この春、新築タワマンに入居される「タワマンルーキー」さんからの質問。
賃貸住戸の存在が気になるようです。
目次
読者からの質問
タワマンルーキーさんからの質問。
この春より新築タワマンに入居する者です。
弊マンションに実需でない方がどれくらいおられるのかと思いSUUMOで賃貸サーフィンをかけたところ、ざっと2割弱程度の募集が出ていました。
もちろん立地や1LDK等の割合等により増減すると思いますが、一般的には賃貸割合はどれくらいなのでしょうか。これは多い方なのでしょうか。
賃貸割合が多いと、共用部を粗末に扱われるのではとか、管理組合が機能しないのではとか、諸々不安が過りますが、実体験などあればお聞かせいただけるとありがたいです(ポジネガ両方、ネガでも脇を締めるという意味で)
このような数値を把握することは、プライバシー保護の観点から、皆さんがお住いのマンションのことを考えてみても難しいことはご理解いただけるのではないかと。
では、全く分からないのかと言えば、そうでない。貴重な公的データとして、国交省が5年ごとに調査している「マンション総合調査」(最新は2018年度調査)があるのでひも解いてみよう。
賃貸戸数の割合は築年数で増加する
同調査結果には「賃貸戸数割合」として、完成年次別に(昭和44年以前、~昭和49年、・・・、~平成26年、平成27年以降)、5つの区分で(0%、~5%、~10%、~20%、20%超)、表形式のデータが公開されている(次表)。これらのデータは全国を対象に(東京に限らない!)、2018年の11月から12月に実施されたもの。
そこで、完成年次を築年数に換算して、築年数別の賃貸戸数割合を描いてみた(次図)。
築年数が増えるほど賃貸戸数の割合は増加する傾向見られる。平均値(橙色折れ線)で見ると、築20年程度までは賃貸戸数の割合は1割前後で推移している。
規模が大きいマンションほど賃貸戸数の割合が高い!?
上記と同様に、規模別(階建て、総戸数)の賃貸戸数の割合を可視化してみる。階建て別の賃貸戸数割合
まず、階建て別の賃貸戸数割合について。平均値(橙色折れ線)で見ると、20階建て以上になると賃貸戸数割合は19.5%に跳ね上がる(次図)。
階数の高いタワマンだと、賃貸戸数の割合はさらに高くなることが予想される。
総戸数の賃貸戸数割合
次に、総戸数の賃貸戸数割合について。平均値(橙色折れ線)で見ると、501戸以上になると賃貸戸数割合は17.1%に跳ね上がるが、500戸以下では、あまり大きな変化は見られない(次図)。
賃貸化率の高いマンションの懸念事項
年数が経つにつれて、マンションの賃貸住戸の割合が増加する。このような賃貸化率の高いマンションで懸念される主な問題としては、次のような事項を挙げることができる。所有者と賃貸人との利害が一致しないなど(たとえば、修繕積立金の値上げ、大規模修繕にかける工事費の多寡など)、管理組合の運営が難航すること。
賃貸住民の入れ替わりが激しいと、住民同士の繋がりが希薄になり、コミュニティ形成が難しくなること。
これらによって、マンションの資産価値が低下する可能性があること。
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