第102回  目玉住戸と「戦略的値付け」という概念

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どの業界にも、販売・営業戦略という概念があります。分譲マンションの場合、どのような例があるのでしょうか?また、それを知って買い手に役立つことはあるでしょうか?

今日は、そんなお話をしようと思います。

 

●異様に高い角住戸

あるマンションで、角住戸がごっそり売れ残っているケースに遭遇しました。中住戸は過半が売れているのですが、東南の角も西南の角も大半が残っているのです。

 

角住戸に欠陥はありませんでした。広くて間取りも秀逸、ロケーション的な問題もないと感じました。売れないのは価格が高い。それだけでした。

 

ご理解は早めるために、ざっくりと数字を使いましょう。中住戸は3900万円、角住戸は5200万円という物件です。その物件には4000万円の予算の買い手が集まりましたが5000万円の予算を持つ買い手は殆ど来なかったのです。

 

買い手の予算は普通、10%程度の伸びが可能なものです。つまり、予算4500万円の人がたくさん来ていたら、角住戸も買えた可能性はありました。角住戸は面積も広いので、中住戸と同じ単価をかけても4800万円くらいになる物件は少なくありません。

予算が4000万円以下の買い手しか来なければ、角住戸には届かないのですが、予算は個人差があるもので、多くが4000万円以下が中心でも、何割か4500万円の予算を持つ人も来るものです。従って、角住戸が4800万円程度なら売れたはずです。

 

売れなかったのは、それ以上の予算を持つ、無理すれば5200万円に届くという買い手が全く来なかったからです。そのエリアは、比較的低予算の買い手が多いエリアだったというわけです。実は、売り手はそのことをよく知っていました。

「価格の壁」と言いますが、この場所は4000万円の壁、ここは8000万円の壁といったふうに経験値が語るのです。

 

それを知っていながら、5200万円の角住戸が誕生した(誕生させた)のは何故でしょうか? 面積の差が大き過ぎたのでしょうか?そうではありません。中住戸は75㎡、角住戸85㎡とご理解ください。このくらいは特殊なものではありません。

 

75㎡で3900万円は、坪当たり@170万円です。一方、85㎡の角住戸は@200万円と高い設定であることに気付きます。普通は条件の良い角住戸であっても、面積が広いだけにグロスが上がり過ぎるので、単価を極端に上げないこともあるのです。

例えば、このケースで単価を10万円高くして@180万円としても、角住戸は4600~4700万円に抑えられたのです。これなら、大半が売れ残るということはなかったでしょう。では、何故そうしなかったのでしょう。理由は簡単です。

 

角住戸の単価を常識的な@180万円にしたら、そこで失う利益・売り上げを中住戸にONして全体の売り上げ・利益を確保しなければなりません。そうすると、中住戸が高くなります。例えば、3900万円の中住戸は4300万円くらいに跳ね上がったりするわけです。そうなると、メーンターゲットを数多く失うことになります。

 

角住戸は高くてもいつかは売れると読んだわけでなく、きっと「高過ぎて売れ残るに違いない」と値付けの段階から計算済みだったのでしょう。

売れ残ることは織り込み済みというわけです。数が多い中住戸をさばけば、残った角住戸は値引きして売ればいい。こんな打算が販売チームにあったのでしょう。全体がごっそり売れ残る事態は避けたい。高い角住戸だって何割かは売れるはずだ。そう考えたのです。

 

そうした計算(戦略)のもと、販売は始まり、第◎期・第◎次という小出しの販売の中に高額角住戸を混ぜれば、そのたびに何戸かの角住戸は売れるかもしれない、そんな甘い予測のもとに販売は始まったのですが、結果はさんざんで、角住戸は期待通りには売れず、最後は角住戸ばかりが残るという事態を迎えたわけです。

 

●坪単価を算出してみましょう

販売初期は、安い部屋も高い部屋も、中住戸も角住戸も、バランスよく多数のタイプを売り出すものです。予定価格表を手に入れたら、こっそり単価を計算してみましょう。

 

常識的に上層階は高く低層階は安く、中住戸は安く、角住戸は高く値付けされています。そのバランスを見て、異様に安い住戸があったり、高い住戸があったりします。そうなっていることが少なくありません。そこで「何故」と考えてみるのです。すると、そこに売主の意図が見えて来ます。

 

1階住戸が極端に安いと気づいた人が筆者に質問して来ました。「お買い得と思うのですが、1階となるとリセールバリューは大きく落ち込むのでしょうか?」と。

 

