案外大きなマンションの経年減価-2  積極投資の必要性

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大分前のブログですが『案外大きなマンションの経年減価』の続編・完結編です。

https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/3898

前回のまとめ

ざっくり前回のをまとめ:

① マンションは相場変動・地域での人気の変化など特殊要因を除くと、おおむね1坪あたり4万円毎年値段は下がっていく。これは1平米あたり月1000円の減価に相当して、案外大きい。6畳間が毎月1万円安くなっていくわけですから。

② 仲介物件は市場にでたまま、買い手がつかずに”晒されたまま”でいると10日ごとに約1%値下げしないと売れないことが過去の成約価格の経時変化で統計的に知られている。

③ マンションの管理費は、新築時価格に比例していてどのマンションでも管理費250年分が新築時価格になるくらいに初期設定されている。管理費一般会計の支出を25%とか大幅削減しても、削減可能な管理費は年に新築時本体価格の0.1%程度に過ぎない。①との比較であれば管理士などが大幅削減可能といっている数字はせいぜい数十円/㎡/月である。

金額が桁違いで ①/②>>③ なので管理コストを単にちょっと削減しただけでマンション価格に影響を与えるとは思われません。ちょっと削減したからで大威張りするほどのものでもないわけです。少なくともコストカットは①や②に影響を与えないようにやらなければ合理的とは言えないでしょう。

10年ケチケチやって節約した分、いざ売りましょうかとなったら、最初の内見のお客になんか共用部古びてるねで逃げられたらその分消えちゃうわけですから。

コストカットして得たお金の使い道

管理費の一般会計からみのコストカットは、数字で成果を威張りやすいものなので、1-2年で財政はV字回復させましたとかで、理事長さんが取り組みがちです。

無論やらないよりはいいのですが、「なんのために」削減するのかの目的が明確でないとコストカット自体が目的化しがちな気もします。管理コストって人減らしとすれば削減できるけど、さて例えば1平米100万円なんてマンションを買った人 ~ その値段ともなれば、”普通とは違う”サービスを求めている筈です ~ がコンシェルジュに会える時間が短くなって喜んでくれるかといえばかなり微妙。

下手に削減すると「しょぼい」マンションであると同価格帯のマンションを検討する人に認定されマンションの減価を加速する可能性がある。

数値化目標をつくるなら、”理事会の役員欠席率”を激減させるといった目標もあると思うんですよね。うちはここ1-2年欠席は10%程度に減らしてきていて、今期の欠席率は僅かに2%。23人いる役員が大抵全員理事会に顔を会わせてますというのは、多いに理事会として誇るべきことで、お金をちょっとばかり浮かせました(これは個人技でも可能..)よりも私はずっと大事だと思うんですよね。理事会は団体戦であって、個人技でできることはとても限られてます。
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上の図は、うちで私が理事会向けに割と最近示した説明資料から。(実は、ここスムログののらえもんさんが座談会でこの話聞いて書いてくれたものです。本人の承諾を得て転載)

うちでは、先行して必要な修繕計画に対応する積立金を35期までは計画上赤字になる年がないように先に均等割に値上げを済ませて徴収しています。いろいろ節約してきて、一括受電や駐車場の外部貸しなども実施しているので今期実は”理事会がなにも動かなければ” 約2000万(一般会計の15%ほど)の黒字が見込まれるようになってきていました。

”35期目まで大丈夫”ということは36期目には足りていないわけで実際に3回目の大規模修繕には”あくまで計画上”では数億円足りていません。ここに埋めるためにあまり新規事業は起こさず”貯金”に回していくべきだという役員と、そろそろ8年経過してあちこち古びてきたから積極投資を今行って、今のマンション価値を防衛すべきだという役員との間で意見がここ2年ほど意見が分かれました。

私の意見は、
「理事会の努力で費用を削減した場合の成果は安易に管理費削減など区分所有者や居住者に還元するのではなく、さらなるグレードアップのための投資に投入すべきである」
というものです。

実はこのセリフ、RJC48の先端を走る理事長が”当然”とかいう口調で掲示板に書き込んでいたので速攻パクりコピーしました。

30年後のために節約? .vs. 今の価値を守る?

