第6回対談「はるぶー&東京湾岸ライフが語る、マンション管理と資産価値のお話」後編

対照的な手法でマンション管理を長期間行われた、はるぶーさんと湾岸ライフさんの対談、後編スタートです。

目次

  1. この対談に参加したメンバーは?
  2. 対談
  3. 最後に

この座談会 に参加したメンバーは?

のらえもん
のらえもんさん

湾岸物件を愛してやまないネット妖精です。東京湾岸タワマン居住中。
湾岸総合情報ブログ「マンション購入を真剣に考えるブログ」運営。
いつの間にか本座談会の司会者ポジションに。マンション購入を真剣に考えるブログ

はるぶー
はるぶーさん

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。はるぶーのマンションヲタクな日々

東京湾岸ライフ
東京湾岸ライフさん

江東区有明で6年間マンション管理組合役員を努めた「東京湾岸ライフ」です。湾岸タワーマンションの管理組合で実施したことを共有します。

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座談会


同じ議論を繰り返さないために必要なこと

後半もよろしくお願いいたします!湾岸ライフさんが理事をされていたブリリアマーレ有明では、共用施設の管理だけではなくて、そこに置いてある家具の維持も大変だと以前書かれていました。

湾岸ライフさんのところは結構難しい話題が多くて。家具の更新とかっていわゆるマネージャータイプの人が一番苦手。予算の話になったり、「こんな上等な家具がいる?」みたいな話がなかなかまとまんなくて、もともとは立派なソファが入っていたのが「なんかイケてないソファ」に変わっちゃたりとか。湾岸ライフさんのとこ、その辺をよく上手にこなされているなと思っています。

うちの最上階のバーラウンジには、シンボリックな「カッシーナのでかいソファ」、1脚あたり75万円するものが14脚あります。共用施設のデザインは家具と合わせて作られているから、なるべく「竣工時のオリジナルの状態」を保つように努力しています。


ブリリアマーレ有明のラウンジにあるカッシーナ製一人掛けソファー。マンション共用施設の家具の維持費を日本で一番一かけている。特別な場所だから(湾岸ライフ)


10年経つと家具って廃盤になりませんか?

使えるうちは買い換えずに修繕します。うちのラウンジはとても良く使われるので、毎日何人も座ります。しかも食事をするから汚れてしまいます。私が第4期で立候補した時は、このカッシーナのソファーは既に布がくたびれていて、「布地だけでもいいから換えましょう」と提案したものの、見積もりとったら「張替えだけで250万かかります」という回答が来た。当然前年度に予算化していないものだから、あの時は予算の確保も含めて相当大変でしたね。

10期目になって、またヘタってきたんで「もう一回換えさせてください」変えましょうと提案したら、「もう生地が廃盤になってしまいました。在庫しかありません」と。ドバイ産の布地をニューヨークの会社で買い付けて、日本に持ってくる。地球を1周しているんです。「廃盤になっちゃうんだから、倍量作ろう」って事になり、更に大きなお金をかけたんですよ。もう車が買えちゃう金額でした。

マネージャータイプの人は「5年に1回300万かかる」って言うと、「修繕金みたいなのを計上する」って考え方するんだけどね。事前に予算を計上しなくても、お金がいっぱいあるから出来てるってこと?

私も「毎年これを繰り返すのは嫌だな」と思ったので、共用施設にある家具を全部リストアップして「毎年毎年順繰りに手入れすると毎期これくらいライフサイクルコストは掛かりますよ」という表を作りました。管理会社に引き継いで毎年更新してもらってます。来期の目安が見えているから最初から毎期予算が自動的に積まれます。

「消火器の更新」とか「部屋の中のガス感知器の更新」みたいな感じで「5年にいっぺん当たり前のようにあるもんなんです」って言って、「前からやることになってます。計画表を見て!」っていうのは良くあるパターン。そうしとかないと、「去年は無かった300万円のものがいきなりどかっと今年来ました」ってなった時に「そう長く理事の経験とかない人がいきなりびっくりして焦りがち」ってのがあるから。

「5年前からやることになってるって話にしとかないと結構苦労するよな」ってのは私も経験として持ってます。

建物の修繕計画は竣工時からありますが、家具は「売主からの寄付扱い」だから、予算の手当てはされていません、汚損や破損すると、どこのマンションも大概揉めます。だから、家具についても修繕計画表を作っておけば、後々あまり無駄な議論をしなくていいことに気づきました。

10年以上もやってるもんだから「理事が代わると全く同じ議論が繰り返されていること」をとても多く経験する。「前に議論した時に”個別の案件として”でなく”方針として”決めとけば良かったな」と思います。

湾岸ライフさんのとこは『クレド』とか言って売りにしているじゃないですか。やっぱ「確固とした方針で決まってないから、その都度その都度全く同じ議論をやってる」わけよ。議事録見ると「5年前に全く同じこと書いてある」みたいな。みんな忘れちゃうから同じ議論を周期的にやることになる。

うんうんうん。

理事会の運営の方針とかそういったものを5年とか10年とか残すのってほとんど不可能で難しいなって思います。

運営の大方針というのは自分がいなくなると変わってしまいます。だからクレドについてはわざとぼんやりとしたものにしました。「これは誰も否定ができないよね」というような程度。

