第15回 NHKスペシャル「あなたの家が危ない」を視聴して

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このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

 

昨晩(2016年10月9日)のNHKテレビは衝撃でした。ご覧になった読者も多いことと思いますが、半年前の熊本地震の被害住宅の中に「全壊」認定された新・耐震基準のマンションがあったからです。

 

熊本地震は、震度7の激震が続けて2度も起きた、気象庁の専門家も驚く初のケースでした。そのためもあったのでしょうが、想定外の被害がいくつも発生したということでした。

 

最初の地震(前震)では倒壊しなかったが、2度目の地震で崩れ去った一戸建てがあったということや、耐震基準を満たしているはずの新しい一戸建てさえ倒壊したということを地震直後の報道で知っていましたが、マンションでも「全壊」認定が1軒あったというのは知りませんでした。

 

半年前のニュースで、熊本市の応急危険度判定で「危険」を示す赤い紙が貼られたマンションの映像を見ました。また、倒壊は免れたものの、建物を支える柱やはりの一部が壊れ、鉄筋がむき出しになった映像も流れました。

 

住民のほとんどが避難を余儀なくされており、所有者への取材では、「避難しているのは水道の配管が壊れたうえにエレベーターも故障して生活できない状況だから」というものでした。

 

その後しばらくして、分譲マンション管理会社の業界団体である「マンション管理業協会」が、被災状況を取りまとめていますが、それによると、管理受託している7,610棟のうち回答があったのは、5,973棟、内訳は、大破が1棟(0.02%)、中破5棟(0.08%)、小破151棟(2.53%)、軽微53棟(0.89%)、被害なし5,763棟(96.48%)となっています。

 

日本建築学会による5段階で評価されており、「崩壊」、「大破」、「中破」、「小破」、「軽微」の5つです。

 

当該報告では、「崩壊」という「柱・耐力壁が破損し、建物全体または建物の一部が崩壊に至った」被害報告はないとのことでした。

 

しかも、新旧の耐震基準で区分していないので、大破の1棟も中破の5棟も、勝手に旧・耐震基準による古いマンションなのだろうと筆者は思い込んでいました。それだけに、番組は驚愕の内容でした。

 

●新耐震でも安全とは言えない「耐震基準の盲点」

映像は、番組の撮影のためにスタッフが管理組合の理事長とともにマンション内に立ち入る姿をとらえていました。つまり建物は崩壊したわけではないので入ることができたのです。

 

「大破」に分類されたマンションと推察できました。(解説はなかったのですが)

 

映像は、コンクリートに穴が開き、壁の向こうが見えてしまう状態を示すものでした。むき出しになった鉄筋と鉄筋の間隔をメジャーで測る専門家の姿も映し出されていました。

 

専門家(大学の教授)の説明によれば、新耐震基準であっても、耐震性は地域によって違うのだというのです。ここが、筆者の知らなかった恥じ入る部分で、衝撃でもあったのですが、「地域係数」という概念があって、基準の耐震性に地域ごと0.9とか08といった数値をかけてよいことになっているというのです。

 

つまり、耐震基準の0.9倍とか0.8倍の弱い建物が合法的に多数建設されているということでした。地域係数は昭和27年に市町村ごとに定められており、地震の起きやすい地域は1.0、地震が少ない地域は0.9といったようになっていたのです。

 

熊本は0.9以下の地域だったのです。長く大地震がないとされて来た地域で起きた想定外の大地震、しかも震度7の本震が2度も立て続けに。

 

被災者・被災地域の行政庁はもとより、気象庁など国の関係機関や大学などの研究機関、建設業界などに与えた衝撃は想像を絶します。

 

ちなみに、番組では日本地図を1.0地域と0.9地域に色分けして示していましたが、それを一瞬見た記憶では、関東と東海、新潟は1.0地域でした。

 

なお、福岡は、かつて0.8の地域だったそうですが、2005年(平成17年)に発生した玄界灘地震(福岡県西方沖地震)を機に条例を改正し、1.0に変更したのだそうです。

 

●衝撃の二つ目「免震構造も絶対ではない」

次に番組で衝撃だったのは、免震構造の建物を基礎部分で支えていた免震ゴム(下の画像は平常時)が破壊されて機能を発揮できない状態になっていた映像でした。

 

その画像をここで示すことができませんが、建物は熊本県内の病院という紹介だったかと思います。

 

なぜ免震ゴム部分が壊れてしまったのかというと、要するに想定外の揺れ幅だったからです。

 

免震構造は長周期地震動には弱いとされていますが、その対策として講じていた方法が、2011年の大地震で東京が受けた長周期地震動の3倍もの大きな揺れ幅だったために意味をなさなかったということでした。

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(画像出典:ブリジストン社のHP)

 

