マンション選びでは、価格、広さ、間取り、駅からの距離、都心へのアクセス、設備など、比較すべき項目が多い。何を重視するかも人によって異なるため、複数の条件を考慮して選ぶのは簡単ではない。
そこで、自分が重視する条件を整理し、物件AとBを総合的に比較できる「マンション選択シミュレーター」を作成した。
AHP(階層分析法)という、複数の評価項目を一対比較して優先順位を導く手法を利用している。今回は、その使い方を紹介する。
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2022年に紹介した物件選択支援システムをアプリ化
2022年1月、スムログで「マン点流!ノウハウ(物件AとB、どちらを選べばいいのか)」という記事を掲載した。当時は、AHPを使って10項目の優先順位を算出し、物件A・Bを比較する仕組みを紹介した。ただし、CASIOの高精度計算サイトを利用し、45組の一対比較をプルダウンメニューから選択する方式だった。
今回は、その仕組みをブラウザー上で操作できるアプリに作り直した。進捗表示や回答の修正、自動保存・再開などを取り入れ、使い勝手を改善している。
「マンション選択シミュレーター」の使い方
使い方は大きく4段階である。STEP1:自分が重視する条件を整理する
最初に、マンション選びで重視する10項目を設定する。- 価格
- 広さ
- 間取り
- 駅からの距離
- 都心へのアクセス
- 専有部の仕様
- 共用部の仕様
- タワーマンション
- 売主・建設・管理会社
- その他
10項目を設定したら、2項目ずつ比較していく。組み合わせは全部で45組となる。
例えば、「価格」と「広さ」ではどちらを重視するか。左右どちらか、または「両方同じくらい」を選び、どちらかを選んだ場合は、その重要度を4段階で指定する。
45組の回答が終わると、一貫性の判定が表示される。例えば、「価格は広さより重要」「広さは間取りより重要」と回答したのに、「間取りは価格より重要」と回答すると、判断の組み合わせに循環が生じる。
一貫性にばらつきがある場合は、回答を見直すこともできる。ただし、判定が良好でなくても先へ進めるので、必要以上に悩むことはない。
STEP2:比較する物件の情報を入力する
次に、物件A・Bの基本情報を入力する。項目は物件名、価格、専有面積、駅徒歩の4つ。いずれも任意入力である。物件名は比較画面に表示され、価格・専有面積・駅徒歩は、それぞれ該当する項目の比較時に参考情報として表示される。ただし、これらの数値自体は総合評価の計算には使われない。評価は、次のステップで選択する回答に基づいて算出される。
STEP3:物件A・Bを項目ごとに比較する
次に、10項目について物件A・Bを比較する。各項目で、どちらが自分の希望に合っているかを選び、優れている程度を指定する。回答後も、各項目の回答を見直して修正できる。画像は、10項目すべてに回答した後、2番目の項目を見直している状態である。
STEP4:診断結果を確認する
10項目の比較が終わると、診断結果が表示される。自分が重視する項目のランキングと、物件A・Bの総合評価を確認できる。
例えば、物件Aが60%、物件Bが40%なら、評価差は20ポイントとなる。これは満足度や資産価値を予測する確率ではなく、入力した価値観に基づく相対的な評価である。画像の数値は操作説明用の入力例であり、実際の結果は回答内容によって変わる。
価格を重視するか、広さや駅からの距離を重視するかによって、同じ2物件でも評価が異なることがある。自分が何を重視するかによって、物件の評価が変わるというわけだ。
条件を変えて試算することもできる
診断結果が出た後は、「条件変更シミュレーション」(感度分析)も利用できる。例えば、価格の重要度を現在の22.50%から引き上げたり、引き下げたりすると、物件A・Bの総合評価がどう変わるかを確認できる。他の項目の重要度は、元の比率を保ったまま自動調整される。
試算した後は、「元のAHP算出結果に戻す」ボタンで元の重要度に戻せる。
また、比較する物件を入れ替える機能も設けた。
- 「物件Bを入れ替えて再比較」:物件Aと最初の45組の回答はそのまま残し、物件Bの代わりに新しい物件(例えば物件C)を入力して比較できる。
- 「別の2物件を比較する」:最初の45組の回答は残したまま、物件A・Bの両方を新しい物件に入れ替えて(例えば物件C・D)比較できる。
ただし、総合評価は比較した2物件間の相対的な数値である。異なる組み合わせの評価割合を単純に並べて、複数物件の順位を付けることはできない。
入力内容の保存・再開について
入力した物件名・価格・回答内容は、利用しているパソコンやスマートフォンの中に保存され、アプリの運営者に送信されることはない。サイトへのアクセス記録などは、サイトを公開しているサービス会社の規定に従って取り扱われる。
保存した回答は、同じパソコンやスマートフォンで、同じブラウザー(ChromeやSafariなど)を使えば、後日も続きから再開できる。
シークレットモード(プライベートブラウズ)では、通常モードと保存内容は共有されない。シークレットモードを終了すると、保存内容も消える。また、ブラウザーの設定でこのサイトの保存内容を削除した場合も、回答は消える。別の端末やブラウザーに回答が自動的に引き継がれることはない。
【参考】AHP(階層分析法)とは?
ここは、計算の仕組みについての補足である。関心のない方は読み飛ばしていただいて構わない。AHP(Analytic Hierarchy Process)は、複数の評価基準を一対比較し、それぞれの重要度を算出する意思決定手法である。
このシミュレーターでは、最初の45組の回答から10項目の重要度を算出し、その重要度を使って物件A・Bの評価を総合する。
また、45組の回答については、CR(整合性比率)で一貫性を判定する。このシミュレーターでは、CRが0.10以下なら良好、0.10を超え0.20以下ならややばらつきがあり、0.20を超えるとばらつきが大きいと判定する。
AHPは利用者の主観的な判断を数値化する手法であり、客観的な正解を導くものではない。あくまで、自分の判断を整理するための参考として利用してほしい。
シミュレーション結果について
このシミュレーターで表示されるのは、入力した条件や価値観に基づく参考試算である。物件の客観的な優劣や購入の適否、将来の資産価値を保証するものではない。試算結果はあくまで判断材料の一つとして、実際の物件選びや購入の判断は、ご自身で行っていただきたい。
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