筆者はこうお答えしました。

「一概には言えませんが、価格が安いのは価値も低いものです。日当たり、プライバシーなどに問題がないでしょうか? 専用庭の面積が広い(30㎡以上あるなど)場合は、2階より高く値付けされているケースがありますが、それは価値ある庭と売主は評価して決めたのでしょう」

「ただ、営業戦略上、価値の割に安く設定しているケースもありますから、そのような場合は狙い目になります。同じ列の同じ面積で2階住戸、3階住戸と価格を比較してみ、2階と200万円以上の差があれば、この物件の“目玉住戸”なのかもしれません。目玉住戸は実質の価値の割に安い客引き商品のことですから、真剣に検討してもいいかもしれません」と。

 

別のお尋ねです。「竣工から半年以上を経て条件の良い角住戸が何故か多数売れ残っています。担当営業マンは“初期に売れた部屋がキャンセルになったため”と説明するのですが、本当かなと疑っています。この住戸は何か問題があるのでしょうか?」

筆者は答えました。「調べたところ、何も問題はないようです。単純に高過ぎるから残ってしまったのでしょう。10%の値引きを勝ち取りましょう。指値は●●●万円ですね。限界は多分000万円のはずですが、思い切って大きな金額を要求するのがコツです。相手は無理難題と拒絶反応を示すかもしれませんが、交渉事は1回・2回であきらめないことが大事です」と。

 

●お買い得な北向き住戸も

一般に北向きの部屋は人気がないとされます。しかし、そうでないこともあるのです。第90回「マンションの向きについて考える“北向き住戸”にも意外な魅力が」の中でお話ししましたので、繰り返しませんが、要するに北向きは人気薄と見た売主は弱気になって安く値付けしていることが多いのです。

 

実質価値以下の価格になっていれば、その分がお得ということになります。最近も某マンションで予定価格から北向きだけを下げて発売したという例があります。

 

余談ですが、この場合、値下げしたことで減った分の売り上げと利益は条件の良い南向き住戸にONしたのでしょうか? それをしないのが業者の良識というものです。何故なら、たとえ予定価格なので変わることがあると予告していたとしても、多少の度合いが10万、20万の世界ではなく100万円近いものであれば買い手の信頼を失うからです。

 

従って、「読みが甘い」と上司から叱られながらも「全体の売り上げ・利益」を落とす価格を決めたのです。

さもなければ、もともと余裕のある仮価格だったのかもしれませんが。。

 

●割高な住戸は値引きを交渉しましょう

何事も例外はあるとお断りして述べますが、住戸ごとの単価を出してみて、極端に高いなと感じたら、その部屋を定価のままで買うというのは待った方がいいのです。もうお分かりのことと思いますが、実質価値以上に価格を吊り上げている可能性が高いからです。

 

コンパクトタイプの住戸には特に注意を要します。単身者は日当たりなんか気にしないからと北向きにかかわらず単価が他の方位の住戸より高いなどというケースもあるのです。

例えば、同じ階に40㎡の住戸が3800万円で、70㎡の住戸が5900万円という場合、40㎡住戸の検討客は70㎡の住戸には目を向けないのだから、単価差なんか問題ではないと売り手は考えています。つまり、「40㎡住戸の買い手は総額が3800万円である点に興味を持つのだから」というわけです。

 

では、坪単価を算出してみましょう。@310万円(40㎡)と@280万円(70㎡)となります。普通は条件の良くない位置(北向きなど)にコンパクトタイプを配置するものですから、本来は価値が低い分だけ単価も安くしてくれると考えるかもしれませんが、売り手の論理は違うのです。

 

こんなことに気付いたうえで、このコンパクト住戸は自分にとって価値あるものかどうかを深く考えてみることが大事です。高いかなと思っても、否、凄く高いと思っても欲しい一心が購買に向かわせる、それが人間心理でもあり、筆者はそこまで否定する気はありません。ここで言いたいのは、後悔しないために一旦停車をしてみましょうということなのです。

 

良い物件だと思う。でもどう考えても高い。そんなふうに思うならば、値引き交渉が可能な時期を待つことです。販売初期はほぼ不可能なので、竣工前3か月くらいから交渉を始めて、竣工直前で妥結するのが目標でしょうし、それでダメでも執着したい物件であれば、もう少し粘ってもいいでしょう・

 

 

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・・・・・・・本日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

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