地震に強い優れた構造として1995年の阪神淡路大震災以降に採用例を伸ばして来た「免震構造」ですが、東京のタワーマンションでも免震構造が増えているだけに、不安に襲われた人も多かったに違いありません。

 

今後、メーカー、ゼネコン、マンション業者などが対策を急ぐことになることでしょう。

 

想定外の巨大地震が起きるたびに建築基準等を改定して来た日本ですが、熊本地震のような想定外が起きてしまうと、これからの世の中は何が起きても不思議ではないと思わざるを得ないかもしれません。

 

●改めて地震対策に目を向ける

さて、関東圏は巨大地震はいつ起こっても不思議ではない確率で迫っていると言いますが、マンションを購入する、もしくはマンションに現在住んでいる人が覚悟しなければならないことはいくつあるのでしょうか?

 

1)休日でない昼間に襲われたら、交通網が遮断されて家に帰ることができなくなるかもしれない(帰宅難民)

2)建物は崩壊を免れても、揺れによって家具・冷蔵庫などが凶器と化して人を襲う

3)エレベーターが停止し、移動が困難になる

4)水道が使えない・電気が来ないために生活ができない

5)壁に亀裂(ひび割れ)が発生して、余震とともに恐怖感が募る

 

こうした問題への対策は多くの人々が既に講じており、多くのマンションで防災訓練を実施したり、いざというときの防災備品を備蓄したりするという例が増えています。

 

新築の大型マンションでは、例外なく非常用発電機の設置や生活用水の確保など、個人ではできない備えを実施するようになっています。

 

また、家族同士が連絡を取り合える「緊急時の連絡手段」を電話会社と行政が、帰宅難民対策としての一時避難施設の確保を行政と民間企業が、そして個人単位では家具の転倒防止策を講じるなど、遅ればせながらも「泥縄」にならぬための努力が続けられているようです。

 

しかし、一朝一夕にはできないことも多いのです。

 

地震で火事が発生する可能性が高い木造住宅密集地は、道が狭いため、いざというときに消防車が近くまで行けないので、住宅を耐震性の高いマンションに建て替えるとともに、道幅を広げる整備が待たれています。

 

旧耐震基準で建てられたマンションが多い東京では、耐震診断を実施し、必要なものは耐震補強工事をしなければならないと知りながら、耐震診断すらしていないマンションが60%もあるのだとか。

 

●余談ですが・・・

古いビル、マンションでは、ところどころ亀裂した(ひび割れ)壁を補修した箇所があります。

 

ミミズの這った跡みたいな形ですが、あれを見て心配になり問い合わせて来る人も少なくないので、この場を借りて簡単ですが説明しておきます。

 

まず、耐震性能とは、ある一定の力が加わった時に、内部にいる人間の生命に危険が及ばない建物であることとされていて、ひび割れが起きない、壊れないというものではありません。耐震性能が正常であっても、地震で亀裂が入ることはあるのです。

 

しかし、亀裂が入ると、そこから水と空気が侵入し、中の鉄筋を錆びさせて構造耐力が低下する可能性が高まるので、一定以上の割れ幅の亀裂は速やかに補修しなければなりません。

 

放置すれば、耐震性・耐久性の劣化につながるからです。

 

地震による建物の損傷としては、幅0.1ミリ程度の亀裂はごく普通のことです。柱と梁で構成されるラーメン構造の場合(マンションの大半がこの構造)、壁は地震で壊れるように作られています。そうすることで柱・梁へかかる地震力を逃がすことができるからです。

 

ひび割れは、通常、エポキシ樹脂の注入などの方法で補修がなされます。それがミミズの這った跡のようになるのです。その上から壁全体を塗装し直すことで綺麗な姿を取り戻します。

 

ところで、地震のための亀裂なのか、施工の手違いや設計ミスなどによるものなのか、つまり瑕疵のある建物なのかといった問題に遭遇することがあります。

 

構造上重要な部分なら、震度5程度で損傷することはないはずなので、瑕疵の可能性があり、瑕疵であれば、管理組合は補修などを請求することができます。

 

非構造壁の場合でも、その幅や発生原因によっては、瑕疵と考えることができるケースもあります。

 

その場合は、管理組合ではなく所有者が請求者になる場合もありますが、アフターサービス期間の問題や、発見からの時間経過の問題もあるので注意を要します。

 

中古マンションを検討する場合は、外部の壁や廊下の床、天井を目視することが重要です。

 

先に述べたように、長く放置しておくと雨水が入り込み鉄筋が錆びて、耐震性・耐久性ともに低下してしまうからです。 外壁や廊下の天井、バルコニーの天井などに30センチ以上の長いひび割れがあったら要注意です。タイルの剥離も同様です。

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(画像:yahoo検索「ひび割れ画像集」からお借りしました)

 

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