「23区は高すぎる。郊外まで選択肢を広げるべきか」
マンション価格の高騰が続くなか、そんな悩みを抱える人は少なくない。価格が上がった分、駅から遠い物件や狭い物件、築古物件も視野に入れなければならない――そう考える人もいるだろう。
でも、価格だけを見ていては市場の変化は分からない。
そこで今回は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約データを使い、2021~2025年に1都3県で取引されたファミリー向け中古マンション(2LDK・2LDK+S・3LDK・3LDK+S、55㎡以上85㎡未満)約10万5千件を対象に分析した。
価格だけでなく、築年数、面積、駅距離も追いながら、この4年間で取引されるマンションの条件がどう変わったのかを見ていきたい。
目次
価格は上がった。では、市場は何を変えたのか
まずは価格の変化から確認する。
23区の取引価格(中央値)は、2021年の5,700万円から2025年には7,300万円になった。4年間で1,600万円の上昇である。都下や神奈川県、埼玉県、千葉県も上昇しているが、その伸びは23区とは比べものにならない。
2024年から2025年にかけては違いがさらに際立ち、23区が上昇を続けた一方で、周辺4地域は頭打ちとなり、一部では下落も見られた。一都三県という同じ市場でありながら、23区だけが別の値動きをしている。
ここまでは価格の話である。では、市場は何が変わったのか。
まずは、市場の中心となる価格帯の変化を確認してみたい。
市場の主役は入れ替わった
価格帯別の構成比を見ると、その変化はさらに分かりやすい。
2021年、7,000万円以上の物件は成約全体の約3割だったが、2025年には5割を超え、いまでは市場の中心になっている。反対に、4,000万~6,999万円は約5割から3割強へ、4,000万円未満も約2割から約1割へ縮小した。市場の重心そのものが上へ移動したと言っていい。
ここで考えたいのは、その理由である。7,000万円を超えるマンションが単純に増えたのか、それとも以前なら6,000万円前後で買えたマンションが7,000万円台へ押し上げられたのか。
価格だけが変わったのか、それとも取引されるマンションの条件まで変わったのか。
次は、築年数、面積、駅距離の3つから確かめてみたい。
マンションそのものは、どこまで変わったのか
築年数、面積、駅距離を比べると、最も変化が大きかったのは築年数だった。築年数だけは明確に変わった
価格帯によって、築年数の変化にははっきりした差が表れた。
分析対象期間は4年間だが、4,000万~6,999万円帯の平均築年数は5.7年進んでいた。この変化は時間の経過だけでは説明しにくく、より築年数の古いマンションが市場で取引される割合が高まったと考える方が自然だ。
面積はほぼ維持されていた
築年数とは対照的に、面積の変化は小さい。7,000万円以上、4,000万~6,999万円ともに縮小幅は約1㎡にとどまり、価格上昇に合わせて面積まで大きく縮んだ傾向は確認できなかった。
駅距離もほとんど変わらなかった
駅距離も大きな変化は見られなかった。
価格上昇に伴って、駅から遠いマンションへ大きくシフトした傾向は確認できなかった。
データが教えてくれたこと
築年数、面積、駅距離の3つを並べると、市場が変えたものと変えなかったものが見えてくる。取引価格は、この4年間で大きく変わった。だからといって、市場で選ばれるマンションまで一変したわけではない。
今回のデータを見る限り、価格高騰を最も吸収していたのは築年数であり、面積や駅距離は、多くの人が抱くイメージほど大きくは動いていない。
マンション探しでは、「何を妥協するか」が先に議論になりがちだ。ただ、その前に知っておきたいのは、市場で実際に何が変わり、何が変わっていないのかである。妥協を考えるのは、その後でも遅くない。
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