リモート理事会参加が認められない 【お便り返し】

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新任の理事さんから、リモート理事会が認められないのはどうなのか?というご質問。
指名3名のうち、私はるぶーからお答えします。

質問は

差出人: 「新任理事」さんから

いつも拝見しております。
現居で初めて理事役員に就任しましたが、当理事会ではリモート参加による理事会が認められていません。

なんでも昨年のコロナ禍で検討されたそうですが、管理規約の条項「出席者による過半数の賛成による議決、、、」の”出席者”にリモート参加は認められない可能性がある、との顧問弁護士による意見に基づくそうです。

他ではリモート理事会が問題なく行われているようですし、ちょっと納得いかないのですが。。。です。
今年からの新任理事の手前、理事長も管理会社も同調しているのであまり意見はしてないのですがこの話はどうなのか、客観的なご見解をお聞きできればと、連絡させていただきました。

ちなみに、その管理会社(管理件数は国内10位以内)では、リモート理事会の実績もないとのことです。

リモート理事会は認められるか?

理事会に”出席”するとは何を意味するかについては、理事会の仕組みや、その意思決定の方法には法的な強制規定はない(総会とは大きく異なります)ので、これは、「新任理事」さんのマンションの規約次第で正確には回答不能です。以下は”標準管理規約”準拠だと仮定します。

コロナが蔓延し始めて、1年半。殆どの管理組合ではその前には、ZOOMなどWEB会議システムを使った理事会はやっておらず、多くのマンションの規約のもとになっている「標準管理規約」にも、例えばリモートで参加することが可能かどうかの明確な規定はありませんでした。

規定がないなら規定すればよい。”規約を変えれば”ネット越しのリモート参加が”可能にできる”のには誰も異論はないところです。一方で「昨年の時点での」標準管理規約準拠な規約で、規約を変更することなしに、WEB会議システムによる理事会をしてリモート参加者は出席扱いが可能なのか否かは自明ではありませんでした。

法律のプロの書き込みを引用しておきましょう。【OKとは言い切ってない】ですね。

桃尾弁護士:『Zoom等のweb会議による理事会』(2020年4月)
 https://momoo-law.hatenadiary.jp/entry/2020/04/20/234229

国交省:『新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A』(国交省見解:特にQ3への回答)
https://www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2020/05/20200520-CORONA.pdf

規約でWEB会議OKを明確化したほうがよい

例えば桃尾様のブログは、昨年の4月です。

規約を変えればOKなことは明確ですが、規約を変えるには総会が必要で、その議案を定めるためには理事会が必要ということになりますから、規約を変えれば理事会がWEB会議ででOKにできるよねでは殆どのマンションではその当時全く解決策にはならなかったわけです。

今年6月に標準管理規約も改定されていて、”WEB会議システム”の要件の定義(第2条)と理事会に関する第53条で明確化されています。これに合わせて各マンションの規約を改定すればかなり安全に規約上でWEB会議(リモート参加)がOKと明確化できます。

こちらから。 2021年6月の標準管理規約改定点

もうコロナの蔓延から1年半経過しているわけで、”理事会の参加”といった根幹の部分で、”規約に定めれば”ケチのつけようはないわけだから、もう規約は変えてあるべきだよね?と思う私。

Twitterで尋ねてみるとこんな感じ:


無論”WEB会議”なんかやらない、対面のみでいいんだなら、規約明確化も不要ですが、実際にリモート(併用)でやっているところでは、過半が規約改正済みのようです。今から導入するなら、標準管理規約パクりでいいから規約変えた方が絶対誰も文句のつけようがないでベター。

そもそもリモート会議が望ましいのか?