こちらですね。
https://bma33.com/credo.html


ブリリアマーレクレド。この方針に従って毎年の管理が行われる。クレジットカードと同じ大きさのもの。館内で働く全員と理事は携帯することになっている(湾岸ライフ)


そうそうそう。

「ぼんやりとした、でも議論を収束させられる文言」を入れ込んで、クレジットカード状のカードにしてまとめる。毎年新規理事にはこれを配る。そうするとみんなこれを誇りに思ってくれて、「これをみんなで守ろう」という雰囲気が出てくる。「少しくらいお金掛かってもいいからちゃんと守っていこうね」という議論になります。

さて、そろそろ予定時刻が迫ってきていますが、せっかくですからお二人からこれを話しておきたいってことありますか?

マンションのブランディング活動とは

そうですね。今回のお話をいただいた時に、「私6年間もやって、いったい何がやりたかったんだろう?」って自問自答したんですよ。結論はシンプルで、「ブリリアマーレ有明を際立ったブランドとしたい」ということだったんですね。ブランディングに成功するとすると凄いメリットがある。

ふむふむ。

まず注目が集まってくれると「ブリリアマーレ有明に住みたい」という人が増える。指名買いは強いです。

次に企業と提携しやすくなる。「あのマンションさんですか」というような。自分たちのホームページを持っていると情報発信できるから、企業側としても組むメリットが出てきます。分譲マンションはサブスクリプションのサービスと実は相性がいいんです。「シンボリックなマンション」って外部の人が思ってくれれば、提携話も進みます。

そして住民が愛着を持ってくれる。うちは管理費と修繕費合わせると非常に高いのですが、愛着を持ってもらえれば修繕積立金とか管理費の合計が高くなっても「しょうがないよね」と、納得して払ってくれる。

あと最後に、開発したデベロッパーが「このマンションはウチのシンボリックタワーだ、フラッグシップだ」と思ってくれれば、デベロッパーが後々マンションにお金をかけてくれる。東京建物さんが「ブリリアCMの撮影しませんか?」とか、そういう話を分譲後10年経ってからでも言ってくれたり、「マンションのイベントしましょう」と提案してくれる。



東京建物【Brillia】のCM


「ブランド化するための際立った特徴」がもともとマンションに備わっていないとなあ…ないところから作るのはなかなか難しいもんだから…。

その意味でも私は非常にやりやすかったです。 単にプールがあるだけだと、「使わないし維持費が高い」とみんな考えたかもしれない。でも「ウチは日本で一番大きいプールを持っているんだよ」と内外で言い続けると、プールに注目した人が集まってくる。むしろプールを持つことによって価値がでてくる。

分譲するときにデベロッパー側は莫大な広告費をかけて宣伝しますけど、「住民たちが自らマンションのホームページを通じて世の中に周知させる」ってブリリアマーレ有明からすると大変コスパの良いものだった。


理事をやりだした最初の頃、近隣マンションを全部書き出して、ブリリアマーレのポジショニングとは…?とさんざん議論しました(湾岸ライフ)


ホームページの注目度も戸数の二乗くらいな感じで変わってきますよね。ネットに乗っけってちゃんと見てもらうには最低でも500戸くらい戸数が必要なわけで。逆に言うと500戸とか1000戸とかあるのにホームページが無いホームレス状態はまずいわけです。

1000戸規模あったからここまで露出できたってのはあります、小規模のマンションだったら絶対無理です。マンション管理の世界ってほとんどがいかにコスト削減するかって話になるじゃないですか。その観点だとうちのマンションは失格なので、付加価値を管理側で盛る必要がありました。これは世間からすると逆なのでエポックメイキングであったかもしれない。

なかなかでもなあ、ある意味羨ましい話。「じゃあうちどうすれば良いんだ」みたいな話になりがちだなあ。うちなんか足立区の普通のファミリーマンションで「ここしか無い」ってものが無いもんだから、こういう形でのブランド化とかには難しさを感じる。

湾岸ライフさんが、もしはるぶーさんのマンションの理事だったら、どうやってブランディングします?

イニシア千住曙町って、たしかスーパー堤防と一体化してるんですよねえ。

うんそうそう。だからっていってそれでマンションの付加価値が上がるってもんじゃないじゃない。

ブランディングは、そのマンションでしか体験しえないことを作って、外部宣伝することに付きます。「自分のマンションの目の前に大きな空地がある」これがメリットでは?例えば、堤防の上をある意味自分たちの敷地の延長の如く扱っていろいろイベント仕掛けたりとか。

まあだから「イベント的なものに使えるか?」って考えると難しいです。スーパー堤防の上の通路のところはこちらの敷地なんですけど、その先、堤防降りていったその下は都の管轄地になっていて「建築事務所にいちいち利用許可を取りに行く」みたいな話です。堤防は利用許可はとりやすいけど。ラジオ体操やってますが結構大変です。まして法律に乗っ取ってやろうとすると…。

