないと思うのです。

 

簡単に言ってしまうと、「買いたいと思ったときが買い時」なのです。貴方が今、マンションのモデルルームを見学に歩いているか、見学に行きたいと思っているなら、将に今が買い時なのです。

 

マンションの買い時は、時代や経済状況や価格・金利の変動とは無縁であって、「買いたいという気分の今こそ、貴方にとっての買い時」なのです。こう考える方が、きっと悩まずにすむのではないでしょうか。

 

 

●当分見合わせるという選択肢はないのか?

「待てば海路の日和あり」ということわざがありますが、マンション購入には当てはまらない気がします。

 

中古マンションでは、強気な売り出し価格にしたが、売り出してから2か月もしないうちに値下げするということがあります。半年かかって決まらず、二度も値下げしたというような例はいくらでもありますから、意中の物件があるなら見送って、次回を待つ方がよい場合があります。

しかし、そもそも価格が高過ぎたのであって、下がって適正な価格に落ち着くだけのことです。高いレベルは続いていると見るべきです。

 

相場が下がるまで待つ、イメージとしては1年とか2年待つという選択はどうでしょうか?中古物件は、新築より値動きが敏感なので、待つ策は悪くないかもしれません。ただ、中古の値下がりは新築と連動するので、新築価格が明らかに下がる傾向を見せない限り中古も動かないと考えた方がよいのです。

では、新築の動きはどうでしょうか?この答えは本ブログの第116回「新築マンションの価格硬直性」をご覧いただきたいですが、待って得なことはないと断定してもよいでしょう。

 

第116回 新築マンションの価格硬直性


・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

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