「新任理事」さんの質問は、”リモート参加”可能ならZOOMでもいれて理事会はWEB会議でやるのが当然みたいな書きっぷりになっていますが、そもそも理事会の判断としてWEB会議で理事会をやるのが適当かどうかです。

もう1年半経過していますが、上のアンケートの通り、対面のみしか認めていない理事会もなお半数近く。「新任理事」さんの理事会(理事長)は、リモートに”できない”というより、リモートに”しない”という判断をしていて、それでいいか?を法務に聞いたのかもしれません。100%確実とは言い切れないわけですから、その線で聞けば顧問の弁護士さんの回答も”リスクあり”になると思います。

管理組合の運営方針を定める理事会は、組合にとって必須のもので、不要でも不急でもありません。私のマンションでは、共用施設の設定をどうするかとかで、コロナ蔓延の初期には、むしろ決めないといけないことは増えていました。

密を避けるために、ZOOMなどを利用して会場の人数を減らすことは可能ですが、会議における意思疎通や、意見が異なる場合のやりとりは、顔と顔を合わせて、相手の目をみながらやったほうが円滑にいくのは確かです。

議長やっている理事長がなんとなく不満げな人を指名して発言を求めるとか、理事会の前や後、休み時間などに、会場の理事同士が立ち話をするなどが、理事同士の結束を深めるためには全員対面実施が役立っていました。もともとは理事会が終われば、ラウンジで理事のアフターの懇親(自腹で発泡酒を昼から。。。)もしていましたので。

相手の目をみながら ⇒ ネット会議で顔は見える ⇒ メールやSNSなど文字だけとなるに従って、意見が異なる場合に議論すると炎上しやすくなります。よほどの能力がない限り、意見の異なる2人は会って話すのがベストなんですよね。でもって意見が一致するに決まっている議題なら、理事会でじっくり議論する必要もないものです。

私のマンションでもZOOM参加時代の後に加入したここ2期の輪番指名の理事の方18名との距離感を、副理事長以上などに就任している12名ほどの3年目以上の理事が縮めることが困難なことは体感していて、理事長からはできるだけ全員参加に早く戻したい(コロナだからでマンションにいるのにリモート参加は避ける)方針が示されています。

実は私自身が出張の多い仕事で結構理事会には欠席が多くて、年に1-2回は出席できない月ができます。コロナだからに拘り過ぎるよりも、基本は”会場出席”だけどマンションにいない場合にのみは、リモートでの参加も出席と認めるような規約改定が望ましいのでは?と私は思っています。

私のマンションでは?

私のマンションでもWEB会議(リモート参加)の規定はありませんでした。いろいろと組織が肥大化していて、理事会の人数は30人。ほぼ全員を会場に集めて理事会していましたが、詰め詰めでの実施。その人数のままでは明らかに”密”になります。

昨年ちょうど通常総会(4月)直前にコロナが蔓延し始めて、総会は4月末。コロナの中でほぼ無人(理事もほぼ欠席)で実施しましたが、その直後に新任の全理事を、マンションのお庭に集めて、20分ほどの理事会を青空のもと立ったままで開催しました。



そこに欠席した人も含めて、書面での賛同も含めて全理事から同意をとりつけたのは、ZOOMによる理事会を開催して、希望する人がリモート参加しても”出席と認める”ということです。理事会は、”役員だけ”が参加者ですから、参加する可能性のある人全員がOKであれば、当分は文句をいう人もいないだろうと考えられるからです。無論この時点で、直近の総会で規約明確化するは全戸に告知します。

無論、規約上明確化するわけですが、11月頃に改定を予定していた規約改正では、ほかの改定は遅れて、結局今年の2月になってようやく規約改正が臨時総会でなされたので、10月近くは理事会決議のみで、WEB会議併用型の理事会をやっていたことになります。

2月規約改正では、ZOOMなどのWEB会議システムによる参加も”出席”であるときちんとマンションの規約上で明確化しましたが、逆に、全員がネット上にいるWEB理事会で、理事長の解任劇があって揉めた他のマンションでの事例などを参考に、一定人数が対面で参加していないと決議できない内容を定めました。私のマンションでは、フルリモートの理事会では総会の上程議案と、理事長の解職(平理事に戻づ)など理事の役職変更は決議できなくしています。

