お便り返し(43)マンション建設中に死亡事故があったら手付金は戻るの?

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こんにちは、やまちゃんです。

少し時間が経ちましたが相談キャンペーンのデジタルガジェット当選も決まり、発送を完了しました。当選された方はおめでとうございます。落選された方も、来年またやりますので奮ってご応募下さい。

さて、今回のご相談です。

差出人:Uchinoko

新築マンションの建設中に建設現場内で自殺など不慮の事故が発生した場合、手付金が戻る可能性は少ないのでしょうか。事件性はないといえど、一生住むマンションですと、心理的な瑕疵に繋がるものと思います。

ご質問ありがとうございます。本件、頂いた内容にわりと近い事例があります。

「新築マンションの建設中、共用部分で死亡事故が発生したが、手付金は戻らなかった」というものです。

過去事例

こちらでご紹介する判例ですが、不動産適正取引推進機構HPの記事を参照ください。同じ事案でもっと読みやすいものが、全日本不動産協会HPにもアップされています。

以下、筆者による記事の要約です。

概要

  • 買主は完成前マンションの一室を購入し、売主に対し手付金を支払った
  • 施工業者の下請従業員が、建築中にマンション共用部分で事故により死亡した
  • 本件はニュースで報道され、またインターネット上での書き込みおよび映像がアップされた
  • 買主は売主に対し、最上級の安心感・高級感・くつろぎ等を得られる住戸を引き渡せなかったと主張
  • 本物件のエレベータを利用するたび強い不快感を抱き、居住することに精神的苦痛を感じたと主張
  • 物件の市場価値も下落し回避できなくなったと主張
  • 買主は、資産価値が低下したとして、売主に対し契約解除・手付金返還・慰謝料を請求

裁判所の判断

売買契約解除、手付金返還、慰謝料請求、いずれも認めるに足りないとして買主の請求を棄却
(つまり手付金は戻らなかった)

理由

  • 買主の主観的な不快感によって、購入目的を達成できないほどの瑕疵があるとは言えない
  • 建設工事中の事故であって、殺人事件などと同視できない
  • 住戸の専有部分ではなく共用部分で発生したものである
  • 安心感、高級感等は購入勧誘の文言に過ぎず、その期待感を保証するとは認められない
  • 住み心地に重大な影響を与える情報、価値を貶める情報が流布している事実が認められない
また要約となりますが、「買い受けた住居部分において凄惨な殺人事件が起こったなど、住み心地の良さに重大な影響を与えるような心理的瑕疵がある場合は、社会通念上、売主債務の不完全部分を追完不可能」といった内容も書いてます。

個別住戸で殺人など心理的瑕疵があると売主は、契約の「完全な」履行ができないと解釈でき、字面だけ追いますと、手付返しの白紙解約どころか、なんなら手付倍返しの可能性もありえるのかな?と思いました。

(判例はないかと探しましたが良いものが見つかりませんでした。過去に無いことはないのでしょうが、さすがに売主が争わないのかも。)

さて、もしこの事案で裁判所が「解約を認める、手付金も戻る」という判断をしていたら、今後、施工中での同様の事故ですべての契約者は自由に白紙解約できる可能性が出てきてしまい、そのような判断が難しいのかも知れません。

共用部分なのか(契約者全員が該当する)、専有部分なのか(当該住戸のみ該当する)、という違いで影響の大きさが全く異なりますよね。

それで余談ですが、本件どうやら時系列を追いますと、

契約(建物未完成)→ 本件事故 → (リーマンショック)→ 建物完成(引き渡し) → 訴訟

という流れでして、事故そのものはとても悲しい出来事であってはならないことですが、時系列や背景を鑑みるに、売主にも訴訟で争点にならなかった言い分がありそうでして、事故から入居までの間にもっと良い解決方法はなかったのかなとは思います。

なお当該物件の直近の中古販売履歴を見たところ流通価格への影響はなかったと表現して差し支えなく、結果論ですが、資産価値に関しての裁判所の判断は妥当だったように見えます。

以上、非弁行為に抵触するとまずいので過去判例記事のご紹介程度で。。もっとフレキシブルなご相談は弁護士さんまでどうぞ!

 

建設中の不慮の事故について

ここから個人的な思いなのですが、入居前の死亡事案があれば、それが専有部分であれ共用部分であれ、事件であれ事故であれ自殺であれ、裁判になればどちらが勝つかもさておき、契約者が希望すれば、売主は白紙解約させてあげて欲しいですね。。

だってそうですよね、、幸せな新生活を送るために何十年ものローン組んで一生ものの買い物をしたのに、後出しでこういった事実が出てきて、まぁそれでもいいかという人はさておき、どうしても嫌だ住みたくないという人が、売主と揉めて裁判で争うなんて理不尽です。

Uchinokoさまが疑問に思われたことは、とてもとても、よく分かります。そういったことがあれば、売主側の判断で穏便に済ましてあげて欲しい、と切に願います。最悪、大量にキャンセルが出る可能性もありますし、物件規模なり売主の企業体力にも依存する話ですから難易度が高いでしょうが。

最後に、個人的に知っている別の事例なのですが、施工中に火災を起こしたマンションがありました。不幸中の幸いで、けが人も死者も出ませんでしたが、重要事項説明記載事項となり、既契約者にもその旨の説明が行われました。

火災が起こったフロアをすでに契約していた人の一部から、資産価値が下がったという理由でキャンセルの要望がでました。売主は手付を返還し白紙解約しました。

同じく、火災階と全然違う階の契約者からも、同じ理由でキャンセルしたいと要望がありました。売主は、それも受けて白紙解約しました。

事の重大さは冒頭の事故と比較すべくもないですが、すごくいい対応だと思いませんか?少なくとも買主に落ち度はないのですから、こうあって欲しいなと願います。

 
注釈:
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。

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ABOUTこの記事をかいた人

スムログ担当者です。その昔、某デベで新築営業した後、今のWeb業界に転身しました。
妻子供との5人家族+犬2匹、上に3歳児の双子の娘、下に1歳児の娘を持つパパです。