マン点流!(回答)広告の電車所要時間

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広告の電車所要時間が気になる、おすぎさんからの質問。

【もくじ】
おすぎさんからの質問
電車所要時間に係る規約(広告表示ルール)
規約改正の動き
個人的な見解

おすぎさんからの質問

お世話になります。
30代のマンション購入検討者です。

マンション広告の事情に詳しい方にお答えいただけると幸いです。

マンションの広告をたくさん見ておりますが、疑問に感じていることがあります。
マンションの最寄り駅なら都心の各ターミナル駅までのアクセス時間についてです。

  • 1 A駅まで直通 40分
  • 2 B駅まで乗換1回 35分
  • 3 C駅まで乗換2回 30分
このような感じで広告に書いている場合、実質一番時間が短く到着できるのはおそらくA駅になります。
乗換時間が全く考慮されていないからです。

なぜ広告に記載するアクセス時間は乗換時間を考慮せず記載されているのでしょうか
乗換1回につき5分など、業界共通のルールを設ければ実態に近いアクセス時間を購入者は把握することができるのになぜ半分詐欺紛いのような記載をするんでしょうか。
こうした記載に標準化を求める動きはないのでしょうか。

電車所要時間に係る規約(広告表示ルール)

なぜマンション広告では電車所要時間に乗換時間が考慮されていないのか?

まずは、「不動産の表示に関する公正競争規約」(以下、「規約」)の確認から。

規約の施行規則第10条第6号は、電車所要時間につき、乗り換えや特急・急行等の種別の明示を義務づけているが、所要時間を含めることまでは求めていない

(6) 電車、バス等の交通機関の所要時間は、次の基準により表示すること。

  • ア (省略)
  • 乗換えを要するときは、その旨を明示すること。
  • 特急、急行等の種別を明示すること。
  • 通勤時の所要時間が平常時の所要時間を著しく超えるときは、通勤時の所要時間を明示すること。この場合において、平常時の所要時間をその旨を明示して併記することができる。
  • オ 通勤時に利用することができない電車、バス等の交通機関による所要時間を表示するときは、その旨を明示し、かつ、通勤時に利用することができる電車、バス等の交通機関による所要時間を併記すること。

規約改正の動き

規約の改正はこれまで何も実施されており、メジャーな改正が実施されたのは2012年の第15次改正。その後もマイナーな改正が実施されていて、最新版は2016年(第17次?改正)となっている。

その間、電車所要時間のルールについて、手元にある一番古い「不動産広告の実務と規制(7訂版)」を確認したところ、最新版(12訂版)とほとんど変わっていないことが分かる。

マン点が所有する規約の解説書
(マン点が所有する規約の解説書)

では、今後の改訂予定はどうなっているのか?

規約の取りまとめ役である「不動産公正取引協議会連合会」の事務局「首都圏不動産公正取引協議会」の2020年度事業計画(P1)には次のように記載されている。

当協議会は、不動産の表示に関する公正競争規約変更案を2018年3月開催の理事会で承認するとともに、不動産公正取引協議会連合会の事務局として、2018年4月、消費者庁表示対策課に事前説明を行い、以降、同課の指導を仰いでいるところであるが、本年度に開催予定の同連合会総会において承認を得て、速やかに、公正取引委員会及び消費者庁へ変更の申請が行えるよう努める

ようするに、規約変更案は2年前(2018年3月)の理事会で承認済みであるが、公取と消費者庁の了承が取れてないという状況なのだ。新型コロナの影響もあり、今年度内に規約が改正されるのかどうか。

いずれにせよ、規約変更案は現在開示されていないので、電車所要時間のルールの変更の有無は不明なのだが……。

個人的な見解

インターネットが普及する前に策定された規約は、これまで何度も改訂されてきたが、まだまだ現状に追い付いていない。

電車所要時は、乗り換え案内サービスの「駅探」や「NAVITIME」などを使えばリアルにかかかる時間を簡単に知ることができる。実態とはかけ離れたバーチャルな電車所要時間を規定している規約には誰しも違和感を覚えるだろう。電車所要時間として、規約のなかに乗り換え案内サービスの時間を併記することを義務化すれば解決する話ではないか。

ただ、この手の変なルールは電車所要時間に限らない。

たとえば、次に掲げる項目は広告表示が義務化されることで消費者のメリットになるはずだ(逆に、事業者にとっては広告明示を避けたい)。

  • 配置図の表示義務化
    マンション棟内の住戸位置による得失(日照・通風、エレベータ・屋外階段との位置関係)、道路や隣接建物との関係など一目瞭然となる。
  • 幹線道路騒音・鉄道騒音の表示義務化
    客観性が担保された騒音データの表示は難しいことから、例えば、幹線道路・鉄道までの直線距離の表示を義務付けてはどうか。
  • 階高・天井高の表示義務化
    居住空間の豊かさを知るには、床面積だけでなく、高さ情報も重要。特に階高は、工事費(資産価値)に大きく影響する。
  • サッシ・床・戸境壁の遮音性能の表示義務化
    生活騒音は、マンション・トラブルのワースト1(国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」)。遮音性能に係る設計住宅性能評価を取得した物件は、具体的等級の表示を義務化(等級を明示できない物件は、市場競争力を失う?)
  • 契約済み戸数の表示義務化
    売れ行き情報は、消費者にとって重要な判断材料のひとつ。

次回の規約改正でどこまで消費者寄りの内容が取り込まれるのか、要注目。

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ABOUTこの記事をかいた人

マンションアナリスト。11年間で5,000枚のマンション・チラシを“読破”したマンション・チラシ研究家。一級建築士。

不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」
twitter.com/1manken

1 個のコメント

  • おすぎ より:

    マン点さま
    この度は記事にてご回答ありがとうございました!
    業界の現状、問題点がよくわかりました。
    次回の規約改正が購入者にとって有益なものになることを願うばかりです。

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