湾岸タワマンの荒れた総会の『感想戦』-1

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東京湾岸ライフさんもタワマンの大荒れの総会の”感想戦”を取り上げていて、中に私の名前もでてくる。

先進的な管理組合活動を行っても、時として非難の対象になってしまう??

総会の10日ほど前から無数の質問が主に”反対派”の方から私にも送られてきていました。匿名のものも多く相手が何人かは不明ですが相談は10件以上。
その経緯で議案書&管理規約も入手。

「理事会も総会も過半数を確保した側が常に正しい」(ことにする)のが管理組合ですので本件既に決着はついています。どうすればもっと荒れないでできたかなというのを勝敗が決した後でお互いに振り返るから、将棋と同じく『感想戦』に私も参加。東京湾岸ライフさんの言語感覚は3文字でどうご本人が思っているかが伝わり秀逸ですね。

揉めた議案とは?

主に揉めた議案は3つ(4議案)。
具体的な総会でのやりとりが理事としてでなく参加された住民の方の”感想”としてまさにマンションコミュニティの住民板にでています:

https://www.e-mansion.co.jp/bbs/thread/532322/res/3101-3102/

議場では、これら理事会的にはど本線とは言えない議案で他にもやりとりがあり、議場での「議案の取り下げ」が起きています。

うち2つについては別途私のブログにそのうち(このブログの反響次第で書かないかも):
  1. エントランスの元カフェをレストランとして利用するための、リフォーム(2回目になる)MAX 2000万円の工事と、そこに入る運営業者(確か3社目)”未定”のまま、運営補助費用として月MAX100万円(消費税別)の支出を各々理事会に一任する(第3-4号議案)
    ・・・2議案合わせて1ページで収まっていて、4号議案は8行。但し議決内容は極めて明確です。このマンションの議案書は、理事会に経験者が多いせいもあって基本とてもハイレベルです。何を議決したいか不明とか、議案への形式的な不備は皆無です。
  2. 期の途中(昨年9月)で共用部の1年半残っている保険契約を元の保険を解約、”全く同一内容”で代理店を変更(リプレース主導の修繕コンサルタント会社)に変更し5年契約し直し。結果として保険料は数割上がってその期の支出は予算を超えた。契約を理事会裁量で実施して、総会承認なしのは違法あるいは規約違反か?
    ・・・随分揉めていたけど(最初私もダメと思った)多分法令・規約違反はありません、気が向けばブログに。私はもともと 「例えだめだとしても決算議案の可決承認で総会省略の瑕疵は実質的に治癒される」のではという立場。
  3. 今期10名まで採用可能(規約の役員数上限)なところ15名の立候補があり、非公開の抽選(管理会社が実施)して5人を抽選で落選させて10名で議案化。抽選の経緯等は議案書に非記載。これで有効か否か?
    ・・・立候補者を全員採用するだけで理事数定員を越えるケースは、レアケースですが理事会側と反対派側が理事会議決権確保を目的に多数の立候補を立ててくると起こり得ます。本ケース ”理事会に煙たがられる属性”を自称する人が総会にきて、私を落選させた経緯が不明瞭とコメント。これは他のマンションでも起こりうることなので規約での対応がうちでも必要かな。気が向いたらブログに。
ここでは①のみとりあげます。

実は議案はうちのマンションととてもノリが近い

このマンションの、議案書は議案数は多いが短め(17議案42ページ)、うちのは議案数は少ないが超長め(直近13議案152ページ)ですが”肝心のところ”が似ています:
「議案そのものの中に会社名や、正確な金額を含まず、予算の上限枠のみを議決して、実施詳細は理事会に付託する形で決議をとる」点で ”ノリがとても近い”のです。

下に貼ってあるのは、うちの保険切替の臨時総会の議案書の本体。うしろに検討中の保険に内容などの説明が10ページ以上続きますが、そこは議案ではなく参考資料だと明記されていて本体はこれだけ。予算の枠取りをする会計の指定と上限額の指定で5行。

<うちのマンションの保険解約切替え議案本体>

保険議案

ネットで炎上?になった議案もあっさりで2議案で1ページ。工事2000万(上限)+運営助成 110万円(上限)の一任実施を理事会に求めるもの。形式的に見てなにが問題ということもなく、実際に総会では7割くらいが賛成で可決されています。
・・・逆にいえば3割は反対したわけですが、本件は単なる過半数決議です。特別決議になるかどうかは値段で決まるわけではない。

私のマンションでは逆に、赤字を垂れ流していたミニショップを入居1年半でかなり強引に解約して浮かせた年1000万円の過半を積立金に回しています。

こちらのマンションでは、最大年1320万支出が続くけど、そのスペースはちゃんと使われる。うちは、年900万強の支出がなくなったけど、あきスペースは10年近く自販機コーナーという名前で廃墟然としたまんま放置になってました。うちのミニショップの廃止議案も過去最大の反対をだしたもので、26%の反対と、”反対”の割合もこちらと同じです。

うちでは最近ミニショップの跡地はリフォームして共用のラウンジとして利用する工事をコロナの中総会やって可決しましたが、その金額も再び大体2000万で同じ。
うちでは反対は全戸の6%に抑えて可決されていますが、その賛成率を確保するのには数年かけています。過去に7:3にマンションを割った問題の”爆心地”で、なにしろ廃止の提案の理由は”お金をこんなに溶かせない”でしたから、多分いきなり議案化してぶつけたら2-3割は反対がでたと思います。

共用施設は赤字でも維持すべきか?