はるぶーさんならおわかりだと思いますが、行政の許可が必要なら管理組合と自治会の顔を使い分けるテクニックが必要ですね。「自治会からのお願いです!」と言うのが常套手段ではないかと。

うんそれ大事。いま事実上自治会も管理組合の下部組織みたいになっていて、理事長=自治会長です。自治会役員のほぼ全員が管理組合理事を兼任してるので「好きな時に顔を使い分けられる」ような形にはなってる。

行政は管理組合の相手はしてくれませんけど、自治会の相手はしてくれます。少なくともむげには扱わない。

あれ難しいですよね。管理組合がなんでそんな曲解されてるのかよく分かんないんだけど、「管理組合の理事長です!」って言っても全然話聞いてくれないんだけど、全く同じ人が「自治会長です!」って言うと話が通るから。「今日はこっちの自治会長の名刺を使おう」みたいな話ってあるからね。そこってブリリアマーレも戦略的にやられていた部分でしたよね。

ブリリアマーレ有明は単独で自治会を作らずに他のマンションと一緒に自治会を作りました。これは「管理組合として行政に物申しても相手にもされなかった過去」があるわけです。歴史的な経緯もあるのですが、有明マンション連合自治会として他のマンションを巻き込んで、「有明エリア」として物申していった方がより良いかなと思いまして。

単なる1000戸でも相当強いけど、こんな数千戸になると、住民の思いは相手もどんどん無視できなくなってくる。

そうなんですよ。いま自治会事務局を抜けたのでわからないのですが、江東区の中でも人数的には一番大きな自治会なはずです

大きなマンションだとマンションだけで自治会つくれるけど、それだけではまだ弱くて。自治会の連合会にもきちんと参加してなにか陳情とか請願とか出すときに、近隣の自治会みんなに「連名で名前で乗っかってくれ」みたいなところまで行かないと住民代表としての自治会やってる意味合いは薄いんだよね。

はるぶーさんのところは管理組合と同じで意思決定で小回り効くから、メリット大きいはずです。

湾岸ライフさんありがとうございました。はるぶーさんからもなにかありますか?RJCの宣伝とか。

来たれ、RJC48

実は理事長さんってほとんどが他の理事長さんに会った経験がないんですよ。私なんか「どんどんお友達を探して」みたいな形にしているからRJCが始まる前から10人20人とか知り合いがいたんですけどね。なので「いろんな理事長さんと知り合える」っていうことだけでも価値があると思っています。

あと、あまり商売っ気がない所が特徴です。ほとんどの理事会の「お勉強します」っていうやつは「ホントだったら何十万円もかかるような会場」を借りて「1時間の講義を便利な場所で無料で聞けます」っていうのばかりで、みんなそれに慣れちゃってるんだけど、「講演会を開催している人」は「何かしらのマネタイズ目的」でやってるから「本当の意味で理事長の立場を考えた話をしてるのかどうかわかんない」わけじゃないですか。

RJCはそういうのは嫌だなと思って始めたものなので、「理事会を相手に商売をするような人は入れてない」です。メンバーのほとんどが理事長さんなので、入っていただけたら「世の中にいる優秀な理事長の話」がたくさん聞ける。湾岸ライフさんみたいな優秀な人もスピーチに来てますからね。

やっぱ実例で聞かないと「頭でっかちになって上手くない」と思うんですよ。「これはやってみたらこういう問題があった」とか「これは一見上手そうに見えるけどこういう問題が吹き出てきましたよ」とか。議題って全部1個1個解決して、最後に総会で「みんなで賛成!」って決めるもんじゃないですか。そういう「最後の形にまとまるまでの経験談があらかじめ聞ける」っていうのは大きい。大抵のことで具体的な事例を紹介してくれる理事長がいます。例えば「駐車場の外部貸しはどうだ」とか「駐車場にカーシェアを入れたら赤字が出てどうだ」とか、そういうのってやっぱ「やったことがある人じゃないと難しい」と思うんですよね。

まとめますと「理事長の立場での経験談を聞けるのはうちの会オンリー」だと思ってるので、ぜひとも入っていただけたらなあと。年3000円とお安くなっております。

(※編集部注釈)RJC48公式サイト

私もRJCに去年まで加入してました。そこで他のマンションの事例や本音の経験談を聞くことができて、助かりました。年3000円の会費が必要ですけど、補って余りあるくらいの情報をいただけたなと思ってます。管理組合にまた復帰するときにはもちろん入りなおします。

お二人ともありがとうございました。

次回の座談会 は・・・

いやー、とても学びがあるお二人の会話でした。途中からファシリテーターであることを頷き地蔵化していました(笑)次回もお楽しみに!

対談に出てきた物件の公式サイト

最後に

第6回対談「はるぶー&東京湾岸ライフが語る、マンション管理と資産価値のお話」、いかがでしたでしょうか?今後も面白いテーマを取り扱って参りますのでお楽しみに。

スムログでは、今後取り上げて欲しい座談会・対談のネタを随時募集していますので、「スムログメンバーへの質問やお便り」からお願いいたします。

過去の座談会/対談

第6回対談「はるぶー&東京湾岸ライフが語る、マンション管理と資産価値のお話」前編

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