理事会が勝手に決めちゃう!! 理事会の裁量範囲はどこまで?

スポンサードリンク

理事会の外の人から見ると、なんとなく理事会が結構大事なことを勝手に(総会に上程しないでって意味)決めちゃう!って感覚をもつ人が多くて、逆に理事会の人はなんでこんなもんが総会決議って言われるの?かな。お便り返しを3つまとめて。

スムログは皆で集まって忘年会をやるのが恒例で、いつもは”序列順”に席が決まって、マンマニ先生や、三井先生は、遥か遠くの席でお声がけなど許されないのですが、今回はコロナで顔合わせ”だけ”あるとか。恒例の、無惨のらえもんによるパワハラ会議はあって、下弦のブロガーは来年のブログ本数を叫ぶはめになったのでした。

※重要※ 理事会の細かい運営規則は、細則等で決まっている場合があり、マンション毎に細かい細則規定があれば、当然それは総会で決まっているわけですから規約細則の規定が優先です。回答は、標準的な規約の場合を想定した通常の場合で、通常なら(管理士さんなどの相談であれば)必ず規約を見せてくださいからのスタートですのでご承知おきください。例えば以下の回答は、うちのマンションには当てはまらないものがあちこちにあります。

その1:理事会裁量の判断は、理事会決議? 理事の判断?

質問は

差出人: パルプンテ

管理規約や細則言い回しの『??することが出来る(=やるやらないは理事会判断)』など理事会付託的なものがあると思います。運営においてやってもやらなくても良い類のものの実行判断は全て理事会決議するものでしょうか?それとも各担当にて判断権限を与えるものでしょうか?

”~~することが出来る”の『主語』を見ます。
管理組合は~~できるなら、総会で決議すればOK
理事会は~~できるなら、理事会で決議すればOK
理事長は~~できるなら、理事長の判断でOK
とするのが妥当に思います。より下位のレベルで決めてしまうと、文句がでてもめ事の元になることが多いからです。

普通の規約・細則だと、理事長が保存行為や許可案件で特に強大な権限を与えられていて(法人化してない組合では理事長個人が区分法の”管理者”です)、個人レベルで”~~できる”のは、理事長だけなのが普通です。

これはよほど凝った規約でも作り込まない限り、理事長1人に権限を集めておくしかないでしょう(うちはちょっと違います)。なので普通には”各担当”(理事長以外)には判断権限はなしと思っていたほうが安全かと思います。では理事長はなんでも1人で決めていいのかというとこれはこれで揉めやすい。

管理規約は大抵、標準管理規約に大体準拠して作ってありますから、
単なる許可案件で総会決議なんてとってられないよ!とか、
簡単なリフォーム申請の許可がなんで1月後の理事会待ちなの!
みたいな不合理なことはあんまり規約の方では起こりません。

一方で細則には”標準”ってのがないので、あんまりプロとは言えない管理会社の人が、適当に(失礼)そのマンションに合わせて初期設定を書いてることが多く、結構この手のおかしな設定は起こっていることが多い。
これは見つけたら正しい判断権限レベルに合わせる細則改定を総会でしておけばいいでしょう。緊急対応なら理事長だし、月に1回は理事会があるので待てるなら理事会。

うちには、実は未だに”主語のない”条文が結構あるんですが竣工時に貰った原始規約のまんまです。私が埋め込んだものではないのですが、12年も経過してると悪いのは私じゃないとも言えない。そのうち虫干ししようかなと思っています。

設定は”できるだけ理事会決議に寄せる”のが私のおススメです1人で判断しましただと、どうしても理事長などの個人が責任を負うことになります。独裁理事長も生み出しやすい。
それでは皆で1票で多数決で決める理事会制度の趣旨にはあわないですし

それじゃ間に合わない?
本当に1月待てないことってそんなにあるでしょうか?