タワーの共用施設のほぼ全てが単体事業としてみれば大赤字です。典型的なのがプール。ざっくり1戸年1万強の組合支出で、大抵あんまり使われませんが、赤字だからプールはなくしましたという巨大タワーは私は聞いたことがない。

巨大マンションがスケールメリットをもつことの象徴的存在です。お~プールがあるのか!?で、購入検討者にアピールする売り込みの主力ポイントですから、例え年に何千万の赤字を出していても”なくして空堀りにする”わけにはいかない。
・・・よく水景施設が停まっているマンションを見ますが、組合財政に余裕がないことの象徴と言えるわけで、数年で枯山水になってるのを見るとシンプルにこの組合はお金がないのね!?と私も思います。

値段が問題なのではなくて、
ーその値段なりの利用価値が住民側に生み出されているか、
ー中古で買う人が余計にお金を払ってでも欲しいと思えるマンションの価格に反映される価値を生み出しているか
どうかですね。

お金を出してでも維持するという”大きな政府”的な考え方も、カネがないから切ってしまってかまわないという”小さな政府”的な考え方も両方ありえます。

どっちかが間違っているというものでもないから、総会という名前の”オフィシャルな2択式アンケート”で、賛成か反対かを問うてどちらかの方向性を決めればいこと。

私は個人的には、10年や20年盤石な財務で”生き延びる”ことが組合理事会の第一使命だと考えるから、積立金問題『増税』などやることをやってまだお金が余っていたら、お遊び系にお金を溶かしても構わないという優先順の考え方です。
一方で、その路線だと10年ミニショップの跡地は廃墟のままだったわけで、見ててなにも感じなかったわけでもない。

Twitterで、”私の私見”としては賛成できないことを書きましたが、マンション内レストランに維持費(ほぼ人件費全額を補助しないとマンションに閉じたお店は維持できません)を組合が補填するかどうかは、”そのマンションの自治の問題”ですので、賛否で決着のついた問題に外野が口出しするものでもない。

マンションや理事長の傾向(”のり”)

このマンションは震災直後に売り出されていて、のらえもんさんのブログ

湾岸タワマンにおけるゲゼルシャフトとゲマインシャフトの相克

にも出てくる通り、”コミュニティを再全面に出し”て販売されたものです。理事長は過去におつきあいがあり存じ上げていますが、それにとてもフィットした能力をお持ちの方です。

私は、総会の反対票を1票でも少なくして、時に全戸賛成で通すというのが得意ですが、0を1にする能力はない。 顔認証・駐車場ナンバー自動読み取りなどをフロントランナーとして導入しようというのは私はできない。先行事例があれば、コピーは上手にできるとは思いますが。

だけど私が総会をてがければ、コロナで誰も来ないでくれと明言しても炎上はしません。4月末にコロナ禍のなかやった総会の非理事の会場参加者は2名だけでしたが、”総会の参加”率は99%でした。

<リーダーとマネージャー:はるぶーは無論”右”>



私は理事長は2年だけ、後はずっとナンバー2以下を選んでいるのは、適性の問題。性格や適性の問題で、なかなか同じ人間が両方カバーできるものでもない。
私が手伝えば、反対票は激減させられるのに・・・と思わないでもない。きっと同じマンションなので、レストランで大げんかになるんでしょうが。

やろうとしている方向性は凄いと思うのですが、かつてどこもやっていないような高度な提案を通すには、高度な政治力が伴っていなければ炎上しやすいかなと。

どうすればもっと”燃えない”総会にできたのか

マンションのことは全てマンションの自治範囲で総会で決めればいいから、外部の人間が総会前にネット上に書くものではない。

反対派の方への回答で私がいっていたのは、もう否決においこむ方法はないのでは?というもの。メガマンションの総会は1週間は前に出欠票の提出期限になります。その時点でもう全議案可決されていた筈。私のマンションの総会も当日に、例え議長が預かっている委任状を全部反対に使って議場の全員が反対しても議案の可決を阻止できません。

議案そのものが、違法あるいは規約違反であれば、多数決で承認されていても、”無効”になることがありますが、結論からいえばそう言い切れる議案があるわけでもない。まさに『総会で可決されたことで問題が事実上解消された』といえるものが殆どです。

