新築マンションのフリーペーパーの特集で、「50代」や「シングル女子」の購入者が増えているような印象を与える記事が掲載されていた。
なんでだろう、という話。
【もくじ】
◇新築マンションを買う50代が増加!?
◇新築マンションを買うシングル女子が増加!?
◇ボリュームゾーン(第一子入学前)が先細り
◇新築マンション需要の掘り起こしが狙い!?
新築マンションを買う50代が増加!?
特集記事に掲載されていたように、50代以上だけにスポットライトを当てれば(次図、ピンク破線囲み)、50代以上で新築マンションを買う人が増えているように見える。でも、2001年まで時間スケールを拡げ、かつ各世代の購入者割合もグラフに加えてみると、50代以上よりも、30代や40代の割合がはるかに大きいことが分かる。
新築マンションを買うシングル女子が増加!?
「シングル女子」の特集記事についてもしかり。特集記事に掲載されていたように、3年間に限れば(次図、ピンク破線囲み)、たしかにシングル女性世帯の購入割合は増加している。
でも、2001年まで時間スケールを拡げてみると、シングル女性世帯の購入割合は、この10年で4~6%の間に留まっていることが分かる。
ボリュームゾーン(第一子入学前)が先細り
実際のところ、新築マンションの購入層(年代・家族構成)の内訳は、どうなっているのか? 新築マンションの購入が多い層はどこなのか?リクルート住まいカンパニーが17年3月15日に発表した「2016年首都圏新築マンション契約者動向調査」データを元に作成した、首都圏新築マンションの購入層(年代・家族構成)の割合の推移を次図に示す。
「第一子小学生 以上世帯」と比べて「第一子小学校 入学前世帯」は3倍近いことと、「夫婦のみ世帯」のなかにはDINKS(共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦)だけでなく出産予備群も含まれていることから、第一子が小学校に入る前に新築マンションを購入している層が多いことが推察できる。
「シングル女性 世帯」や「シングル男性 世帯」、「シニア カップル世帯」は数%でしかない。
さらに、リクルート住まいカンパニーのサンプリングデータの各購入層の割合に、不動産経済研究所が定期的に発表している「首都圏新築マンション発売戸数」を乗じて、首都圏新築マンションの購入層の人数を推定したのが次図。
「夫婦のみ世帯」と「第一子小学校 入学前世帯」は大きなボリュームを占めてはいるが、年々やせ細ってきていることが分かる。
新築マンション需要の掘り起こしが狙い!?
約20年前から徐々に増加していた首都圏の中古マンションの成約戸数は16年度、新築マンションの発売戸数を逆転した(次図)。「中古が新築を逆転!16年度首都圏マンション戸数」より
新築マンションのフリーペーパーは、やせ細る新築マンション市場で新たな需要を掘り起こすべく、「50代」や「シングル女子」のニッチゾーンを特集していたのではないか……。
マンション選びは、新築であれ中古であれ、実態把握が大切という話。
マン点流!不都合な真実を解説シリーズ
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