第7回「営業マンはどこまで頼っていいの?」

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 このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
 

マンションを買うとき、営業マンのお世話にならない人はないと思います。

 

商品の内容に関して買い手は多くの説明を求めるはずですし、住宅ローンの利用を考えているなら、「いくら借りられるか」や「毎月の返済はいくらになるか」の試算を依頼するに違いありません。

 

例を挙げるとキリはありませんが、多くの場面で買い手は営業マンを頼るものです。

 

しかし、その営業マンを全面的に信頼しているかというと、買い手の個人差が大きいようです。疑い深い性格のためか、営業マンが勉強不足であるためか、営業態度がなっていないためかなど、理由はいくつか考えられますが、全幅の信頼はできないのが実態です。

 

 

 

 

営業マンとは、売り手の論理によって説明を構築・展開するものです。当然とも言えるのですが、彼らの話には客観性は薄いと見なければなりません。そのせいでしょうか。筆者のところにも、質問や客観的な意見を求めて来られる人が後を絶ちません。

 

 

 

その昔、不動産業界はひどいものでした。嘘八百並べて売ることが日常茶飯事だったからです。

 

買い手が知識と情報を得る術の限られていた時代でしたから、口から出まかせのような内容でも、話術巧みに迫れば通用したのでしょう。不思議なことにウソをそのまま信じてしまう買い手も多かったのです。

 

彼らは客を騙すことに良心の呵責すらなく、「赤子の手をひねるようなもの」 とうそぶいていました。実際に、どのような話をしたかは別としても、共通していたのは「針小棒大に語る」ことでした。いわゆる 「オーバートーク」 です。

 

私も営業部所属の新入社員のとき、上司の商談を見て、「まさか、そんな馬鹿な」 と感じるような説明を何度も強弁するので、最後は本当のことに思えてくるのに感心しきりだったことを今でも鮮明に覚えています。

 

不動産業界の悪質な営業の実態話で有名なのは、最寄り駅から10分が実際に歩くと20分であるとか、歩いて5分は実はクルマで5分だったなどというものです。

 

こうしたウソは、「不動産屋の話は半分に聞け」といった教訓を生みました。最近、このような極端なウソはなくなったものの、怪しさや詭弁、欺瞞が多い伝統は残っているようです。

 

今日は、営業マンの説明の中で気を付けなければならない点をお伝えしようと思います。

 

 

●営業マンは都合の悪いことは言わない

現在、「真っ赤なウソ」 は通じないようになりました。悪質な不動産会社も淘汰されました。しかし、物を売る行為には、不動産に限らず「ウソに近い際どい話術」 が付きもの、これは今日も変わりません。

 

また、営業マンはセールスポイントを高らかに謳い、繰り返し力説しますが、都合の悪いことはダンマリを決め込むものでもあります。これは営業マン共通の習性なのです。

 

不動産業界では、宅地建物取引業法その他の法律に抵触することは当然のことながら避けています。法律で説明義務のある重要事項に関しては、書面でも正確に告知します。また、「よく大事なことは小さな文字で書く」 などと言う人もいますが、実態はそうでもありません。

そんなことをしてもトラブルに発展するだけで、百害あって一利なしだからです。

 

気を付けるべきは、義務の範疇からはずれている部分での説明の除外、すなわち売り手にとって不利なことは客が気付かないことを祈るという営業姿勢です。

 

聞かれれば答えるが、聞かれなければ黙っている。余計な説明をしてやぶ蛇になることを避ける。その方が賢明だと考えているのです。

 

その結果、あとで問題に気付いて抗議に出かけるとしても「親切でない。誠実さに欠ける」 と言うくらいが関の山です。「気付かなかった自分が悪い」 と諦めるしかないことになるのです。

 

 

●省く説明の実例

実例を二つ紹介しましょう。

 

先ず、「小学校までは徒歩で10分」を、歩いて確認しなかった買い手がいました。子供がまだ就学前だったので聞き流してしまったのです。

ところが、徒歩10分では通学できませんでした。大人の足で歩いても途中に坂道があるため10分以上かかるのです。しかも、最短コースには歩道がなく危険な箇所があるため、実際の通学路は少し遠回りすることになり、子供の足では20分もかかります。

 

その買い手は、契約後にそのことを知りました。2年後には小学校に上がる子供がいたため、自分の迂闊さを悔いましたが、時は既に遅し、だったのです。

 