今の理事会の感じはこうです。
(3月ころに発売のダイヤモンドMOOK ”マンション完全ガイド2021”より)



30人の理事中、副理事長以上の5名(副理事長の4人は専門委員会の統括者なので報告などで発言がとても多くなる)、書記・広報など委員会所属でないサポート部門の人、年配の理事でZOOMを使いこなせい人など、役員は10名ちょっと、ほかに管理士と管理会社のフロント・管理員が会場出席。

のこりの役員20名ほどがリモート参加ですが、発言の多分9割ほどが、会場の中で発生します。どっちかというと、リモートの人が接続だけして寝ていないか(笑)確認するために、理事長が指名して発言を求める機会が多い感じです。

今年から、必ず顔を写して参加することを義務つけました。
サボってどこかに抜けていることはできなくなりますし、はいっ!とみんなで挙手して数を数えたほうが早いからですね。

リモート参加でも”出席”として、きちんとその月の役員報酬もつきますとか、細かい細則レベルの部分もケアしています。

管理会社がWEB会議をうけない?

さて、上位10位まで(17万戸以上の受託戸数になります)にはいる大規模な管理会社でも”会社”としてWEB理事会への参加を受けないということが紹介されていましたので、主にフロントさんになるであろう管理会社の方に訊いてみました。


これは管理会社側の考え次第ですが、自前で会議システムを立ち上げてうける(ZOOMなどだと40分越えの契約を誰がするかですね)とする会社から、WEB会議にリモート参加はしないという会社(2割程度)まであるようでした。

あり得ないというほど珍しいことでもありません。うちが昨年4月にZOOM会議に移行したときには、うちの管理会社は、”管理組合が立ち上げているZOOMに限って”フロントはリモート参加しても構わないという運用ルールとのことでした。ZOOMでないとフロントが参加できないなら一択ですから、サービスの選定が容易で助かったのも事実です。

実際にZOOMを立ち上げているのは組合側でお金を払ったアカウントで、フロントさんは、自分のパソコンを繋いで説明などを画面共有していますが、参加そのものは理事会の開催されている会場からです。

リモート会議をするために必要なリソースは?

完全リモート移行は、1人でもWEB会議システムが使えない人がいると難しく、多くのWEB会議理事会は、会場参加との併用です。

会場に無線LANなどの高速なネット環境が必要なほか、音を一括で拾うために、会場の音を拾うマイクとスピーカーが必要なので、その費用がかかるほか、ZOOMの年間契約も2万円ちかくはかかるので、ごく少人数の理事会(小規模マンションで数万でも大金という組合は多い)ではその支出が必要。会場のマイクとスピーカーは1つに集約しないと何人もが自前のパソコンもちこみではハウリングが起こりますので。

ほかに、会場のみの実施であれば、その場で紙を配って決議できるのが、事前に資料を配布してあって、資料は電子化して、今議論しているページを画面共有して皆の画面にも出すなど、いろいろな”リモート参加”する人のためのお世話が発生します。

リモート特有の設営などで、いままでより半時間ほど早めに会場にいって、終わったらZOOM記録を圧縮して公開とかお世話は主に私がやっていますが、手間は相当なものです。
マンションにはいるけど、コロナが怖いから理事会にはでたくないというお爺さんのために1時間とか会場でお世話の時間が増えるなら、もうそのお爺さんは欠席でいいよね(欠席でも議決権行使で理事会に参加できます)でさっさと全員部屋に集まる理事会に戻せばいいじゃんとか思っています。

「新任理事」さんは、自分がリモート参加できるようになるために、理事長など他の理事に余分の手間が発生するという認識があるでしょうか?

理事会で余計に手間のかかることを提案するなら、それは自分でやるくらいに、自分で体を動かしますで提案しないと、大抵の理事会で相手にしてもらえませんので。

規約の変更につて調査提案する、ZOOM契約して、接続機器を選定購入、会場での設営は私がやりますといえば通ると思いますよ。

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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