「錦糸町徒歩7分」と聞けば、多くの人は似たような住環境を想像する。
だが実際の中古マンション市場を見ると、どうもそう単純ではない。
同じ駅でも、
- 北側なのか
- 南側なのか
- 駅近なのか
- 築浅物件が多いエリアなのか
今回、国交省が運用しているサイト「不動産情報ライブラリ」を使い、直近の価格動向を反映するため、2022年第1四半期〜2025年第4四半期に成約した、駅徒歩15分以内・55〜85㎡・2LDK〜3LDKのファミリータイプ中古マンションを分析した。
対象としたのは、
- 駅南北で性格が分かれる「錦糸町駅」
- 下町と高層マンションが混在する「月島駅」
- 複数路線が乗り入れる下町ターミナルの「北千住駅」
分析すると、「駅徒歩◯分」だけでは説明しきれない価格差が見えてきた。
一般にマンション相場は、「◯◯駅の相場」という形で語られることが多い。
しかし実際には、その“駅相場”の中に、異なる価格形成が混在している。
目次
錦糸町駅では、「駅のどちら側か」で価格差が出ていた
まず錦糸町駅である。駅の北側と南側で成約単価に差が見られた。
ただ、全体平均だけでは少し分かりづらい。
「北側の方が駅近物件が多いだけではないか」という見方もできるからだ。
そこで徒歩時間帯ごとに分けてみる。
徒歩1〜5分帯では南側が強い。
一方、6〜9分帯と10〜15分帯では、北側の方が高い水準になっている。
特に10〜15分帯では、
- 北側:約101万円/㎡
- 南側:約90万円/㎡
興味深いのは、徒歩6分以上になると、北高南低の傾向が続いている点である。
南側の江東橋エリアは、駅前の商業集積や交通利便性が価格へ反映されやすく、駅近帯の単価が高い。一方、北側の太平・錦糸エリアは、駅から少し離れても価格水準が比較的維持されていた。
もちろん、築年構成や物件スペックの違いもあるため、これだけでエリア評価の差を断定することはできない。
ただ少なくとも、「錦糸町徒歩◯分」という見方だけでは、価格差の構造は見えづらい。
月島駅では、「築浅プレミアム」の出方が違っていた
次に月島駅を見てみる。全体では東側の方が高い。
平均成約単価は、
- 西側:約149万円/㎡
- 東側:約164万円/㎡
ただ、築年数帯別に見ると、単純な「東高西低」では整理しづらいことがわかる。
東側は、築10年以内の単価が相対的に高い。
築浅物件へ価格が集中している構造が見える。
一方、西側では特徴的な動きが見られた。
築11〜20年帯で単価が下がる一方、21〜30年帯では再び高い水準になっている。築浅帯を上回る逆転現象も確認できた。
一般的な減価カーブとは少し異なる動きであり、一部の大型物件が平均値へ強く影響している可能性がある。
つまり、西側全体が一様に強いというより、特定の物件群が相場を支えている構造も考えられる。
「月島駅の相場」という一つの数字では、こうした違いは見えにくい。
北千住駅では、駅の西側の単価が高かった
最後に北千住駅を見てみる。駅の西側の単価が駅の東側を上回った。
平均成約単価は、
- 駅の西側:約92万円/㎡
- 駅の東側:約72万円/㎡
もっとも、北千住駅(111件)は、錦糸町駅(213件)や月島駅(228件)よりサンプル数が少ない。築年構成や供給物件の違いもあるため、この差をそのままエリア評価の差として捉えるのは難しい。
駅の西側には商店街や商業施設が集積しており、駅の東側は比較的住宅地色が強い。ただし、今回のデータでは築年構成や供給物件の内訳まで分解できていないため、単価差がエリアの性格によるものか、物件属性の偏りによるものかは判断しづらい。
つまり、「北千住の相場」という一つの数字だけでは、実態は粗く見えてしまう。
「駅相場」という言葉では、少し粗すぎるのかもしれない
今回、錦糸町・月島・北千住の3駅について、中古マンションの成約データを駅周辺エリアごとに比較した。すると見えてきたのは、「同じ駅」でも価格形成が違うということだった。
- 錦糸町駅では、徒歩6分以上になると北高南低の傾向が続いた。
- 月島駅では、築浅物件へ価格が集中するエリアと、一部大型物件の影響が強そうなエリアが混在していた。
- 北千住駅でも、供給物件の違いによって平均単価が動いている可能性が見えた。
もちろん、不動産価格は単一要因では決まらない。
- 築年構成
- 大型・高層物件の比率
- 再開発
- 供給戸数
ただ今回の分析で改めて感じたのは、「駅相場」という数字の危うさである。
不動産ポータルでは、「◯◯駅の相場」という形で価格情報が整理されることが多い。
しかし実際には、その平均値の中に、
- 駅近だけ単価が跳ねるエリア
- 築浅へ価格が集中するエリア
- 一部大型物件が平均値を押し上げるエリア
つまり、「駅相場」という一つの数字だけでは、その平均の中身まで見えないケースが少なくない。
同じ「月島駅 70㎡ 2LDK」でも、どのエリアの、どの築年帯の、どの物件群が相場を形成しているのかによって、価格の意味合いは変わってくる。
「どの駅か」は入口に過ぎない。実際の価格は、“その駅のどこか”まで見て初めて見えてくる。
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- 東京メトロ東西線 南砂町 駅徒歩1分 東京メトロ東西線 東陽町 駅徒歩12分 JR総武線 錦糸町 駅バス約18分、 日曹橋 バス停徒歩5分 JR東海道本線、山手線、総武線快速、中央線 東京 駅バス約33分、 東陽町駅前 バス停徒歩18分
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