担当者は「最短コースということは知っていたが、通学路までは知らなかった」 と弁明。尚、10分という時間はパンフレット制作会社が地図上で距離を測定し、広告表示基準の1分=80メートルの算式を当てはめただけだったのです。

 

 

次に、隣のコンビニにたむろする若者が深夜騒ぐことを知らずに購入した失敗談。

 

「勿論、コンビニがあることは知っていましたし、便利でいいなと思ったくらいで、まさか深夜の騒音に悩まされることになるとは?」 と後悔した例です。

 

コンビニの駐車場に若者がバイクに乗って集まって来るのは、決まって夜11時過ぎなのだとか。比較的交通量の少ない住宅街の道路に面し、駐車場も広い。格好の溜まり場だったようです。

 

担当業マンは溜まり場になっていたことを知らなかったのでしょうか?マンション営業の常識から言えば、書き入れ時には深夜まで販売事務所に居残ることは一度ならずありますから、知っていた可能性は高いのですが、このような状態をわざわざ説明に加えるはずもないのです。

 

「ウソはいけないがダンマリは許される」。それが営業マンの普通のスタンスです。そのことは、有名企業であろうと、無名企業だろうと同じと思って間違いありません。

 

不誠実だとか、不親切だとか言う前に、買い手責任というものもあることを肝に銘じておくほかありません。

 

 

 

2段式の駐輪場がよく見られます。自治体基準で、世帯数の2倍の自転車が置けるように設計しなければならないのですが、スペースが確保できないからです。

子供や女性にはとても使いづらい代物ですが、そのことをわざわざ買い手に伝える営業マンはいないものです。

 

また、人気のディスポーザーも、使用するとき、音が響くらしいのですが、使ったことのない営業マンは、そのことについて説明することができないため、口をつぐんでいます。これは、仕方のないことですが、クレームを一回でも受けたり、聞いたりしていれば、どうでしょう。

 

わざわざ、「かなり音はしますので、使用時間にお気をつけ下さい」 などと断るでしょうか。ディスポーザーがマンションを購入する、しないの決定要因でないからと、説明は省くことでしょう。注意を促す営業マンもいますが、稀です。

買い手も使用経験のある人以外、この質問を思い浮かぶ人はいないようです。

 

近年、増えた超高層マンション。外壁がALC板という工場生産の軽量な材料を使用して造られていることは、業界人なら誰でも知っています。ところが、これは、下手すると継ぎ目から雨漏りする危険がゼロではないらしいのですが、そのことを、販売時に営業マンは買い手に説明するでしょうか?

 

もっと大きな問題があります。それは、次のようなことです。

 

分譲マンションの売買契約において、勤務先の転勤辞令による解約は、買主の自己都合に当たるのですが、買い手から質問されない限り、それをわざわざ説明する営業マンはいません。

 

「転勤が急に決まったので、ここにはもう住めない。解約するから返金してくれとおっしゃられても、受けかねますので、ご了承ください」 などと説明すれば、先ほどまで転勤のことが頭になかった買い手は、急に「そうか、転勤の可能性はゼロじゃないな。ちょっと待てよ」 と、購入申し込みを取り止めるかもしれないからです。

 

契約書の読み合わせの場においても、「買主の都合による解約は、手付金を放棄してこれを行うことができる・・・」と、棒読みするだけです。

 

もし、買主が返金を要求してきたとしても、一方的で法外な要求であるとして、売主は、きっぱりと断ることができます。説明を聞いていないと文句を言ったとしても、それは難癖の類になるのです。契約前は、買い手にとって不利なこの問題を営業マンから言うことはありません。

 

(もっとも、転勤での解約返金申し入れに関しては受け入れる大手もないこともないようです)

 

この他には、次のようなこともあります。

1階住戸は寒い、エントランスの真上の住戸は自動ドアのエンジン音が響くかもしれない、大梁が部屋の真ん中付近を横断している洋室、外側を拭くことができないガラス窓など、問題設計は少なくありません。

 

また、実績のある設計事務所でさえ犯すミスというのも結構あるものです。

6畳の広さがあっても、ダブルベッドを使う場合、壁に押し付けないと置けないため、片側からしか使えないとか、コンセントの位置が悪い、トイレのドアとリビングのドアが同時に開くとぶつかる、といったことは、ありふれたミスと言えます。

