タワマンの総会で2回連続で同じ議案が否決? 【お便り返し】

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1月末の総会の結果について、湾岸のタワーマンションにお住まいの方から来ていた質問への対応を軽めに。
別にタワマンかどうかとは関係ないのですが、なぜか直前のブログはやけにアクセスがやけに多かったので…

質問は?

差出人: タワーリーマンの苦悩

誰に答えて欲しいですか?
はるぶー

メッセージ本文:

【マンション名は伏せます(はるぶー)】の住人です。
理事会が2回連続で同じ議案を総会で落としたことをツイッターで話題にされていたせいか、名指しに近い形で掲示板でも話題にされています。

私は、今回の議案には総会では2回とも反対しました。質問は2つです。

今回の理事会の対応についてはどう思われますか?私は、否決された議案を再び出すというのは理事会としてはやるべきではないという考えです。

これとは別に理事会の方針・総会議案などがネット上でとりあげられると、愉快には思わないオーナーの方もでてくると思われます。特定のマンションの管理状態が、SNSや匿名掲示板などでネガティブ面から話題になることについてどう思われるでしょう?

一事不再議にあたるか?否か??

回答を書くか書かないか結構迷いました。解答はいずれも質問者さんの希望には沿ってない回答かなで少しじっくり書いておきますね。

該当するマンションは、湾岸のタワマン。議案は、元々は1億円を軽く超える金額で、マンション周りの植栽と外構部を大幅改善するというもので、特別決議で昨年秋の総会ではぎりぎりで否決(確か総会参加は3/4を少し上回る程度で、かなりの反対をだしてギリギリ否決)になっていたものです。同じ期の間に単独議案で再度臨時総会を3カ月位の短期間で再度招集して、特別決議を再び目指しましたが今度は3/4どころか2/3も取れずに念押し?の否決になっています。

質問の最初は、これが『一事不再議』にあたらないかというもの。「全く同じ」議案であれば、僅か数カ月で上程しなおすのはさすがに感心しないですが、私は「今回はあり」だと思います。結果として否決にはなりましたが、少なくとも2回目の総会上程はそのマンションの規約には違反していないと思うため。

もともとの1回目の議案上程には、本来建物側でしか使えない積立金を外構部分のアップグレードで取り崩すという規約への違反があり、もし可決されても有効かどうかには疑義のあるものでした。

2回目は庭にも使える全体修繕積立からの取り崩しで、使えるお金が少なくなるので、工事範囲も小さくなって確か8千万程度に縮小です。内容が明確に異なる議案ですし、1回目は”規約違反”だと思いますが、2回目については、個々人の好みで賛成か反対すればいい問題で、そのマンションの3/4以上の方が賛成するなら問題とも思いません。理事会の総会再上程には問題はなく、反対なのであれば『タワーリーマンの苦悩』さんのように2回目も反対して、否決しなおすしかなかったのではと。

私の“個人的な”感想

そのマンションの自治範囲だよねで、これで終わりでもいいのですが、『私だったらこうする』とか、『個人的にこう思う』という”感想”です。無視して2つめの質問への答えに進んでも構いません。

総会の参加率は?

湾岸の多くのタワーは、オーナーの在外割合・外国人割合が高いこともあって、特になにも念入りな督促をしないと参加率が6割代ということは珍しくない。最近では晴海と東雲のタワーの総会の議決権参加率が共に6割代でした。逆に私の知っている範囲で、9割近い議決権を総会に集める東湾岸のタワーは2-3箇所だけ。もともと提案は1戸で割っても軽く10万円を超えるという巨額の”アップグレード”投資ですから、誰が手掛けても一定数の反対は出るものです。反対がそれなりにあるなか3/4を目指すなら、日頃9割の参加率は確保していないと、そもそも総会への上程は難しかったのではないかなと。

理事会が一枚岩でない?

特に2回目は賛成率が、3/4必要なところ、全戸の2/3も賛成をとれていません。初回はぎりぎりで否決で落としている(確か賛成が全戸の70%は超えてた)ことから、40日近くも前に議案書は投函されたにも関わらず、一切途中で督促がなかったとのこと。総会に全戸の100%参加して26%が反対で落とすのはこれは仕方がない(理事会に責任はない)と思うのですが、総会に来た人は100%賛成なのに、74%しか総会に集めていないとしたら何やってるの!で責任問題だと私は思うのです。普通は再度トライするのであれば必死で参加督促するはずなので、この点少し不思議です。
例えば、検討した委員会と理事会、あるいは、理事会内でも必ずしも賛成とはいえない勢力があったなどで、”あえて督促はしない”などの縛りがあったとかかもしれません。

サンクコストを気にした?

億円級の工事ともなると、提案を作成する段階でもそれなりにお金がかかります。今回の工事は設計監理の会社が、何故か自社系列(子会社)の会社を工事会社として薦めるという提案ですが(利益相反?)総会に上程された時点で、既にかなりの費用が発生していた可能性があり、サンクコストを気にして取り下げにくかったとかの事情は考えられます。

1議案だけの臨時総会は損だが?