多分理事会側としては可決確実は意識しての総会運営だと思いましたが、結果として3時間半もの大荒れの総会になってしまったのには、理事会側にも、反対された側にもいくつかの”総会”に関わる失敗があったと思います
  1. 総会に実出席している人を重視して、欠席で議決権行使・委任状を出す人の意向を軽視している(理事会・反対派の両方とも)
    ・・・会場の声に押されての議案取り下げ・議場での議案内容の実質的な変更
  2. 方針に反対な人が”理事会の外”からなんとかしようとしている
    ・・・管理組合の方針変更に近いような改革は、絶対に理事会の外からは不可能です。匿名掲示板に書き込みとしたり、総会を炎上させても仕方なくて、まず理事会の中に入って議決権をもつべきなのです。
  3. 理事会側に、説明努力が足りていない
    ・・・例えば、業者が1社に絞れていないとしても、助成がなければ維持できないこと、今までやっていたレストランの売上実績、ここまでの交渉の経緯などを”議案書そのもの”の中に捕捉資料としてつけるなどして、2000万+月110万までに収まる数的根拠と、期待される効果も数字では示せたと思うのです。
  4. ”協会”にホームページがあり、”マンション”にホームページがないのは逆では
    ・・・今閉鎖?になっていますが、もともとこの案件が”炎上”したのは、議案の詳細などが、理事長が別でやっているタワーマンション協会のホームページで、”既に可決確定すみ”であるかのごとくに宣伝されていたからです。そのマンションで”総会可決済みのこと”を俺たち日本初!!と大威張りしても誰も怒りませんが、まるで協会の新事業のショールームに自分のマンションが使われているような書きっぷりだと。私が住民だったらわりきれない思いをすると思うので。
既に長いのでこのあたりは、”続編”で論じたいと思います。特定のマンションの話題としてではなく、どうすれば総会が荒れないで済むかの一般論にて。

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

9 件のコメント

  • 裏方理事長14回目 より:

    ふーん
    そんなこともタワーというかそういう系のマンションではあるんだね
    おもろいけど対岸の火事→もっと炎上しろ( ;∀;)

    • はるぶー より:

      結構議案書も規約もきっちりしているんですよ。 
      なのに不満がネットで噴き出すのはやはり理由があるのかな。。。とは

      • うーか より:

        この記事は一体何が言いたいの?

        ・揉めた議案とは?
        ・実は議案はうちのマンションととてもノリが近い
        ・共用施設は赤字でも維持すべきか?
        ・マンションや理事長の傾向(”のり”)
        ・どうすればもっと”燃えない”総会にできたのか

        ただでさえ長い文章を上から読んでいってタイトルごとのつながりが感じられない
        ちゃんと構成とか考えて記事化しているんでしょうか?

        • はるぶー より:

          この記事とても沢山の回数読まれています。 意味不明だったら最後まで読むはずもなくて
          平均で7分かけて読んでもらっています。で、特に理事長などマンション管理系の方には
          なかなかよかったと高評価でした。

          本題は最後のセクションです。
          いいたいことは、”ちょっといけてない総会運営だな” ですが、
          まぁそこまではっきりも書くのもどうかなで少し寸止め気味に
          書いているから、そこが読み込めない方には少しだけ厳しいかもしれないです

          どうして炎上したのかの経緯は、ある程度どんな議案が上程されたせいかを書かないと通じませんしね。
           いわばこの”その1”全体が前置きのような状況説明だと思ってください。
          その2以降もし読んでいただければ、きちんと”どうすべきだったか”の最終セクションを
          一つ一つ書いていくので、ちゃんと”感想戦”になっていることがわかるかと思います。

  • めるか。 より:

    大変興味深く読ませて頂きました。
    マンションとはいえコミュニティですので、多様な価値観が混在しています。その管理組合の中で、合意形成する理論や折り合うテクニックは成書が存在しません。
    はるぶーさんの記事は本当に貴重ですし、毎回熟読しています。今後は管理組合の活動そのものが重要視されると思いますので、引き続き執筆活動を頑張って下さい。

    • はるぶー より:

      もうちょっとどの個別マンションの事例なのかわかんない感じで書けばいいかなぁ
      でそちらの掲示板が落ち着いてから。今は保険の切替えってのは12月駆け込みが
      再び必要な組合もあって”旬”ですので。

      • 匿名 より:

        その1の続きのその2はないのでしょうか?

        • はるぶー より:

          何か月かあきましたがその後の展開をみて
          新作を昨日12/29にアップしてあります。

        • はるぶー より:

          該当マンションの掲示板が沈静化してからかなと思っていました。
          燃やすのが本意ではないのに、Twitterと併せて凄い回数のクリックリンクを
          送ってしまったので。みなさん”炎上”ネタが大好きなようですね。
          おいおいもっと一般化してかいていきます(はるぶー)

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