 

しかし、これらの問題設計に関して、買い手から聞かれる前に、「ここが設計上の問題でございます」 などと、説明する営業マンはいません。都合の悪いことは言わないのが営業マンの習性なのです。

 

業界が違っても、この習性は同じです。

 

「このスーツが低価格なのは、東南アジアの安い人件費で製造したからですが、実はそれだけではないのです。製造工程を大幅にカットしてあるから安いのです。従いまして、半年も着続けますと、型崩れが起こります。それを承知の上でお買い下さい」。このような説明を、ワザワザしてから販売する売り子さんもいるとは思えません。

 

不動産業はクレーム産業などと言われたくらいで、トラブルが多発した時代がありました。

 

誇大広告によるクレームも頻繁に起きました。そのため、広告の自主規制を業界が作ったり、法律も改正されたりして、クレームを減らす努力が続けられて来ました。

 

おかげで、紛争に発展するケースは今では殆んど見られなくなったようです。特に大手企業が売主である分譲マンションの場合、営業マンの教育も行き届いているためか、トラブルは全く発生しないと言ってよいくらいです。

 

下手をすれば、インターネットの掲示板に書き込まれて、業者の評判が致命的に低下するということにもなりかねません。業者も、そんなリスクを冒さない時代になったということでしょう。

 

しかし、ここに挙げたような、買い手には不親切と言われても仕方ないような対応は続くと思うべきです。このことだけは、肝に銘じておく必要があるのです。どんなに信頼できる営業マン、売主と見えても、です。

 

これは、立場の違いとして理解し、認識しておかなければなりません。

 

●営業マンは誇張で名優となる

営業マンというのは、不真面目社員でない限り、常に商品の説明に工夫を凝らすものです。口角泡を飛ばさんばかりの勢いで説明する営業マンもいれば、静かに淡々と説明する営業マンもいますが、どちらも説明に工夫を重ね、客に商品の良さなり、今が買い時であるといったことを伝えようとする点では同じです。

 

普通以上の営業マンなら、伝えたいポイントを強調することは決して忘れません。ぼそぼそとした説明であっても、また声のボリュームが小さいとしても、反対に声の大きい説明をする営業マンでも、あるいは力説感をうまく隠していても、説明ぶりを観察していると、強調したい部分はしっかりと誇張しているものです。

 

誇張は、「都合の悪いことは言わない」 と並んで、営業マンの専売特許のようなものです。

 

買い手は、商品が素晴らしいものであると感じたとき、欲しいと思ったときに購買を決断する訳ですが、そのときの心の状態を表すと、一種の興奮状態、言い換えると感動した状態にあるものです。

 

その心の状態は、陳列商品を眺めただけで起こることもありますが、見ただけで良さがすべて分かってしまう物ばかりではないので、売り手は映像でアピールしたり、パンフレットや模型を使って営業マンに説明を加えさせたりといったことを実行します。

 

この商品は実にすばらしい。是非自分のものにしたい。こう、心の中で叫び、予算が許せば、その場で意思を売主に伝えたい。客の、この感動を呼び起こしたいのが売り手のホンネです。

 

そのために、売り手は商品の改良に努め、展示に工夫をし、説明の方法などに力を入れるのです。

 

舞台で見る名演技というものは、いつまでも深く心に残るものです。何十年も前に見たドラマの、あるシーンをよく覚えているというのは、俳優の演技がすばらしかったのが一因です。

もち論、台詞を書いた脚本家の力に負う部分も大きいでしょう。その時に使われる台詞と、それを語る俳優の声、トーン、身ぶりや表情、そういったものが相まって観衆の胸を打つのです。

 

俳優は監督とともに、どう演じれば最も観衆を感動させられるかに心を砕きます。言い換えれば、強く心に残る演技の仕方を工夫するのです。

 

販売の現場においても同じです。買い手の感動を呼び起こし、商品に惚れてもらわなければ購買に至らない。だから、営業マンは名優よろしく演技します。

 

そのための工夫のひとつが、大げさ表現であり、インパクトの強い言葉の選択です。営業マンが誇張表現をするのは、ここから来ると考えられます。

 

 

・・・・・・・・今日はここまでです。関連記事は、別のブログ(http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/)500本余の中に多数見つけることができるはずです。是非ご訪問ください。

 

 

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