もちろん、ケチケチやって将来のために貯金という手もありでしょう。

しかしうちは前期まであまり財政に余裕がないために、植栽などが弱ったり傷んできていたりした部分に手を入れることができなくて放置状態にありました。かなりの面積の広場状の公開空地の芝生が剥げてきてしまって誰も足を踏み入れない感じです。さらに元々白っぽいマンションなので外構部の公開空地に設置された擁壁などもなんとなく黒ずんできていて、いかにも古びてきたなぁと誰もが思う感じになっていました。28年先に向けて貯金していくことも大事ですが、今そこにあるいけてない部分はさっさとお金を使って直しましょうよが私の提案でした。
… 36期のために今ボロボロになってるのを放置していて、うちのマンションに36期目に10億円以上も拠出して直す価値が残るかな・・・と思うと結構疑問なわけです。

今期使えるお金の大半を植栽については5か年計画をたてて、剥げてきた芝生は日照不足が原因なので、人工芝に貼り換えるなどあちこち改善。擁壁などマンションの共用部全体に、高圧洗浄などの特別清掃をかけましょうというプランをここ半年実施してきました。全部で1000万ほどでかなりエントランス近くで古びてきたり枯れてきたりでがっかりな部分を改善することができたと思います。ついでに800万ほどかけて、地震で漏水したまま放置されていた水景施設の防水復旧の工事もしました。不要とはいわないけど不急のものなので長年やむなく放置されてきたものです。

植栽の状態にはごまかしがきかない

マンションを外から見た瞬間に、管理状態や、管理組合の財政状態をはっきり示すものとして「植栽」があります。植栽は、長期継続的に投資をおこなっていかないと維持できません。なんか樹勢が落ちてきたね・・・でもお金ないし・・・とかで放置して一度大きなシンボルツリーとかが枯れてしまうと、また新築時の小さな木からやり直しとなりなかなか取り返しが効きません。

植栽の改善で1000万かかりますとかなった場合、なにごともなかったように一般会計の潤沢な剰余金から支払って改善できなければ、積立金を取り崩すしかなくて、いくらなんでも屋上の防水だの、外壁の補修だのには優先させることもできないから、全般に財政がひっ迫しているマンションでは、植栽いけてないなぁとか思っても投資はできないわけです。ビンテージマンションとして、経年数にも関わらず高い中古資産価値を誇示しているマンションで植栽がいけてない状態になってるとこは一か所もないんですよね。

マンションの専有部は、壁紙でも貼り換えるとか、水回りリフォームとかでオーナーが自分であんまり古びて見えないようにすることは可能です。一方で、共用部は理事会にお任せするしかないわけですから、『古びて見えないように守ってくれ』と是非要求してほしいですよね。ただじゃできません。
 
もとURの分譲マンションなどで築30-40年経過してるところ、管理状態は植栽みるだけでわかると思います。もこもこの樹木を綺麗に剪定してるとこは、やはり財務内容などを見てみても健全です。これは、ずっと財政を健全に保った上で、必要なタイミングで攻めの拠出ができてきたのでないと無理なんじゃないかなとは。

まとめ

36年間といった超長期での修繕計画にむけて貯金というのももちろん大事です。でも長期修繕計画でなんとかするからというのは思考停止状態の現れでもあるんじゃないかなぁとも思うわけです。無数にある、他の似たような経年のマンションと比較されて、”明確に劣っている”と判定されないように、今そこにある劣化に対処していくことはとても大事だと考えます。

管理費をごりごり切っても、浮くお金は数十円/㎡/月です。一方で、なにもしなくてもマンションの値段は毎月 1000円/㎡/月とか下がっていくわけですから、削減した管理コストで得られた余裕は再投資して、減価を1割でも食い止める方向に使ったほうがいいんじゃないかなと私は思っているわけです。

決して不可能なことだとは思っていませんし、このような目標のためなら、”今の”理事会が皆で取り組んでいけるんじゃないかなぁとも。

あわせて読みたい

こちらスムログのブロガーののらえもんさんとの、マンション管理に関する対談から、画像は拝借しました。こちらから読むことができます。

http://www.e-mansion.co.jp/information/taidan/01_01.html

 

※ 私は、約240人が加入しているマンション管理組合理事長勉強会(RJC48)の代表もしています。管理組合の理事(長)同士の情報交換に関心のある方は、こちらから。RJC48等への取材などの申し込みもこちらからお受けしています。
→ http://rjc48.com/?page_id=39

!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

2 件のコメント

  • そうですねぇー

    企業みたいに将来への投資という視点ができればいいでね


    わらわら(*^_^*)

  • 企業は、株主って持ち主と、経営は一致しない部分も多いけど、
    理事は大抵そのマンションのオーナーですからね。
    よく管理組合にも”経営的視点”が必要とかいわれるけど、
    企業のそれに例えるのはちょっと違うとは思っているんですよ。

    つぶれちゃいけないってのは一緒ですけどね。
    マンションは ”オーナーのオーナーによるオーナーのための”
    施策ですからね。

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