★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください☆★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
都内の物件でたまたま同様のご相談が3件も重なったのですが、それは窓が二重サッシになっているもので、1件は航空騒音、次が高速道路、最後は鉄道です。珍しいなと感じながら、それぞれにお答えしました。
今日は、外部の騒音がマンション価格にどう影響を与えるだろうかという問題について語ろうと思います。
●二重サッシは優れもの
建物が完成したときに行われる「ユーザー検査」(別名・内覧会)にお邪魔したとき、外部騒音を嫌でも聞くことになるのですが、その際に「閉めたら思ったほどうるさくないね」と購入者の感想を耳にすることもあります。
T-4、T-3,T-2といった遮音等級があることをご存知だと思いますが、これには十分に関心を払った方が良さそうです。
以前筆者が住んでいたマンションは住宅街の中に建つ5階建てでしたが、まさかという騒音にびっくりでした。というのも、入居後ほどなく、夜中に外を通る車の走行音がうるさいと気づきました。その道は、抜け道だったらしく、交通量が意外に多かったのです。
仕方ないので、不格好になるのを承知で内窓を取り付けたお宅もあったようです。筆者宅は「慣れれば大丈夫」と、ときどきは「うるさいな」とぼやきながらも妻も筆者も我慢強いのか鈍いのか、引っ越しするまで何年もそのままでした。
さて、そんな経験しかなく、若い頃から防音サッシ、エアタイトサッシなどという用語は業界人として当たり前に知ってはいたものの、どの程度の性能があるのかを知る機会がないまま来てしまいました。この数年、内覧会の同伴業務をお引き受けするうちに、感覚的ですが、性能の差が分かって来ました。
この音ならT-3で大丈夫、この音ではT-4(二重サッシ)でないとダメだろうなとか想像しながら、実際に部屋の中で、「なるほど二重サッシは優れものだな」などと思ったものです。
●窓を開けられない生活に耐えられない人もあるらしい
少し前のことですが、高速道路沿いでも鉄道沿いでもないマンションの住人の方から「売りたい」というご相談があり、ご自宅を訪問させていただいたのですが、驚いたことに100mくらい離れた道路の道路騒音が飛び込んで来るのです。道路とマンションの間には低層の建物しかないため、高層階にあるご相談者のお住まいに音がダイレクトに届くのでした。
窓を閉めると全く聞こえないのでしたが、その方は窓を閉め切ったままの生活は考えられないというのです。夜も、夏は窓を開けっぱなしで暮らしたいとも仰っていました。
このような人は何割くらいあるものでしょうか?そんな調査データに触れる機会はないのですが、案外多いなかもしれないと感じたものです。
●線路沿いマンションで
次は、JRのある幹線の線路沿いに建つマンションのことでした。購入前の人から、「音が心配です。止めた方がいいでしょうか?」というご相談でした。
自分たちでも建設現場へ行き、二度音を聞きましたが分かりません。営業さんは「T-3サッシなので、窓を閉めてしまえば影響はない」と断言するのですが、本当でしょうか?と付記されていました。
その場所をよく知っている筆者でしたが、いつも聞く音はグランドレベルで、線路は高架になっているためマンション内の音の大きさは実感できません。そこで、現地へ行って、近くのビルの外階段を登らせてもらい、5階から音を聞くことにしたのですが、想像以上にやかましいなと思いました。しかも、3分間隔で激しく走行するのでした。
駅に近い場所なら、その駅は全部が停車するのでスピードを緩めるために騒音レベルもマシでしょうが、物件は駅から600mも離れている位置だったため、ほぼ最高速で走るのです。
これでは、二重サッシでなければ防音はできないだろう。そう感じた筆者は「プロが音を測定してT-3で大丈夫と判断したのかもしれませんが、絶対大丈夫とは言えません。感じ方には個人差もあるのですが・・・」とお伝えしました。
●開放廊下型の高速道路沿いマンションで
首都高速道路沿いにマンションが林立している東京の光景。最近、そのような場所で新築マンションが珍しく建設・販売中という事例に遭遇しました。
ご相談者は音の問題を気にしていないふうでした。二重サッシだから閉めていれば問題ないと思うというのでした。しかし、そのマンションはエレベーターを降りてから、外廊下を歩いて玄関前に到達する形状でした。外廊下を歩くときの音のけたたましさ、それだけで嫌になる人もいます。
まだ工事中ですし実感はないと思います。契約したあとで、建物が完成して見学に行き、びっくりしても無償の解約はできません。慣れればいいと言いますが、売るときのことを考えたらどうでしょう?
内覧に来た買い手さんは、たった1回の訪問の際に、びっくりして逃げ出すかもしれませんよ。それでもこのマンションを買いますか?筆者は、そう投げかけました。
せわしなく動く大都会、喧騒の街から安らぎと憩いの空間である我が家に辿り着いてほっとしたのも束の間、エレベーターを降りたとたん再び喧騒の街中に引き戻されるのです。気にしない人もたくさんあるかもしれませんが、可能なら、そうでない物件の方が良いのではないでしょうか?
・・・・・・・本日はここまでです。ご購読ありがとうございました。