何か月も放置されがちなのは、少額のものに相見積もりを3社もってこい!とか叫ぶ理事がいるとかそんな運営がうまくいっていない場合で、普通は毎月の理事会で決まるから最大でも1月待ちです。逆に1月で全部決着をつける癖がついてないから長くかかるわけでその1月理事会が待てないなんてことは500戸あるうちのマンションでも滅多に起こりません。(ライフラインが、突然切れましたとかで緊急支出じゃとかの法人の代表理事決済は数年に1回あるかどうか)

一方で業務が特殊などで、個別理事が直接決済しないといけないほどにいろいろ必要性があるのであれば、通常の規約・細則には”金額”の縛りはないから、理事長は〇〇万円までOKとか上限を明記したほうがいい気がします。

私のマンションでは30万円上限で緊急の決済権限をもった副理事長以上が全部で5人います。お祭りとかの行事を担当する部門もありますが、よほどの巨大行事以外は、年200万の予算縛りだけ与えてコミュニティ担当の副理事長+その委員会に全権をゆだねたほうが効率的です。この例だと委員会に固有の予算枠(年200万)と、上限を決めての執行権限を委員会を統括する副理事長に設定しています。コミュニティに関わる理事は全役員の1/3近くいるのに、予算は総予算の1%ほどにしか過ぎないので、上限さえ超えなければ縛りは不要に思えるせい。

無論こうした例外的ルールは全て細則に明記して総会を通してあります。委員会レベルで大きな支出を決めるのもおかしいですから、”予算枠の制限””理事会によらない拠出額の上限””緊急性などの縛り”は明文化が必須。普通の規約には”金額の縛り”が一切ないのでもめやすいわけですから細則レベルで規定しておきのはお薦め度は大きい。うちでは財務会計細則という名前になっています。

その2:理事会がなんでも追認で済ませようとする!?

質問は

差出人: パンダ

ことある毎に総会で追認、追認として処理しようとする理事会のマンションに住んでいるんですが、一般的にどのような範囲までを追認として許容するものなのでしょうか?

もめやすいのは、”お金”の支出の話かと思うのでその話で。規約や、細則などにはそれを変えるまでは理事会も従う義務があるので、当たり前ですが、規約や細則に違反したことをしていたけど、後でそれをルールを変えるからっつ委任してくれはできません。

その1の回答でも書いた通り、普通の規約であれば個別の支出枠には金額の制限はありません。年初の予算案で、可決されている予算(個別に細目レベルで予算が組まれているはず)の範囲内で実施できるのであれば、ある意味なにをしても理事会の自由だと思います。

”総会で追認”ではなく、”実施の前に総会”で承認を得なければならないことはかなり限られていて、通常(標準管理規約準拠)の規約であれば”総会承認”が必要なことは全て規約に総会承認事項として列挙されています。私はこれは「限定列挙」であって「例示列挙」ではないという考え方です。”総会の承認事項である”とずらずら並べているものにでてないものを、素人の集まりである理事会が総会をしないで決めたたからけしからんと言われても困ります。典型的なものには、共用部の保険契約の締結があり、年初の予算の組み替えにならない限り総会は不要です(普通総会の議決事項には列挙されていない)。

1000万の枠取りしてある予算から1回で500万円使っても理事会決議でOKですが、100万の枠取りの予算で110万を使うには、臨時総会を招集して予算の組み替えをしたほうが安全です。繰り返しになりますが、”通常”の規約には理事会決議でできることの金額の制限はありません。

結果として、通常総会ではなににいくら使ったかを報告したときに、金額の大きいものについては、これは総会案件ではないのか?という疑問をもつ総会参加者は多く、理事会役員からみると違和感のある”追認じゃないのか!”という質問はでやすいものです。

支出を行った結果、新しい共用施設ができたなど、明らかに規約や細則を変更するなら無論独立した総会議案としますが、そうでなくて年度内に支出を予定する場合には、このような議案書を読んだ人が感じる違和感を私の理事会では概ね以下の考え方をして、個別議案化するかどうかを考えています。これは法的・規約的な義務ではなく、できるだけ違和感を感じないで欲しいための理事会の努力義務でしょうか。

