スムログメンバーへのご質問ありがとうございます。3月のキャンペーンで私が思っていた事前予想よりもめちゃくちゃきました。メンバーで手分けしても、全部返信できないくらいの量です。
私しばらく前まで「お便りに答える」って回答形式のエントリって、主体性がないな~と思ってネタが無い時の緊急手段くらいに考えていたのですが、逆を返せば、「読者が知りたいことに答えるQ&Aが貯まる」ってそれは貴重なんじゃないかな、と考え直すようになりました。
ただ、量が量ですので、私が答えるのは「まとまったQ&A集として他の読者の役にも立てそうか」「返信する緊急性があるか」「指名されているか」あたりを重視したいと思います。
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【お名前/ハンドルネーム】:ぴよ
投資、資産運用のワンルームマンションについて質問です。
31歳(女)です。
友人に、1Kの単身者用のマンションの購入を勧められています。
老後の資産として、節税対策として購入すべきであるということです。
ただ、今は頭金が100万円程度しか出せないので厳しいと話したのですが、諸費用ローンを組めば契約も可能であると。
頭金がある程度貯まるのを待っていたら、ローンの完済も遅くなるだけだし、消費税も上がるから今が買い時だと言うのです。
都内、駅近、新築物件で約2000万円を35年ローン。
家賃収入にプラス1万3千円ほど追加して支払いをしていく計画を出されました。
確定申告での還付金を使えば、繰り上げ返済や諸費用ローンの早期返済も出来るとの事です。
投資マンションのリスクについては、友人に散々聞きましたし、ネットでも自分なりに検索して読んでいます。
多少のリスクは伴うものだという覚悟は出来ているのですが、やはり反対意見も多く、、、。
将来結婚するかは未定です。
あまり結婚願望もないです。
また、資格試験にも合格しておりまして、今後の収入は健康さえ崩さなければ安定はしている職業についています。
老後の年金は不安があり、65歳からの10年確定の個人年金も2つほど入っています。
でも75歳以降の事を考えると、このマンションがある事で、ひとつの安心には繋がるんだろうか。
でも頭金も今は出せない状況で、話をすすめる事がいいのかどうか。
待つべきか、進むべきか。
ご助言いただければと思います。
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「いま、新築ワンルームマンション投資なんて儲からないから止めましょう」で終了なんですが、それだけで終了するとつまらないので以下つらつらと理由を。以前、私のブログでは「中古ワンルームマンション投資」についての考察を書いたのですが、「新築ワンルームマンション」については書いてませんでした。
都内ワンルーム投資ってどうよ?真剣に考えてみた その1(内藤忍先生著書編)
https://wangantower.com/?p=13621(その4まで続く大作なので時間があるときにお読みください)
ぴよさんの物件について、いくつか情報が欠けていますけど、箇条書きにするとこんな感じ。
- 東京都内新築ワンルーム約2,000万円
- 間取りは1K
- 35年ローン
- 家賃収入ではローンを賄えず1.3万円/月ほどの手出し
- 頭金は100万円程度、諸費用ローンも利用
ちょっと与えられた条件で仮計算してみましょうか。
2,100万円の想定家賃7万円の20平米ワンルームマンションとしましょう。これは表面利回り4%の物件となります。購入時の諸費用はいろいろ含めて100万円と考えます。ノンバンクの不動産投資ローンを仮に3%35年とすると、2,000万円借り入れて月々の支払いは7.7万円。管理費と修繕積立金合わせて6千円で家賃収入との差は月-1.3万円となります。だいたい辻褄が合う計算です。
これに、建物の減価償却費と毎年の金利(初年は60万円)、管理費などを経費として確定申告して収入が減ったことにすれば「節税をしながら資産形成ができますよ」というウリ文句が出てくるわけです。
ここまで書いたところで、ちょうどいいときにTwitterのプロモーションが流れてきました。
年収500万円以上の会社員の方へ贈る
『脱・雇われ脳』をテーマに贈る、
株と不動産投資に、
特化したマネーセミナーが再開˖✧˖
働いた時間:得られるお金
=1:1(従業員や自営業者)
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インフレと節税効果を活用した
資産形成術を大公開!
【GWまで無料/渋谷】
— Thomas@社畜投資家 (@Thomas50296860) 2019年3月26日
以下の画像とリンク先は、ぴよさんのご相談とは無関係の会社です。下の画像は「CRAZY マネーセミナー2019」よりキャプチャしました。投資の説明に、”クレイジー”とか”資産形成のstart up”とか”スゴ腕ファイナンシャルプランナー”とかガッツあるTwitterのプロモーションで流れてきました。ご興味ある方はぜひどうぞ(ニッコリ)。
上記の、CRAZY マネーセミナー2019さんの計算式の是非はともかく、ワンルームマンションの営業トークや広告には以下の常識が省かれています。
- お家賃は新築時が一番高く、どんどん得られる家賃は減っていく、しかしシミュレーションで家賃が減る想定がされることは稀
- 空き室リスクを一切考慮していない、空き室のときも当然ローンは給料から払わないといけない
- 空き室が出た場合は、募集のための経費がかかる
- また、内装やクーラーなどが壊れた場合の修繕は当然オーナー持ちである
- 試算には固定資産税と固定都市計画税が入ってないことが多い
「毎日コーヒー一杯分の出費でマンションが持てます!」というのは不動産投資じゃなくて不動産を使った浪費なのです。
35年経ったらマンション一部屋が持てる?たしかにそうでしょう。しかし、その前に累積でどれくらいそのマンションに経費と金利を払って手に入れたのでしょう?どう考えても割に合わないほどの資金を投入したのでは?と。
「老後が不安、自分のために不動産を持っておきたい、節税をしたい」と考えていらっしゃるなら、自宅マンション投資がよりリスクが少なく最適かと思われます。「まず自分が住むためのマンションを、資産価値の保全を最大限に考えて購入し、人生の転換期が訪れた際に貸したり売ったりする」のです。
自宅マンション投資には、新築ワンルームマンション投資に比べていくつかの利点があります。
- 住宅ローンの金利がとても安い。変動なら0.5%以下で固定でも1%強
- 金利が低いと残債の減りが予想以上に早い
- 内法面積50平米以上を買えば住宅ローン減税の対象となり、10年間の間は経費を積まなくても残債の1%の税金が帰ってくる
- 物件選定をきちんと行えば、資産価値が下がらない底堅いマンションを選ぶことも可能
- 分譲マンションの居住性は高く、QOLを底上げできる
- 売買や賃貸に関するデータが広く公開されている
P.S.
ちなみに、投資ワンルームを結婚前に何件か買ってしまい、結婚後に住宅ローンを組むことができずに自宅を買えないハメになった人、何人か知ってます。新築ワンルームマンションは、新築から中古になったときの値落ち率が激しく、買って数年後に売ろうとしても残債以下にしか価値が付きません。売るに売れなくて困っている事例なんていくらでもあるのです。
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