通常1議案だけの臨時総会というのは、典型例では
ー保険料率の爆上げ直前での、保険の解約切替や、
ー大規模修繕で実数清算のタイルの故障率での金額アップで予備費枠超過
など、そのタイミングでどうしても臨時総会をやらないといけないものに限るのが普通です。直前に落としたばかりの議案と”殆ど同じ”に見えるものを、争点が明確に意識されやすい1議案臨時総会にすぐに再上程した判断は妥当だったかどうか。

そもそも1億”グレードアップ”する財政的余裕はあるか?

長期修繕計画に従って、資金を確保していくわけで、本来グレードアップ工事に使える費用まで潤沢に織り込まれている長期修繕計画というのはまずありません。資金計画も、それに従って徴収を行っているはずなので、中途で積立金を大きく本来計上されていないものに取り崩したら、元々予定されていた工事はどうなるの?とか計画そのものの実施に影響がでるはずです。今回地震がきてやむなくといった性格のものではなかったので。
議案書そのものの中にはこの点に関する言及はありませんでした。今グレードアップを行うことに賛成票を得るためには、「50年安心」くらいのことを宣言して、住民の将来への漠然とした不安をまず払拭する必要があるかなと思います。

<下は私のマンションの総会の督促:今EVに貼ってあります>


管理状況をマンション名実名で話題にすることについて

私は、理事会の施策には納得できないという読者?の方から頻繁にネットで相談を受けます。一定の時間をかけてお返事の対応する代わりに、そのマンションの規約や総会議案書が手に入りますから、ギブ&テイクと思って受けてます・・・規約と議案を見ないで返事はできないから必然的に入手します。(法律相談ならプロに訊けば?・・とは思いますが)

今回そこからのもので確かに話題にはしましたが、私は、Twitter ではマンション名は書いていないと思います。個別のマンション名に私の関心はないから。Twilogで調べても2回目の総会の直前に、議案書をみてみたいという理事長にこんな議案がありますよと書いているとこにマンションの名前が出てくるだけ。

それはそれとして、私は、マンションの”管理状況を実名で話題にすること”を特に問題とは考えていません。

書き込みがあったのは、マンションコミュ二ティの住民板だと思います。住民板は、”書き込みをする”のはそのマンションの人だけに限られますが、読みにくるのは、そのマンションの購入を検討する人も含めたネットにアクセスできる全員です。別にそのマンションに住む人のためだけに掲示板があるわけではないのが、マンションの中に閉じたポータルサイトとの差です。

1000戸を超えるような規模でも、ほぼ住民板に書き込み0のマンションもあれば、ずっと少ない戸数でも頻繁な理事会批判の書き込みで”いつも大荒れ”のマンションもあってその差は極端です。「掲示板上で頻繁に管理状態についての不満が話題になること」もそのマンションの特徴の一つなのではないかなと。現状それが、マンションの価格といった資産価値的に反映されているとも思わないですが。

理事会からみると、大抵は理事会批判的なことがかかれる”住民板”ってあんまりうれしいものではありません。ただ書き込みのあるマンションと全くないマンションがあります。なぜ、理事会に、実名で文句を言ってくれないのか?を理事会側は真剣に考えたほうがよいかなとは。書き込みする人に、ここに書くなといくらいっても、むしろ煽り立てるだけ。その手間で指摘された点の真偽や、対応策などを公式に広報したほうが生産的です。
中古マンションで後から替えることができるのは”管理”だけ。入居にむけた情報交換などが終わったあとの、住民板で本質的な意味で話題にして意味があることは管理状況くらいしかないように私には思えるわけです。
なので、住民板に書き込めるのは住民のみという規定だけがクリアされていれば、書きこみのあった情報がSNSなどで話題になることも含めて別に悪いこととは思っていません。誤った情報や、マンションの人でない書き込みであれば削除していけばいいだけだし。

正月の羽根つきで顔にラクガキする遊びで、お互いの顔を見て笑うことは許されます。すぐに消せるから。一方で身体に障害がある人をそれで笑う人などいません。掲示板で話題にするなら、理事会の努力ですぐに是正できる管理こそがふさわしいんじゃないかな・・・と、河川が氾濫すれば水没する地区のマンションに住む私としては思うわけです。

管理状況が外部から格付け評価される時代はすぐそこに

例えば長期修繕計画に対して、今のままでは大きな積立不足がでるなど、財務が健全でないなど管理状況に関わる問題は、1年2年といった短期では顕在化しにくいことから、特S級認定をもらいました!とかいう場合を除いて、あんまりマンションの管理が話題にならないことを望む人は一定数います。

一方で、管理状況が外部から格付け評価される時代はすぐそこまできています。特に積立や、滞納状況など、財務状況に関わる情報を組合から情報公開して貰って評価公開を行うという方向性での、改正マンション管理適正化法の施行が来年4月。多くのマンションの委託契約はもう、管理会社による情報開示に組合が承諾した形に書き換わっている筈です。マンションにどれだけ滞納がたまっているか訊かれたら答えないわけにはいかなくなっているわけです。



ごく最近ライフルホームズから、仲介ページに、良好な管理状況のマンションが上位のS/A級の場合に限って掲載されるサービスの開始のアナウンスがありました。

実際に、高評価のマンションも約200件ほど掲載がなされています。

実は、今回話題になったタワーも最上位Sランクでの掲載です。その評価の中身を見てみるといろいろ思われることもあるかもしれません。

この話題(マンション管理格付け)は今後もうすこしじっくり私のブログでも取り上げていこうと思います。

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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