① 戸数×1万円(うちだと~500万円)を超えるプロジェクト支出を行うものは、年に2000万円程度という理事会の年間の裁量的経費に占める割合が大きいので、その結果として規約・細則の書き換えがなくても総会の独立議案をして事前承認を得る。
② それを下回るもの(100-400万円級)については、予算議案の中で、細目別の枠取りをする際に、費目別の予算の算定根拠のなかに記載して、予算案一括で承認を得る
③ 100万円以下の支出案件は、実施予定があっても予算枠の中で吸収して個別記載は必須とはしない

以上、参考になれば。

理事会が報告ではなく、本当に”総会で事前に承認をとらないといけない”ことを事後承諾を求めているのか規約と併せて確認してください。

その3:外部専門家費用は何に使ってもいいのか?

質問は

差出人: 初心者理事

実施する事業に対するコスト算出して予算として積み、予算内で事業を遂行するのは当たり前の話ですが、我がマンションでは金だけ積まれて事業内容が全く明記されていないことがしばしばあります。特に外部専門家的な費用。
誇張してて言うと、税理士雇うと思っていたものが蓋を開けてみればマンション管理士をお金投下していたみたいな事態を避けるためにも、事業内容はどの程度まで議案書に細かく書くのが良いのでしょうか?

コンサルタントや、士業的プロの雇用の可能性が高い年次に、その費用を予算計上することは当然として、例えばアフター指摘などで何回マンションに来てもらうかわからないとか、滞納者がどう反応するかで、弁護士さんに訴訟対応をお願いするかどうかが分らないといった場合は多々あります。

例えば、滞納者への裁判を通常訴訟でやりますとなった場合に弁護士さん(うちは毎月定額での顧問契約がありますが、訴訟対応などは別途です)に支払う費用を、臨時総会をやりなおさないと引けないのでは、理事会が機動的に動くことができません。滞納訴訟の提起には総会決議は不要なのに、その費用を引くだけで総会になるのでは本末顛倒な気がしますよね。

同じように修繕のコンサルタントを1日いくらという契約でやっていて、売主アフターサービス補償の交渉中だったとすると、何回お願いするかは妥結してみないとわかりません。このように”定額の顧問契約”には収まらないプロの外注費用は、むしろ上限のみを指定して予備費的な予算枠(プロ起用費でもなんでもよい)を確保した上で、
「税理士雇うと思っていたものが蓋を開けてみればマンション管理士を雇用すること」になっても大丈夫なように予算確保しておいたほうが理事会からみたらやりやすいのではないでしょうか? 大きなマンションになるほど臨時総会をして緊急で予算を引き直すというのは大変です(うちの戸数でざっと2月他何もできなくなります)から、予算にそこそこ余裕のあるマンションでは、最初から多めに各費目に計上して、年度が終わってみれば結構余っていて剰余金になりましたという決算を示すのが普通です。”プロ”に自在にお金を払って解決できるというのは、望ましい姿であると思います。理事はみんな素人なんですから、滞納訴訟とかに理事長が裁判所にでてこないといけないようでは、伸びしろはしれてます。

この例だと、細かく書きすぎるとその範囲を超えると、各々で臨時総会が必要になりかねません。それは誰得というか、誰も幸せにはしないように思います。




 

下の写真は、うちの理事会の様子(コロナとかなくで全員参加すると30人近くになります)と、10周年記念で自治会が実施した水上バスツアーでした。人数が多いと”はるぶーを探せ”状態ですが割とわかりやすいとこに私はいます。この人数×2便を運航しましたが2倍近い抽選倍率となりました。写真なしも寂しいので貼っておきます。はるぶーがどこにいるか探してみてください。





!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

2 件のコメント

  • 裏方理事長15回目 より:

    はるぶー
    みっけ

  • なつ より:

    とても参考になります。ありがとうございます。築34年マンションの新米修繕委員です。

  • コメントを残す

    「コメント」と「名前」は必須項目となります。


    ※個別物件への質問コメントは他の読者様の参考のためマンションコミュニティの「スムログ出張所」に転載させて頂く場合があります。
    ※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)